2020/08/17 のログ
ご案内:「商店街」に神樹椎苗さんが現れました。<補足:黒基調の衣服、スカート。怪我だらけの自殺癖。時間や細かいシチュはお任せ。後入歓迎 ~6:00までRP可>
神樹椎苗 >
夕暮れ前の商店街にて、椎苗は難しい顔をして精肉店の前に立っていた。
目の前のケースに並んでいるのは、様々な肉と値札。
さらにコロッケやカツなどの惣菜も置かれていて、どれも美味しそうに見える。
「むう――」
並ぶ肉を睨みつける。
現在、『娘』がちょっとしたトラブルで部屋に泊まり込んでおり、普段しない料理などをここ数日行っているのだ。
しかし、料理自体はレシピ通りにやればどうにでも出来る物の、素材選びまでは簡単にいかない。
「一番いい肉を――ああいえ、やっぱり自分で選ぶのです」
迷う椎苗を見かねてか、店員に気を使ってもらうものの、『娘』に食べさせる物となれば自分で選びたかった。
神樹椎苗 >
誰かに料理を振舞うなんて経験は、当然この数日、娘が来てから初めての事だった。
そして、自分の作ったものを嬉しそうに食べて貰える事が、想像した以上に嬉しい事だというのも初めて知った。
だからこそなのだろうか、娘の口に入る物は、出来る限り自分の力で用意したい。
「鳥、豚、牛――やっぱり鳥ですかね。
普段の食事を考えたら、食べやすいものが良いでしょうし」
娘は普段、まともな食事をとっていない。
食事の質と時間を削って他のものに当てているのだ。
それ自体を悪いとは思わないけれど、そうなると消化吸収も普通より弱っていそうなものだ。
神樹椎苗 >
さらに、娘は内臓がぼろぼろなのだ。
BBQの時は平気そうにしていたが、そこは気を使うに越したことはない。
やはり消化しやすく、食べやすいものが良いだろう。
そうなると脂が多いものは避けるべき。
日系人であることを考えると、本当は動物性たんぱく質も消化には良くないのだけれど。
そこまで気にしすぎると今度は精進料理のようになってしまう。
「それもちょっと、味気ないですしね」
となれば、肉の量は少なくていい。
脂が少なくて、品質の良いもの――見てもわからない。
知識はあっても、実物を見て検討するには経験が足りなすぎる。
「――ええと、量は少なくていいので、脂が少なくて食べやすい鳥肉を。
ああ、値段は幾らでも構わねーですから、条件に合う一番いいのを頼みます」
そう店員に伝えて、見繕ってもらう。
肉はまあこれでいいだろう。
あとは魚や野菜――デザートなんかもつけてやると喜ぶだろうか、なんて考えつつ。
ご案内:「商店街」に柊真白さんが現れました。<補足:白ワンピース、白ニーソ、赤いロリータシューズ。>
神樹椎苗 >
店員に肉を用意してもらい、提示された金額を確認する。
ネコマニャンポシェットから財布――ではなく、黒いカードを取り出して店員に差し出した。
驚いた顔をされたが、そこは常世島で働く者。
想定外など想定内というわけだ。
「――さて、次は魚でも見に行きますか」
夕飯の主菜になる予定の魚だ。
白身魚か赤身の魚か。
あっさりとした薄味で食べられる魚と考えると、白身魚がよいだろうか。
冷却魔術の掛かった大きな保冷バッグに、受け取った鳥肉を押し込んで。
今度は斜向かいの魚屋へと向かっていく。
柊真白 >
魚をじいと睨みつける少女がそこにいた。
上から下まで真っ白の少女は、難しい顔をして魚を睨みつけている。
別に選ぶのが難しいわけではない。
考えているのは別のことだ。
「……。」
しかしはたから見れば、どの魚を買っていいかよくわからずに困っている少女にしか見えないだろう。
そんなことには気付かず――元よりどう見られているか気にしても居ない――、少女は魚を睨み続ける。
神樹椎苗 >
魚屋に向かえば、そこには白い少女が居た。
その真剣に魚を選んでいるような様子を見ると、先ほどの自分もこんなだったのだろうかと眉をしかめる。
とりあえず、何をそんなに悩んでいるのかと隣に並んで見て見るが――わからない。
「さすが、どれも新鮮そうな魚が揃ってますね」
白い少女の隣に並びながら、声を掛けるというには独り言じみた調子で呟いた。
