2020/07/26 のログ
ご案内:「元トゥルーサイト部室跡地」にトゥルーバイツ構成員さんが現れました。<補足:常世学園制服。軽いウェーブのセミロング。首輪のようなチョーカーをつけている。左腕に腕章。腕章のエンブレムは林檎に噛み付いて絡みつく蛇。>
トゥルーバイツ構成員 >  
 
――例えば、『運命』があったとしよう。
 
 

トゥルーバイツ構成員 > その『運命』は……残酷で、無慈悲で、無価値で……ただただ、君を打ち据えたとしよう。

例えば、大事な何かが『欠損』したり。
例えば、取り返しの付かない何かに『傷付け』られたり。
例えば、大事に大事に積み上げた全てが『台無し』になったり。
 
だが、それでも、『運命』に抗おうと考えるなら?
手段を選ばず、あらゆる手を使って、何もかもを擲って……それに抗おうと思うなら?

……『真理』なんて、その手段の一つにしか過ぎないとしたら?

トゥルーバイツ構成員 > 女が、歌っていた。
 
月下の元、かつて『トゥルーサイト』と呼ばれた部室の跡地で。
一つ目の意匠が凝らされたエンブレム。それが刻まれた壁の前。
瓦礫に腰掛けた……ウェーブのセミロングの女。
常世学園制服を身に纏い、黒いチョーカーのような首輪をつけたその女は……朗々と歌っていた。

『デバイス』の使用期限は既に間近。
残り僅か3時間半程。
とっくに起動させた『デバイス』は、接続待機画面でただただ時を待つ。
ただただ、その時を。

「ギリギリになっちゃったわねぇ」

女は……黒い目を細めて、静かに笑った。

ご案内:「元トゥルーサイト部室跡地」に持流 童男さんが現れました。<補足:一昔前のファッションをしたマントをたなびかせてる大男のオタク>
トゥルーバイツ構成員 > 『トゥルーサイト』と呼ばれた違反部活。
『見て見ぬ振り』をしない者達。
ただ、『真実』を見据え、『真理』に挑む者達。

「見てるなら、何人でもどうぞ。きっとこれが最後の機会」

くすくすと、女は笑う。
両手を広げて。

「『運命』に噛み付きましょう。時間はもうないのだから」
 

持流 童男 > 「もう大丈夫、なぜかって?」

「某が来た!!!!」

言いつつも、トゥルーサイトと呼ばれた部室の跡地にマントがまう。

「・・・すまぬでござる。お主がなぜ、そのデバイスに手を触れたか、その願いと、その物語をおしえてくれないかでござるか」


「某は、持流 童男、ただのヒーローでござる」
しっかりとトゥルーバイツ構成員に目を向けつ
つも、しっかりと見据える。

トゥルーバイツ構成員 > 「へぇ、『まだ』やってたんだ」

女は目を薄く細めて、くすくすと笑う。
瓦礫に腰を下ろしたまま、静かに。

「ドウオ君。『なんで』来たの?」

女は小首を傾げた。
笑いながら。哂いながら。嗤いながら。

「もう『取りこぼした』でしょ、ハナちゃん」

ニコニコと笑いながら。
クスクスと笑いながら。

「他にもアナタがそうやって誰かと『お喋り』を楽しんでる間に、助けられた人は何人も『取りこぼしている』」

女は笑う。
ただ、笑う。

「なんで、こんなところで『まだ』油を売ってるの?」

ただ、笑う。

トゥルーバイツ構成員 >  
 
「――ほら、24時まで時間は刻一刻と近づいていく、その間にもきっと誰かが『零れ落ちる』。こんなところでゆっくり『お喋り』してられるのかしら? アナタは『話し合い』に『また』来てしまった……ヒーローよりも、誰かに『噛み付く』のが好きなのかしら?」
 
 
返答を待たずに、女は笑い続ける。
 
 

