2020/09/07 のログ
ご案内:「訓練施設」に日月 輝さんが現れました。<補足:身長155cm/トップで纏めたポニーテール/小豆色のジャージ上下/目隠しを着けている>
日月 輝 > 午後。
訓練施設と言うよりもスポーツジムやトレーニングルームと言った言葉が似合いそうな所。
様々な最新機材が並ぶ場所は平時であれば人が多いに違いなく、けれども今はそうでもない。

「……何処行っちゃったんだか」

あたしの呟きに返る声は無く、貸切状態の室内。
苛立たし気に壁を蹴ったところで咎める誰かは居ない。
……結局、何が出来るかも解らないから、身体を動かそうとこんな所に居る。
でも、いざって時に動けないようじゃあ困るのだから、間違いじゃない筈。

「杞憂で終わるといいんだけど……ねえ」

杞憂では終わらない気がするのも間違いじゃあない筈。
夜更けに修道院を見に行った時も、マリーは戻ってはいなかった。

日月 輝 > 「……そういえば戸締りしてこなかったような気が……いや、どうだったかな」

一つの事に囚われて日頃の事を忘れる。そも、修道院の鍵の在処など知る由も無いのだから

「いえいえ、何を言っているのよ。あたしが出来る訳無いじゃない」

呆けた老人のような物言いに、後から頭を振る事にだってなる。
誰が見ている訳でもないけれど、大仰に肩だって竦めるわ。

「マリーが居ないんじゃ居座る人も居ないだろうし、今は当人の所在よね」

呟きながらぽちぽちと機械を操作して距離を設定。3km.5km.7kmと並ぶ中から5kmをチョイス。
実際そんなに走るのか?と言うと飽きたら適当に止めるので問題は無い。
携帯端末からお気に入りのBGMを再生し、いざいざと走り始める。
勿論、異能込みで。

「よし、と」

あたしの異能、重力驚動と呼ばれる質量操作は行使に身体の熱量を使う。
理屈は不明、原理は未解明。けれども異能というものは、そうであるから、そうである。と思うからそれはいい。
別に困っている訳ではないし、むしろあたしのような乙女には好都合ってもの。
こうして最初の一歩を体重を軽くして跳び、適度に重くして着地。
傍目には不自然に大きな歩幅であるような走法は、体力をそこまで使わずに効率的に移動距離が取れる。
だから、今ではただ走るよりも此方の方に慣れてしまった。

ご案内:「訓練施設」に日下 葵さんが現れました。<補足:黒髪 タンクトップ ハーフパンツ>
日下 葵 > 午前の仕事を終えて、訓練施設。
いつものように筋トレやら訓練をしようと、着替えてやって来た。
今日はいつもより空いていて、どこを使ってもよさそうだなぁなんて思っていると

「あれは……日月さんでしたか」

以前バーベキューで見かけた人物が目に入った。
その体躯からは想像もつかないような歩幅で走る彼女を見て、
声をかけようかかけまいか少し悩む。

邪魔をしてもいけないかな、と思って、
ランニングマシン1台を開けて自分も走り始めた。
適当に走りづつけて、彼女が走り終えたタイミングで走るのをやめる。

「日月さーん?」

こちらは彼女の心の内など知らず
まるで友人に声をかけるかのように気さくに声をかける。
果たしてどんな顔をされるだろう>

日月 輝 > 単純な運動と単純な音楽は単純な思考を呼ぶ。
マリーが戻らないなら、戻らない理由がある筈で、
けれどもマリーが信仰を捨てることはやっぱりどうも、考えずらい。
現場の状況からして、神名火さんとの会話からして、誰かに拐かされたのが自然よね。
よし、思考の再整理完了。

「……まったくもう、心配ばっかりかけちゃってさ」

年上のマリーをまるきり年下を案ずるように想う。
でも、彼女は異邦人で、この世界1年生であるのだから
この世界16年生のあたしが気を配るのも無理からぬこと。
むしろ当然、必然であるからこの感情は間違ってはいない。

設定された距離よりも早く機械を止め、誰もいないのだからと目隠しを取って汗を拭こうとして

「──と、日下さん。びっくりした……いつのまに、じゃなくて……ええと、こんにちは。
 BBQの時以来、ですね」

そこで漸く、傍に誰かが訪っている事に気付いて、アイマスクを取らずに曖昧に笑った。
目隠し越しの視線が日下さんのことを不躾に眺め、暫しの沈黙。
運動に慣れ親しんだ人の体型をしている。こうした場所を利用するのだから、体育会系の人なのかと思った。

