2020/09/10 のログ
ご案内:「第二教室棟 保健室」に神樹椎苗さんが現れました。<補足:黒基調の衣服、スカート。怪我だらけで右腕は動かない。時間や細かいシチュはお任せ【乱入歓迎】>
神樹椎苗 >  
 先日、『姉』の件をきっかけに偶然であってしまった風紀委員、『鉄火の支配者』こと。

「──クズやろー」

 端末に届いたメッセージの差出人名には『クズやろー』と表示されている。
 問題はそのメッセージの内容で。
 件の修道院に出入りしていたキャソックの男は『オダ・エルネスト』という人物だそうだ。

「──なんっにも、出てこねーんですが?」

 この男、経歴に関してはどうにも胡散臭さが残るのだが。
 今回の件に関わっているかと言えば、完全にNOだろう。
 となると──あの少年と調べた事は全くの無駄だったと言う事だ。

「頭が、いてーですね」

 実際に痛い訳では──普通なら相当痛みを感じるのだろうが。
 頭の上に氷嚢を載せながら目を閉じて、ベッドの上に寝転がっていた。
 脳の使い過ぎで40℃近い高熱が出ている。

「まあ、そうですね。
 余計な情報を排除できたと考えれば、まあ」

 良かった──わけがないのだ。
 手掛かりにならないんじゃ意味がない。
 そして、意味がない事をやっていたと思うと凄まじく腹が立つ。

神樹椎苗 >  
(なんなんですか、この男は)

 出自から学歴まで洗っても、真っ白。
 なんの怪しい所もない、アメリカ生まれアメリカ育ちの転入生。
 ただ、その潔白具合が不自然といえば不自然だった。

(『これ』も『それ』も、深入りするにはやべえ場所じゃねえですか)

 だからムキになって多方面から徹底的に浚ってみたのだ。
 その結果わかったのは、この男が正真正銘の『魔術師』であること。
 外部に出せない機密事項に関わっているだろう事。

 余計な深入りをすれば火傷をしそうな相手だ。
 これ以上の探りを入れるのはリスクが高い──悔しいが能力的にも難しい。
 島の内部の事ならともかく、外の事になると思うようには行かないのだ。

(しっかし──なんでこいつ、支援が打ち切られてるんですかね)

 表向きは留学の形式に近いはずなのだが。
 金の流れを洗い出すと、年度のはじめにはあった筈の支援金が振り込まれていない。
 なにか支援の条件から外れたのだろうか。

神樹椎苗 >  
(でもまあ、何にしても、能力的には『つかえそう』なやつですね)

 常世島内で観測出来ているだけでも、身体能力、風を操る魔術など、見るべきものがある。
 恐らくそれ以上のスキル、魔術を秘匿しているだろう事は想像に難くない。
 上手く味方に引き込めるのなら、戦力としても数えられるだろう。

(まあ、それを決めるのはしいではねーですが)

 『クズやろー』には、使えそうな男だと言う事だけ伝えておこう。
 実際にどうするかは任せればいい。
 とりあえず不法侵入他いくつかの余罪はありそうだが、それを追及するのも椎苗の仕事ではないのだ。

神樹椎苗 >  
(──で、あとはコッチですか)

 違反部活『ディープ・ブルー』。
 オダ・エルネストから何も得られなかった腹いせに、散逸していた情報、噂などをかき集めてみたものの。
 拍子抜けするほどあっさりと、ある程度の形になってしまった。

 手掛かり一つ一つは大きなものではない。
 それでも、一度壊滅したと思われていた組織が動き出せば、裏ではどうやっても噂になる。
 いつ、どこの誰が何をしていたか。
 そんな話はどれだけ上手く隠蔽しようと漏れ出てしまうのだ。

(──それにしても、妙ですね。
 まるで集めていると言うよりも、『集めさせられている』ように感じます)

 そう、まるで『ディープ・ブルー』に辿り着くように筋道を立てられているような。
 何者かの手の上で動かされているような。
 椎苗自身が情報を扱う存在だからか、『不自然でない事』が『不自然』に感じられた。

神樹椎苗 >  
(とはいえ、手掛かりが無いのも事実ですか)

 となれば。
 何者かの意図がある事を前提として、罠だと考えて動くのが無難だろう。

(急いで欲しいのは、山々なんですがね)

