ご案内:「浜辺」に
日月 輝さんが現れました。<補足:身長155cm/フリルとリボンにまみれた洋装/目隠しを着けている>
日月 輝 >
釣り大会。
釣り大会とは釣りの大会のこと。
誰に聞いたってそう答えるでしょうし、あたしだって勿論そう答える。
学園島である常世島の夏休み。当然彼処でイベントが巻き起こされるのだからこれに参加しない手は無い。
「──やるわよあたし。ヴィヴィッドな魚拓を手に入れて一層華やかな可愛いを手にする時よ」
100点満点の夏空の下、片手に貸出用の釣り竿と仕掛け、片手に優美なパゴダ傘を携えて颯爽と現る。
獲物を収めるクーラーボックスであるとか、魚拓作成用の紙やら墨は係員に抜かりなく預けてある。
大会であるのなら記録をつける人も居る筈で、調理含め様々なサービスはあることは把握済み。
「後は魚を釣るだけ……そういうことよ」
日傘スタンド付きのアウトドアチェア(これも借りた)に傘を差す。
悠然と座り、海に目掛け糸先を放る。後は多分、きっと、いい感じになる筈。
日月 輝 >
釣りとは待つものである。何てことは事前に調べて知っている。
優雅で何処となくオシャンティな感じで構えていれば良い。
「慌てる乞食は貰いが少ないって言うものね。ま、のんびりと構えておきましょう」
直射日光は日傘で防ぎ、暑さは耐熱護符で防ぎ、照り返しからなる日焼け被害は入念な日焼け止めで防ぐ。
油断をするとアイマスクの所為もあって危うくパンダ顔の危機だもの。
パンダは可愛いけれど、あたしの求める可愛いのジャンルじゃあない。可愛いにも種類がある。
今、あたしの求める可愛いはこの海の中。
判定:完全初心者。 [1d6→6=6]
日月 輝 >
防波堤まで来ると蝉の声は聞こえない。
潮騒の音に時折……何かしら、鳥の声が聴こえるくらい。
彼処に居る釣り大会の参加者の声がそれらに混じり、中々どうして賑やかしい。
『なんだあの恰好』とかちょっと聴こえたけれど、今は忘れて差し上げましょう。
月の無い夜に気を付けろ。
「おっといけない。あたしとしたことが。ほほほほほ」
生物は殺気に敏感とか聞いたことがある。
いけないいけない。水面下を怯えさせてはいけない。
しかし、この海。一体何が釣れるのかしら?
まだ見ぬ可愛いに想いを馳せる。
「はっ!?」
すると、呼応するように竿が揺れた。引いている。
日月 輝 >
竿を掴む。教えられたようにリールを巻く。
しかしかかった何かの力は可愛いかは程遠い。
「ふっふっふやるわね貴方。あたしを海に引きずり込もうと言う訳ね──!」
否、可愛いのだ。
可愛いあたしと可愛い獲物。釣竿を介し今正に決戦の火蓋が切って落とされた!
「ヌゥゥゥゥゥゥゥ……!!!」
アウトドアチェアから立ち上がる。
異能の力を行使し"体重をかける"。
動かざること山の如しの盤石の姿勢、両腕で抱え込むようにして竿を保持して一歩も譲らない。
しかし相手も中々の猛者。
状況は膠着状態となり、何だか変なオブジェのような姿勢で真夏の直射日光を受ける。
眩い。
ご案内:「浜辺」に
マルレーネさんが現れました。<補足:165cm/金髪碧眼赤ビキニ/白パーカー>
マルレーネ >
明るい笑顔と麦わら帽子。
白く艶やかな素肌と女性らしい身体のライン。
赤いビキニと白パーカー。
異邦人シスターは自分の釣ったものを納めて見学モード。
出店でアイスを買って食べ終わったところで、おや、と。
「………え、えーっと。」
「可愛らしい釣りのフォームですね?」
彼女がやっているのだから、きっとこれが彼女流の可愛いなのだろう。
どう見てもパワー型のように感じるが。
こんにちはー、と声をかけながらゆっるい言葉をまき散らすシスターがやってきた。
日月 輝 >
「 い い 加 減 に 釣 ら れ な さ い よ … … !」
周囲の大会参加者から声援がかかる。
注目を浴びている以上無様な姿は見せられない。
『危ないから竿を離せ』と言われても応じるわけにはいかない。
あたしに釣りはわからぬが一つ判ることは、素晴らしい魚拓が出来るだろうという事だけよ。
日月 輝 >
「あ"ぁ!?」
日月 輝 >
恐ろしき頑強さを誇る貸出用の釣竿と糸に心裡で敬意を表し、
懸命の戦いを繰り広げる乙女に声をかけるのは誰じゃあ!
