2020/07/14 のログ
ご案内:「通学路」に高坂 綾さんが現れました。<補足:制服/ローファー/赤いリボン(乱入歓迎)>
高坂 綾 >
いっけなーい、遅刻遅刻!
焼いただけのパンを咥えながら朝の通学路を走る。
今日は先生が転校してきたばかりの私に!
校内を案内してくれるって話だから絶対遅刻できないのに!
うん。
間に合わないね!!
立ち止まってパンをもぐもぐ食べ始める。
はっきり言おう。道がわかりづらい。
遅刻寸前だからかな? あまり学生も通らない。
多分、今の時間帯はバスか鉄道で常世学園に行ってるに違いない。
バスとか電車の乗り方がわからない。
詰んでない?
パンは美味しい。
高坂 綾 >
立ち止まってパンを食べながら考える。
異能を全開にして屋根を走って直線ダッシュすれば間に合うかな?
でも街中で異能って使っちゃダメなんじゃなかったっけ……
今から交通機関ってか直通を探すして鉄道委員会の人に乗り方を教わろうか?
急いでいるのでって言ったら急いで教えてくれるかな?
タクシー。論外。そんなお金に余裕がない。
高坂 綾 >
土地勘がないのって大変だなぁ。
どこまで行ったら目的の場所に辿り着くのかわかんないし。
そうだ、携帯デバイス!!
文明の利器を使える私ってば現代派忍者!!
『常世学園 行き方 できるだけ早く』 検索
ええと……航路、空路、魔術路の三つがあり。
魔術ポータルで直通が一番早い……?
これ、常世島に来る方法じゃん! てへ!!
死にたい。
高坂 綾 >
『常世学園 陸路 できるだけ早く』 検索
常世学園は島にあるため、陸路では到達できません。
知ってる!! そんな雨が降ったら水溜りができるよみたいなこと!!
わざわざ教えてくれるガッツは買う!!
『常世学園 交通機関 情報』 検索
ずらりと並ぶ種々様々な情報。
かつ、どこが起点なのかわからない。
急いでるのに!!
『常世学園 できるだけ早く』 検索
転校制度で転入試験さえ受ければあなたも最短で数ヶ月以内に常世学園に…?
あ、うん!! 私そのルートできた!!
『お前を消す方法』 検索
ご案内:「通学路」にオダ・エルネストさんが現れました。<補足:黒髪緑色の瞳/日本人離れした容姿/学生服の中も透けて見えるクソダサTシャツの青年/自転車に乗ってる>
オダ・エルネスト >
私の名前、オダ・エルネスト!
つい『先日』この学園に転入してきた米国出身のエージェ……学生だ!
今、学園に向かって自転車をこいでいるところだ。
このままでは授業に遅刻してしまう。
折角、自転車を先日のバイト代で買ったというのに道がわからなければ意味がない。
偶然、足を止めた時に学園の制服を着た少女が携帯端末を弄っているのを見かける。
これは天命かと青年は声あげる。
「こんにちわ、お嬢さん。
これから登校かな?」
これで遅刻せずに済みそうだと安堵の笑みを浮かべながら話しかけるだろう。
高坂 綾 >
「え?」
パンをごくんと嚥下して声がした方向に振り返る。
そこには夏物の制服の下にあり得ないくらいダサいTシャツが透けて見える背の高い男性がいた。
翠眼。黒髪。あり得ないくらいダサいTシャツ。そして…自転車。
「はい、これから登校なんですが…」
「転校したばかりで道がわからなくて困っています」
前髪をいじりながらそう答えた。
あとやっぱあり得ないくらいダサいTシャツが気になる!!
とっても!!
オダ・エルネスト >
ガッデム!
神は常に私に試練を与え続けるのか……。
「ほう、なるほど君もこれから登校か……
道がわからなくてか……なるほど」
何がなるほどなのか。
しかし、同じく迷子か。それでこれほどの視線を向けられているのか。
米国人はチャレンジャーで常に在れ、と数々のドリーマーが言っていた。
「私の名前はオダ。 オダ・エルネスト!
この学園までの道……いや、島全体の道を走破する男だ!