 それで摘発に向かった人員が潰されるようなことがあれば、より状況が悪くなる。
 そうなれば『姉』の捜索がただ滞ってしまうだけだ。
 そんな事態だけは絶対に避けなくちゃいけない。
 『クズやろー』には念のため警戒するように伝えておくべきだろう。

「――あー、ほんと、頭がいてーですね」

 思うように事が運ばない。
 当然、ある意味仕方のない事なのだが。
 自力で解決するために必要な『暴力』を持たないのが悔しい。

 一先ず『情報端末』に出来る事はやった。
 後は新しい情報が入るか、事態の変化があったときに備える──くらいの事しかできない。
 頭の上に置いた氷嚢は、いつの間にか温くなり始めていた。

ご案内:「第二教室棟 保健室」に水無月 沙羅さんが現れました。<補足:身長:156cm 体重:40kg 不死身少女>
水無月 沙羅 >  
ガラガラと音をたてて開く扉。
中に入ってくるのは椎苗が『娘』と呼んでいる同居人だった。

「すみませーん、少し仮眠するのにベッドを貸していただきたいのですが。」

ふらふらとしており、目に隈を抱えている様子からして、睡眠不足がたたっている様だ。
おそらくは碌に食事もとっていなかったのだろう。
中に彼女が居るとは知らずに入ってきた。
その手には多くの資料が抱えられている。

「あれ、先生居ないのかな……。」

ゆっくりとベッドの方に歩みよってくる足音が、椎苗には聞こえるだろうか。

神樹椎苗 >  
 頭の働きが鈍っている。
 単純な『情報処理』だけじゃなく、外部への『接続』を続けたから仕方のない事なのだが。
 どうしても、『端末』部分で処理しなければいけない事が増えると、ハードに負担がかかってしまう。

(純粋な頭脳労働での疲労なんて、久しくなかったですね)

 ぼんやりとしながら、眠気を感じてあくびが出る。
 そんな中で、扉の開く音と、良く知った声。
 気づけば、その声にほとんど無意識に答えていた。

「――養護教師は席を外していますよ」

 ベッドの方から気だるげな声が聞こえるだろう。
 ベッドを見れば頭の上に氷嚢を載せて、仰向けに寝転がって目を閉じているいる椎苗の姿。
 ベッドの上から左手で手招いているのがわかるだろう。

水無月 沙羅 >  
「あれ、しぃ先輩?こんなところで何してるんです?
 学校に居るなんて珍しい。」

実際、彼女を校内で見るのは初めてだった。
普段は帰れば女子寮に居るし、もしくはどこかに出かけている印象が強かった。
最近は時計塔に行く姿もほとんど見てはいない。
それが何処か寂しくも感じていた。

「何処か具合でも悪いんですか?」

自分の事を棚上げにして心配そうに歩み寄り、椎苗の隣に座り込んだ。
ギシリと音をたてて少しベッドが軋む。
細くなって眉を垂れさせている瞳が覗き込んだ。

 

神樹椎苗 >  
「べつに、ちょっと働き過ぎただけです」

 そう言いながら、左手を伸ばしてのぞき込んでくる娘を抱き寄せようとする。

「今回は、お前の事をとやかくいえねーですね」

 そう珍しく眠そうな声でぼやく。
 左手を離して身動きをすれば、載せていた氷嚢はずるりと落ちるだろう。

水無月 沙羅 >  
「うぇっ……ちょ、どうしたんですかしぃ先輩。
 甘えん坊ですか?」

抱き寄せられるがまま隣に倒れこんで、氷嚢をそっと乗せなおした。

「今回はちょっと忙しいんですよ。
 のんびりも知ていられないし、整理することも多くて。
 でも何だか妙な引っ掛かりも多くて。
 それでもやらなきゃいけないから頑張ってるんですけどね。」

眠そうな椎苗の背中をポンポンと叩いて眠気を誘うようにする。
また子ども扱いをするなと怒られそうなものだが、実際子供なのだからいいだろう。
しかし、この少女が知恵熱を出すほどに何を頑張っていたのかは、気になった。