──と、勢い込んで顔を向けると、其処にいるのは顔見知り。
風体が違えど見間違える筈も無い友人の姿があったわ。
「あ、あらマリーじゃないの。そーお?可愛い?そうね、そうかな……でも貴方も素敵な格好よ」
「ええ、他ならぬこのあたしが選んだのだから……じゃなくて」
健康的で夏の良く似合うマリーの恰好は素晴らしいものだけど生憎ちょっと間が悪い。
有体に言うと腕がしびれて来た。
「ちょっと手伝ってくださらない?中々のヤンチャさんが釣れてしまったみたいで……」
他人ならともあれ知り合いなら話は早い。ちょっと手伝って?と首を傾げる余裕も無くお願いするの。
マルレーネ >
「………ぇっ」
思わずビクッとした。なんかすごく殺気を感じて、一瞬身構えてしまいつつ。
………腕をぷるぷるさせている輝さんからは余裕が感じられない。
ああ、なるほど、と手を打ち合わせれば、にっこり笑顔で。
「もちろんです。そうですよね、輝さんの能力は"引き上げる"にはちょっと生かしにくいですものね。」
よいしょ、っと後ろに重なるように立ちながら小さい声で囁いて。
腕を重ねるようにしながらこちらも竿をがっちり抑え込む。
背後にくっつくように立つから、後頭部にぱふん、っと押し付けてしまうけれども、それはそれ。緊急事態だから仕方ないこと。
「……じゃあ、リールを巻きますよ。」
よい、っせ! と声をあげながら巻けば、少しずつ、少しずつ巻き取られる。
日月 輝 >
常世島、真夏の可愛い大決戦。日月輝VS水面に潜む何か
膠着状態に陥った乙女の戦いに新たなる可愛いが参戦する。
「そうなのよ……よく解ってるじゃない……!」
後ろに回るマリーの言葉通りにあたしの異能は剛力無双を得るものじゃあない。
でも、仮にそうだったら海に引きずり込まれる方が先だったのだから、ifの話は一先ず忘れる。
後頭部に当る癪な柔らかさも、今は存分にクッションとして利用すべく全身を凭れるのみ。
「抑えてるから手早くね!きっと凄いのが釣れるから!」
意外にもマリーのリール巻は手慣れているような所作に見える。
そういえば水着も慣れた着こなしに見えるし、案外夏をエンジョイしているのかしら?と
友人の夏休み模様を勝手に予想する。
そうしている間にもリールは回り水面が揺れる。飛沫に濡れて意識を海へと巻き戻す。
「うっわ今の見た!?なんか凄かったんだけど!」
あたしの声に周囲の人達も同意してくれた。
手慣れているらしき風体の人が大きな網を用意して親指を立てている。
「マリー!引くタイミングを合わせて頂戴。行くわよ、せーの……!」
後ろに倒れんばかりに精一杯の力を込める。
タイミングがあえば、きっと。
マルレーネ >
「よい、っしょ! わかりました!!」
がっちりと掴みながら精神集中。
ここのリールや糸の強さは折り紙付きだ。不安を覚えずに、全力で引けばいい。
パワーだけならば自信がちょっとだけある。あ、もちろん同年齢女子と比較してですよ。
「………んぐ、っ……これは、重………っ!!」
こっちも腰を落としてぐぐぐぐ、っと体重をかけながら、リールを回す。
「了解、しましたっ! せーの……っ!!」
輝さんの掛け声に合わせて、思いっきり後ろに倒れる。
もしも背中やお尻を打ってもそれはそれ、覚悟の決まったムーブで一気に引けば、水しぶきが激しくあがって。
日月 輝 >
「だらっしゃあ!!」
空転する視界と水飛沫。転がるような無様の果てに、二人の分の可愛いパワーを以てして獲物を引き寄せる。