椎苗が黒系の衣服を好むのと対照的な白い少女。
二人が並ぶと、綺麗に白と黒の対比ができあがる。
柊真白 >
ちら、と横を見る。
黒い少女。
「――この時期ならアジやイワシ、カワハギとかカンパチとかいい」
自分よりも更に小さい彼女の零した言葉に、今が旬の魚を挙げていく。
知っているかもしれないけれど、そのときはその時だ。
神樹椎苗 >
隣の白い少女の言葉に、椎苗も神妙にうなづく。
「旬になりますからね。
しかし食べたことがないので、いまいちわからないのです。
特に薄味で食べやすい魚となると、どれになりますかね」
ううん、と唸りながら並ぶ魚を眺める。
鮮度はどれも申し分ない。
この時間でも見るからに活き活きとしている。
だがしかし、実際に食した時どういうモノなのか。
やはり知識だけではわからない。
食事を必要としない事の弊害が、まさかこんな形で現れるとは思っていなかった。
柊真白 >
「薄味……?」
ゆっくりと彼女の方を見る。
その表情は――小さな変化ではあるが――目を見開き、信じられないと言ったようなもの。
「食べ物にはそれぞれ味がある。確かに比較的味の感じにくい食べ物はあるけれど、それは薄いわけではなく繊細な味と言うことであって決して薄味な訳ではない。そもそも味を濃い薄いの二元論で語るのはあまりに乱暴が過ぎる。味が薄いのではなく他の味に邪魔されやすい味と言うだけだし、その味を活かしてしっかり調理すれば生命力を感じるような力強い味を感じることが出来る。それを薄味などと言う文字通り薄っぺらい言葉で評するのは流石に看過できない」
めっちゃ早口。
料理に拘るものとしてはそこだけは絶対に譲れなかった。
「だから薄味の魚なんて、ない」
神樹椎苗 >
突然の早口による拘りの炸裂。
椎苗もまた、その剣幕に驚いて目を丸くした。
しかし、言われてみればなるほど、納得できる言い分である。
「それは失言でしたね。
なにぶん、しいは食事を必要としませんから、これまで食材なんて考えた事もなかったのです。
料理をするのも、ここ数日が初めての事でしたから」
そう釈明しつつ、となると困ったというように眉をしかめる。
ますます選ぶのが難しくなってしまった。
「娘に、消化に良くて食べやすく、美味しいものを食わせてやりたいのです。
料理自体は、レシピ通りに作る分には出来るのでいいのですが。
食材を選ぶというのは、なんとも悩ましいものなのですね」
ううん、と唸りながら、白い少女の隣で真剣に魚を見比べている。
柊真白 >
「娘――娘?」
改めて二度見。
いやまぁ自分もそうだが、人は見かけによらない。
この島では尚更。
「食事自体が出来るのなら、出来るだけすることをおすすめする。美味しい食事は人の心を豊かにする」
食事は栄養補給のためだけの行為ではない。
むしろそちらの方が重要な要素だとすら考えている。
そうでなければ世界中で様々な料理が生まれているはずがない。
「消化に良いってことなら、煮物が良いと思う。魚なら白身魚、カワハギの煮付けとか。一番いいのはおかゆだけど」
胃腸が弱っているなら無理矢理美味しいものを食べることもない。
まずは胃腸の回復、ごちそうはそれからでも遅くはないだろう。
神樹椎苗 >
白い少女のアドバイスを、真剣に頷いて聞く。
外見だけ見ればそれほど離れた相手には見えないが、おそらく亜人種なのだろう。
それにしても、ずいぶんと料理に関して造詣が深いようだ。
「なるほど煮物ですか。
一応娘は普通の食事も摂れてるのですが、内臓が弱いようですので。
カワハギ――ああ、これがカワハギですか」
並んでいる魚の中から、カワハギと書かれた魚を見つけ出す。
なんだか変わった形の魚だった。
「食事――これまでは甘味にしか興味がなかったのですが。
人に料理を振舞う事を考えたら、しいも味覚を養う必要はあるでしょうね。
この数日、味見をするたびに新鮮な気持ちにされてるのですよ」
柊真白 > 「ふうん」
内臓が弱い。
ならばのんびり食事をしている場合ではないのでは、と思ったのだが、それにしては落ち着いているので、まぁ問題もないのだろう。
