2020/08/10 のログ
ご案内:「落第街」にマルレーネさんが現れました。<補足:165cm/金髪碧眼修道服/乱入歓迎>
マルレーネ > 何かをしたい。

彼女はそう口にした。こちらの世界でも近しいであろう、世話を焼いてくれる教会にも話をしたが、"それ"に関してはノータッチ。
協力は得られなかった。

でも、それでも何かをしたいと思った。
思ったから動き始めた。

マルレーネ > 「よし、こんなところですかね。」

協力は得られなかったが、場所だけは借りることができた。
落第街に元々あった修道院の跡地。
以前、とある少年とお掃除に来たから、多少は綺麗である。

そこの正面の地面に穴を掘って、杭を打ち。
その杭の上に板を張ってテーブルのようにする。

修道院だった場所の内部には、自作で申し訳ないが、簡易ベッドをいくつか並べて。
他の修道院で捨てる予定だったマットを敷いて、その汚れを隠すために白いシーツをかぶせる。


「これで、後は私が治療魔術をもうちょっとこの島で修めれば、ちょっとした怪我なら対応できますかね。」

汗を拭って、一呼吸。
満足な生活を送れていない場所があるのならば、それを改善するのが役割というものだ。

簡易的な炊き出しや怪我人の治療を行う場所に、修道院を改築する女。

マルレーネ > どうせ。

彼女の宗教は彼女の中で終わりだ。それはあきらめている。
経典すら持ち出せていないのだから、教えてほしいと言われても、満足に答えられるものは無い。
であれば、立派なものであったと胸を張りたい。

私利私欲と言われればその通り。 意地と言われればその通り。
自己満足と言われればその通り。 焼け石に水と言われればその通り。

そんな薄っぺらいものが彼女の寄る辺だった。


「はーい、できましたよー。 ちょっとずつですけど持って行ってくださいねー。」

少しのご飯とワイルドに焼いた肉を切り分けて、どうぞ、どうぞ、と渡していく。
時折文句を言う人もいるが、それはそれ。
文句やお叱りは慣れている。 てへ。

子供 > 「あ、誘惑の悪魔だ。」

ショッピングモールでの痴態を突かれれば、膝から崩れ落ちる。
それだけは言わないで。

以前素肌にライダースーツという破廉恥極まりない格好で出し物をした時のことを口に出されるのが一番効いた。
効果は抜群だ。

マルレーネ > 「忘れましょう。そんなことはなかった。」

笑顔で子供の肩を掴んで、笑顔で言葉を区切りながら、笑顔で圧する。
こほん。


「……まあ、初日は病人、怪我人の受け入れは難しいですよね………。」

汗を拭いながら、ふう、ふう、と重い鍋を運ぶ。
運んでは下ろし、よそっては渡し。
それでも、しばらくは遠巻きに見ていた人々も、無料ならばと集まってくる。

ご案内:「落第街」に日月 輝さんが現れました。<補足:身長155cm/フリルとリボンにまみれた洋装/目隠しを着けている>
日月 輝 > 一口に落第街と文字にして、その中身と境界は判然としていない。
悪所として勇名を馳せているけれど、一目で解る境界線なんてものは歓楽区にある筈も無いんですもの。

「こんな所にも、なんて思って覗いて見たら……何やってるのよあんた」

ともあれ、風に揺れる綿毛のように空を跳んでいたあたしが、そうした所に来るのは不可抗力という事にする。
理論武装という自己満足は大事ですもの。

今は半ば崩れた天上屋根の隙間から、悪魔のように舞い降りて、さも親し気に聖女然とした女性──マリーに声をかける。
赤と黒で構成され、目を覆い隠した格好は悪者に視得るかも判らない。
マルレーネ
> 「……? あ、輝さん。 一人でこういうところに来たら危ない、って言ったじゃないですか。」

まずは一つお説教から入った上で。

「何、って………ああ、炊き出しと、簡易的な診療所があるといいかなと思ったんですが。
 どんな人であっても、飢えと病だけはどうにもなりませんからね。」

ふいー、っと汗を拭って笑うシスター。
聖女、というには汗をかいて、服のところどころが汚れてしまっているが。

日月 輝 > 「いや降りるつもりも無かったんだけど……まあ散歩よ。散歩。ほら、あたしは自分を軽く出来るから」
「というか、マリーこそ一人でこんな所、危ないでしょ。この辺りって所謂"落第街"でしょ」