こうして首尾良く引き寄せられて、掬い網に引き上げられたのは、惚れ惚れするくらいに見事な鯛だった。
但し、その鱗は七色である。
「………………………」
いや、鯛?鯛なのかしら?鯛にしては大きい気がする。
手慣れた風のおじさんがメジャーで計っているけれど70cmを超えているのが見える。
そして驚いた声で拍手をしてくれている。そうなると、まあいいかな?とも思えちゃう。
何より陽光を受けて七色に煌めく鱗は美しい。
「ふ、ふふ……ふふふ!」
日月 輝 >
「獲ったわーッッ!!!」
日月 輝 >
マリーを押し倒すような姿勢から起き上がり、防波堤にて快哉を叫ぶ。
それから彼女に手伸ばして立ち上がらせるようにして
「記念撮影しましょうよ記念撮影!あれ、魚拓にもするんだけど自慢しなきゃ!」
可愛い可愛い協力者さんに提案をお送りするわ!
マルレーネ >
「あ、じゃあ撮影しますね?」
よいしょ、っとその手を取って立ち上がりながら拍手拍手。
「私、全然釣れなかったんですよ。 これは……おっきいですね。
輝さん、そういう才能もあるんじゃないですか?」
はい、じゃあまず記念撮影を、といったところで、ぐいぐいと押されて輝の隣へ。
え、ええと、一緒に写っていいものなんでしょうか。
あはは、と確認を取りながらも………それならば、と輝さん一人で抱えられないレベルなのだから、隣で持ってあげて、にっこり笑顔。
「………これならいい順位までいけるんじゃないですか……?」
撮影が終われば、ふわー、重い……! と驚いたまま、鯛を二人で抱えて。
日月 輝 >
「あら、そうだったの?ふふん、そりゃあこのあたしですもの。釣りくらい──」
「……いやまあ、今日が初めてだったんだけど。才能ある?本当ぉ?」
煽てられて自分でも驚くくらいの猫撫で声。可愛らしく首だって傾げてみせるけれど、
写真撮影すべく鯛を抱えんとしているのだから、あんまり可愛くはないかもしれない。
腕とか生まれたての小鹿のように震えている。
でもそれも、マリーが隣に訪って、二人で鯛を抱えるようにするなら話は別。
フリルとリボンだらけのお洋服が、鯛を抱えて濡れ捲っても今はどうだっていいことだわ。
かくしてにっこり笑って記念撮影と相成って。
「そうね、これなら優勝も狙えるかも!いや~マリーが居なかったら釣れなかったでしょうね」
「助かっちゃったわ、ありがとう。貴方って間が悪い時も良い時も来るのね」
それからは鯛を抱えてどうしたものか。と言った所で係の人がやってきて、
一先ず渡して事無きを得る。持参したクーラーボックスに入る事を祈りましょう。
「ほら、初めてあった時とか。あの時は……ある意味獲物は逃しちゃったのかも。なんてね?」
倒れたアウトドアチェアを起こし、座り直して何時ぞやの話をする。
鮮やかな夏空とは正反対の薄暗い所の話。
マルレーネ >
「………だって私、30分以上じーっと粘って、やーっと掌くらいですよ?」
褒められてまんざらでもない表情を浮かべる輝を微笑みながら見つめて。
一緒になって笑顔で写真に納まる。
「輝さんなら大丈夫、と言いたいところですけど、あれだと私もちょっと厳しいかもですね。
えー、どっちも間が良かったように思うんですけどー。」
相手の言葉を受けて、以前を思い出してちょっとだけウィンク。
係の人が持って行くのを眺めながら………
「あ、次は何を狙うんです?