「この口のところに切れ目入れて、皮を引っ張れば綺麗にはがれる。だから、カワハギ。肝がとても美味しい」
突き出したような口を指して。
あぁ、喋っていたらカワハギの刺身が食べたくなってきた。
今晩はこれにしようか。
「――よかったら、教えようか」
提案。
娘のために苦手でも手料理をふるまおうとする姿勢。
手伝えることなら手伝う、と。
神樹椎苗 >
ふうん、と訝し気な反応をされれば、静かに首を振る。
「今絶賛療養中なのですよ。
本当ならベッドに縛り付けておきたいところですが。
専門外ですし、治療に関しては主治医に任せるしかないですからね」
そうとだけ、簡潔に伝えた。
「何とも食べる側本位のネーミングですね。
少しばかり、カワハギが不憫に思えるのですよ」
カワハギの説明を聞けば、複雑そうな苦笑を浮かべる。
そして白い少女の申し出に、なおさら難しそうな顔をした。
「――確かに、お前は随分と造詣が深いようです。
その経験を伝えてもらえるのは非常にありがたい話ではありますが。
そこまで手助けしてもらう理由がないのですよ」
魚選びや料理のアドバイスを貰えただけでも十分すぎるのだ。
申し出はありがたいのだが、そこまでしてもらうのは気が引けてしまう。
柊真白 >
「じゃあ主治医に食べていいものを聞いた方が良い」
彼女の娘の調子がどの程度かはわからないが、それこそ餅は餅屋だろう。
素人判断で手を出すのはよくない。
「それを言ったら名前と言うのは人間が付けたものだから」
カワハギは自分がカワハギと呼ばれていることなど知らない。
ただ生きるのに必死なだけだ。
それを人間が勝手にカワハギと名付け、皮を矧いで食べているだけ。
カワハギをお買い上げしながらさっくりドライに切り捨てる。
「美味しいごはん、食べさせたいんでしょう。技術や知識は誰かから継承するのが一番早い。気が引けるなら指導料も貰うけど」
神樹椎苗 >
主治医――会ったこともないが、娘の様子からは信用できる相手だった。
「そうですね、そのあたりも一度娘にちゃんと確認させますか。
食べてはいけないもの――血圧が上がるようなものは避けるべきなんですが、それくらいしか見当がつかないですし」
白い少女のアドバイスを、素直に聞き入れる。
主治医に直接連絡を取るのは一番なのかもしれないが――過干渉になるのも考え物だ。
娘と言っているものの、相手はちゃんと自立できる年齢なのだ。
「指導料ですか――取ってもらえた方が気楽ですね。
お前がそれでいいなら、是非教えてもらいたいところです。
もちろん、指導料は技術に相応しい言い値で構わねーですから」
技術には当然、相応の対価を支払うべきである。
それが金銭でいいなら、話が簡単でなおさらありがたい。
柊真白 >
「ん、それがいい」
医者と言うのはある意味絶対だ。
自分の仕事とは正反対の職種だが、自分と同じく人の命を左右する職業なのだから。
「じゃあそれで。いつからにする、今日から?」
話は早い方が良い。
家で恋人がお腹を空かせて待っているかもしれないが、まぁ材料がないわけではないし、彼も料理は出来る。
そう言えば居候も居たな、と思いつつも、きっと彼が適当に相手をするだろう。
なのでいつからでも構わないと言うように。
神樹椎苗 >
「さすがにこれからと言うのは、少しばかり図々しすぎるのですよ。
ああでも、早いうちにお願いしたいところではありますし」
出会ったばかりでその日の内に、となるといくら何でも好意に甘えすぎている気がする。
そもそもまだ名前すら――。
「――そう言えば、まだ名乗ってすらいなかったですね。
生徒になるのなら、ちゃんと挨拶くらいしておかねーといけないです」
と、白い少女に改めて向き直り、まっすぐ見上げながら軽く頭を下げる。
「かみきしいな、と言います。
学園で初等教育を受けている、一年、十歳です。
よろしく頼むのですよ、白ロリ先生」
柊真白 >
「別にいいよ。予定もないし」
夏季休業中だし。
家に帰っても料理するだけだし、特にやることは変わらない。
「十歳??」
やっぱりそのぐらいの年齢だった。
十歳で娘??? 娘何歳???? 異能出産?????
