2020/07/31 のログ
ご案内:「委員会街・風紀委員会本庁」に伊都波 凛霞さんが現れました。<補足:茶の長いポニーテールに焦茶の瞳。制服姿>
伊都波 凛霞 > 委員会街、風紀委員の本部とも言える。風紀委員本庁
その1階ロビーへと、階段を降りてくる少女の姿

報告内容の閲覧等を終え、自分もまた報告を完了
今日はもう後はか帰るか、それとも自発的に警邏に回るか…
なんとなく、ロビーの窓際、椅子に掛けて外を眺める

──この夏季休暇の間に自分の進退を決めよう、と考える凛霞の顔はやや曇っていた
…去ることを決めるにしても、まだやらなきゃいけないことは多くて……

憂いを帯びた表情で、小さく息を吐く

ご案内:「委員会街・風紀委員会本庁」に山本 英治さんが現れました。<補足:アフロ/風紀委員の腕章/草臥れたシャツ/緩めのネクタイ/スラックス(待ち合わせ済)>
山本 英治 >  
ロビーにやってきた男が少女に声をかける。
何かを迎えに来たようであり、そうでもなさそうでもあり。

「いいね、絵になる。憂いを帯びた伊都波先輩の横顔」

そう言って笑いながら両手を広げる。

「だけど美少女には笑顔でいて欲しいのも男のワガママなのだなぁ」

オーウ。そんな勢いで大仰に額に手を当てて苦悶の表情。
そしてニカッと笑って対面の椅子に座り。

「なんか悩み事すか? 俺で良かったら聞きますよ、そりゃもう聞きますとも」

ニヒヒと笑って、脳天気な雰囲気を作って見せた。

伊都波 凛霞 >  
「あ…こんにちわ、山本くん」

大仰な言葉と、振る舞いで現れた同僚の一人
その笑顔と特徴的な髪型を見間違ったりはしない

「んふふ、そーだね。悩み事…。
 ありがとう、優しいね。山本くんは」

人がやってくるとそれだけで、表情からは陰りが消えて、いつもどおりの柔和な笑み
強がっているわけではない、きっと誰かに声をかけられるだけで、安らぐ何かもあるのだ

「夏季休暇に入る前も入った後も、色々忙しないからさー」

学園が休暇に入っても、風紀委員はあくせくと毎日動いている
今だ尾を引いている事件もあれば、新たな問題だって起こっている

「そうだ。トゥルーバイツの一件、色々頑張って動いてくれてたみたいだよね。
 お疲れ様、山本くん」

自分の悩み…はとりあえず置いといて、なかなか言えなかった、後輩の働きを労うのだった

山本 英治 >  
「こんにちはー!」

声のトーンを子供のように張り上げて挨拶。
とりあえず、明るく振る舞おう。
相手の悩みを矮小化しない程度に。

「……そうかな? そうかも……」

優しいか、俺は。と表情を歪めて。
それでも、いつも通りの伊都波先輩を見ると、居住まいを正して。

「そうですね、風紀委員も……辞める人が出ちゃったから」

コキュトス事件。トゥルーバイツ事件。共に、風紀委員のメンバーに強い負担を与えた。
こんなことが続くなら、辞めたい。そんな人も大勢いた。
それでも……風紀委員からの離脱者は、少数だった。

それが何を意味するのか。俺にはまだわからない。

「……俺は園刃先輩一人、手を引いただけすよ」
「伊都波先輩みたいに、大局的に動いてくれた人を」
「心から尊敬します」

自分の手を見る。
大きくて、力が強くて。ただの人間の手だった。

伊都波 凛霞 >  
「だって山本くん。見て見ぬ振り、できないでしょ」

表情を歪める後輩ににこりと微笑みを向ける
自分が表情を曇れせていればおどけて明るく話しかけてくれる
そんな彼を、優しいを評してしまうのは間違ってない

辞める人、という言葉にチクリと胸が痛みつつも、まだ表情はそのままに

「でも園刃さん…かぎりんは結果的に命を捨てなかった。
 私の友達を助けてくれたことには変わらないよ」

たとえ直接的にでなくとも、伸ばした手は届いたのだと

「だから、ありがとう。私こそ山本くんを尊敬する」

「……力不足だった、とか思ってた?」

じっと自らの手を見ている彼の手に、そっと自分の手を重ねる
小さくて、華奢な、ただの少女の手──

山本 英治 >  
「……そういうの、苦手なもんで」

苦笑して頭を掻く。
アフロがごわごわ広がった。
見てみぬフリをした結果、誰かが傷つくことが嫌なんだ。

「伊都波先輩、園刃先輩のお友達だったんですね」

じゃあ、良かった。そう心から思った。
園刃先輩に友達がいることも。その友達に感謝されることも。
心から良かったと思える。

掌に、彼女の手が添えられる。
くしゃり、と表情を歪めて。

「かなり、ヘコんでました」
「トゥルーバイツだからって無理やり関わりに行った二人の事情を知って」
「その上で死んだ姿を見ちまったもんで……」

俺の手と、伊都波先輩の手が重なると。
不思議と何かに手が届きそうな気がしてくる。
俺が守りきれなかった何かを、守れそうな気がしてくる。

「ハハ………励ますつもりが励まされてしまいましたね」

伊都波 凛霞 >  
頭を掻く様子にクスりと笑み
彼もなかなかに難儀な性格をしているようだ
頭で合理的なやり方がわかっていつつも、泥臭く動いてしまうタイプ
なんとなく親近感。きっと不器用なんだな、なんて

