2020/09/08 のログ
ご案内:「風紀委員会本庁・資料室」に水無月 沙羅さんが現れました。<補足:身長:156cm 体重:40kg 不死身少女>
水無月 沙羅 > 自分の上司から頼まれたとある違反部活について、現在、水無月沙羅は過去の資料を片端から調べ上げていた。
先日起きたと目される、『シスター・マルレーネ』の失踪事件。
否、まだ失踪事件とも風紀委員会の中では目されてすらいない。
たかだか異邦人一人が教会からいなくなった、と言うだけの話。
それを一部の生徒が、行方不明、失踪、ひょっとしたら誘拐、と騒ぎ立てているだけの話だ。
だが、行方不明かもしれないと、自分の上司、想い人が否定しきれておらず、風紀としてではなく、個人的な捜査をしたいというのであれば、それを動きやすくしてあげたいと思うのは人情というものだろう。
それにあたり聞き込みによって幾つか明らかになったことがある。
違反部活『ディープ・ブルー』の活動に活発化が見られている。
その構成員もまた、発見報告が相次いでいる様だ。
事実、公安委員会もその動きの兆候を感じ取っているようで、調査を進めることが勧められた、というのが事の経緯に当たる。
ご案内:「風紀委員会本庁・資料室」に日下 葵さんが現れました。<補足:風紀委員の制服 コンバットナイフ ブレスレット>
水無月 沙羅 >
「『ディープブルー』、ね。 今更どうしてこんな組織が。」
昨日の夕暮れから、一度の帰宅を挟んでほぼすべての時間をこの資料室で過ごしていた。
眼には隈ができ、眼はかすんで来ている。
流石にそろそろ休憩して仮眠でもしようかというときになって、ようやくこの資料を見つけた。
違反部活動『ディープブルー』
かつて、落第街に拠点を置いていた違反部活。
学園にそぐわないとされる研究を繰り返す違反研究者達の集まりであり、その出自は明らかになっていない。
分かっているとすれば、彼らは基本的に研究の為ならば人道など意にも介さず、非人道的実験を繰り返していたという事位だろうか。
しかし、その彼らの拠点は何らかの実験の過程で『消失』の憂き目にあったらしい。
そして、ディープブルーは実質の自然消滅となった。
と、思われていた。
実際には公安委員の調査によって、未だに存在し続けていることが明らかになっている。
ここまでの情報では、よくある違反部活として処理できる。
シスター・マルレーネとの関係も特になさそうに思えるが、問題はその先にあった。
彼等は己の研究の為に拉致を繰り返している可能性があり、それが大きく表沙汰になっていない事から、隠蔽性も高い組織であるという事が推察できるという点だろう。
それ故に、彼らの情報はほとんどないに等しかった。
こうして一日資料室に籠って調べなければ見つからない程に。
「拉致を繰り返している可能性……か。」
確かに、シスター・マルレーネが居なくなったと目されている日時と、彼らが目撃され始めたのが、ほぼ同時期に当たることは少々気になるところだ。
しかし、それもあくまでも可能性でしかなく、決定的な証拠は何一つ存在していない。
彼らが、彼女を拉致誘拐した、とは言えないというわけだ。
つまり、『シスター・マルレーネ』の失踪に事件性は無い、と言える訳である。
「……でも、気にならないわけでもない。」
とりあえず、調べ上げた情報をメールに添付して、己の上司であるところの『神代理央』に送り付けた。
あとは、このディープブル―の拠点の一つでも見つけて、摘発するための資料作りができれば、『ついで』として、シスター・マルレーネの捜索程度ならできるだろう。
日下 葵 > 「資料室なんて何年ぶりでしょうか。
ペーパーレスの時代にあれだけの紙媒体を抱え込んでいるとか、
ちょっと気分が乗らないですねえ。
――開いてる?」
廊下を歩きながら独り言をぶつぶつしゃべるながらやって来たのは資料室。
電子ロックを開けようと手帳を鍵にかざすと、すでに鍵が開いていた。
こんな場所に来る風紀委員がいるのか……なんて思いながら扉を開けた。
「おや、誰がいるのかと思えば沙羅さんじゃないですか。資料整理ですか?」
そこにいたのはつい先日一緒にご飯を食べた同僚である。
何か資料整理かと問うが、彼女の様子は疲労の色が濃かった。
この様子だと随分長い時間ここにいるようだ>
水無月 沙羅 >
「あぁ、マモル?
