2015/06/13 - 16:17~00:46 のログ
ご案内:「ゲームセンターアンファンス」に岡部 吹雪さんが現れました。<補足:まだら髪の教師。灰色のスーツ姿>
ご案内:「ゲームセンターアンファンス」に桜井 雄二さんが現れました。<補足:不燃不凍のスーツに身を包んでいる。>
岡部 吹雪 > 人は皆、強さに憧れを持つ生き物だ。
勉学ができる。運動神経が良い。もしくは。または。
ここに集う若者たちは、自らの強さを信じていた。
俺が一番強い。それだけをただ証明するために、今日も彼らは自らの存在意義をぶつけ合うのだ。

桜井 雄二 > (強い is ストロング)
(強さの証明、それは簡単ではない)
(戦えば傷つくだろうし、遺恨も残るかも知れない)
(しかしこの場であれば、そういう心配はない)
(賭けろワンコイン、駆けろ戦場)

岡部 吹雪 > このゲームセンターはプライズの類を一切用意していない。
あるのは対戦ゲーム。それも人類を魅了して止まない、対戦格闘ゲームだ。
一番人気は"ゴールデンエイジ"というタイトル。
時代を超えた英雄たちを操作する、非常にオーソドックスなタイプのゲームだが
異能や魔術・重火器など個性的なキャラクターがそれらを用いる様が、現代を生きる若者の間に親近感を与えるのだ。

岡部 吹雪 > 今、新たな勝利者が決まった……。
敗北者はただ椅子から立ち去るしかない。
そこには現実世界で不良だろうがオタクだろうが、子供だろうが大人だろうが関係ない。
ここにあるのは、力だ。

桜井 雄二 > (力――それは如実な差となって現れる)
(対戦格闘ゲームとなればなおさらだ)
(ゴールデンエイジ――その戦争の真っ只中)
(弱いものは去り、強いものは残る)
(ただただ現実に根ざした戦いがそこにある)

岡部 吹雪 > 負け犬の背の向こうから、男が現れる。
サングラスの向こうに覗く眼光は、まさに戦士の目。
慣れた手つきでコインを入れる。ギャラリーの意識は彼が何秒で立ち去るか、その一点のみに注がれていた。
それもそのはず、彼の向かいの男は現在43連勝中。
勝てるはずがない。誰もがそう思った。
ただ一人、サングラスの男……岡部 吹雪を除いては。

桜井 雄二 > 岡部先生………!(同じゲーセンにいた桜井はその勝負を見守る)
(43連勝、破竹の進撃)
(それをワンコインで止められるなんてことがあるだろうか?)
(戦いは今、これから始まるのだ)

岡部 吹雪 > 圧巻だった。嘲笑めいた観衆の声は、一斉に静まり返った。
12秒パーフェクト。そこに慈悲はない。
モニターで勝鬨を上げる彼のキャラだけが、雄雄しく叫んでいた。

「……いるんだろ。座れよ。」
岡部は待っている。次の対戦相手を。
自らを満足させてくれる男の名乗りを。

桜井 雄二 > ………俺がいく。(対面に座る)
(ギャラリーの声がどよめきに変わる)
(43連勝を止めた完全なる男と、海とも山ともわからないチャレンジャー)
(その戦いが今、始まろうとしているのだ)

(もう予測はつかない、誰もが見守るだけだ)

岡部 吹雪 > タイトルコールからキャラクター選択画面へと移る。
通常格闘ゲームとなれば、キャラクターそれぞれに個性がある。
故に性能差もあれば相性もある。
勝者は一度手の内を見せている以上、挑戦者側が圧倒的有利。
勝者はキャラクターを継続しなければならないが、挑戦者は自由に選択ができるのだ。

岡部が選択したのは"ハイエナ"。身軽な動きが売りの快楽殺人鬼である。
熟練のゲーマーですら、ハイエナのラッシュを凌ぐことは難しい。
一度選択を誤れば、先の敗北者と同じ道を辿ることになるのだ。

「さあ、どれで来る。」
勝者の余裕か。
ギャラリーが気圧されたまま、ざわめきだけが響いている。

桜井 雄二 > (慣れた手つきでキャラクターを選択する)
(桜井が選択したのは“フェルパー”)
(猫耳剣客女子――――身軽さには身軽さを)
(抜刀居合いの持つ圧倒的リーチとスピード)
(それと引き換えの紙装甲を併せ持つ反射神経が全てのキャラクター)
(ワンミスが死に繋がるが、攻撃性能で押し切ろうという腹積もりだ)
(それにこのキャラは奥の手がある―――ゲージを消費する奥の手が)

岡部先生…俺はあんたに憧れている……
それをこのままぶつけさせてもらう!!
(その言葉に、ギャラリーが沸いた)

岡部 吹雪 > カウント2、1。ラウンドコール。
明けて互いに飛び出し攻撃は相殺!
図らずしも距離は密着、入れ込んだ投げコマンドによってハイエナがフェルパーに掴み掛かる!
しかしフェルパーも読んでいた。同様のコマンドを仕込んでいた。
悠々と投げ抜けからの居合いが閃く!

「ハハッ!」
攻撃判定の先が空を切った!
ハイエナのバックステップは発生が早く、やられ判定が後ろへ下がるのが特徴。
ここまでは読めていた。だがこれはどうだと間髪いれずに前ダッシュ。
屈Kを強引に刷り込むことで、揺さ振りをかける算段だ!