鯛の次ですから、マグロとかですか?」
いつの間にか釣りのプロみたいな扱いになっている。
まだ続けるんです? と言外に尋ねながら。
日月 輝 >
「釣りって待つのが肝要って言うじゃない?」
「焦ったらダメダメ。急がば回れって言葉もこの世界にはあるのだから」
その実完全なビギナーズラックなのだけど、どうであれ結果は出ているのだから偉そうにする。
以下、比較的どうでもいい釣りトーク──とはならない。
「そーお?……まあ、でもそうかなあ……あの時貴方が来なかったら……ま、いっか」
釣りトークもifの話はやめておきましょう。
あたしは肩を竦め、ハンドバッグからペットボトルのお茶を取り出して一口。
それから嘆息するように息を吐く。
「今はそうね、釣りの続きと……ってマグロが釣れるわけないでしょ」
「それともマリーの世界では釣れたりするの?」
シスター・マルレーネは異邦人。
そうであるなら彼女の世界の釣りはそういうものだったのかしら?と思うのも無理からぬことよね。
あたしは釣針を海に放りながら問いを放るようにした。
マルレーネ >
「もしかして、まだ荒っぽいことをしてたりするんじゃないですか…?」
なんて、隣に丁度良くしゃがみ込んで、頬っぺたをぷにぷにと突いてみせよう。
「ああ、………いえ、そんなに変わらないですよ。
大きな海ではなく、川の方が多いから、もっと小さな魚が多いかな。
ただ、釣れる場所だと落とした瞬間に食いつかれるので、楽は楽でしたっけ。」
過去の話になれば、んー、っと指で自分の頬に触れながら、思い出すように。
特に過去の話を嫌がるそぶりは全く見せない。
「………待つのが大事って言うじゃないですかー。
釣れなかったら本日は食事なし、とかもあるんで、そりゃあ我慢もしますよ。」
フフフ……と遠い目をしてみたり。
「……あ、一番大きいのはあれです。 建物くらいあるイカが釣り針にかかって襲ってきたことありますよ。
あの時は船が真っ二つにされたんで、流石に死ぬかと思ったんですけど。」
スペクタクルな冒険譚を語ってみたり。
日月 輝 >
先程までのバトルが嘘であるかのように針の落ちる水面は穏やかだ。
声援を送ってくれていた見物人達も各々の勝負に立ち返り、平穏が戻ったと言えるわね。
「ん~?何よお、そんな事無いったら」
「異邦人街で探偵(?)さんと捕り物をしたり、常渋(常世渋谷)で探偵さんと悪魔憑きを退治したり……」
「ああ、夢みたいな森の中で怪物と戦ったりとかはしたかしら」
他にも色々あったけれど自分からは手を出していない。
頬をつつかれる度に言葉の抑揚を乱しながらマリーに答え、それが済んだら彼女の話を聞く。
思い出すような素振りを、アイマスクの内側の視線が視る。
語られるのは長閑そうな川釣り。娯楽としてではなく、生活としての釣り。
そして、大冒険な釣り。
「……切羽詰まってる感じね……」
遠い目をして思い出の冒険譚を語るマリーに気落ちした様子は無い。
一目を惹く鮮やかな容貌は、恰もこの世界に馴染んでいるように視得た。
「そのイカがどうなったのか気になるけれど……ねえマリー」
今度は此方がその頬を指でつついてやりながらに問う。
「貴方からするとさ、こっちの世界ってどう?」
釣りは娯楽で治安も変な所に行かなければ……それなりに良い。
数多に雑多に満ちた島は、あたしの目からみても大層魅力的で煌びやかに映る。
「楽しい?」
マルレーネ >
「探偵って……何する人でしたっけ。
偵察? こっちだと密偵とかって必要なさそうですよね。
……夢みたいな森の中。 うー、ん……まあ、無事ならばいいんですけど。」
どんな場所かは彼女は未経験だから、首をひねって、捻るだけ。
三円まで達しなかった女。
「そりゃもう、切羽詰まってますよ。
目の前で船がべきべきべきーって折られるんですよ?
