2020/08/09 のログ
ご案内:「常世島環状道路:高速道路」にオダ・エルネストさんが現れました。<補足:黒髪緑色の瞳/日本人離れした容姿/学生服の中も透けて見えるクソダサTシャツの青年【乱入歓迎】>
オダ・エルネスト >  
―――速度Free!
それはかつてこの常世学園で囁かれた悪魔と呼ばれた車からはじまった伝説。

今、この島にその伝説が残っているかは分からない。

最早知る者も少ない。

―――速度Free!!
それは速度に魅せられた愚か者たちが行う常世島環状道路だけでなく青垣山の峠道でも起きた伝説。

自動車に、四輪や二輪の自動車に魂が宿ると嘯く者たちが違法と知りながらも走る記録のこと。

悪魔と呼ばれた車がいなくとも。

あの時代を見て知る者は既にこの道にいなくとも、それでも続いていく速度の物語。

今夜より、否―――全ては道が拓かれる前に始まろうとしていたのだ。


新たな自由を求めた速度の物語は。

(部屋のテンション説明)

オダ・エルネスト >  
農業区からの海底高速を抜け上がってくる。
半月と照明がそのガンメタリックの車体を映す。

日付は変わり、静まり返った島だが、この道だけはこの鼓動を受け入れてくれる。

「〇時四十五分過ぎ、情報通りならこれから一時間は異邦人街から旧道コースには監視がない……」

その車は、かつて旧時代に存在した車種に似てはいたが全く異なる存在であった。

  ハイエンジン・モータービークル
――次世代 魔導融合機関 自動車 Lancer-N.E.X.T.

車内にまで響き身体に伝わるこの鼓動には魂を感じざるを得ない。

それほどの決意によってお前は生み出されたのだと、ハンドルを握る青年は感じざるを得ない。
このネクストにかける彼の願いは、試験運転手<<ドライバー>>に選ばれた俺にも伝わってくる。


『俺たちは、見えない"悪魔"の伝説から今確かにある新しい"悪魔"を生み出す――』

そう言った彼らの情熱は、ハンドルから、ペダルから、シートから伝わってくる。

「常環に合流する」

≪OK、異邦人街エリアは先ずはならして―――旧道侵入からフェーズ1、頼むぜ≫

車内に置かれたスピーカーから青年の言葉に応える声が響く。

オダ・エルネスト >  
甲高い機関駆動音――、
路面状況をタイヤからシートへ、伝わるフィーリング――、

速度制限を守った運転をしていると、この車がとんでもないハイチューニングモータービークルだということを忘れそうになる。 それくらいに手のひらに収まっているかのような安定感がある。


全ては、あの日、学園に遅刻しそうになったあの日の自転車で駆け抜けた日から始まっていた。

Lancer-N.E.X.T.―――「ネクスト」を作り上げていた者たちは≪ドライバー≫を求めていた。
速度を恐れず、降りない者を。
この道を走り続けることを出来る者を。

彼らのうちの一人が、青年を見つけた。

そして、スカウトした。

彼らは産業区域で次世代の自動車などを作る学生であったが、
もう卒業して居なくなった先輩がいつも口にしていた『悪魔』と名の付いた車が許せなかった。

自分たちは幾ら出会おうとしても現れぬ、幻。
そんな幻には勝てやしないと何時も口にしていた先達の言葉を認めたくなかった。

技術は常に先へと進み続けている。

自分たちの代で作られたこの――次世代魔導融合機関を載せたネクストこそ、新世代の"悪魔"となる車だとこの島の歴史に残してやろうと考えた。


「魔力循環OK。
 二基機関同調OK。
 モード、N.E.X.T.への移行には各種状態問題なし≪ALL-OK≫」

オダ・エルネスト > ≪次の分岐を照明のない右側――旧道への入り口だ。
 試運転、頼むぜ"第六天"≫

言葉に応えるのは左手の動き、
――回路解放ON、

車体から青い燐光が漏れる。
 機関音が更に高く鳴り響きはじめ、

――強化術式ON、

速度が上がりはじめ歪みそうな車体を術式が、
 流星のように光が車体に伝わることで支える

――魔導融合機関二基同調ON、

これまで空転していた二基目の機関に
 ギアが、

――完全変形。

噛ませられ、ネクストが本来の姿を見せ始める。
常に強固なわけではなく、必要に応じて硬くも柔らかくもなる理想のボディ。
これまでの自動車では耐えきれなかった魔導融合機関の最大出力をその身に宿し、