「此処、良く使われるんですか?」

あの時はわちゃわちゃとしていてあまり話せなかった一人でもあって、言葉は自然と訊ねるように。

日下 葵 > 「やっと気づいてもらえました。
 っとすみません、驚かせてしまったようで」

邪魔するのもあれかなぁと思って一つ開けて隣で走っていました。
こちらを見て驚いた彼女にそんな説明をする。

「そうですねえ、バーベキュー依頼ですね。
 まさかここでお会いするなんて思いませんでした。

 ええ、曲がりなりにも風紀委員ですから、休みの日とかはここで訓練をしてます。
 日月さんはよく使うんですか?ここ」

それとも気分転換とか?
そんな問いを投げかけたのは、彼女が走るのをやめる際に呟いた
『心配ばかりかけちゃってさ』
という言葉を耳にしたからである。
半ば盗み聞きの様になってしまったが、何となく気になって質問してしまった。

「意外といろんな人が来るんですよ。
 同じ風紀委員の同僚とか。
 それこそバーベキューにいた人だとドラゴニックなんとかの龍さんとか
   ――マルレーネさんでしたっけ、彼女とか」

そう言って、隣の格闘訓練用のリングを見やる。
思えば結構いろんな人と手合わせをしているなぁと>

日月 輝 > 「いえ、大丈夫。ちょっと考え事をしていたものだから
 でも人が悪いわ?普通に声をかけてくださっても良かったのに」

邪魔をするのも、と言う日下さんに曖昧に唇が笑む。
けれども彼女が風紀委員と言うならば、その笑みも消える。

二人ぼっちのトレーニングルームに環境音めいた音楽だけが流れる静謐が、少し。

「えっと……時折?乙女には運動も大事で……気分転換も、まあ
 ってそうなんです?ラオは、まあ来そうだけど──」

それから言葉が流れ始めて、マリーの名前を聞いてまた止まる。
目隠しの裏の視線が、日下さんの視線を追った。
そこにマリーの姿は無い。格闘戦の練習に使うようなリングが設えてあるばかり。

「マリーもああいうリングで?」

問いは言外に、貴方と戦った事が?と問うもの。
一歩、日下さんに近づいて腰を曲げて、下から見上げるようにして訊ねる。

日下 葵 > 「まぁ、ちょっと驚かせてやろう、って気持ちもありましたけど。
 それにしたって自分のペースを乱されるのって嫌じゃあないですか」

困ったように、とでもいうのだろうか。
そんな曖昧な笑みを浮かべる彼女に対して、こちらは楽しそうにニコニコわらう。

「なるほど?
 確かに乙女にも運動は必要ですよね。
 私の場合乙女じゃなくても運動しないといけないんですけど」

およそ騒がしいとは言えない、ちょっとしたBGMがかかるだけの広い空間。
そこで談笑をしていると、こちらの言葉に彼女の――目隠し越しの視線が動く。

「ええ、マリーさんを見かけた……というか、
 手合わせをしてもらったことが一度だけ。
 あの人、見かけによらずとても強いんですよねえ。
 私も危うく降参してしまうところでした」

リングから私の方へ、視線が移る。
普段からマルレーネさんがああいうリングで戦いの訓練をしているかはわからないが、
少なくとも、私が過去に出会ったときはあのリングの上で手合わせをした。

「また手合わせをお願いしたいものですねえ。
 彼女の支援施設とやらにも一度挨拶に行ってみたいですし」

そう言って、彼女との手合わせを懐かしんでみせる>

日月 輝 > 「風紀の方なのに悪い人ね。あたしが驚いて心臓でも咎めてしまったらどうするのかしら」

これ以上の心臓の負荷は堪らない。
肩を竦めて、かつての手合わせの話を聞く。
日下さんの話によると、僅差で彼女が勝ったらしいことが判った。
マリーがアグレッシブなのは知っている。
けれども、治安維持を担う風紀委員に僅差に至る格闘センスを持っているのは初耳だった。
熟練の旅人であるのだから、当然と言えば当然なのだけれど。

