2020/08/03 のログ
ご案内:「【イベント】常世島共同墓地」に武楽夢 十架さんが現れました。<補足:黒髪黒目/橙色のツナギの上半身を腰に巻いてるシャツ姿/細身の青年>
武楽夢 十架 >  
日も沈み夜になる頃に、この場に訪れた。
ここに訪れる予定はなかったわけだが、ふと寄るかと足を向けた。

しかし、失敗だったかも知れないと思うのはこの時間でも未だ人がいることか。

それでも幸いなのは……身寄りのない者たちの墓の周りには人が少ない事か。
手にして持ってきたのはちょっとしたアルコールと線香。

今年、この墓には、まあ、顔だけは知ってるような輩も入ってたりする。

「……」

言葉なくアルコールの栓を開けると墓石前に置かれてたグラスに注ぐ。
線香の束に自棄のように火を付けてドカッと置く。
やり方なんかは説明を受けた気もするが、この墓に入ってる一部の奴らには知ったことか。


――これは俺たち……多勢に無勢にもかかわらず、願いを叶えようとした馬鹿共に対する手向けだ。
 
 
「強かったな……」
 
吐き出した言葉は、素直な気持ちだった。

武楽夢 十架 >  
どいつもこいつも、どんな手を使ってでも願いを叶えようとしやがって……。
素直に――その在り方には称賛をおくろう、俺の負けだったと。

君たちの多くがそうだったように、俺たちを退けて『接続』する時の勝利を確信しただろうあの時の姿は、一人の人間として輝いていたと称えよう。

今日、ここに来たのは、そんな理由。
だれも知らないかも知れないが、彼らは俺たちを退け『勝った』果てに消えたのだと覚えておこうと思っただけ。

どいつもこいつもすぐそこにありそうな幸せに嫌われた奴らだった。

「ちょっと思ってたことを言うと……―――いや、そうはならなかったんだよな」

何か運命が違ったら、俺もお前達と同じ道を選んでたかも知れない。
そういうタラレバでは、ここに来ることはなかった。

だから、告げるのは。

「……じゃあな」

多分、お前たちに会いにはもう来ることはないから。

勝利とともに消えた救われない、幸せに嫌われた者たちに決別を。

ご案内:「【イベント】常世島共同墓地」から武楽夢 十架さんが去りました。<補足:黒髪黒目/橙色のツナギの上半身を腰に巻いてるシャツ姿/細身の青年>