獣の咆哮を思わせる機関音が夜の街に響き出す。


――産声をあげる。
 
 

オダ・エルネスト >  
目まぐるしく動く各種メーター。
速度は、まだそれほど踏んでもいないのに時速二百九十キロを超えている。

これが、ネクストのフェーズ1。
今日の試験はこの状態で巡行し、監視の交通課が戻ってくる前に常環を一周し農業区への海底トンネルで戻るという予定だ。

「こちら"第六天"――ネクストは最高だ。
 数値はやや荒れはあるものの貰ってた情報より低い。
 フェーズ1になって本当の顔をみせてくれたみたいで凄いじゃじゃ馬だ。 可愛い顔してた女の子が実は物理系でメイス手にして迫ってくるみたいだ」

≪そんなじゃじゃ馬だからお前に頼んだんだ≫

少し油断すれば次の瞬間には車体が吹き飛ぶかもしれないという恐怖が襲ってくる。
車体の硬度が変質するというのは、突然車体がバラバラになりそうな感覚が常に襲ってくるという恐怖と隣り合わせ。

(――だというのに……
 なんだこの、全身を通して伝わってくる高揚感は……)

普通の運転手からすれば、直ぐにでもアクセルから足を上げてブレーキに足を置きたくなるような車。
直線でもないというのに常に時速三百キロの世界に迫る事ができる、これはなんだ。
未知の感覚への高揚か。

(それとも、自分も感じ始めているのかこいつの鼓動を)

オダ・エルネスト >  
旧道を進み、「黄泉の穴」へと接近した時だった。

ネクストの―――漏らす魔力の燐光が青から、赤く、変わる。
 
 

オダ・エルネスト >  
二基の機関の音が更に激しいものへと代わり、加速する――突然の加速に身体がシートに押し付けられるようだ。


「なんだ……!?」

一瞬手放しそうになるハンドルを辛うじて、握り続ける。
一瞬だけ足を上げそうになるが、悪寒から足は動かさなかった。


―――GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!

化け物の咆哮とも思える機関音へと変質したそれは、そのまま「黄泉の穴」の近くを通過してしばらくするまで続いた。

焦げ臭さが車内にし始めた。

≪……――"第六天"無事か?! しばらくの間こちらかの観測が消失していたが何があった?≫

「……こちらは無事だ。
 状況はこちらでもよく分かっていないが、機関部より焦げた臭いがする。研究区パーキングエリアで一度停止する。
 これ以上の自走は危険と判断する。 輸送車の手配を頼む」


この日の試験走行は記録上失敗となった。
原因は恐らく、高密度魔力精製機関でもある魔導融合機関がなんらかの力場に干渉してしまった結果によるもの。
想定外の放熱により記録用のコンピュータシステムが焼けてしまっていたため、問題状況のデータは取れていなかった。

しかし、彼らは後に知ることになるLancer-N.E.X.T.もまたこの常世環状道路において名を残す次世代の魔物になった瞬間だった、と。

オダ・エルネスト > 新たな伝説が始まろうとしている―――。
ご案内:「常世島環状道路:高速道路」からオダ・エルネストさんが去りました。<補足:黒髪緑色の瞳/日本人離れした容姿/学生服の中も透けて見えるクソダサTシャツの青年【乱入歓迎】>
ご案内:「常世島環状道路:高速道路」にオダ・エルネストさんが現れました。<補足:黒髪緑色の瞳/日本人離れした容姿/学生服の中も透けて見えるクソダサTシャツの青年【乱入歓迎】>
ご案内:「常世島環状道路:高速道路」からオダ・エルネストさんが去りました。<補足:黒髪緑色の瞳/日本人離れした容姿/学生服の中も透けて見えるクソダサTシャツの青年【乱入歓迎】>