「正確には、お友達になった。…かな?
 彼女が帰ってこなかったらこんな未来もなかったんだもん。だから感謝!
 ……だから、さ。そんな顔しないで、…ね?」

きっと彼は大きな手で、一生懸命に掬おうとしたのだ
こぼれ落ちる命を、不器用に、必死に
それが伝わってくるだけに、その心情は察するに余りある
自分だって…遅すぎたのだから

「ううん。こうやって一緒に動いてくれた人がいたんだーって改めて思えただけでも、私は嬉しいもん。
 それを知ることで私にとっても、励みになる……。
 ね、山本くんも良かったらあらためて…、私の友達になってくれる?」

この不器用なまでに真っ直ぐな、優しい男との出会いや関係を
──ただの同僚で終わらせてしまうのは寂しかった

山本 英治 >  
「ああ………ああ」

微笑んで頷く。
園刃先輩は空っぽなんかじゃない。
紛れもなくその証明、そして……俺たちが掴み上げた未来なんだ。

伊都波先輩だって、傷ついているはずなのに。
そうじゃなかったらあんな顔をしないはずなのに。
今はこうして笑顔で話してくれている。

強いな。力とか、技とか、速さとか。
そんなの関係のない強さだ。

「伊都波先輩がやったことも、俺がやったことも」
「きっと、誰かを守ったんだって信じられます」
「もちろんです、友達になりましょう、先輩」

トゥルーバイツは確かな噛み跡を残した。
それは痛みだけじゃない、何かを削り出した。そう思った。

伊都波 凛霞 >  
「私もね。最初はなぜ彼らがあんなことをしようとしたのかわからなかった。
 でも助けを求めてた事に気づいちゃって、そしたら何もしないまま、いれないよ。やっぱり」

だから、少女は彼…山本栄治と同じ
見て見ぬ振りが出来ず、知ってしまったなら
届かなくとも手を伸ばし続けるしかできない、不器用に
それで救われた人がいた、それなら決して、行動は無意味じゃなかった

「ふふ、やったー。改めてよろしくね。山本くん」

重ねていた手を、握手の形に変えて、ぶんぶん。軽く上下に振って笑う

そして──

「……風紀委員じゃなくなった時に、誰も残らなかったら悲しいもん、ね」

視線を僅かに落としてから、小さくそう零した

山本 英治 >  
「……みんな、ギリギリで………」
「それでも、命懸けで願ったその姿は」
「血の流れのように赤く、激しく、鮮やかな生き様でした」

それでも、肯定をしちゃいけない。と、顔を左右に振った。
もう二度とあんなことが起こらないように。
俺たちは守っていかなきゃいけないんだ……風紀を。

「ええ」

笑って振られるままに上下に手を揺さぶって。
それからの彼女の言葉には。

「……風紀委員、辞めたくなりました?」

そう言って、肯定も否定もせずに彼女の手を緩く握り返した。

伊都波 凛霞 >  
「……うん」

鮮烈な生き様であったと語る後輩の言葉に、小さく頷く
彼らの物語は、彼らだけのもの
新たな物語への導き手、これまで見えなかった希望を見せる手
それらに巡りあえた者だけが、きっと今……変わらぬ地獄が続く中で、未来を歩んでいる…

「…辞めたくなった、のかな。わかんない。
 でも自分が助けたいなって思う人達は、風紀委員として守らなきゃいけない人達と、
 必ずしも同じじゃなかった…って今更気づいちゃったから…… 悩んでる」

そう、打ち明けた

トゥルーバイツの件は、顕著だった
風紀委員自体としてはそれに関与せず、彼らを見捨てた
それに人員を割くよりも、守るべき存在が風紀委員には定められている──
そういう、理屈──正論だ

山本 英治 >  
「……悩んでますか」

そう呟いて、笑った。
その言葉に安心すらしていた。
彼女は自分自身に問い続けているんだ。

それでも、彼女の悩みに自分なりの考えを添えられたら。

「上善は水の如し、水は万物を利して争わず……」
「俺の拳法の師父が教えてくれた老子の言葉です」

水のように生きて、水のように全てを助けて争わない。
そんな意味だったように思う。

「でも、多分……師父が俺に無闇に暴力を振るわないよう言い含める方便だったんですよ」
「実際には、火の心で力を振るわないと助けられない人も大勢います」

彼女の手を緩く握ったまま、語りかける。

「火……扱うには、危険で。枠組みの中に収めてないといけなくて」
「その枠組………風紀委員という立場には、意味があると思うので」
「少なからず失望しちゃいましたが、今も風紀に居ます」