路地裏で出会った時も
扶桑で買物をした時も
共に魚釣りをした時も
夏祭りを楽しんだ時も
まるきりそうは思わせなかったのは、改めてあの子の人柄かしらと、呆れたように嘆息する。
日下さんから見ると、何のことかと思う所かも。

「日下さんって割とヤンチャ好き?駄目よ、怪我でもしたら大変でしょうに。
 それこそマリーの施術院に挨拶するのと、入院が同時になってしまうかも
 それでなくとも今、あの子ちょっと留守みたいだから空振りになってしまうかもだから」

少し前まで山本さんが入院していたらしいことは聞いている。
風紀委員は、今何かと大変らしいことは噂程度で流れ聞いていて、
だから風紀委員の日下さんの、些か暢気な言葉に唇を尖らせるようにして言葉を並べた。

日下 葵 > 「よく言われますねえ。 ”良い性格してる”って。
 そうなったら私が責任もって蘇生してあげますよ」

これでも訓練は受けているので安心してください。
なんて言って胸を叩く様は、”性格の良さ”をよく表している。

そんなやり取りをしている間、彼女の様子を観察する。

「やだなぁ、私が怪我で入院なんてありえませんよ。
 私が彼女の施設に行くときは本当に様子見か、
 お腹を壊して運ばれるときくらいなものです。
 やんちゃ好き、とは違いますが、よく荒事に巻き込まれたり、
 首を突っ込んだりはしてますねえ。
 そもそも部署がそこそこ荒事担当ですし」

そう言って笑っていると、気になる言葉が出てきた。

留守だから。

「おや、今マルレーネさんは施設に不在なんですか?」

それはつまり、物資を調達するために、ということだろうか。
何となく、先ほどからの彼女の不安そうな表情だったり、言葉だったり、
そういうのがいろいろと重なって良くないことを考えてしまった。

「近いうちに行こうと思っていたんですが、不在ですか。
 日月さんとマルレーネさんは親しいようですが、
 いつ彼女がいるかなんてのはわからないですよね?」>

日月 輝 > "良い性格"をしてるから。そう、からりと言ってのけて胸を叩く様子は善性を感じさせた。
部署が荒事を担当していると言うのなら"誘拐事件も取り扱っているに違いない"と思わせた。

だから、口が緩む。

「あの子、マリーってしょっちゅう修道院──異邦人街に在るんだけど、其処を留守にするのよね。
 携帯デバイスも持たないからいい加減持てって言ってたんだけど……と、そうじゃなくて。
 ちょっと……不自然な」

不自然な様子を残して忽然と姿を消してしまったこと。
夜になっても戻らなかったこと。
落第街にある施術院の方はまだ確認してはいないこと。
そうしたことを伝え、もしかしたら誘拐でもされたのかも──なんてことは冗談めかして笑って見せることが出来た。
多分。

「──と、まあ。そんな有様だからすこうしだけ、心配なのよ、友人としてね。
 争った痕跡なんてなかったから、大方何処かほっつき歩いてるだけと思いたいんだけど……」

世間話のように振る舞って、足が動いて自動販売機の前。
ペットボトルの紅茶を買って、口にして、御行儀悪く舌なめずりをする。

「……もしね。誘拐事件だったとしたなら、あたしは犯人に地獄を見せてやらないといけないから
 そうした時に、動けないのは駄目だから」

もしも/Ifの話をして、苦く笑う。

日下 葵 > 「なるほど……?」

不在なのか。
そんな問いに対して帰ってきた返答はやや予想外のものだった。
ひとしきり話を聞くと少し考えるようにして、口を開く。

「風紀委員という組織としては、事件性が確認されるか数日――
 それこそ普段以上に帰ってこないか、
 そういう状況でないと表立って捜査には乗り出せません。
 現状、今のところそういう報告は上がっていませんし、
   ――あの場所はよく人がいなくなる  」

だから組織として動けるかどうかはわからない、と説明する。
この説明は、聞かされる側にとってはひどく残酷に聞こえるだろう。

「――ただ、私個人が動くくらいならできると思いますよ。
 もし本当に不自然で、多くの人が彼女を案ずるなら、
 もうじき報告が上がるはずです。
 今の話も、私の方から市民からの相談という形で報告を上げておきましょう」

先日、報告書はちゃんと書いて読めと同僚に言われたばかり。
まさかこんなに早くその言葉が意味する状況が降ってくるとは。
内心、嬉しくない。皮肉交じりの笑みが漏れた。