ううん、ちょっと調べ事をね。」
彼女に話して良い物か、少々迷う所である。
というのも、彼女自体マルレーネさんにそこまで関係があるかもわからないし、自分のように頼まれているわけでもないからだ。
刑事課である彼女の手を借りれば、少しは調査の幅を広げられるかもしれないが、職務でもない個人的な調査を多くの人に頼むというのは、組織としてはよろしくない。
見ていた資料をテーブルに置いて、目頭を少し抑えた。
ほぼ不眠不休の調べごとによって、身体は思った以上に疲労をため込んでいる様だった。
どんな怪我でも治る不死とはいえ、疲労感までは消し去ってはくれないのだから役に立たない。
日下 葵 > 「ちょっと、ですか。
オーバーワークは仕事に響きますよ?」
テーブルに広げられた資料と、目頭を押さえる彼女の様子。
典型的な”働きすぎ”である。
「それだけ探すのに手こずるような資料探し、
他に人手を回してもらえなかったんですか?」
よほど人手が不足しているのだろうか。
あるいは人手を回してもらえない理由、
例えば秘密裏な調査だったり、個人的な調査だったり。
何にせよ疲れた様子の彼女を見ているとこちらまで疲れてしまいそうであった>
水無月 沙羅 >
「あー……んー……。
まぁ、確かにオーバーワークなんですが、そうもいっていられないと言いますか。」
苦笑いをして、彼女の言に肯定するように頷いた。
この後は少し休むべきだろう、次の書類はミスしましたでは洒落にならない。
「神代理央に私的に頼まれたことですからね。
あ、これオフレコでお願いします。
他人の手に任せて適当にされても困りますし。」
遠回しに、風紀の仕事ではないことを告げてみる。
本来であれば、私情で風紀委員の備品を使った調査は認められない。
今回はたまたまた、公安の方から情報が出ていたから都合よく乗っかっていただけに過ぎない。
あまりよくないところを見られてしまったなぁと、椅子の背もたれに寄り掛かった。
日下 葵 > 「随分ひっ迫しているんですねえ。
ていうか、あーん。神代さんから。
いやまぁ別に他の人に言いふらしたり、
適当なお節介を焼くようなことはしませんけど」
彼からのお願いか。
ともなれば多少無理してでも仕事しちゃうか。
なんて見当違いに納得する。
兎角、下手に手伝っても迷惑だろう。
そう思ってこちらはこちらの仕事をすることにする。
「とはいえ、普段来ないから何の資料がどこにあるかわかりませんねえ。
沙羅さん、ちょーっと申し訳ないんですけど、
スラムや落第街にある、宗教施設や支援施設についての資料って、
どこにあるか知りませんかね?」
疲労困憊の彼女に尋ねるのは少々気が引けるが、
これだけ資料を漁っているならどこかで見ただろう。
「なんだかそこの施設の人がどこか行っちゃったみたいなんですよねえ」
行方不明や拉致とも断定できないんでひとまず資料を探そうと思ったんですが。なんて。
無論、彼女――沙羅と私が同じ人物について調べているなんてことは、
知る由もない>
水無月 沙羅 >
「まぁ、ひっ迫してます。
心配している人が予想以上に多いみたいで、随分人望の厚い人物だったみたいですね。
家の身内も随分心配するでしょうし。
えぇ、そうしていただけると助かります。」
実際、彼女の人柄は誰もを魅了しえるモノなのだろう。
あの神代理央が『弟』にされてしまうほどだ。
彼女が本気になったらそれこそ教会は人の山になってしまうかもしれない。
「スラムや落第街にある宗教施設に支援施設……ですか?