「さぁ、俺の考えは語りました。次は伊都波先輩が自分で考えて答えを出す番…ですよ?」

彼女の手を離して柔和に笑う。

「伊都波先輩が悩んでる、っていうの。俺すげぇ好きです。自分なりの答えを出そうとしてるから」

伊都波 凛霞 >  
「…悩んでます」

苦笑しながらそう返すと、彼は自身の身の上で得た助言、考え方…そして
自らが思い悩み、出した答え…それらを、伝えてくれる

風紀委員という立場には意味がある…
それはわかる。今回の件だってそう、最大限使えるものは利用した…その結果だ

「…そうだね。答えは出さなきゃ」

前に進めなくなる

「フクザツ~、悩んでる私がスキって。
 結構悩むのも大変なんだよ~?」

離された手を頬杖に構えて、少しだけ口を尖らせた

「……うん、でもありがと。何か話したらちょっとだけ、答えが早く出そう」

話を聞いてくれる人、友達がいるっていいなあ…なんてらしからぬことを思う

山本 英治 >  
「答えを出したら、教えてくださいね」
「友達なんですから」

そう言って携帯デバイスを取り出し、
アドレス送信を選択してデバイスを軽く振った。
あれ、振ったらアドレス受け取れるやつって特定デバイスだけだっけ。

「そこで最初の言葉になるのですが」
「憂いを帯びた伊都波先輩の横顔……素敵!」

と、冗談めかして言って笑った。
彼女の隣で笑っていられるなら。
俺もまた、何かに立ち向かおうと思える。

その時に、彼女と立場を違えていようと、だ。

「ええ、話し相手くらいになら、いつだってなれますから」
「お互い、人を頼ることをもう少し覚えてもいい……そんなタイミングです」

器用に片目を瞑ってそう言った。
一人でできることが、高が知れているなら。
誰かと一緒に壁をぶち破るくらいの横紙破りをしてもいい。

伊都波 凛霞 >  
「…ん、もちろん。
 山本くんの考えも聞けて、すごく良かった」

連絡先を交換し、そう約束する
…かぎりんといい、山本くんといい、風紀委員の仲間、友達…
──みんな、優しいなあ、なんてしんみりしてしまうくらい

「そこは笑顔のが素敵ですよーみたいに言うトコじゃないかな!」

冗談を言うように笑う彼の胸元へ手を伸ばし軽くどすどす、と小突く

「わかってる。
 こんなに頼りになる友達もできたしねー!」

山本 英治 >  
「……はい、俺も伊都波先輩と話せて良かったです」

どんな人にだって悩みはある。
それにどう答えるかは個人の裁量。
でも……俺はできるだけ、その人の悩みに寄り添いたい。

「うへへ、伊都波先輩の笑顔は最高なので言うまでもないっしょー」

小突かれて、うへへと笑って首をわざとらしく振ってみせた。

「よろしい! それじゃ、メールくださいね」

そう言って立ち上がると、ちょうど待っていた人が来た。
立ち上がって、笑顔で先輩に小さく手を振ると。

「おう、金城! どうだい娑婆の空気は……」
「ハハハ、俺がとっ捕まえてなかったらお前もっとワルいことしてたろーし?」
「今回は情状酌量で執行猶予だろぉ? 良いじゃねぇか、メシでも奢るからさ」

そう言って馴れ馴れしく太った男の肩に手を回して。
本庁一階の入り口から堂々と出ていった。

伊都波 凛霞 >  
「約束する。でもどんな答えになっても笑って許してね?」

微笑んで、手を振り返し、見送る
去りゆく彼は留置所から出てきたであろう男と笑顔で言葉を交し、建物から出ていった

「やー、彼もなかなか…重症のお人好しだねー」

人のこと言えないのかなあ、なんて笑う
彼も同じような悩みは抱えたのだ。そして先に答えを出し、此処にいる

「──…ありがとね。山本くん」

既に去った、新たな友人の名前を口に出しながら、立ち上がる
窓の外、ガラス越しに見える後輩の背中は随分と、大きく見えた──

ご案内:「委員会街・風紀委員会本庁」から山本 英治さんが去りました。<補足:アフロ/風紀委員の腕章/草臥れたシャツ/緩めのネクタイ/スラックス(待ち合わせ済)>
ご案内:「委員会街・風紀委員会本庁」から伊都波 凛霞さんが去りました。<補足:茶の長いポニーテールに焦茶の瞳。制服姿>