……一人より二人、乗ってくかい?」
何が一人より二人かなんて野暮な事は言わない。
高坂 綾 >
「なるほど………?」
何がなるほどなのか。
でも助けてくれるなら非常にありがたい。
相手はオダ・エルネストと名乗った。
なるほど、外国仕込みのダサT殺法なのだなぁ。
「ありがとうございます、私は高坂です、高坂綾」
「島全体の道を走破するのはまたの機会にしてもらいたいけど乗せてください!」
もうまごついている時間はない。
早速彼の後ろで二人乗り。
「オダさん、肩に手を置いてもいいですか?」
そうしないと色々安定しない。
二つの緩衝材がぶつかったら相手に悪い。
オダ・エルネスト >
挑戦するからには、全力だ。
それにこの相手から伝わってくる感謝と何か納得されたかのような空気!
「任せたまえアヤ!手を離すんじゃあないぞ!
道など、大きな通りを中央に向かって走っていれば辿り着けるはずだ!!」
貴重な時間はこうして悩んでる間にも失われていくのだ。
ペダルを回せ、
回転数《ケイデンス》は180を超えろ!
肩がしっかり掴まれればオダは走り出してしまうだろう。
高坂 綾 >
よかった、これで間に合う。
肩に手を置いて走り出せば、自転車の速度なら間に合…今なんて?
道わかってなくない? この人も迷子じゃない?
「オダさんひょっとして道わかってな───」
その言葉は後方に取り残された。
速ッ!! あんまりにも速い!!
ダサTペダルが始まってしまった。
ど、どうしよう!! これって道交法とか大丈夫かなぁ!?
「あああああッ! 左は一方通行逆走!! 右! 右ぃ!!」
道をわかってないけど行っちゃいけないところは絶対拒んだ。
オダ・エルネスト >
今、本来自分の実力では出せない回転数《ケイデンス》が「挑み続ける人の理《ライド・オーバー・エマーソン》」の自動効果で発動しているのが分かる。
一瞬、不安そうな彼女の声が聞こえた気がした。
心配しなくてもいい。
「―――分かっている!
最初にゴールテープを切るのは我々だ!」
何 も 分 か っ て い な い。
ただ、妖怪的な体力が発揮されている以上疲労で足を止めることはない。
この超特急は動き始めたばかりだ。
「アヤ、標識なんかの案内は任せるぞ!
これは我々の生存を賭した戦いだ!」
あの道を左に行けば校舎の見える方へ行けた記憶があったが、通れないのか?!
仕方ない!!!
高坂 綾 >
「何もわかってないよね!? ああああッ死ぬ死ぬ人が死ぬ轢かれて死ぬ私も死ぬ」
お父様!! お母様!! 綾はただいま加速しております!!
できれば早めに弁護士を呼んでください!!
二審がなかったらごめんなさい!!
混乱しながらデッドサイクリングの上で必死に指示を出す。
「せめて車道のこう、車道の!! 車道を!! 車道して!!」
圧倒的速度の二人乗りに景色が流れる。
転んだりぶつかったら助からないという確信。
景色だけじゃなく、走馬灯が流れた。
「右は高速道路だってヴぁ!! そこはまっすぐぅぅぅぅ!!!」
生きた心地/Zero。
オダ・エルネスト >
「遅刻して死ぬのは我々の誇りだ。
人は死な、ないだろう!」
おっと、危ない!!!!!学生とぶつかりそうになった。
しかしブレーキはこの速度ではただ磨り減るだけの消耗品だ回避するには彼女の言葉に従い、慣性ドリフトで……
―――耐えてくれ、私の自転車!
―――お前に生命があるなら、応えろ!!
磨り減るタイヤ、ノンブレーキ、回すことやめない足。
地面から焦げる臭い、落ちない速度、ペダルが地面にぶつかる衝撃。
「これがロードレース……!」
車に迫る速度、これは事故ればヤバい!!!
高坂 綾 >
「遅刻して死ぬ誇りなら捨ててしまえ!?」
「今死にそうになったッ!! 殺しそうになーったー!!」
ギャア。あと0コンマ何秒かドリフトが遅かったら人が色々ぶち撒けてた。
私達はそういう世界にいる。
速度Free。それは最高速の中で進化した通学。
「道路レースだよ!? しかも公道!!」
そんなこんな言っていたら……目の前を長いトラックが横切っていく。
あ、ダメだこれ。
走馬灯が蒼魔刀ってくらい禍々しく色濃く見えた。
死─────
「んでたまるかああああああああぁぁぁ!!」
咄嗟に足元の影を操作して斜面を作る。
それはちょうどジャンプ台のようで。
そこに凄まじい速度で突っ込んだ自転車は。
空に舞う。
「あはははは!! 見えた!! 今!! 常世学園の校舎見えちゃった!!」
壊れてしまったのは私の心。着地どうしよ。ジャンプしすぎて影うっすい。
オダ・エルネスト >
「違うッ!」
「死ななければ安い!殺さなければ言い逃れる!!