持流 童男 > 「あぁ、たしかに某は、『取りこぼした』でござる、ハナさんを取りこぼしてしまった。」

しっかりと今度はもう目をそらさないように

「・・・だからこそ、お主を止めに来たのでござるよ・・もう 『取りこぼさないため』に、もう、『見て見ぬふり』をしないために。」

しっかりと目を見る。

しっかり見据えつつも、

「たとえお主が、他の誰かだとしても、もう何もしないで、手を伸ばさないで、後悔するのは嫌なんでござる。」

トゥルーバイツ構成員 > 「へぇ、面白い答えをするようになったじゃない」

女は笑う。ただただ、笑う、
楽しそうに、可笑しそうに。

「でも前に言わなかったかしら? アナタじゃあ……私は救えないわよ?」

じっとりと目を見る。
目を見続ける。

「アナタが救える相手も、助けられる相手も限られている……アナタは死者の蘇生を願う誰かに何ができる? 満たされない思いを持った孤独と空虚に何ができる? 失った音を願う誰かに何ができる? 故郷に帰りたがる異邦人に何ができる? 血以外を口にしたい吸血鬼に何ができる? 時間が逆行してついには消える女に何ができる? 望まず神に選ばれ堕天する天使に何ができる? 全てを救おうとして救う事が出来ない現実に打ちひしがれた誰かに何ができる? 異能兵器として打ち捨てられた少女に何ができる? 自切を繰り返して自らを喰らうしかない誰かに何ができる? 嘘と真の境目も曖昧になり会話も満足にできない誰かに何ができる?」

女は、笑う。

「『カッコ』つけたいだけなら……もっと『簡単な相手』だけを選べばいいんじゃないの? ふふ、ねぇ?」

女は……嗤う。

持流 童男 > 「それでも・・・!!!!!、それでも、某は、もっと難しい方を選ぶでござる。」

その答えに目をみつつ答えをかえす。

「ヒーローというのは常に負け戦でござるから。だからこの逆境も乗り越えないと行けないのでござる」

目を見つつも、

「確かに、某に救える相手も、助けられる相手も限られているでござる。しかし、それでも、足掻くのが、ヒーローでござろう。」

「それに前も言ったでござるが、ヒーローというのは、意外に近くに居て、助けてるかもしれぬでござろう。信じるしか無いでござろう、その人達を、丸投げで最低でダサい答えでござるが・・・!だけど、人が人を信じないとなにも始まらないでござるよ。」

しっかりと見つつ笑わない真剣に見つめる。

トゥルーバイツ構成員 > 「……」

女は……暫し、押し黙り。
目を細めてから。

「あははははははははは!!」

笑った。
楽しそうに、可笑しそうに。
ただ、笑った。

「いい答え出るようになったじゃない。色々な人に出会ったのね、ドウオ君。中々好きな答えよ」

女はニコニコと笑いながら、そう答える。
とても、楽しそうに。

「そう、『救う方』だけが……どんなに自分を信じていても片手落ちなの。『救われる方』も信じなきゃ……救いなんて訪れるわけがない。お互いの信頼とお互いの努力がなければ……『運命』には立ち向かえない。どっちか片方だけが押し付けちゃダメ。どっちか片方だけが息巻いてもダメ。片思いでも楽しいのは恋だけ」

クスクスと……女は笑う。
面白そうに、可笑しそうに。

「成長したわね。『ダサさ』を自分で自分に内包できるなら……ヒーローとしては及第点。いいじゃない」

女はとても嬉しそうに。

「でもね」

……嗤った。

「アナタは私の信頼を勝ち取れるほどじゃあまだないの。私だけじゃないわ。『アナタが来たから大丈夫』なんて思う人は一体どれだけいるのかしら?」

楽しそうに。

「次のステップよ。次はね……ヒーローを名乗るなら、信頼されなさい。好まれなさい。期待されなさい……初対面の相手にだって『ああ、この人になら救われたい』と思える誰かになりなさい。それが出来て……初めて、『みんなのヒーロー』じゃないかしら?」

女は……笑った。

「難しいけど……難しい方、選ぶんでしょ?」

持流 童男 > 「そうでござる。難しいけど難しい方を、しっかりと選ぶでござる。」

しっかりと目を見つつも、構成員の人の顔を見つつ笑わない

「某は、胸を晴れて、守れて、誰かに憧れられて、期待されて、好かれて、そして、どれだけ苦境でも!!ピンチでも、それをブチ壊していき、そして次に託せる、そんなヒーローになるでござる」

そして構成員さんを見つめて

「だからこそ、そのヒーローになるために。某は、お主に、覚えてもらうために、お主を””救い”に来たでござる。」

「たとえ「救えない」と言われても、難しい方を選ぶでござる。それでも足掻くのがヒーローでござるから。」

目を見つつニット笑う。

トゥルーバイツ構成員 >  
 
「見た目が全然欠片も好みじゃないからダメ」
 
 