わたしの知る限りそんなもの好きはほとんどいな……い。」
言葉の途中で、思い当たる人物が浮かんで、その次の言葉はさらに確信をもたらした。
「……それ。『シスター・マルレーネ』さんの事ですよね?」
この人もか……と、椅子から滑り落ちる様に脱力したのは言うまでもないだろう。
日下 葵 > 「それだけひっ迫してて手を貸してもらえないとは。
過酷が過ぎませんかねえ」
不死身を休養不要のロボットと勘違いしていないだろうか。
いや、そういう不死身もいるのかもしれないけれど。
「いやー、やっぱりそんな人そうそういないですよねえ。
となると過去の資料とかは望み薄ですかねえ」
そんなことをつぶやきながら段ボールやファイルの題目を一つ一つ追っていく、が。
「うん?ええ、そうですけど……沙羅さんも知り合いです?」
ずるり、と脱力する彼女の様子に、
意外な人も知り合いなもんだ、なんて感心して見せる。>
水無月 沙羅 > 「……今、正にその事件を追っているところですよ。
良ければ資料見ます?
あくまでも、可能性として挙がってきたものにすぎませんけど。」
調べ上げたディープブルーの資料、そして個人的にメモにまとめた、ディープブルーとマルレーネが関わった可能性を示唆したものを指さした。
「知り合いも何も、バーベキューの主催者は彼女だったじゃないですか。
それに、私の同居人が『姉』と呼んでいるほどに親しい人で、なおかつ神代理央が異能殺しの事件の際に世話になった人物ですから。
私が腰を上げないわけにも行かないんですよ。」
そういって肩をすくめて見せる。
要するに、彼女は自分の大切な人たちの恩人であるわけだ。
日下 葵 > 「……なるほど?」
それで誰かに手伝いをお願いすることも、休むこともできずにいたわけか。
この状況の全てを正しく把握した瞬間だった。
そして挙げられた資料を斜め読みする。
ディープブルーという組織。
この組織が関わっているのだとすれば、組織的な犯行になる。
「それはまぁ、そうですけど……
でもそこまで交流の広い人だとは思いませんでした」
とはいえ、山本さんとも交流があると言っていたのだっけ。
だとすれば風紀委員に相当の知り合いがいるということになる。
「日月さん、という方と沙羅さんが知り合いかはわかりませんが、
私も日月さんに相談されたもので。
私も過去にマルレーネさんとは手合わせをさせていただいたこともあって、
個人的に調べては居たんですが……
一応、市民からの相談という形で報告書を上に上げておいたので、
組織が絡んでいて、ことが大きくなるようなら人員も……」
そこまで言ってふと頭の中を整理する。
本当に組織ぐるみの犯行なのだろうか。
資料を見る限り、隠蔽性に長けた組織。
拉致の話だって可能性の域を出ない。
そんな組織が、これだけあの地域で顔の知れたシスターを拉致するだろうか。
「……いや、最悪は想定しないといけませんね。」
ぽつり。独り言>
水無月 沙羅 >
「人員は裂けませんよ。
組織的な可能性がある、それだけの為に風紀はこのことを事件としては扱いません。
なぜなら、『異邦人』が独り勝手にいなくなっただけ、という可能性を捨てきれないからです。
捜索願を出されているわけでもない、いなくなっても大多数の人間は困らない。
それが今回の事件の大局的な見かたです。」
「そもそもとして、本当にディープブルーが関わっているという証拠すらないんです。
警察機構は、『疑わしきは罰せず』ですからね。
私たちは証拠なしに大きく動くことは出来ない。
たかだか一人の行方不明に大きく人員を割いて、何の結果も得られず。
ただお出かけしているだけでしたとなったら、責任をだれがとるという話になりますからね。」
自分たちは警察組織で、動くにはそれなりに責任が伴う。
大人数を動かすというのならば、それ相応の理由が無くてはならない。
それは、少なくともおそらくであってはならないのだ。
決定的な証拠なくして、『風紀』自体を動かすことは出来ない。
だからこそ、今出来る事がこうして大昔の関係があるかないかもわからない違反組織を調べることぐらいしかないのだ。
現場での聞き込みに、少しは収穫があるといいのだが。
日下 葵 > 「まぁ、現段階ではそういう動きしかできないのはわかります。
だから私も報告書とはいっても市民からの相談程度にとどめているわけですから。
たしかに彼女がいなくなって困る人は限られるでしょうけど
――それで納得できないから個人で動いているわけでしょう?
