2020/06/17 のログ
ご案内:「転移荒野【「門」顕現注意報発令中】」に羽月 柊さんが現れました。<補足:【乱入歓迎】【はづき しゅう】長めの紫髪に桃色の瞳の男/31歳179cm。右片耳に金のピアス。>
羽月 柊 >
「ここの戦った痕はまだ新しいな…。」

そんなぼやきが暗空へ吸い込まれた。

肩に小さな白い鳥のような何かを一匹乗せた男が転移荒野に居た。
手にカルテのようなモノを携え、記入を行っている。

長い紫髪を一つに纏め、桃眼がせわしなく荒野と手元のカルテを行き来する。
今日は普段の白衣もなく、フィールドワークにふさわしい黒の軽装だ。
それでもかっちりと着ていない辺り、彼の性格が伺えるが。


『門』の注意報を聞き、動きもそろそろ中盤から終盤に差し掛かるだろう時期。
研究区住みであるこの男、柊は今回の門の顕現による影響やらを調べに来ていた。

それに、新しい"子"が見つかるかもしれない――。


「それにしても、どうやったらこんな爆発痕になるのやら…。」

まだ若干熱が燻っているような凹凸の地面を睨む。
梅雨のこの時期だ。雨でも降ればすぐに均されるというのに、
それが無いのだからここ数日のことなのだろうと検討をつけている。

羽月 柊 >
男は、カルテを持っている手にはまっている様々な装飾品の一つである青の指輪を、
ペンを持った手で一定のリズムで…軽く小突いた。遊んでいる訳ではない。

そうすると空中に小さな色とりどりの光の粒が浮かぶ。
なんてことはない、周囲の魔力だの生命反応だのを観測するためのモノだ。
余程気配を隠す魔法だの、そういうモノに長けていなければ引っかかってくれるだろう。


――規模は測りかねるが、男の立っているこの周辺は他の気配も薄い。
派手に暴れて存在を示すようなやり方だ。おそらく"掃除"か何かをしたのだろう。

「フェリアの位置は……セイル、交代の準備だけしておいてくれ。」

そう、肩に留まるそれに話しかけた。

羽月 柊 >
「…次の哨戒で今日は終わりだな。
 迷い子なんかはこっちで確保出来た方が早いんだが…ただでさえ最近出費がな
 そろそろ生え変わりの回収と売買も……時間が足りない」

薄暗がりの中、男の声だけが夜風にさらわれていく。


やがて小さな羽ばたきの音。それと同時に――。

羽月 柊 >
空に散りばめていた粒の一つが、
桃色の光の粒に向かって重なって来るのが男の眼に入った。

この凹凸の地を駆ける音。
カルテから目を離し、己の死角だった場所へ向かいペンの切っ先を突きつける。
ジャラリと、指と指を繋ぐ鎖が音を立てた。

「セイル! 『狩人の罠、瞬きの冬、地より出でよ!』」

一瞬視界に入った、黒い四足のナニカが男に飛び掛かろうとした瞬間、
キューイという鳴き声と共に、彼の周囲がパキリと霜を踏みつぶすような音がし、

そのナニカの足を……氷の茨が縛り上げていた。

羽月 柊 >
飛び掛かる勢いが急に失速した為、
黒い四足のナニカは地面に叩きつけられるように伏せる。

そこから数歩、男は引く。
そして小さな羽ばたきと共に、柊のもう片方の肩に重みが乗った。
見れば白い鳥のような生物がもう一匹。

「おかえりフェリア。戻ってきてすぐに悪いが、あれを焼いておいてくれるか。
 時間的に嫌な類が出始めて来たな……。これ以上の長居は無理か…?」

最後の哨戒をと思ったが、切り上げた方が良いのかもしれない。
戻って来た肩のそれは男の指示を聞くと、口からぽっと小さな火を出した。

小さな火は蛍のようにゆらゆらと不規則に動き、
拘束されているナニカへ触れた瞬間、急に火が大きくなると、
氷の茨ごと、それを飲み込んで辺りを照らした。

羽月 柊 >
嫌な時間。それは丑三つ時。
大変容を迎えたとはいえ、ここは日本。
逢魔が時や丑三つ時は警戒したくなるというモノ。

とりあえず火で獣の類は退くかもしれないが、
逆に火に惹かれてやってくるモノも居るかもしれない…。

羽月 柊 >
粗方その火が燻るのを眺める。

「さて…『雨の季節、海の記憶。砂漠に降る恵。』」

ぽんぽんと言霊を落とし、空に水を出すと火を消した。
焼け残りを確かめるとカルテとペンを仕舞いこみ、軽く手を合わせた。



「…よし、帰ろうか。二人とも……油断はしないようにな。」

そうして、男の姿は夜の黒に溶けていく。
後には焼け落ちた怪異の残骸だけが残っていた。

ご案内:「転移荒野【「門」顕現注意報発令中】」から羽月 柊さんが去りました。<補足:【乱入歓迎】【はづき しゅう】長めの紫髪に桃色の瞳の男/31歳179cm。右片耳に金のピアス。>