2020/07/23 のログ
ご案内:「人材派遣部活「馬車馬」」に天月九郎さんが現れました。<補足:14歳/159cm・55kg/真っ赤にWORKING!!と書かれたシャツ>
天月九郎 > テストも終わりいよいよ夏休み突入、まさに自由到来。
だが自由には代償が存在する。
仕送りで生きる学生はそれだけでは自由を謳歌出来ない。
しかし長期でバイトしていてはそれだけで夏休みが終わってしまう……。
そんなニーズに応えた人材派遣部活がここ、短期の契約やその日の朝に来て探すなどフットワークの軽い仕事を斡旋してくれるのだ。

「はじめて来たけどなんか賑やかだなあ……」

人材派遣、というから役所のような雰囲気を想像していたがなかなかに活気のある空間であった。
今も
『おちんぎんしゅきぃ!おちんぎんほしいのぉ!』
とか
『前の仕事よりおちんぎんおっきいのぉ!』
だの勤労意欲にあふれた声が聞こえてくる。

天月九郎 > とりあえず初めてなので相談員サービスを受ける。
あそこで殴りあいの対話をしている人たちのように美味しい仕事をもぎ取る事は出来ないが、代わりに自分にあったスキルアプを目指せる仕事を選んでくれるらしい。
番号札を取る前に待ち会い用のシートに腰を降ろす。

まず必要なのは偵察である。
美味しい話には裏がある、耳障りのいい言葉を並べてブラックな労働に従事させるとか良くある話しだ。
まずは利用者達の声を聞けばその辺りも見えてくるだろう。

『溶けちゃう!有給残日数溶けちゃうのぉ!』
『あちゅいよぉ……福利厚生とってもあちゅいのぉ…』

「大丈夫そうだな」
自分は子供だから詳しくないが、ネットで良く聞く有給を取りたくても取れないとか、福利厚生がダメダメとかそういうアレはなさそうである。
番号札を取りスタンバイ。
すぐに呼ばれる。
誰も利用してないんだろうか……。

ご案内:「人材派遣部活「馬車馬」」に高坂 綾さんが現れました。<補足:死んだ眼/制服/ローファー/赤いリボン>
天月九郎 > 『はい、では学生証お返ししますね。それではよろしくお願いします。ここの利用は初めてですね?』
「はい、よろしくお願いします。夏休みを利用して働きたいんですが、日払い短期のお仕事をお願いします」

目の前に座ったのはスーツ姿の眼鏡をかけた大人の男性だった。
見た感じとても真面目そうで安心できる、眼鏡かけてるし。

「そうですね。ガンマ線バーストには耐えられますか?」
「ちょっと無理ですね」

なるほどそんな仕事もあるのか。
でもちょっと俺には無理だな。
事前に確認してくれるのはとても助かる。

高坂 綾 >  
なんかド派手な真っ赤なTシャツを着た少年の後ろにいる。
もう☓☓☓☓☓な感じの臓物に塗れた仕事はうんざりだ。
☓☓☓☓☓みたいな炎天下の中、☓☓☓☓☓をする仕事も遠慮したい。
何故、人は働かなければならないのか。
わからん。ただ人は働かねばならないのだ。

乾いた唇と死んだ眼で席に案内される。
次は私の番だ。ここなら真っ当な仕事にありつけると信じたい。

なんかガンマ線バーストに耐えられるか聞いてる。
無理でしょ。それとも結構いるの? トランスヒューマン。

あとこういうのって普通タイマンで話聞かれない?
派手Tの子の隣に案内されたんだけど。

「あ、どうも……相席…相席………?」
「とにかく、一緒に相談員サービス………グスッ…お願いします……」

私の眼は殺められた。意味もないのに涙が出る。
早く、早く真っ当なバイトを見つけたい。

天月九郎 > どうも背中からヒンヤリとした空気が漂ってくる。
エアコン代ケチってないとはますます良心的な部活である。
近所の定食屋とか環境対策とかいって扇風機回してるだけでこの季節ちょっとした地獄だし。

