2015/06/12 - 22:52~03:38 のログ
ご案内:「青空教室」にクオンさんが現れました。<補足:どなたでも乱入歓迎。全長20m以上 赤い鱗を持つオーソドックスな翼竜。>
ご案内:「青空教室」に川添 孝一さんが現れました。<補足:時代錯誤なヤンキーファッション。>
クオン > 学園棟外れの広大な空き地。風に草木が揺れるこの場所で、全長20mを越えようかという巨大な翼竜が身体を丸めている。
名を、クオン。常世学園において魔術講義を担当する教員の一人。
かつて、異なる世界においてその威容を謳われた、最も古き竜の一匹。
クオン > 『オォオ――――ン』
竜は首を伸ばして空に向かって声を上げた。
それは、世界に響き渡る竜の詩。彼の世界でも忘れ去られし、古の言葉。
込められた意味は"加護"。生徒の無事を祈り、世界の全てへ願ういつかの魔術。
彼が最も得意とする魔術であった。
川添 孝一 > (空き地にゆっくりとした歩みでヤンキーファッションの男が近づいてくる)
(男の名を川添孝一、元・不良にして現在は怪異対策室三課の室長)
……クオン先生っすね。俺、川添孝一っていう者なんすけど。
(ポケットに手を突っ込んだまま竜を見上げる)
クオン > 竜が新たに現れた生徒を見る。輝く黄金の瞳が、じっと彼を見つめている。
「ふむ、川添孝一くんか。この私に、何か用かね?」
吐き出された声は、低く、重く、世界を震わせるような強い声だ。だが、努めて穏やかに、相手を威圧せぬよう注意を払って口に出す。
喉奥からは赤き燐光が舞い夕焼けに散った。
川添 孝一 > 失礼ながら、クオン先生のこと、調べさせてもらいました……
先生は見ての通り、でっけぇドラゴンだ……それも最も古き竜の眷族。
…先生、俺は悪しき竜を倒す存在を探してて……それで先生にも話が聞ければと思って。
龍害については知ってますか? 大規模怪異災害の。
クオン > 「………………」
悪しき竜。なるほど、それについて聞きたければ、この学園において彼以上の存在は居まい。
彼は、物語を食らう竜。かつての世界で古き伝説を持つ者。
ならば、つまりそれは。
「なるほど。……龍害か。ああ、よく知っているよ。あれは、私も危うく"そう"認定されるところだったからね」
川添の言葉で浮かんだ光景を打ち消すように、頭をふってから。
古竜は微笑むように言った。確かに、この学園において彼ほどの巨大さを持った竜は数少ない。彼がこの世に現出した時は、随分古い。
なにせ教鞭をとる前には、彼もまたここの生徒だったのだから。
「ならば、私にも出来る話があるだろう」
川添 孝一 > そう、ですか…………
(龍害、それは貴種龍――――ノーブルドラゴンと呼ばれる人語を解さない災害のような存在が人を襲うもの)
(目の前の竜もかつてはそれと誤認されかけた、そういうことだろう)
クオン先生。貴種龍は完全生命体だ。
人間とは魂のステージが違う……だから、呪文の圧縮詠唱や生命の完全再生が可能となる。
……それと相対するには、どうしたら。
クオン > 貴種龍。ノーブルドラゴン。それは彼と異なる存在なのか。
否。"大枠として"は、違いがないはずだ。何故ならかつての彼はまさに龍害と呼べる存在であったからだ。
「…………これは、私の世界の話になるが」
語るべきではない過去だ。だが、"龍に立ち向かうというのならば、話は別だ"。
「君は、私の持つ力については知っているかな」
ロマン。想念の力を世界に乗せて魔術を操ることができる竜。一般的にはそう伝わっているはずだ。
川添 孝一 > ……クオン先生の魔術、ロマンのことですか?
(クオン教諭について調べた時にその単語にも到達している)
(想念の力、人を人たらしめるように、確かな力を持ったそれ)
………それが一体……?
クオン > 「それは、確かにここにある力だ」
その言葉と同時に風が巻き上がり、木々が鳴いた。それは彼の魔術か。
呪文として紡がずとも彼の言葉に世界は応えている。それは、ある意味。圧縮詠唱にも近しい力であろう。
「ロマンとは、物語だ。誰が、どう生きるか。ただそれだけのことに力が詰まっている。
これは、ただ私が物語を紡いでいるにすぎない。
風が舞い、木々が笑い。ただ、遊ぶだけの。……しかし」
思い出す。かつての、悪しき竜を。
「……竜とは、それが一個の個体として、物語だ。あらゆるものに語られ、恐れられ、浪漫を蓄える」
川添 孝一 > (風が巻き上がり、木の葉が川添孝一の頬を撫でる)
(それを目を細めて見ていた―――確かな力、物語が持つ力)
竜そのものが物語だとしたら。
人が生きていることそのものが持つ意味がどれほど通じるものでしょう。
俺は………グリーンドラゴンをゲートの向こう側に押し返した時も、相手は全然本気じゃないとわかっていた。
こっちの世界に来たばかりでエンジンがかからない間に押し切っただけだ。
(クオンの言葉を待つ、竜とは、物語とは、ロマンとは)
クオン > 「いいかね。人は、強大な何かに立ち向かうとき、物語を背負う」
矮小な存在。剣と弓と杖とで彼に立ち向かった者達が居た。
「物語を打倒するには、英雄となるしかない。竜を倒すという、他愛もないお伽話。それを成せば人はドラゴンスレイヤーとして讃えられる」
だが。だが。と。彼は悲しげに目を伏せた。
彼の詩もまた静かに、重く。木々は応えるように静まり返る。
「いいかね。それは悲劇であってはならない。悲劇は、竜の最も得意とする物語だ。悲壮な決意をもって立ち向かう英雄は、必ず竜に滅ぼされるだろう」
思い出す。あの小さくも勇敢だった男たちを。彼に故郷を滅ぼされた勇者たちを。嗚呼、と竜は空を仰ぐ。
夕焼けに瞬く明星は、彼の世界であっても同じこと。
どこの世界であっても――彼の罪は変わらない。
川添 孝一 > ………物語を、背負う………?