「争った形跡がなくても、最悪の事態は想定しておくべきでしょう。
 不自然だと思ったなら何かいつもと違うことが起きたのでしょうし。


 ――さすがにリンチはいけないので止めさせていただきますけど、
   備えておくことは良いことだと思いますよ」

そういえば、私も水を一口飲んで、

私の報告書が無駄になればいいなぁなんて、
生まれて初めて考えた。>

日月 輝 > 当たり前の話がある。
親族でもなし、無関係の人間が行方不明になったから探してくれと訴えて、即日動いてくれる訳がない。
事件性の有無を探ってくれるなら良い方でしょう。でもそれは組織としては当然で、島外の警察でも同じこと。
島内の──世界から特異の集まる常世島の出来事であるのなら尚更でしょう。
異邦人が一人、落第街でも活動している奇特な誰かとなれば尚の事。
日下さんの言葉は全き正当性に満ちていて、彼女が模範的な風紀委員であることを教えてくれる。

別に、落胆も失望もしない。
彼女の立場を考えたら当然だもの。
だからあたしは、個人的に親交のある山本さんを頼ったのだから。

「……え?」

だから、日下さんが個人で動けると言う事に思わず問い返してしまうの。

「いいの?」

鼻を鳴らすかのように笑う日下さんに重ねて問い返す。
それから、自分が随分と物騒な言葉を使っていたことに漸くと気付いて、数度空咳をすることとなる。

「おっと。……いけない、まあ、その辺は聞き流して頂くとして。
 あたしは善良な生徒で通っているから、ほほ、ほほほほほ」

そして誤魔化すように笑って、湿った声で笑って。

「……その、ありがとう。そうだ。風紀委員の山本さん。アフロヘアの立派な彼にもお伝えはしてあるの。
 何かあったら彼にも教えてあげて欲しいの。……お願い、してもいい?」

それから、目隠し越しに視線を合わせるように顔を向けた。

日下 葵 > 「いいの?って、だって風紀委員ですし……
 これで何かあって私があとから責任を問われても困りますし……」

   ――なによりもう一回手合わせしたいですしねえ?

そう言って、頭を掻いた。
仕事だから、何てもっともらしい理由を挙げているが、
結局殴り合いの相手……友人が減るのはいやだな、なんて。

「別に犯人にリンチするのはいいですけど、
 その場合は学生証を返納する覚悟を固めておいてください」

もしくはバレないようにうまくやってくださいね?
ごまかすような笑いをする日月さんに、
ちょっと冗談めかして面白半分に言って見せる。
大抵の人は冗談に聞こえるだろうが、割と本気だ。

「山本さんですか。
 確か――バーベキューでフレイヤに日焼け止めを塗っていたアフロの」

思い出した。というか、強烈に覚えている。
忘れる方が難しい彼。

「ええ、いいですよ。
 山本さん、なんだかんだ風紀委員の間でも有名みたいですし。
 協力は惜しみませんよ」

そう言って、端末を確認するといい時間だった。

「じゃあさっそく報告書を書いてきますかね。
 日月さんも何かあれば連絡をください。
 ただ、くれぐれも無理だけはしないように、ですよ?
 あなたに何かあればお仕事増えちゃいますから」

そう言って、
目隠し越しに視線を合わせれば任せろ言わんばかりにドヤ顔をして見せる。
そうして、訓練施設を後にするのだった>

日月 輝 > 「あたしは善良な学生ですよーだ」

シラを切って合わせた視線を切る。
不満を示すように横を向いて唇を尖らせて、マリーと戦いたいからと言う彼女に心地よく呆れる。

「ええ、勿論。無理はしないわ。だって、そういうのは可愛くないでしょう?」

諸々の話を取りまとめ、穏やかに日下さんを見送り、紅茶を口にして大きく息を吐く。

「……でもね。可愛く無くっても、やらなきゃいけないのなら、あたしはやるわ」

一歩進んだ。とは言わない。
でも、何もしないよりは良かった。

ご案内:「訓練施設」から日月 輝さんが去りました。<補足:身長155cm/トップで纏めたポニーテール/小豆色のジャージ上下/目隠しを着けている>
ご案内:「訓練施設」から日下 葵さんが去りました。<補足:黒髪 タンクトップ ハーフパンツ>