なら最悪は想定しておかないと」
「責任なんて後からそれっぽい人がとればいいんですよ。
とにかく動く理由がいる。
でっちあげでも何でも、条件や状況をよくするために
手段なんて選んでられませんよ」
言っていることが無責任極まりない上に無茶苦茶である。
まるで今までそうやって好き勝手してきたと言わんばかりの言動。
それでも彼女の資料に目を通していくと、時々相槌を打つ。
「手掛かりになりそうなのはこの資料と……
現場とかの調査は進めてるんですかね?
さっきの口ぶりだと神代さんあたりが現場に向かってそうですが」
日月さんは不自然ないなくなり方をした、といっていた。
なら、何か手掛かりが見つかるかもしれない。
とにかくフットワークを軽くするための手札が要る。
「山本さんもマルレーネさんと交流があるようですし、
何かわかったら山本さんに連絡してくれと頼まれているんですが、
彼とは何かやり取りを?」
権限がないなら個人で動いてくれる人を探すのがいいだろう>
水無月 沙羅 >
「おそらくその責任を取るのがうちの上司になりそうなので慎重になってるんです。」
全くこの人は、とため息をついてから資料に目をやる。
現状得られている情報があまりにも少なすぎる。
だから彼女の言う通り、ある程度でっちあげる必要があるが、しかし、それは必ずしも『マルレーネ』である必要は無い。
「まぁ、落ち着いてくださいよマモル。
私は何も、動く理由がない、何て言ってませんよ。」
放り投げるのは、違反部活の摘発における必要書類だ。
対象はもちろんディープブルー、その摘発理由として、これまで確認されている違反行為、そのほぼ全てが記されている。
まだ、認可の判は推されておらず、書類も完全に完成しているわけではない。
「おそらく、これほど機密性の高い組織です、現場に行ったとしても何かが見つかる事は無いでしょう。
理央さんの苦労は徒労に終わると踏んでいます。
だからこそ、この書類が私たちの鍵になるかもしれない。」
そう、最悪の展開を予想した、最悪に向けての打開策。
準備していない筈がなかった。
多くの『最悪の結果』になりかけた事件を走り抜けてきたからこそ、用意できる保険のようなもの。
しかし、それが保険で終わるとは思っていない。
「ディープブルーの活動拠点を見つけ出し、摘発します。
そこに彼女が居る可能性があるというなら、『ついで』に探せばいい。
私たちは、摘発した組織に捕らわれていたかわいそうな一般学生を保護したにすぎません。」
沙羅にできる準備と言えばそれぐらいだ。
無茶苦茶だと言われるなら、そう言われないように準備すればいい。
理由付けをしてやればいい。我ながら苦肉の策だなと自嘲する。
これで本当に彼女が見つからなかったら、骨折り損のくたびれ儲けだ。
もちろん、彼女が唯何かの事情で遠出しているだけ、というのが一番ではあるのだが。
「山本さんとは今は何も。」
彼の事には多くは触れなかった、触れられたくないという意思表示でもあった。
眉に少々皺が寄っているだろうか。
日下 葵 > 「おお、沙羅さん頭いいですねえ。
上司の胃に穴をあけてきた私とは大違いです」
その上司が神代さんになりそう、と聞いて”それはそれで内心面白そう”と思った。
もちろん口にはしないが。
放り投げられた書類はなじみ深い書類だった。
なるほど、ついでという名目で探すのか。
「とはいえ、そうなると
『もし捕まっているならディープブルーに捕まっててほしいなぁ』
ってことですよね。
それともディープブルー摘発に乗じて周辺も捜索する感じです?」
「私、山本さんとはほとんど交流なくてですね。
そのへんどうなんでしょうね?