気ままに彷徨っていたら古い修道院を見つけて──マリーの顔を思い出して降りてみた。
そう口にするのは何処となく憚られよう気がして言葉が迷い、説法に言い返すように言葉が尖る。
転がっていた椅子を起こして座ると、嫌な軋み方をしたので直ぐに立ち上がる。

「炊き出しと診療所って……それこそ危ないでしょ。物資を狙って悪い人が来たらどうするのよ」

空調なんてある筈も無い室内で、暑苦しい恰好で笑うその姿は、勝手な感傷だけれど痛ましく映る。
あたしは、耐熱護符をつけているから多少はマシで、それでも暑さを感じるのだから尚のこと。

「ほら、一先ずこれ上げるから持ってなさい。熱中症にでもなったら大変よ。水分はちゃんと摂ってる?」

ハンドバッグから魔術研究科が配布している耐熱護符を取り出し、差し出す。
伴う声は多分にきっと軽口めいた呆れ声。

マルレーネ > 「危ないですよ。………ですから来ているんです。
 ここに住む人々の中には、何かしらの事情で金銭的余裕が無かったり、認められていない人がいますから。

 罪を犯すような人は、"騎士"が正しく捕え、"法"で裁く………のでしょう?
 であれば、そうではない人々を助けることくらいは許されるかな、って。」

そんなことを言いながら、足元に置いてある長い棍を足先でつついて、舌をぺろり。

「よっぽどの力を持っているなら、炊き出しのお米程度で襲ってきません。
 よっぽどの力も持っていないなら、………まあ、私程度でも"分かってもらえる"でしょう。」

ウィンク一つ。 暴力行為? さあ、まだ何もしてないですから。

「………? ああ、ありがとうございます。
 そりゃもう、炊き出しですから水だけはたっぷりありますからね。」

笑いながら空になった皿を受け取りつつ、それでもすっかりくたびれたタオルで汗を拭く。
護符を受け取っては、どう使えばいいのか分からないのか、ふむ、と眺めて。

額に貼る。

日月 輝 > 「不法入島者だとか二級学生だとかでしょ。知ってる知ってる。罪人は──まあ、そうね」

社会正義に反する者は警察が対応する。この島で言うなら風紀委員の人達が該当する。
ただ、その対応方針は現場にやってくる委員の人次第。
言葉で以て対応する者もあれば、武力で以て対応する者もいる。
公的には"落第街"は存在しないから、そこに住んでいる人達も存在しない。
だから、地区に巣食う違反部活に対応する為に無関係の人ごと攻撃する。……噂では、そういう人も居るらしい。
物語に語られるような騎士様はきっと居ない。

でも、頼もしき歴戦の旅人は居る。あたしの目の前に。

「マリーがまあ……結構強いのは浜辺の武勇伝でも解ってるけどさ」
「それならそれで体調を咎めないようにしないと駄目でしょう」
「こんな所で一人で倒れでもしたら大変よ。特にマリーは可愛いんだからもっと自覚しないと駄目」
「そもそも真夏にそんな恰好するなら然るべき対策を取らなきゃね」
「あたしだって護符で対策しているし、今時分にお出かけの際にはこうして飲み物とか塩分とか──」

ハンドバッグからマイ水筒を取り出したり、塩分補給用の飴玉を取り出したり
真新しいタオルを取り出す一方で、何故かあたしに空のお皿を差し出してくる子供やお婆さんやらからお皿を受け取ったり。
それはもう三面六臂の慌しさに相応しい言葉の波を津波のようにマリーに向ける。
彼女の方が年上である筈なのに、なんだか年下を相手にしているような錯覚を覚えて

「ぶふっ……いや、額。いえ、まあ、うん。間違ってはいないけど」

次には額に護符を張り付ける様子に立ち消えて、笑い声が転がり落ちる。
お皿を返しに来た女の子がマリーの額を指差して笑って、修道院に場違いに和やかな空気が漂う。
マルレーネ
> 「逆に、いつだって万全になるのを待っていたら時期を逃します。
 大丈夫ですよ、この程度、体調不良にはなりませんよ。