トゥルーバイツ構成員 > 女は楽しそうに笑う。

「ヒーローなら、もうちょっと身綺麗にしなさい。見た目って大事よ? 第一印象なんだから。そこからまずは『努力』したらどうかしら?」

小首を傾げる。

「『私はアナタに救われたくない』」

クスクスと、笑いながら。

「……簡単に破綻するのよ。アナタはそれでも誰かを救いたいなら、もっと相手に寄り添いなさい。アナタに足りないのはそれ。アナタの『救いたい』だけが先行して、『救われる側の気持ち』がイマイチまだわかっていない。だから、私はまだまだアナタには救えない」

可笑しそうに、楽しそうに。

「アナタはヒーローなんでしょ? ヒーローを名乗るなら、先にアナタが譲歩なさい。そこからよ」

トゥルーバイツ構成員 >  
 
「見てる人結構いるみたいだし、誰でも遠慮なく来てもいいわよ? もう時間ないし」
 
 
一度だけ、月を見上げてから……女は一人嘯いた。
 

持流 童男 > 「もっと相手に寄り添って、救われる側の気持ちが、分かっていない・・・譲歩する。」
何回も言いつつも、言った後に、はっとさせられる。

「確かに、某は、今までの世界で、最低でダサくて、カッコワルイことを続けてきたでござる。記憶から消えて、その責任から逃げてたでござる。」

しっかり見つつ

「そのたびに、みんなが泣いて別れていってたでござる。某はもっと相手に寄り添い、自分から譲歩すればよかったのでござるのか、そうすれば、某は、失わずに、あやつらも失わずにすまなかったでござるか」
少しだけ笑いつつも

「・・それがし、もっと某、身ぎれいにするでござるよ。あかね殿」

持流 童男 > 「もっと寄り添って、もっと、譲歩するでござるあかね殿・・!」
トゥルーバイツ構成員 > くすりと、あかねと呼ばれた女は笑う。
ただ、笑って……夜の瞳を細める。
真っ黒な瞳を。

「なら、今、『目の前にいる私』は諦めなさい。アナタもいったでしょ? 救いはお互いが信じ合わなければ成り立たない。アナタはそれを『積み上げていない』の。お金を払わず御飯を食べようとしているのとそれは一緒。今回は足りなかった。今回は間に合わなかった。ヒーローは負け戦が基本……そこまでわかっているのなら」

柔らかく、女は微笑んで。

「負けを認めなさい。そして……この負けを糧に『次』に挑みなさい。アナタに出来る『救い』は……それだけじゃないかしら?」

そう、目を細めた。

持流 童男 > 「・・・・!!負けを認めて次に生かす・・!」

「そうでござる。さんさか逃げて逃げ回って。それで、出した結果、この結果でござる。」

しっかりと見つつも、あかねさんをみつめる。

「ならせめて・・・せめて負けを認めるでござる、ならば、次に生かすために、お主の最期を見届けさせてくれでござる」

あかねさんを見つめつつも、多分アカネさんだろう。

(誰か・・・助けてくれ・・!!)

トゥルーバイツ構成員 > 「ほら、まだ分かってない」

女は笑う。
ただただ、静かに……溜息を吐きながら笑って。

「『次』に行きなさいよ。ここは『負けた』んでしょ? 駆けずり回れば『まだ勝てる場所』もあるかもしれないのに……こんな『負け』をいつまで引きずるつもり?」

小首を傾げる。
少しだけ、可笑しそうに。

「もう一度いうわね」

楽しそうに。

「『なんで、こんなところで『まだ』油を売ってるの?』」

女は、笑う。

持流 童男 > 「・・・!!分かったでござる。・・!!」

言いつつも、跡地から去る。


「・・こんなことを某が言うのもなんでござるが・・!ありがとうでござる・・!皮肉ではなく」
「・・・じゃあ、行ってくるでござる!!・・またな!!」
涙を流しつつも跡地から去る。

ご案内:「元トゥルーサイト部室跡地」から持流 童男さんが去りました。<補足:一昔前のファッションをしたマントをたなびかせてる大男のオタク>
トゥルーバイツ構成員 > 「さよなら」

女はそう呟いて、背を見送る。
ヒーローを目指すという、その背を。

「次は無銭飲食しないでね。自分で『誰かの救い』を『賄える』だけの男になりなさい」

救いたい。
その言葉をおしつけるだけなら、「食べたい」「会いたい」「ヤりたい」と何も変わらない。
相手に「それをさせる気」にさせて、初めて成り立つ。
簡単な話なのだ。