彼は協力先のアテになりそうですか?」
彼女の表情が曇る。
何となく、出してほしくない名前だったといった感じ。
もしダメならそれまでではあるが。>
水無月 沙羅 >
「沢山失敗をしてきた反省を生かしただけですよ。」
感情だけで動くとろくなことが無い、というのはここ数か月で十分以上に学んだ。
だからこそ用意した、感情以外の理由だ。
「一斉摘発ともなると私の一存ではできませんよ。
出来るのはここまでです。
まぁ、違反部活の緊急摘発、なんてそう珍しくもありません。
『ディープブルー』摘発の折、危険行為の現行犯で戦闘が起きたとしても、咎められる可能性は低いでしょうね。」
目を伏せながら、割と物騒なことを言う。
これは、『もしも』という話に過ぎないが、沙羅の口からはそんな雰囲気は感じられなかった。
「まぁ、多少の交流はあります。
『加害者と被害者』という形でですが。
彼自身も独自に動いているとは思いますよ?
協力を求めれば応じては下さるでしょう。
……まぁ、その前にいろいろしないといけないことは多いですが。」
嫌なことに突っ込んでくるなと、少しだけ頬を膨らませる。
これに関しては自分が悪いのだが、触れたくないことに触れられるのは不機嫌になっても仕方がない。
日下 葵 > 「反省ですか。
反省していい方向に向かってくれる部下を持つとは、
上司も幸せ者ですねえ?」
反省はするがそれで何かが変わった試しなんてない身としては感心する。
とはいえ、変わらないといけないくらい反省するような
”ヘマ”をしてこなかったというのもあるが。
「まぁ、現状で切れる最大の手札ですかねえ。
というか、これで見つからなかったら次は順当に捜索願でしょうし」
緊急の手段でとれる最大限はこんなところだろう。
「なーんでそんなに暗い顔するんですか。
目の前にいる人を誰だとお思いで?
沙羅さんに負けず劣らずの不死身ですよ?
ここにいるのが私じゃなくたってそんな顔しないでください。
給料もらって危ない仕事してる人なんですから」
上司の胃に穴を開けようが反省しないのも、
物騒なことになる可能性があっても落ち込まないのも、
友人が危険な目に合っているかもしれないのにニコニコしているのも、
恐怖心がないといういびつさ故だろう。
「おっと、それは随分なご関係で。
どっちがどっちの立場なのかは敢えて聞かないでおきますが、
それで動きづらくなるなら無理にお願いはしませんよ。
というか、知り合いなら山本さんも動くでしょうし。
今すぐどうのこうのって話ではありませんから」
不機嫌、というか触れてほしくないところに触れられたのだろう。
彼女の反応を見ればどちらが加害者なのかも予想がついた>
水無月 沙羅 >
「これは直感ですけど、ディープブルーの拠点で見つかる、とは思っています。
逆に言えば、それ以外の可能性の目が全く見当たらないとも言えますが。」
捜索願を出されたとしても、それ以上は動きようがないという実質的な白旗宣言だ。
それぐらい、今回の事件には手掛かりという手掛かりが存在し無かった。
ディープブルーで見つかったのだとしたら、黒幕は相当のやり手だ。
これからも被害が増えることは間違いないだろう。
「いえ、別に戦闘が起きることに落ち込んでいるわけじゃないです。
戦闘で誰かが傷つくことを恐れているわけでもありません。
いや、怪我はしてほしくないですけど。
ただ、何と申しますか。
私の大切な人たちの、大切な人を傷つけたのだとしたら。」
水無月 沙羅 >
「手加減できる気がしないというだけです。」
水無月 沙羅 >
そういう彼女の瞳は、紅から金に、チカチカとついては消えたりを繰り返している。
静かに落ち込んで居るように見えるのは、感情を抑えて、目を伏せがちにしている姿がそう見えたに過ぎないのだろう。
大きく深呼吸をした後に、その瞳の点滅もゆっくりと静まってゆく。
「山本さんには、連絡はしておきます。
彼がマルレーネさんとどんな関係なのかは知りませんけど、現場に来られなかったと後悔してほしくもありませんから。」
日下 葵 > 「直感、ですか。
むしろここで見つからなければ他に探しようがない」
――実質的な敗北?