いやまあ、他に船があったんで助けてもらいましたけど。」
あれはもう二度といいかな、なんてうんざりした表情を浮かべて………
そんなところで、ぷにり、と頬を突かれる。」
「……はい? ……こっちの世界、ですか?」
「はい、楽しいですよ。」
特に迷う様子はない。 にっこりと微笑んで相手の言葉に返して。
日月 輝 >
「探偵はほら、あれよ。依頼を受けて貴方の困りごとを解決しますーって生業の人」
「何でも屋……に近いのかしら。猫を探したりもするし、浮気調査もするし……」
「ただ、あたしが常渋で会った人はちょっと変わってたけど」
夢を媒介にし事件を解決する不思議の人。
彼が大漁の夢を見たら翌日に釣りをするのかしら?と思うと少し面白くて口元が緩む。
「夢みたいな森の中はお化け屋敷みたいな感じ。ああ大丈夫。あたし強いから」
探偵や森の話を軽口交えてお伝えし、マリーの軽くない話を聞く。
脳裏に浮かぶのは嵐の夜。大暴れする巨大イカの光景だ。
映画宛らの大迫力シーン。助けに来た船の一斉砲撃で倒されるイカ。
少なくとも当事者にはなりたくない。流石のあたしでもそんなイカには勝てない。
「それこそマリーが無事で何よりだわ。今が楽しいなら、それも何より」
微笑むマリーからはそんな修羅場を潜って来たようには視得ない。
でも、あたしは知っている。彼女がビーチフラッグ勝負で結構な大立ち回りを演じた事を。
「なんでもビーチフラッグとか随分エンジョイしているらしいじゃない?」
「赤い水着を着た金髪美女が──なんてSNSでちょっと話題になってたし」
ほら、とハンドバッグから携帯端末を取り出して画面を立ち上げる。
そこには誰かが撮影した、躍動感溢れるマリーの姿。
「水着を選んであげた甲斐があったわあ。折角こうしてこの島に来たんだもの」
「楽しまないとね。浴衣はもう着てみた?まだなら今度夏祭りに行きましょうよ」
水面に揺れる糸は揺れずのまま。
あたしは友人を釣らんと言葉を放る。
マルレーネ > 「………ああー、そういう。 なんか一気に親近感が。」
遠い目をした。なんか覚えがあるわそれ。
どこそこで何かを探してほしい、の、町の中でやるパターンですね。
「そう、ですね。 強いのは分かってますけど。
夢の中で能力がはっきり使えてよかったですね?」
首を傾げながら、思うことを口にする。
そういえば夢の中である。 思い通りに能力が使えたことも、ある意味不思議と言える。
「あ、そうなんです?
いえ、絶対勝ちたいなと思って、ついつい。
あはは……大げさに書かれてるだけですよ。 ちょっと飛びついたり蹴ったりしただけです。」
ビーチフラッグと言うには物騒な単語を持ち出しながら、美人、なんて言われて頬を赤くして照れる。えへへ。
「浴衣は……まだですね。 友達に改めて着方も聞いたので、準備はバッチリです。
夏祭りですか、行きましょうか。 いつ頃なら大丈夫です?」
あっさり食いつくシスター。
こちらの世界の文化に思いを馳せながら、逡巡も何もない。
日月 輝 > 「そう?探偵に向いてるんじゃないかーって言われちゃったんだけど」
親近感、余計に感じてくれるかしら?と意地の悪い魔女のように口元を歪める。
夢の中で能力を、と問う声にも同じ。でも
「……ああ、いえ。夢の中のようで夢じゃなかったというか……とにかく無事だったから、それでいいのよ」
あれは夢じゃない。西塔繁という生徒の学生証は確かに手にあって、墓地に収めた。
彼がどういう状態で、どういうことになったか。
それをこの穏やかな友人に語るのは気が引けて口を濁す。
濁した直後に穏やかならざる言葉が聴こえた。
「……マリーってもしかして結構ワイルド?そういえば初対面の時も、異能は無いと言ってたけど……」
格闘の心得が無いとは言っていない。