弁護士が我々を救うッッッ!!!」
かつてこの世には悪魔のLと呼ばれる車が居た。
ミッドナイトブルーに塗られた禍々しいボディと、狂おしく身を捩るような気味の悪い走りから、
そのクルマはいつしか走り屋の間で「悪魔のL」と恐れられた。
俺の自転車は悪魔のLには成れないのか……!
目の前に長いトラックが横切った時に考えたのはそんな伝説のこと。
しかし、少女の祈りが奇跡を起こした―――
「……女神か《GODDESS》」
地面が盛り上がったような錯覚を覚えた。
気がつけば空だ。
続くアヤの声に反応する―――校舎が見えたと。
「飛ぶぞ―――"風に乗りて来たりて"!」
生きることを諦めるな、そういう奇跡が起こしたこの状況に
挑まなくて何が米国人だ!!
空中で崩れそうになるバランスを魔術の行使により補助し制御する。
しかし、下手な減速は我々は死ななくとも着地の際に自転車(コイツ)の死は逃れられない!
なら、ペダルを回し続けるしかない!
勢いを全て前方へ―――!
高坂 綾 >
「巣食われてるのはアンタの脳味噌だッ!!!」
それにしても速いなぁ。
速いなぁ。
お母様……起こして………この悪夢から…………早く…
「女神じゃなくてニンジャだよ!?」
「飛ぶって……と、飛んだー!!?」
ネバーエンディングヘル。地獄は終わらない。
空をそのまま前方に直進し始める自転車。
まるで映画みたいだね。ET。
どうでもいいけどあの映画の宇宙人って気持ち悪いよね。
こんなことを考える私の自転車だけ飛ばないと思う。
飛んでほしくなかった。
「ああああああああああああああぁぁぁ!!」
今日の占い見ておけばよかった。絶対射手座が最下位だから。
オダ・エルネスト >
救われてる…私の? 脳…?よく聞こえなかったが。
「ああ!
学生だからな!脳を鍛え救われている!!
だからこそ、私が君をすくうッッ!!」
風の魔術の行使は、それほど強力なものではないが、異能の効果も合わさりペダルの回転数に応じてその効力が上がってる気さえした。気がする。気分。
「HAHA!夢から帰って来いアヤ!
君はニンジャじゃなくて学生だろう?!」
速度の割には比較的緩やかな『落下中』ではあるが、校舎前までは届かないか。
買って一日、いや十二時間ほどのハイパートリプルXステンレスカーボンボディのママチャリが、堕ちようとしている!
「ランディング《不時着》するぞ!対ショック姿勢だ!!」
遠くに校門が見える気がするというのに……!
高坂 綾 >
「私の平和を巣食うダサTめぇ!!」
思わず口汚くもなる。だってだってだって、だってマッハなんだもん。
「夢であって欲しいのはこっちの現実だよ!!」
「…………!! お、落ちてる!! 自転車が不時着しちゃうー!!」
いやいや。自転車が不時着って。現国の先生が聞いたらキレるでしょ。
キレて。叱って。生きている、私を。
「忍法ショックアブソーバァァァァァァァァァァァ!!!」
謎の忍法を叫びながら私は落下ギリギリで発生した影を緩衝材にする。
正直、ダメージゼロってほどの変化はないと思う。
でも即死は避けられるはず。
落ちた瞬間、花火が迸った。
嘘だといってよ、ダサTぃー!!
オダ・エルネスト >
私の平和を救う…。
分かってる―――私の輝きをみせよう!
僅かに顔を横に向けると笑顔で頷いてみせる。
苦楽を共にした我々だ。当然のことだ、と伝わっただろう。
「さあ、夢から醒める時間《ショータイム》だ!!」
眠り姫に安らかな現実を与えるのは男の役目という。
彼女の悲鳴は遅刻が近くて焦っているの分かるし、ショックアブソーバーは済まないがコイツには積んじゃいない。
だからよぉ!
ペダルから足を話して後輪が接地した瞬間に、両足で地面を蹴った!
自転車のスタンドが衝撃で下がり地面とぶつかり火花散らし折れる!
―――衝撃が、思ったよりもない!!!
これは……
「アヤ!勝利の女神はまだ我々の味方だァ!!」
ボディから悲鳴が上がるが、死んではいない!
肉体も衝撃を思ったよりは受けていない!
「勝つのは、我々だッッ!!」
故に、この最後のゴールスプリント負けられない!