「……だから、難しいんだけどね」

『運命』は、難解だ。

トゥルーバイツ構成員 >  
 
「まだ、時間はあるわね……ふふ、2時間。『楽しみ』ね」
 
 

トゥルーバイツ構成員 > 救いたいなら、関わらなければいけない。
関わりたいなら、動き続けなければいけない。
それで、相手がドン詰まりの一番最後になってから『おいしい所だけ持っていこう』なんて考え自体が……卑しいのだ。

誰かを救う事は気持ちがいい。
誰かを助ける事は気分がいい。

だが、その『快楽』だけを『ろくに関わっていない誰か』に強請るなんて。
ちゃんちゃら可笑しな話なのだ。
それを『それでも』やりたいというのなら……負けて当たり前。連戦連敗で当然。
それで一度でも腐ればそれまで。
誰かのせいにした時点でヒーロー失格。
 
だからこそ、自責をまずは始めなければならない。

それが出来なければ……誰かを救うなど、夢物語でしかない。
戯言にすらならない。

『お前を救いたいだけなんだ』

それは。

『お前とヤリたいだけなんだ』

と。
……本質的に大差がない。
『気持ち良くなりたいだけ』なのだから。

ご案内:「元トゥルーサイト部室跡地」にレナードさんが現れました。<補足:制服姿。華奢な体型がよくわかる。>
トゥルーバイツ構成員 >  
 
「ナンパ野郎をするのなら、せめて見た目くらいは気を遣ってよね。それだけの話」
 
 

トゥルーバイツ構成員 >  

「あら……こんばんは」

女は、また静かに微笑んだ。
新たに現れた誰かに。

レナード > かつん、かつん。靴が床をなる音がする。

「ほんとだし。あれ以上は、意地汚い。
 あの時とおんなじ、僕と変わんない対応をしようとしてたんだ…」

それは、今もなお抗おうとしていた男に向けた言葉。
何があったかなんて、最後の方の言葉だけで大よそ想像できる。
…彼と入れ替わる様に、一人の少年がやってきた。

「チャオ。その紋章…噂に聞いたトゥルーバイツのお方。
 今日がその日だって聞いたから見に来てみたらほんとにいてびっくり……まだ、諦めてなかったんだ?」

トゥルーバイツ構成員 > 「当然よ、諦められるなら『こんなこと』してないし、『こんなドン詰まり』まできてないわ」

くすくすと、女は笑った。
目を細めて。
唇に人差し指を当てて。
女は……笑った。

「『話し合い』以来かしら? 良い夜ね」

女は、笑う。

レナード > 「あの夜以来……って、分かっちゃうわけ?
 へえ。ちゃんと変装したつもりだったのに、びっくり。」

素直に驚いてみせる。あの時とは違う服装だった。
同じ声であること以外に見分けられる方法は、ないと思っていた。

「やー、僕は君を止めようってワケじゃない。どうせ君は"止まらない"。」

だから、そんなに身構えなくてもいい…そういう意図で、両手を挙げた。

「だったら、話を聞いてみたくなってさ。
 君が何を考え、何を思って、多数の無辜の命を集団自殺に追いやったのか。
 …その心理は、人の心は、本人でないと分かんないからさ。

 らしくないけど、でてきちゃったわけ。」

トゥルーバイツ構成員 > 「あとで調べる方法なんていくらでもあるわよ。この島はほぼ全域常に監視されているんだから」

記録(ログ)は残り続ける。
この島は、そう言う島だ。

「追いやったなんて面白い言い草ね。私は選んでいいっていっただけだし……危険性は十分説明したわよ? 『それでも』『選んだ人』だけが来ただけ……アナタのところだって、カギリちゃんだか誰かがいったでしょ? それで……アナタは来なかった」

茫然自失、無気力。
そういう『やけっぱち』や、『一時の気の迷い』で引き下がる輩は『トゥルーバイツ』にはいない。
一人だっていない。
『それでも』、土壇場で迷いがでたなら『生き残れる』ように『デバイス』という形にした。
これで、集団自殺に追いやった……と言われるのは、最早、『危険を承知で調理器具を配った。お前は自殺教唆の首謀者だ』などと言われるのと大差がない。