「え?相席?そういうのあるの?」
『はい、仕事先でコミュニケーションを上手く取れるかどうかも確認しますので』

なるほどとても理にかなっている。
親切な上に合理的とはこれは当たりを引いたなと満足げに頷く。

「それじゃあよろしく、俺は天月九郎です」
『私は相談員のメフィストフェレスと申します』
「あ、外国の人だったんですか、日本語お上手ですね」
『それほどでもない』

謙遜までマスターしているとはすごい。
隣に座ったなんだか目が……目が大人しい女子に挨拶をしながら自己紹介を交わす。
隣の席に女子が座るとかちょっと緊張する。

『それで貴女のご希望はどのようなものでしょうか?』

高坂 綾 >  
「コミュニケーションを…………?」

なるほど、そうか。なるほどなるほど。
わかった。だってわかったんだもの。
私はわかった。理解した。アンダースタンドでござる。

「よろしくお願いします、高坂綾と申します」
「ガンマ線バーストは死ぬかと思いますが……」
「力いっぱい働くのでよろしくお願いします……よろ、よろしくお願いします…」

うん、我ながら限界にんじゃ。
しっかりしろ綾!! しっかりしなきゃいけないでしょ!!

「はい、生き物の命を奪わずに済んで屋内でできるお仕事を探しています」

メフィストフェレスさんかー。日本語上手いなぁ。
天月九郎くんかー。日本語上手いなぁ。

天月九郎 > 見た感じ少し年上の女の人だろうか?
自分は遊ぶ金欲しさにここに来たのでやる気の充溢っぷりが少しばかりまぶしい。

『なるほど二人とも耐久力は人並みと……』
『力いっぱい、は限界突破可能ということでしょうか?』
『生き物の命を奪わず屋内で……竹串と蝋燭の扱いに自信はおありでしょうか?』

あれだけの情報ですぐに脳内から仕事内容をピックアップして紹介したのか……と思わず息を呑む。
さすが敏腕相談員、眼鏡をかけて真面目そうなだけはある。

「俺は体力には自信があるんですが、頭を使ったり細かい作業は苦手ですね」
『なるほど体力に自信が……動物は得意ですか?ソウルイーターとか』
「動物は好きですけど飼育系の知識はちょっと無いですね」

牧場のふれあい広場なんかは大好きだが動物の命に責任を持つ事はちょっと難しい。
スキルの無い自分がなんだか恥ずかしくて俯きがちになってしまう。

高坂 綾 >  
「限界突破はちょっとわからないですね……」
「竹串とロウソクは………ちょっとわからないですね…」

わからない。何を聞かれてるのかが。わからない。
あと怖いけど聞いてみなくちゃわからない。

「ちなみに竹串とロウソクで何をするお仕事でしょうか……?」

聞いてしまった。死にそう。どうして人は働くということにこんなにストイックなのだろう。
私はただ、おちんぎんが欲しいだけなのに。

「………………」

ソウルイーター? ソウルイーターって言った?
動物の名前? あと得意って……体力ってそういう?

正気度がガリガリ削られていく。
泣くな、高坂綾。泣いたってビタ一文おちんぎんは発生しないぞ。

天月九郎 > 『具体的には自分をもう一枚重ねる程度に突破出来れば大丈夫ですよ』
『ああ、そうですね。男性と二人で密室に入って楽しくおしゃべりしてもらうお仕事ですね』
『インセンティブ制度があるので頑張れば頑張るほどおちんぎんの増えるやり甲斐のある仕事ですよ』

自分をもう一枚重ねる、哲学的な問題だ。
今の俺にはちょっと理解が出来ない、それがなんだか自分が未熟な人間のように思えてほんの少し胸がちくりとした。

『天月さんはそうですね。高坂さんとは逆に女の子と話すお仕事なんていかがですか?さきほどから見ていると話すのがお上手だ』
「え!そんな事ありません!でも色んな人と関わる仕事はやってみたいです!」
『ええ、ちなみにその女の子の名前は決して呼んではいけませんが自制心に自信はおありですか?』
「え……なんで呼んじゃダメなんです?」
『……』
「……」
『では走るのは得意ですか?もしくは乗り物の運転でもかまいませんが』

あれ?話題変わった?今たしか女の子がなんとか言ってたような……。

高坂 綾 >  
限界突破ってそういう?
……ソシャゲじゃねーか!!
あとカードを重ねて強くするタイプのソシャゲって今のご時世に☓☓☓☓☓じゃねーか!!!
☓☓☓☓☓か!! ☓☓☓☓☓すぞ!!