流石に混乱。
「――柊真白。二年、十四歳……」
とりあえず名乗られたので名乗り返す。
神樹椎苗 >
「ええ、十歳ですが。
ああ少しばかり成長は止まってるので、体は七歳ちょっとでしょうか」
驚かれたので、軽く補足してみる。
見当違いの補足だったが。
「二年でしたら、先輩でもありますね。
白ロリ先輩ですね。
では好意に甘えて――明日から頼んでもいいですか」
今日から頼んでもよいのだろうけれど、時間が遅くなってしまっては娘がまた食事とも言えないモノで済ませてしまいそうだ。
少なくとも自分の部屋にいる間は、出来るだけちゃんとしたものを食べさせてやりたいのだ。
というより、普通の人間らしい生活をさせてやりたかった。
「しいも特別忙しくはねーですので。
時間はお前の都合に合わせるのです。
――ああこういう時、連絡先を交換するのがいいのでしたっけ」
そう言いながら、片手で器用にポシェットからスマートフォンを取り出した。
柊真白 >
「……」
絶句。
七歳で母親。
自分が生まれた時代にもそんなことはなかった。
と言うか七歳って子供出来ないでしょ。
やっとそこに気付くも、それにしたってその歳で娘――義娘かもしれない――とは。
「柊、真白。わかった、じゃあ明日から」
白ロリ先輩と呼ばれ、もう一度名前を告げる。
ちゃんと名前を呼べと言わんばかりに。
「ん。じゃあ昼頃で」
夜遅くにするよりは、昼間の内の方がいいだろう。
こちらもスマホを取り出し、連絡先の交換を。
神樹椎苗 >
「わかりました、ではまた改めて連絡するのですよ」
連絡先を交換し、昼頃にという提案には素直に頷く。
「では、今日はアドバイス通り、カワハギの煮物を試してみるのですよ。
色々とためになる話が聞けて助かりました」
そう白い少女に言いながら、魚屋にカワハギを一尾用意してもらう。
ポシェットから黒いカードを出して支払いをすると、カワハギを保冷バッグに詰め込む。
「それでは、明日からよろしく頼むのです。
なかなか厳しそうな先生ですから、しいもちゃんと気合を入れておくのですよ」
と、買い物を済ませたら、しっかりと頭を下げる。
椎苗なりの敬意を見せた態度だった。
柊真白 >
「ん、待ってる」
スマホをポケットにしまい、買ったカワハギを買い物袋に入れた。
今日はカワハギの刺身だ。
「でも、基本的なことは出来るんでしょう。なら別に難しいことはないと思う」
レシピ通りに作れる技術があるのなら叩き込む必要もない。
一緒に料理しながらコツを教える程度だろう。
「ん、こちらこそ。それじゃ、また明日」
こちらも頭を下げる。
そして次の食材を得るためにその場を後に。
カワハギの刺身と合うものを探して商店街を見て回る――
ご案内:「商店街」から柊真白さんが去りました。<補足:白ワンピース、白ニーソ、赤いロリータシューズ。>
神樹椎苗 >
白い少女を見送って、さて、と、椎苗も煮物に合わせる野菜を考える。
煮物を主菜に据えるなら、全体的に和食になるだろうかと。
「――ふふ」
娘が喜んでくれる様子を想うと、つい、頬が緩んだ。
可愛い娘のために、明日からしっかり、コツを教わっていこう。
そんな献立に悩みながらの買い物は、意外なほどに楽しい時間だった。
ご案内:「商店街」から神樹椎苗さんが去りました。<補足:黒基調の衣服、スカート。怪我だらけの自殺癖。時間や細かいシチュはお任せ。後入歓迎 ~6:00までRP可>