見目不相応に稚気を感じさせる様子からは、そうとは思えないけれど、彼女の口から否定は出なかった。
──路地裏でシスターにノックダウンされる自分の姿を想起して、頭を振る。
ツインテールが潮風に揺れた。
「む、ちゃあんと準備出来ているじゃない。バッチリなら良かった。あたしの方は暇だし、何時でも結構よ」
考えないでおこう。そういうことにして意識を夏祭りへと向ける。
マルレーネ > 「私は………輝さんはもっと目立つ仕事の方がいいんじゃないかと思いますけど。」
性格的に、とは言わなかった。
考えていることが間違っていなければ、どぶ攫いまで当然のようにやる仕事のはずだ。
「そうですね、無事ならばそれが一番です。」
「………ああ、そういえば言ってませんでしたっけ。
元々、生きるか死ぬかみたいな世界だったので。 一人で歩いていたらすぐにナイフをちらつかされるみたいな。
そこでまあ、それなりに長く旅をしていたんですから、それなりにですけどね。
お嬢様、みたいなものとは真逆ですよ。
それこそ数年前まで、文字もかけないくらいだったんですから。」
ワイルドに関しては間違いない、と頷きながらも、今はそんな風には見えないかもしれない。
麦わら帽子を押さえて、のんびり空と海を見つめる。
「あ、そうです? じゃあこの後、夜にでも行ってみますか?」
思い立ったら即行動。
日月 輝 > 「あたしがやるからにはなんだって素敵で綺麗で可愛いのよ」
「あたしは輝。日月輝。輝ける日と月であるのだから、ね?」
優雅に示して澄まし顔。得意気に鼻だって笑おうものなのに
マリーが何でもない事のように語る話に言葉が詰まる。
「……そうしましょっか。ええ。こっちの世界は楽しい事が一杯だもの」
「夏休み、きっと素敵な思い出になるわ。今日みたいに」
水面に垂れる糸は動かない。
でもいいの。あれだけの大物を釣り上げたのだから、きっと良い思い出になる。
これからの夜もそう。生きるか死ぬかの世界は遠い話。
『預かった魚、色々やっておきましたよー!』
そうこうしていると係の人が朗らかな顔で声をかけてきた。
さっき魚を任せた人で、ああ魚拓の準備とか色々してくれたのねと得心し立ち上がる。
リールを巻いて竿を片付け、彼の差し出すクーラーボックスを受け取る。
……ん?なんでクーラーボックス?
『捌いておいたので後は切り分けるだけで食べられます!』
親指を立ててこれ以上は無い程の笑顔を見せる係員の彼。
クーラーボックスを開けると、なんということでしょう。
プロ宛らに捌かれた美味しそうな白身がごきげんよう。
「………………………」
ヴィヴィッドな魚拓を飾る計画が音を立てて崩れて行く。
多分、些細な手違いが招いたこと。誰が悪いわけでも無い話。
「ねえマリー。貴方ってお魚は好き?」
だから、自分でも思った以上に悪くないなって思えて、友人に好みを訊ねる。
「こんなに沢山はあたし食べきれないわ」
呆れたように笑いながら。
マルレーネ > 「お魚ですか? もちろん好きですよ。」
相手の言葉に少しだけ微笑んで、わー、っと目を輝かせてクーラーボックスを肩越しに眺め。
その笑顔を受けて、その手を握る。
「"今日みたいに素敵な思い出"って、まだまだ今日は終わらないですよ。
お魚、せっかくですからどっちかの家で料理とかどうです?」
提案しながら、その手を引く。
「それが終わったら、夏祭りも行ってみたいですし。」
「いつか渋谷って場所にも行ってみたいですしね。」
その腕を引きながら、ウィンク一つ。
「素敵な思い出にしてくれるんですよね?」
にひ、と振り向いて笑いかけ。
ご案内:「浜辺」から日月 輝さんが去りました。<補足:身長155cm/フリルとリボンにまみれた洋装/目隠しを着けている>
ご案内:「浜辺」からマルレーネさんが去りました。<補足:165cm/金髪碧眼赤ビキニ/白パーカー>