「まぁ、どうしても『誰かのせい』にしたいなら……それでもいいけどね? 他責って楽だしね」

くすくすと、女は笑った。

レナード > 「誰かのせいにするつもりなんて、それこそないし。

 だって、集団自殺は、結果論なんだから。
 おめーの言う様に、選ばなければよかっただけの話だし?
 でも、現実は、こうだから。」

それが彼らの選んだ道だから。
そこにケチをつけるつもりはない。

「ただ、自分だけまだ使ってない理由はなんだろうと思ってさ。
 デバイスの話は詳しくは聞いてないけど、一人が使って死ななければ…それで成功ってわけ?」

トゥルーバイツ構成員 > 「起動は初日からしてるわ。まだ接続中なだけよ。起動してもすぐに接続するワケじゃないからね。ま、ハンドメイドの一品物だし……動作にもムラがあるわ」

くすくすと女は笑う。
『デバイス』は起動したところで、すぐに『真理』と接続するわけではない。
個体差がある。

「成否はそれこそ、個々人のものよ。私にとってはまだ成功でも失敗でもないわ。まだ繋がってないんだから」

残り約一時間半。
時間は残されていない。

レナード > 「……ふーん?」

デバイスの動作にはムラがある。
彼女のそれは、まだ繋がっていないという。
だから彼女は待っているのかと、納得がいく。

「なるほど。

 ああ。…さっき言ったように、僕は君を止めようなんて思っていないし。
 君がそう言うんだったら、
 常世に住んでるそれだけの人が…真理とやらに縋らないと生きていけないんだろうって思ったから。
 それを、君はほんの一歩後押ししただけなんだって分かるし。」

満足そうに、笑む。
本当に、話を聞きに来ただけだから。

レナード > 「じゃあね。貴重な時間をありがとう。」
レナード > そう一言告げて、少年は去っていった。
ご案内:「元トゥルーサイト部室跡地」からレナードさんが去りました。<補足:制服姿。華奢な体型がよくわかる。>
トゥルーバイツ構成員 > 「苦痛をどうしても取り除けない患者にやることはたった一つよ」

女は笑う。
それは、別に女に限って出す答えでもなんでもない。
ありふれた普通の答えだ。
多くの医療先進国でも出している答えだ。
何もかも『今更』だ。

「さよなら」

女は、ただその背を見送った。

トゥルーバイツ構成員 >   
 
「時間が近づいてきたわね」
 
 
月を、見上げる。

ご案内:「元トゥルーサイト部室跡地」に羽月 柊さんが現れました。<補足:【はづき しゅう】深紫の長髪に桃眼の男/31歳179cm。右片耳に金のピアスと手に様々な装飾品。黒のスーツ。小さな白い竜を2匹連れている。>
トゥルーバイツ構成員 > 「あら、こんばんは。シュウ先生」

女は、静かに笑った。

「カーテンコールに駆けつけてくれるなんて、素敵ね」

羽月 柊 >  
裏の古い知り合いに尋ね、闇を伝い、
妖精の道たる"向こう側"の道を通り、男は駆けた。

永久の平行線のまま、彼と彼女たちと話し、争い、"対話"した。

「……そうだな、出来る事なら、時間が過ぎるまでフィナーレを楽しんでいたいものだが。」

今日も結局同じことをしたのか、治しきれていない傷痕が服の裾から覗く。
現れたのは、周回遅れの男だった。

煩わしい仮面を今日はもう外していた。桃眼で見やる。

トゥルーバイツ構成員 > 「それでもいいと思うわよ? もう、終わりは間近なんだから」

女は笑う。
目を細め、口角を歪め。
静かに、女は笑う。

「幸いにもまだ時間はあるわ。どんなお話しをする? 先生」

クスクス女は笑う。
女はああいうが……実際的時間はもう残されていない。

羽月 柊 >  
さぁ、どんな話だろう。その前に。

「お話の前に……君は、俺の知る"日ノ岡あかね"か?」

姿かたちはそうかもしれない。
ただ、自分は僅かばかり思う所があった。

己が言霊に込めた思いが、果たされていないのか、と。

果たされていないならば、彼女を止めるのは自分ではない。
カーテンコールに登場する役者は、自分よりももっと相応しいモノがいる。

時間が無いなら尚更に。

無粋でも、構わない。キャストが誰かと問うた。

トゥルーバイツ構成員 > 「さぁ?」

女は笑う。
静かに笑う。

「そも、日ノ岡あかねの何をアナタ達は知っているの?」

小首を傾げて面白そうに笑う。
楽しそうに笑う。
ただただ笑う。

「そういう少女はいたとおもうけど……アナタ達が知っている日ノ岡あかねって何かしら? 顔がわかるのかしら? 声がわかるのかしら? 『常世学園制服。軽いウェーブのセミロング。首輪のようなチョーカーをつけている。左腕に腕章。腕章のエンブレムは林檎に噛み付いて絡みつく蛇。』っていう外見情報だけで、それって……別に『前からずっと誰でも出来る格好』じゃないかしら?」