高坂 綾 >
ツッコミを入れた私に彼は。笑顔で頷いた。
いやなんで。サイコパスか。
「いやなんで笑ってるのオダさ……オダァ!!」
「おかしいでしょ!? おかしいですよ!! おか…死ぬぅぅぅぅぅ!!!」
夢なら醒めてほしい。
この悪夢からお母様に起こしてほしい。
お父様に寝癖を笑われて、家族で一緒にお出かけしたい。
だから……早く………お母様…
「勝ってるか負けてるかで言えば没収試合よ!!」
何が勝利の女神だ馬鹿馬鹿しい!!
「その我々に私を加えないで!? ソロって!! ハブってぇ!!」
周囲の遅刻ギリギリ登校組生徒たちが私達暴走自転車を避けてくれる。
ああ、忍者なのに。忍者なのに転校早々すっごい目立ってる!!
ところでゴールスプリントってどこだろう。
どこだろう……まさか、下駄箱とか言わないよね?
だって、その………段差とか、あるよ、校舎まで。
オダ・エルネスト >
「おかしい死ぬというのは嘘つきの言葉だ、と
大和人の経営者が言ってたらしいじゃないか?」
フ、と鼻で笑いながら前進する勢いは少し衰えているが、
再びオダの両足がペダルに乗る。
「私もアヤもこうして、生きている!」
転入早々またもや面白い子と出会ったな。
祖国の恩師よ、ここはいい場所ですよ。
「いいや!まだだ!没収させやしない!タイム・リミットまでは!」
もっとだ!もっと回せ!回転数《ケイデンス》!!
「仲間外れにはしない!私は君のことを戦友《しんゆう》のように感じている!
今日の私は、悪魔のLをも凌駕する存在だ!!」
後輪側にいるなら気づくだろう。
車体が不気味に揺れはじめた―――エンジンブロー《車体崩壊》の予兆だ。
高坂 綾 >
「尻尾から頭の先まで偽りのない真実が詰まった言葉よォ!!」
また漕ぎ始めた!! だから、段差、段差が、段差……
「自害も考えるわよこの仕打ち!?」
お父様、お母様!!
忍者なのに目立っちゃってごめんなさい!!
「私はあなたのことを死神のように感じているっての!!」
「悪魔のLが仮に存在したとしてッ!!」
「自転車で凌駕しようとするのはおかしいでしょ!?」
「せめて原………」
原付き。ま、それもおかしいか。
そんなことを考えながら。中央分離帯みたいに突然目の前に現れた花壇に。
私達の乗った自転車は突っ込んで。
自転車がバラバラになって。
私達は前方に吹っ飛んで。
「忍法ショックアブソーバァァァァァァ!!」
「セカンドイグニッショォォォォォォォォォン!!」
落ちる直前で校舎から伸びる夏の長い影をクッションにした。
バウンド。人間が。二人。
そのまま偶然、校舎を案内してくれるという武田先生の目の前に着地した。
「ははは……完っ璧なプラン」
乱れた髪を櫛で直して。
「余裕」
間に合った。けど、私の心は壊れてしまった。
ゲームオーバー。
オダ・エルネスト >
今ならどのような段差も障害も走破出来る気でいた。
「祖国の魔女たちが言っていたが……
女の子が真実ばかり口にする相手は好きな相手だけにしておきなさいってな!」
女の子の前でカッコつけたくなるのは英国紳士だけじゃあないんだぜ。
「俺が死神でも、君は女神だ!
大丈―――ッッッ!!!」
回避は不可能。
ブレーキが効く速度じゃない、それに、この車体の揺れは……!
吹き飛んだ。
全て、彼女は無事だろうか。
花壇の植えをバウンドしながら探してみると自分よりは綺麗な格好で着地した。
彼女は校舎の方を見ていた。
俺は事故った自転車(あいぼう)を見ていた。
「どうして、お前は……」
―――どうして悪魔を凌駕しようとしたお前が私たちを助けようとしたんだ。
間に合った。けど、私の愛車は壊れてしまった。
ゲームクリア。
ご案内:「通学路」からオダ・エルネストさんが去りました。<補足:【遅刻勢を救えるのは君だ!】黒髪緑色の瞳/日本人離れした容姿/学生服の中に透けて見えるクソダサTシャツの青年/自転車に乗ってる[遅刻勢を救援して!]>
ご案内:「通学路」から高坂 綾さんが去りました。<補足:制服/ローファー/赤いリボン(乱入歓迎)>