そんなことを口にする。
あまり考えたくはないが、そういうことだろう。
直感がなんと言っていようが、
結果的に見つからなければここにある以上の手掛かりはない。
何者かがディープブルーに向かうように手が加えられているのか、
何者かが目くらましの為にディープブルーの尻尾を掴ませたのか、
はたまた何の関係もな偶然なのか。
どう転んだって私としてはここで見つかるといいね、くらいのことしか言えない。
「……手加減なんてする必要はあるんでしょうか?」
てっきり落ち込んでいるとか、
不安に思っているとか、そういうことなんだろうと思っていたがどうやら違うらしい。
彼女――沙羅さんは私が思う以上に感情的な人のようだった。
それを、あえて抑えてうつむいた……?
「おっと、別に暴走して欲しいとか虐殺しろなんて、
そういうことは思ってませんよ?」
「本当ですか?私から連絡してもいいんですけど。
沙羅さんが気を遣わないというのであればお願いしましょうかね」
気を遣わないわけは無いのだろうけど、
ここで出しゃばってもなぁなんて。
現状、私にできることは摘発の時まではなさそうだ>
水無月 沙羅 >
「そういう事です。だから私たちは、もう後には引けません。
時間もそう長いことはかけられない。
黒幕は、私たちのことを良く知っている人かもしれませんね。」
この機構、風紀のことを良く知る、『裏側』ではなく、『表』のこともよく知っているダレカ。
そんな黒幕の姿がちらつく。
「山本さんが一時期マルレーネさんの治療を受けていたのをご存知ですか?
あれ、どうも私がやったらしいんです。
もう、そんなことが無いようにコントロールしているといった感じですよ。」
少し自重的に、苦笑いをした。
もう怒りに身を任せたりはしない、そう心に刻むしかない。
あの悲劇を繰り返すことは、もう二度と。
「えぇ、わかりました。
もし私たちが動くときには、マモルもよろしくお願いします。」
椅子から立ち上がって、書類をトントンとテーブルの上でまとめ上げた。
そのまま脇にかかえる様にして、自分のデスクに戻ろうとする。
「それじゃぁ。私はもう少し書類をまとめますから。」
少しだけ、おしゃべりで休憩をした顔には生気が戻っただろうか。
まだ、彼女の戦場は終わらない。
日下 葵 > 「黒幕、ですか。
ぶっちゃけ黒幕が誰かは大して興味は薄いんですよねえ
マルレーネさんが助かればいいかなぁ程度にしか」
とは言いつつ、もし裏にいるのが”厄介な存在”なら、
今後の面倒を減らすためにも相応の対応は必要だろう。
しかし、その程度の興味であった。
「いえ、全く知りませんでしたけど」
報告書読まない人間が、他人がどこで療養しているかなんて知らない。
『欠員が出たから代わりに警邏をする』程度だ。
「おやおや。沙羅さんも私に負けずやんちゃしてるんですねえ。
となると山本さんも大変ですねえ」
ことの内容は重大なのだろうが、
聴いてるこちらは心底面白そうに笑う。
人によっては不快極まりない態度だが、彼女はどう思うだろう。
「基本私は人手の足りないところに回される”ピンチヒッター”ですので。
動くときは連絡ください。
やれることならお力添えしますよ。
――そうですか。たまには休憩してくださいね?
不死身も疲労には弱いんですから」
そう言って、資料室から出ていく彼女を見送る。
「さて、現状適切に?人が動いているようですし、
私の出る幕はしばらくないですかねえ」
ひとりになった空間で、ぼそっと呟けば自分も資料室を後にするのだった>
ご案内:「風紀委員会本庁・資料室」から日下 葵さんが去りました。<補足:風紀委員の制服 コンバットナイフ ブレスレット>
ご案内:「風紀委員会本庁・資料室」から水無月 沙羅さんが去りました。<補足:身長:156cm 体重:40kg 不死身少女>