(クオンの言葉に聞き入る――――他愛もない御伽噺、愛と勇気の物語)
悲劇ではダメなのか……英雄っていうのは、供物のはずだ!
人類が人を守るために排出する最後の犠牲者!
その意思が、剣の英雄が必ず悪しき竜を討滅させる!
それは違うのか、クオン先生!(肩を丸めるように俯く)
……俺は探しているんだ…………人類の守護者を…悪竜を倒す剣の英雄を…
クオン > 「英雄とは孤独なものだ」
多くの英雄はそうであった。孤独に戦い、凄惨な最期を迎え。それでもなお、竜を打ち倒す。多くのものが、そうであった。
「供犠でもあった」
人々に捧げられ、信仰され、物語に"される"。それが普遍的な英雄だと、彼は思う。だが。
「だが」
彼は息を漏らす。赤き燐光を纏う、灼熱の火。それを僅かに漏らしながら。
「君が、供犠となる英雄を探すというのなら。君は竜に捧げる物語を探しているということになる」
違うかな、と。竜の目が細められた。
川添 孝一 > 竜に捧げる物語を………!?
(その言葉にハッとさせられる)
(自分は貴種龍との戦いで魅入られていたのかも知れない)
(あの圧倒的な力に、あの圧倒的な生命に)
………違わない……(搾り出すようにそう、答えた)
クオン > 「竜は気まぐれだ。"殺されてもいい"と願うほどの宿敵と出会い、殺された時。竜は生涯で最も歓喜に打ち震えるだろう。
英雄の出現はすなわち、殺し、殺されるために竜が紡ぐ物語でもある」
なのに、どうして己は。そのような、自責の念を、赤い燐光ごと飲み込んで。
「だが。竜が紡ぐ物語。それに都合のいい役者がやってきた。盛り上がるだろう。だがそれは真の"ロマン"ではない」
捧げられた英雄。それで満足する竜もいるだろうが。竜の紡ぐ詩の通りにことが運んで、どうして正しいといえるのか。
「いいかね。川添孝一。英雄を探す者。今から大事なことを君に告げる。よく聞いてくれ」
川添 孝一 > それじゃ竜の物語を本当に終わらせるには、どうしたらいいんだ……!
(震える手は、いつかのグリーンドラゴンを思い出してからだ)
(あのエメラルドグリーンの瞳に射竦められた時、自分は恐怖と高揚を覚えていたのだろう)
……大事なこと…? なんですか、クオン先生。
クオン > 「私は賢者だ。今はおそらく、その役目だろう。この物語において、古き詩を伝える存在だ」
だからこそ言える。過去の罪と向き合いながら、己の言葉を伝えることができる。
「君には君の役目がある。その役目がいずれのものかは私は知らない。それは君の道(ロマン)であるべきだからだ。
だが。真の意味で竜を倒すには痛快であるべきだ。
人類を守護し、竜を打ち下し。従え、人類を永劫笑顔で守りぬく英雄が必要だ」
ならば、できることとはなんだ? クオンは自問する。あの日、あの時。彼らに何が足りなかったのか。
「希望だ。仲間と共に立ち上がり、励まし合い、挫けず、歌い。世界を"友"に抱えながら進むものが必要だ。憎悪で戦ってはならない。ただ、希望の詩であるものが必要だ」
彼らの顔に笑顔はなかった。ただ、人々の思いを背負わされていた。
「君が一人で立ち向かえども、そこには悲壮なロマンしかない。君が誰かを見出すならば、そのものに、君が光を与えなければならない。君で与えられなければ、誰かが光を与えるべきなのだ」
川添 孝一 > 俺の道(ロマン)………?
希望。(どこか遠い言葉のように思えた)
憎悪で戦っては、悪龍を真の意味で納得させることはできないと……
英雄に光を与える役目、か……そんなこと、考えたこともなかったな………
(ポケットに手を入れたまま背を向けて歩き出す)
ありがとう、クオン先生!
俺がやるべきこと、見つかったっすよ!
(英雄か、聖女か――――とにかく見つけて、人の心の光を教えなければならない)
(未だ見ぬ英雄のために、戦う覚悟を決めて男は去っていく)
ご案内:「青空教室」から川添 孝一さんが去りました。<補足:時代錯誤なヤンキーファッション。>
クオン > 爽やかな背に彼は光を見た。必ず、彼は己の"ロマン"を得るだろう。
確信めいた予感。美しい物語に、クオンは笑みを浮かべ炎を漏らす。
ああ、願わくば。この学園を取り巻く物語が良きものでありますように。
古竜はそう願って空へと吼える。もしも誰かが犠牲にならなければならないというのなら。
きっとそれは、過去を悔い改め人類に後を託す、老いた竜にこそ相応しい――。
ご案内:「青空教室」からクオンさんが去りました。<補足:乱入の可否は部屋の補足をどうぞ。全長20m以上 赤い鱗を持つオーソドックスな翼竜。>