面白そうに。
可笑しそうに。
楽しそうに。
女は笑う。

「それ……重要なこと? お互いの役割(ロール)を楽しむうえで……気にすることじゃあないでしょう?」

静かに笑う。
ただただ笑う。

「アナタは『日ノ岡あかねと名乗った女』には『一度』しか出会ってない……なら、『他の日ノ岡あかね』は『全てアナタの知らない日ノ岡あかね』でしょ?」

くすくすと、静かに。

「じゃあ、私は誰だったとしても……『アナタが日ノ岡あかね』だと思えば……『アナタの知る日ノ岡あかね』になるんじゃないかしら?」

小首を傾げる。

羽月 柊 >  
「よくよく見ている。
 まるで君自身が『真理』だとでも言わん限りにな。」

別に姿当てをしたい訳じゃあない。

「君が"日ノ岡あかね"だと言うのなら、
 俺よりもっとこの場に立つべき役割(ロール)の人間がいるのではないかと思ってな。」

白い紫陽花に込めた彼の思い。
茜色の夜明けに願ったモノ。

「俺が楽しんで良いと言うなら楽しもう。
 君らの想いを知りながら、生きろと残酷なことを言う『羽月 柊』を。」

たった1人、拾い上げた男は、そうして舞台に立つだろう。

トゥルーバイツ構成員 > 「私が誰であるかはアナタが決めればいいわ。だから、お好きにどうぞ。怪物でも狂人でも普通の女の子でもそれ以外でもなんでも」

くすくすと女は笑う。
ただ、笑って、話を聞く。

「別に死ぬつもりなんてないわよ。ちょっと『真理』に尋ねるだけ。死亡率99%ってだけ。大したことじゃないわよ」

羽月 柊 >  
「まぁそうなるだろうな。
 俺は結局、こうして他人に関わり始めたのはつい最近だ。
 君が誰かなどと言うのは細事なのかもしれん。」

結局男がするのは、言葉だった。
もし彼女が"日ノ岡あかね"であるならば、この音は届いていない。

音と言霊によって、"対話"によって己を体現する男は、"日ノ岡あかね"にはまるで無力なのだ。

しかし、違うというのなら届くのかもしれない。

そうだとしても、何かが届くのかもしれない。


どれほど遠回りを重ねても、男はそうしてここに立っている。
 

「『真理』に尋ねねばならぬほどの『願い』か。
 俺にはやはりそこまでする理由を理解はしても、同じことをしようとは思えんかったな。」

トゥルーバイツ構成員 > 「なら、それでいいじゃない」

女は笑う。
楽しそうに笑う。
ただただ、笑う。

「『真理』に尋ねないとダメなんていうのは言い換えれば『手遅れ』なの。末期症状の致命患者と一緒。そこに至らない全ての人にとっては『他人事』だし、想像は出来たって『体験』はできない……誰もがね」

それは救う側も救われる側も同じこと。
相互理解は出来ない。
当たり前の大前提。
それこそ……こんなドン詰まりじゃなくても同じこと。
日常でも同じこと。
だから、何もかも今更。
何もかも「それでいい」こと。
「死の可能性」が挟まるから話が少し拗れるだけ。

「アナタはしようと思わなかった。私達はしようとおもった。それだけのことよ」

トゥルーバイツ構成員 >  
 
「あと私、日付が変わる5分前くらいには『接続』できるみたいだから、よろしくね」
 
 

