2020/09/09 のログ
ご案内:「ちょっとむかしの、おなし」に白い少女さんが現れました。<補足:真っ白な髪、真っ白な服。青白い瞳。>
白い少女 > すこし、むかし。
ある所に、女の子はいました。
女の子も、そこがどこかは知りません。
少し前に、気がついたらそこで目がさめて、そこからは、そこでおきて、ごはんを食べて、ねています。

そこからは出られないことだけ、しっていました。

白い少女 > おへやの中には、なにもありません。

うそです。ベッドと、トイレと、おとなの人がもってきてくれる本があります。
そとがみえるまどと、とびらもあります。とびらのちかくに、おおきなガラスのまどもあります。

そとがみえるまどからは空が見えて、たまに、とりが飛んでいます。
空のとおくにちいさなほそいくもをうむとりがとんでることがあって、それがとんでると、ちょっとだけ女の子はこわいな、と思うことがあるけれど、見えるのは、それくらいでした。

とびらは、あけるところがないので、女の子にはあけれません。
おとなの人だけ、女の子のごはんをもってきたり、女の子をよぶ時だけ、あきます。

とびらのまえの大きなまどは、たまに人がきたりしますが、ふだんはなにもありません。

白い少女 > 「―――」

女の子は、ぼうっとしていました。
それしかやることがないから、それだけしていました。
本をさいごまでよんでしまうと、おとなの人があたらしい本をくれるまで、女の子はほかにやることがないので、いつもおなじように、まどのそとを見ます。

白い少女 > 『―――番、時間だよ。』

ガラスの先におとなの人がきたので、女の子はそっちの方を見ます。
へんじをしないとおこられるので、すぐに、女の子はへんじをします。

「はい」

とびらがひらいて、おとなの人がそっちにくるように、といいます。
いられたとおりに、女の子はそっちにいきます。
まえにいかなかったら、てをひっぱられて、とてもいたかったので、自分からいくことに女の子はしていました。
とびらの外にいけるのは、こうして、おとなの人がよんだときだけです。
とびらのそとに出ると、おとなの人のうしろをついていきます。

白い少女 > まっすぐすすんで、またとびらがあって、すすんで、よこにまがって、すすんで。
おとなの人がきて、女の子を見て、もってるいたで何かかきながら、ついてきます。
そのままあるいていくと、ひろくて色々なものがあるおへやに、女の子は入ります。
色々なものと、みんなおなじ白いふくを着たたくさんの人がいて、ちょっとヘンなにおいがして、女の子はここが苦手でした。

『それじゃ、ベッドに寝転んでね。注射をしようね』

白いふくの人がそう言って、女の子に近づきます。
この、ちゅうしゃ、というのが女の子はすきじゃなかったけど、しないといけないらしいので、言われたとおりにしていました。
いわれたとおりに、ベッドにねころんで、白いふくの人が、手に、ちゅうしゃ、をしました。
ぷつっ、と、ちゅうしゃ、をした所がいたいですが、女の子はいたいとは言いません。
いたい、と言う前に、すぐにねむくなって、ねてしまうからです。

白い少女 > 目がさめると、いつものおへやにもどっています。
ちゅうしゃ、のあとにぐっすりねむったあとは、いつもあちこちからだがいたいけど、すこしすればすぐにいたくなくなります。



いたくなくなって少しすると、トントン、とおとなの人がとびらをたたいてから、はいってきました。
ふだんは、ごはんのときまでこんなことはないので、とてもふしぎに女の子は思いました。
おとなの人は、女の子とおなじくらいおおきさの男の子といっしょでした。
おとなの人とも、女の子とも、ちがう、少しよごれた服の、男の子でした。

みたことのない人だ、と女の子は思いました。

白い少女 > 『――――番。今日から、君の身の回りの世話をする子が来る事になった。
 さぁ、君も挨拶を。』

「―――です。よろしく、おねがい、します」

男の子は、女の子を見て、もごもごしながらいいました。
こんなことは、おへやにきてからはじめてだったので、女の子も、どうしていいのか分からなくて、こまってしまいました。

『これから毎日、彼が君の警護をするから、何かあったら、彼に何でも言うんだよ。
 それと、二人とも。なかよくね』

その日から、女の子の生活に、一人の男の子がいっしょにいるようになりました。
今日は、ここでおしまいです。

ご案内:「ちょっとむかしの、おなし」から白い少女さんが去りました。<補足:真っ白な髪、真っ白な服。青白い瞳。>