「そうですか、説明していただき心底感謝(マジサンキュ)」
「インセンティブっていうかセンシティブじゃないその仕事?」

あとインセンティブ(incentive)は『人の意欲を引き出すために、外部から与える刺激』のことです。
男性に外部から刺激を与える仕事そのものじゃない?
半殺(シバ)くぞ。

「……………」

天月くん。多分怪異の相手させられそうになってたよ。
名前を呼んではいけないタイプの女性怪異だよ。

心底虚無(マジシャバ)い。

「むしろ私が走るの得意なんですが」

もっとこう……穏当なお仕事はないのかな…かな……
なんか死にたくなってきた………

天月九郎 > 『いえいえ、これが私の職務ですので』
『人間の持つプリミティブな感情に訴えかけるのは間違いないですね』
『少々イタズラ好きな男性なのでお話で素直になってもらおうかと思ったのですが』

どうです?とにこやかな笑顔を向けるメフィストさん。
その笑顔は心底他人を気遣い親身になっているのだと伝わってくるもので好感度は爆上がり(ゾッコン)である。

『なるほどなるほど。ふむ天月君は自動二輪の異能特殊免許も所持していると』
『ならデリバリーのお仕事なんてどうです?少しばかり郊外……風紀の手が届きにくい場所にも届けるのでトラブルもあるかもしれませんが』
『その分おちんぎんはおっきぃですよ?』

なるほどデリバリーの仕事か……走り回れば良いだけだし新しい食事場の開拓にも役に立つかもしれない。
トラブルというのが少し気にかかるが自分だって異能がある、これは向いてるんじゃないか?と思案顔に。

高坂 綾 >  
なに笑ってんのぶっ殺死ろすぞ。
いけない心の中で人間には発声の不可能な言葉が。

「なるほどそれはエクスキューティブ(行動的)な男性ですね」
「オルタナティブ(代替案)お願いします」

チェンジ!!!

「ねぇさっきからおかしくない?」
「なんかこう……穏当なお仕事がなくない………?」
「風紀の手を気にしなきゃいけないデリバリーでおちんぎんがおっきいの危(ヤバ)いでしょ!!!」

騒ぎ出した私の両腕を女性職員二人が掴む。
ええい触るなぶっ殺破壊滅腐病葬怨魔死ろすぞ!!!

「離せ!! 私は正気だ!!」
「ソイレントグリーンイズヒューーーーマーーーーーーーン!!!!」

真実を暴く言葉を叫びながら。
私は連行されていった。

(後日ちゃんとしたバイトがグッドワーク略してグドワで見つかりました)

ご案内:「人材派遣部活「馬車馬」」から高坂 綾さんが去りました。<補足:死んだ眼/制服/ローファー/赤いリボン>
天月九郎 > 「行っちゃった……」
どうしたんだろうか、英語をたくさん喋ってたけど俺にはちょっと判らない。
英語をいっぱいしゃべれるなんて凄いなあと思いました。

『仕方ありませんね、では天月さんの方を詰めてしまいましょうか、デリバリーのお仕事で構いませんか?』
「はい、ではそれでお願いします」
『一日を72時間と思い込んだ場合は何十時間くらい働けそうですか?』
「いえ、一日だいたい4時間程度でお願いします」
『チッ…銭闘力たったの5…ゴミめ…』
「今舌打ちしました?」
『いえ、ただの投げキッスです』
「そっちの方が怖い!!!」

眼鏡かけてる真面目そうな大人の人でも冗談を言うんだなぁ。
冗談だよな?
冗談であってくれ。

結局その日はお仕事の資料(読了後滅却処分のこと)を貰い帰る事にした。
後日、俺はもう一度あの部活に行ってメフィストさんを呼んで欲しいとお願いしたらこう言われたんだ。

『そのような部員は居ませんが』
って……結局彼はなんだったんだろうか。
わからない、でも一つだけ言える事がある。
おちんぎん早くほしいのぉ…ってさ。

ご案内:「人材派遣部活「馬車馬」」から天月九郎さんが去りました。<補足:14歳/159cm・55kg/真っ赤にWORKING!!と書かれたシャツ>