桜井 雄二 > (レバーを操作する手は精妙であるが、止まることはない)
(一瞬の判断の差が命取りだ――――こと、この戦いに関しては)
(屈Kを前に防御を強いられる)
(このままではいけない――――フェルパーは防御性能がお世辞にもいいとは言えない)
(ガードクラッシュからどんなコンボを叩き込まれるかわかったものではない)

(その時、桜井が選択した行動は“暴れ”)
(立ち弱Pと屈弱Kを交互に連打するというもの)
(相手に攻勢を許していては負けを待つばかり)
(フェルパーの素手と蹴りでの牽制が場を引っ掻き回す)

岡部 吹雪 > 忙しなく立ちとしゃがみを繰り返す両者。
格闘ゲームとは制空権の奪い合いである。
ただそこに攻撃を振っているだけに見えようが、プレイヤーが認識するのは絵ではない。
発生速度や判定の強さ。硬直の足し引き。
彼は数式で殴り合っているようなものなのだ。

フェルパーの牽制で距離が開く。
ハイエナはショートソードをくるりと回す挑発モーションを見せると
間髪入れずそれをキャンセル! 岡部はコマンドを入れ込んだ。
瞬時にフェルパーの背面から現れたハイエナは、不意に斬撃を見舞う!

桜井 雄二 > (攻撃と攻撃の繰り返し)
(闘争と闘争のぶつかり合い)
(生命と生命の奔流がそこにある)
(入れたものはワンコイン、賭けたものはプライドそのもの)

(フェルパーが背中から切り裂かれて一歩前へ踏み込む)
(その瞬間、桜井はレバガチャを始める)
(バックスタブダメージはともかく、隙を軽減するためである)
(コンボが繋がらないほどの最小の隙によろめきを軽減した後)

(絶妙な位置でフェルパーの立ちPがハイエナに刺さった)

(そのままコンボを入力していく)
(立ちPを数度、屈Pで浮かす、跳躍して追いつく、空中コンボ)
(そこからの空中コンボの〆に使う、普段なら隙の多い技)
(“雪童”でコンボを完遂する)

(桜井がニヤリと笑う、これならバックスタブダメージにも負けない火力が出る)

ご案内:「ゲームセンターアンファンス」から岡部 吹雪さんが去りました。<補足:まだら髪の教師。灰色のスーツ姿>
ご案内:「ゲームセンターアンファンス」に岡部 吹雪さんが現れました。<補足:まだら髪の教師。灰色のスーツ姿>
岡部 吹雪 > 「いいねェ、そうこなくっちゃよ!」
壁に打ち据えられ体力バーは残り4割。手痛い反撃には相違ないが、それはそれ。これはこれ。
ダメージの蓄積によってモニター下部のゲージが点灯。
受身で着地の隙を消すと同時、画面が暗転しハイエナは姿を大きく変える。
その名に相応しい、異形の獣に。
牽制の性能ではリーチの差もあり押され気味だったものが、醜悪な爪を得たことにより逆転。
体力差を感じさせない程に、ハイエナはラッシュをかける!

低空ダッシュからの鋭い飛び込み!
ガードの上から着実に体力を削る猛攻!
攻撃後の隙をキャンセルし裏回りしもう一撃!
着地に合わせて下段下段中段下段!
全てを防ぎ切る桜井の動体視力に息を巻くが、岡部はそこで終わる大人じゃない。
大人げないタイプの大人だ。

投げを仕込むがフェルパーの投げ抜け。
仕切り直しとばかりに互いに硬直は0からのスタート。
無敵技で切り返すか、それとも距離を取るか。
はたまた堅実にガードを固めるか。
岡部の選択は、先程のように暴れると踏んでの一点読み!
ガード不能のコマンド投げにより、画面が暗転しおどろおどろしい闇へと染まる!
大振りに振り被った爪がフェルパーに触れれば、勝利演出が確定する……!

桜井 雄二 > …………!
(ハイエナの能力、完全獣化を前に押されるばかり)
(ガードの上から体力は削り取られていく)
(一発でも攻撃を食らえば取り返しがつかない)
(その覚悟でガードを重ねていく)

(投げぬけの直後の一瞬の攻防)
(その瞬間、桜井はコマンドを叩きつけるように入力していた)
(下、下、全ボタン同時押し)
(瞬間、フェルパーが剣を天へ向けて掲げた)

(能力解放)

(ゲージを消費して最強形態へと短時間変化するその技)
(一瞬の無敵時間でガード不能の爪をすり抜ける)
岡部先生ぇ!!(叫びながら複雑なコマンドを入力する)
(勝つにはこの瞬間しかない)

(相手のモーションに割り込むようにフェルパーの剣が白の極光を集める)
(そして獣化したハイエナに振り下ろす刃と共に輝きを叩きつけた)
(コンボカウントが上がり、自分の超必殺ゲージが空になる)

(そして)

………!(桜井は右手を振り上げた)
(戦いに勝ったのは、桜井のフェルパーだ)

岡部 吹雪 > 歓声。ただ歓声あるのみである。
強さは理屈ではない。彼らを焦がして止まない衝動なのだ。
桜井は自らの強さを証明し、ギャラリーは証人となったのだ。

「強くなったじゃねえか……桜井。」
誰に聞こえることもなくぽつりと言い残すと、岡部は、敗者は立ち去った。
その表情は満ち足りているが、しかし、しかし彼は諦めてはいない。
次こそ勝つのは俺自身だと、強き決意を胸に秘めて。

岡部 吹雪 > なお、翌日また普通に負けた。
ご案内:「ゲームセンターアンファンス」から岡部 吹雪さんが去りました。<補足:まだら髪の教師。灰色のスーツ姿>
ご案内:「ゲームセンターアンファンス」から桜井 雄二さんが去りました。<補足:不燃不凍のスーツに身を包んでいる。>