羽月 柊 >  
「君は楽しそうだな。」

まぁ実際今の柊は滑稽かもしれないが。
土壇場に走り出した三十路男なのだから。

時間は過ぎる。もう、本当に時は残されていないのだ。

「ああ、『体験』は出来ない。似たような喪失を経ても、誰一人として同じ考えには至らない。
 双子とて同じ環境で育っても、全く同じにはならん。」

己が抱える喪失を、そうして相手に当てはめたって、
実際に自分と相手が同じになれる訳じゃあない。

「だが、そうして君達を誰も彼もが放り出したか?」

刻限を聞いて眼を細める。

「……君が誰であろうと、そうして関わってくれたモノを、
 今度は君らが、"新たなトゥルーバイツを創り出すかもしれない"、それでも『真理』を選ぶか。」

たった一つ拾い上げた命は、正にそうだった。

トゥルーバイツ構成員 > 「それでも『選ぶ』わ」

女は当たり前のように笑った。
当然のように笑った。

「放り出されたとかそういうの……関係なくない?」

小首を傾げながら。

「『願い』の成就とそれ……何か関係ある?」

女は笑う。

「『それが私達と何か関係があるのかしら?』」

女は……笑う。

「少なくとも、此処で『一度も名乗ってない誰か』である私と……何か関係ある?」

静かに……笑う。

「シュウ先生、良い事教えてあげるわ」

クスクスと、笑う。

「『やると決めた相手を理屈で止められるのは、相手に利益が提示出来る時だけ』よ」

小さく、笑う。

「それが出来ないなら……ワガママを言うしかないの。頭を下げるしかないの。どうか自分をたてて此処は一つこちらの言い分を聞いていただけませんかっていうしかないの……それをしないなら、何をしたって取引は成立しない。『差し出せるものがない』ときに『相手に差し出せるもの』なんて……誠意しかないんだから」

薄く……笑う。

「偉そうに上から目線で何か言ってる間は、必死の相手には言葉なんて届かないわよ? それこそ、誰にもね」

そう、誰にも。
音が聞こえるかどうかなど、関係ない。

トゥルーバイツ構成員 >  
  
「あと10分ね……ふふ、時間はいつだって……限られている」
 
 

羽月 柊 >  
「………なるほど、全くだ。
 俺の言葉が届いた唯一の相手も、結局は、そうだったな。」

そうだ、『トゥルーバイツ』を止めようと、軽い前後不覚にすらなって。
何もかも必死になって、自分の命すら放り出しかねないくらいの事をして、、
全くもって自分らしくない行動すら取って拾い上げた命だった。

自分が共に歩むと、全く同じ『願い』を持った青年にそう誓ったのだ。

「人間が抱えられるモノは限られている。
 全く歳を取ると保守的になって敵わん……幌川ほどじゃあないと思いたいが。

 ――なぁ、『トゥルーバイツ』。それでも。」

もう時間は無い。
 

羽月 柊 >  


         物語
   「――君達の人生を、……君を、俺たちは…忘れはしないよ。」




 

トゥルーバイツ構成員 >  
 
「ふふ、それで十分よ」
 
 

トゥルーバイツ構成員 > 女は身を翻す。
『デバイス』は此処にはないようだ。
どこかに隠していたのだろう。

邪魔など、万一入らない場所に。

そう、『誰でも入れるような場所』『誰でも発言も監視も出来るような場所』『誰でも声を掛けられるような場所』でやるわけがない。

『本気でやるなら、目に付く可能性のある場所』でなど行わない。

それが、答え。
全ての、答え。

トゥルーバイツ構成員 >  
 
「目で見えるうちはまだ関われるわ。時間はいつでも有限。頑張ってね。それでは」
 
 

トゥルーバイツ構成員 >  
 
「――良い『役割』(ロール)を」
 
 

ご案内:「元トゥルーサイト部室跡地」からトゥルーバイツ構成員さんが去りました。<補足:常世学園制服。軽いウェーブのセミロング。首輪のようなチョーカーをつけている。左腕に腕章。腕章のエンブレムは林檎に噛み付いて絡みつく蛇。>
羽月 柊 >   
 
「……あぁ、エンディングまで居てやるとも。」

また取りこぼしたのかもしれない。
あの『トゥルーバイツ』は、どこかで止まったのかもしれない。

後悔を抱えて、また歩き出さなければいけない。
それでも、走り出したこと自体に、後悔なんてしていない。




――舞台は続くのだ、これまでも、これからも。

指をパチンと鳴らす。それでもここは一先ず幕引き。
  
 

羽月 柊 >  

 
 


  さぁ、今度は君が、舞台に立つ番だ。






 

ご案内:「元トゥルーサイト部室跡地」から羽月 柊さんが去りました。<補足:【はづき しゅう】深紫の長髪に桃眼の男/31歳179cm。右片耳に金のピアスと手に様々な装飾品。黒のスーツ。小さな白い竜を2匹連れている。>