 危険についてはともかく、暑さ対策くらいはいるかもしれませんね。」

ほら、と僅かに裾を捲れば、鎖の鎧が僅かに見えるか。
分厚い修道服の下には、きっちりと己を守る鎖も身に着け。
ずっしりと重いそれは、彼女が性善説で動いていないことの証。
むしろ、今ここで殴り合いが始まったとしても、それを見据えて動いている女。
理想論は理想論。割り切っている。

皿を受け取って手伝ってくれる姿ににっこりと微笑みながら、せくせくと働きつつ。

「……塩分はこれでなんとか。」

ワイルドな"焼いた肉"を一切れ加えて。塩味仕立て。
にひ、と笑いながら額に護符を張り付けたまま、笑われて頬をちょっと赤くする。
そんなわけないですよねー、と女の子に笑いかけながら、こそこそ。

「………ええと、実際どう使うんです?」

ガチだった。

日月 輝 > 皿を片付ける。
皿を片付ける。
皿を片付ける。
マリーと会話をしているからこいつも修道院の関係者なんだろう。多分そんな雑な判定をされている。
あたしの恰好の何処をどう見たら教会関係者だと思うのか、心裡で首が真横になるまで傾ぐ所だけど
彼女が真実、歴戦の旅人であり罷り間違っても平和ボケしていない証拠を視止めると心裡はぐるりと入れ替わる。

「……………」

鎖の鎧。チェインメイルというもの。
それは、いつか扶桑の一角で見た"衣服の一種としてデザインされた鎖帷子"とは明らかに作りが違う。
僅かに捲られたところでもそれは解る。マリーが、今此処に居る人達を信じ切っていない事も。

「……そこまでして、どうしてこんな事を?」

ともすれば自分に危害を加えるかもしれない誰か。
そうした人達のもとで笑顔が出来るのは、どうして?
あたしはマリーの額から護符をそっと剥がして、当惑気味な言葉が小さく落ちる。
それは傍から見たら護符の使い方に悩んでいるように見えたのかも。

『尻にでも貼ってやりゃいいんじゃないか?』

和やかな空気にあって、そう悪気を感じさせない誰かのヤジが飛ぶ。
追従するように太平楽な誰かの笑い声が鳴った。

マルレーネ > 「続けるためです。」

んふふ、と笑ってウィンク一つ。 受け売りですけどね、と付け加えて。
その上で、目を細める。

「まあ、私も昔怒られたんですけどね。
 人を助ける時に、一度何かを投げて渡すようなことだって"助ける"じゃないですか。
 でも、それは間違っているんだと。

 一つの言葉で、一つの行動で助かる……まあ、ここではあえてその程度って言いますけど。
 その程度の人は、そのうち助かっているんだと。
 本当に助けてほしい人は、隣で走るくらいの気持ちでないと助けられないんだと。」

いやー、めっちゃ怒られたなぁ、なんて付け加えながら。

「ですから、"何があっても"続けなければ意味が無いじゃないですか。
 暴漢の一人や二人、計算の内ですよ。」

にっひひ、と笑いながら輝にウィンクを一つ。

「まあ、涼しくて信用される服装は輝さんに聞かないと分からないですけどー……。」

とほほ、と肩を落として。


「……あー、次は胸って言うんですよね! そういうのわかるんですからね!!」

こらっ、と周囲の人に怒って見せれば、更に笑い声。

日月 輝 > 「継続は力なり。……こっちの世界の、昔の人の言葉なんだけどさ」

人を助ける話。
二人三脚のように力を合わせて寄り添って、そうしなければならないと言う異邦人の顔を見る。

「……ねえマリー。貴方はさ、あたしが、こっちの世界、楽しい?って聞いた時……楽しいって言ったけど」

遠い世界からのまれ人。
ずっとずっと旅をしてきて、一所に留まることをしなかった彼女。
それでも続けたことがあったのだとしたら、この世界に来たことで、それは、どうなってしまったのだろう。

「元の世界に帰りたい。って、思う?」

"何があっても《例え異世界に飛ばされたとしても》"そうすると当然と笑うマリーに言葉が迷う。
アイマスクに覆われた目元が混迷に泳ぐ。
誰かが渡してきた空の皿を、手が取り損ねて床に落ちる。
軽い、硬質な音が鳴った。

「……ぁ。いえ、そのね。どうであれ、そうし続けるなら……未練とかはないのかなあって」
「いつだったか、御家族がいるとか、そういう訳じゃない。って言ってたじゃない?」
「あたしはー……島の外に家族、いるけどさ。あんまり、帰りたいとかは……無いから」

その音で言葉を取り繕うように重ねる。
手にした護符はまだあたしの片手に彷徨っている。

マルレーネ > 「………。」

相手の質問に対して、少しだけ………疑問、とは別の方向性で首を傾げる。
思案するような、言葉を選んでいるような。

「難しいことを聞きますねぇ。」

困ったように笑いながら、目を伏せる。
皿を重ねながら、少しばかり動きを止めて。

「選んでもいいなら、ここにいたいと思いますよ。
 未練はありますよ、当然。
 でも、人間、未練無く、なんて無理じゃないですか。」

皿を重ねて、重ねて。
背中を向けて、穏やかな声を続ける。

「それに。
 私、思うんですよ。 気が付いたら別の世界にいたんです。
 明日の朝、違う世界に行くかもしれないじゃないですか。」

言葉をつづけながら、一つだけフレーズを飲み込む。
その世界が、"人の生きることができる世界"かも分からない。
生死にすら頓着が薄くなっていることは、伏せて。


「そう思うと、今が一番楽しいし、そこにずっといたいって思えません?」

振り向いて、ぱちり、とウィンク。

日月 輝 > 重なる皿は堆く、言葉もまた斯くの如し。
恰も崩れそうで、けれども崩れない。
崩れてしまえば、いっそ清々するかもしれないのに、そうはならない。

「……………」

未練無くなんて無理とマリーは言う。
ええ、そうよね。全くの皆無なんて赤ん坊くらいのもの。
元の世界に帰れないことを未練だけど仕方ないと言うのは、まだ理解が出来る。

でもねマリー。
"もしも"明日の朝、違う世界に行くかもしれないことまでを、未練だけど仕方ないなんて言ってしまうのは。

言ってしまえるのは、最初から、何もかもが崩れていることにならない?

「どうかしらね。もし貴方が突然別世界に行ってしまったら、あたしは意地でも追いかけて連れ戻してやるわ」
「貴方が楽しいって言ってくれたこと以外にも、まだまだ楽しいことは一杯あるのだから」
「今よりも明日の方が楽しいに決まってるわ。この世界を楽しいか聞いた以上、色々教えてあげないと」

歪に堆くなって、崩れることも出来なく崩れとなって頓着せずに諦念としている。あたしには、そう思えた。
実際は判らない、解らない。もしかしたら押しつけがましくて、きっとそう。

見目不相応に稚気を感じさせるその額に、また護符を押し付ける。
周囲からまた笑いが起きる。
貼られたものは只の耐熱護符でしかないけれど、願わくば、マルレーネに幸がありますようにと祈りが籠る。

「だから、そんな寂しいことは言わないで。ifの話は、あんまり好きじゃないわ」

不満そうに唇を尖らせる。
目隠しで目元を視られない事が今は何よりも良かった。

マルレーネ > 「あはは、輝さんは本当にやりかねないですからねぇ……。」

からりと笑う。
良く笑って表情がころころと変わって、とても人間臭いまま。
明日の朝いなくなっていることをも、仕方ないことと割り切る。
それは明日をも知れぬ世界で、一人旅を続けたことによって育まれてしまった、彼女の持つ異常性。

悟りとも言えるかもしれない。
諦めとも言えるかもしれない。
乾きとも言えるかもしれない。
それが彼女の当たり前。

異邦人としては異例の速度で溶け込んだ彼女もまた、異邦人。


「……いや、楽しいことはまだまだありますし、まだスマホ買ってないですし。
 それを買ったらいろいろやらなきゃいけないことをお友達に聞いたんです。
 まずはあれですよね、下着姿で自分の写真を撮って自分を登録するって聞きましたし。」

あう、と額にぐいっと札を押し付けられて、あはは、と笑う。

「当然ですよ、何ですか、寂しかったんですか?
 んもー、仕方ないですねー。」

なんて、ひょい、と輝を抱こうとする。 周囲から口笛が響けば、ウィンクをして笑って見せて。

日月 輝 > 最初から崩れているなら、諦めているならそれ以上は壊れない。
明朗快活で路地裏で暴れる誰かを諫めれる程にタフな人。
そう思っていたけれど、そうでは無いかもしれないことに、気付いてしまった。

異邦人。
マルレーネには角も翼も3本目の腕も新たな目も無い。
けれども紛れも無く彼女は異邦人。この世界の人と、何処かが異なる者。

怖い?いいえ、ちっとも。ただ、少し驚いて、悲しかっただけ。

「……ああ、そうね。連絡つかないなんて不便だし──ってそんな訳あるかっ!!」
「何処のとんまよ私のマリーにそんなアホなこと抜かす奴──」

崩れることも出来なかったこの歪に堆くなってしまったものを飾りたく思った。
今からでも間に合うかしら。何よりも可愛くしてあげられるのかしら。
傲慢で、我儘で、自己満足にすぎないことだけれど、あたしは他を知らない。

言葉を荒げて腕を振り上げた所で抱き締められて言葉が止まる。
体温を交わすように触れ合って、年上の妹のように感じていた人の優しさの距離が近い。

「し、仕方なくなんて……ちょっと口が滑っただけよ!もう、離して頂戴!」
「……それは兎も角!下着姿で撮影なんてする訳ないでしょう」
「浴衣の下着もそうだったけど、全く油断も隙も無いんだから……ええ、でも大丈夫よマリー」
「あたしがちゃんと教えてあげるから。解らないことはなんでも聞いてね」

ふと、将来は逆瀬の言うように探偵になって様々を探し偵う事として、知り得た色々をマリーに教える。
──そういう未来も良いのかもしれない。マリーの抱擁から脱出しながらそんなことを思った。

マルレーネ > 「違うんですか!?」
「でもお互いにやろうって言ってましたけど、なるほど、そうやって騙していくんですね……」

なんてこと、また騙されてしまった。
むむー、クラスメイトの悪戯を看破する能力が次第に身についていくシスター。
もう、と少し膨れる程度の怒り方だけれど。

「そうですね、いろいろ教えてもらわないといけませんから。」
「一緒に買い物もいきましょうね。教えてもらわないと、いろいろ危険なようですし。」

あはは、と笑いながら身体を離して。
大きな鍋を抱えて運び、せくせくとまた働き始めて。

「あ、輝さん、一人で帰ったらダメですよー?」

手を振りながら、待つように伝え。
異邦人ではあれど、彼女はどこを切っても彼女のまま。 それだけは変わらない。

日月 輝 > マリーの友人(?)は一度シメた方がいい気がしてきた。
いえ、いえ、駄目よ輝。暴力はダメ。落ち着きなさい。あたしは善良な生徒なのだから。

深呼吸を数度する。
頬を叩く。
よし、何だか致命的に口が滑った気がしたけれど、多分気のせいね。

「勿論行きますとも。あとはそうね──ってマリー。ストップ、ストップ」

落ち着いた所で顔を向けると、マリーったら額に護符を張り付けたまま働き始めるものだから制止をかけた。

「帰らないったら。旅は道連れ。って言葉がこの世界にはあってね」
「……あと額に張り付けたまま動くの面白いからやめましょうね」

額の護符をもう一度と剥がして背中に張り付ける。
汗染みの随分と付いた様子は彼女の勤労を称えているかのように映る。
あたしは肩を竦めて大仰に呆れてみせて、それから鍋運びを手伝おうかと手を伸ばした。

そんな夏の一日。

ご案内:「落第街」から日月 輝さんが去りました。<補足:身長155cm/フリルとリボンにまみれた洋装/目隠しを着けている>
ご案内:「落第街」からマルレーネさんが去りました。<補足:165cm/金髪碧眼修道服/乱入歓迎>