かといって、そこまで踏み込んで良い物かもわからない。
分からないものは、とりあえず触れないでいる。

神樹椎苗 >  
「別に甘えるとかじゃねーです」

 少しだけ不満そうな声が漏れるが、そのまま抱き寄せて額を着けるように顔を寄せる。

「知ってます。
 また何かあったんでしょう。
 ――ふぁ」

 また小さくあくびが出る。
 背中から伝わる感触が心地よく、眠気が誘われる。
 椎苗もまた、娘の髪を梳くように撫でて。

「がんばってるのはえらいですが、おまえもきゅーそくが足りてねーのです。
 仮眠に来たなら、しいの昼寝につきあうのですよ──はふ」

 瞼を持ち上げるのも重たくて億劫だった。
 声は眠気からか、普段よりもろれつが回っていない。

水無月 沙羅 >  
「はいはい、しょうがないですねぇ。」

額同士をくっつける。
眠そうに瞼をパチパチとさせている少女の顔が息遣いがわかるほどに近寄った。
少しだけ、額が熱いように感じる。

よしよしと、言葉にしながら背中をゆっくり、一定のリズムで叩いている。
全く知らぬ人が見れば、姉が妹を寝かしつけている様子に見えるのだろう。
事件の裏で、人知れず動く者たちのサポートをしている二人の仕事は見える以上に過激なものだという事を誰も知らず。
おそらくはお互いに詳しくは把握はしていないのだろう。

ただ、其処に気遣いあう二人の少女の姿だけがある。

「しょうがないから、付き合ってあげますよ。」

夏場にしては少し熱いかもしれないが、そっと少女を胸の内に抱き寄せて、タオルケットをお互いにかぶせた。

もし、彼女があの修道院に行っていたのだとしたら、寂しい思いをしているだろうと思ったから。
心音を聞かせる様に、安心できるように。

神樹椎苗 >  
「むう──えらそうですね」

 しょうがない、という娘に不満げな呟きがこぼれる。
 しかし眠気には勝てないのだろう、すでにうとうととして、今にも眠りに落ちそうだ。
 それでも、娘の髪に指を通す感触も楽しく、時折手が止まりながらも、頭を撫でるのはやめない。

「ん、ちょうど、いいです。
 このごろは、おまえがいるほーが、ねごこちがいーのです」

 タオルケットの中で、もぞもぞと娘にくっつく。
 お姉さん風を吹かせる娘には、かなーり不満があるものの。
 今回ばかりは疲労の回復のためだから、仕方ないのだ。

「おまえも、つかれてるん、ですから、ちゃんとやすむのです」

 言葉も小さく、途切れ途切れになりながら。
 娘をあやすように髪を撫でて――けれど、その手もだんだん動かなくなってくるだろう。

水無月 沙羅 >  
「……ふふ。」

不満そうにぼやく少女に思わず笑みが零れた。
そんなことを言いながらすっかり舟をこいでいる。
髪を撫でる手が時折止まっているのがわかった。
損吾に髪を触るのが好きなのかな、と自由にさせている。

「それは、光栄ですねぇ。
 私もしぃ先輩の近くは安心しますよ。」

自分がいる方が寝心地が良い。
なんとも不思議な気分だ。
抱き枕として見られているのか、傍に居ることで安心を与えて居られているのか。
腕の中で言葉も途切れてきた少女はいつだってあまのじゃくで、その真意は測りにくい。
それでも、不思議と悪い気はしなかった。

「そうですね。 私も休みますよ。
 一緒に寝ましょっか、しぃ先輩。」

そっとおでこに唇をつけて。

少女に親愛を伝えながら、自分もゆっくりと目をつぶった。
椎苗が寝息を立てるまでは、きっとそうして背中をたたいているのだろうか。
不眠不休で働いていた自分も、随分疲れがたまってきた様で、少しあくびが出る。

目の前に寝転がっている、自分の日常の象徴をそっと撫でた。

神樹椎苗 >  
「ん――すこし、おやすみ、なのです」

 額へのキスにくすぐったそうに笑いながら。
 いつもよりほんの少し、素直な言葉と表情で。
 いつの間にか左手も止まり、頬を撫でるように滑り落ちていくだろう。

 寝息はいつもそうだが、あまりにも小さい。
 微かな弱弱しい寝息は、消え入りそうにも感じられる。
 それでもその表情は穏やかで、すっかり心を許した寝顔を見せた事だろう。

水無月 沙羅 >  
「おやすみなさい。 椎苗。」

こっそり、少女が寝息とたてたのを確認してからその名を呼んだ。
彼女の為にも、はやくマルレーネを助けなくてはならない。
それは自分の日常を守る事とイコールだ。

彼女の、この安らかな表情だけは守って見せると心に秘めながら、自らも微睡に深く落ちて行った。
抱えていた書類は、ポトリと二人の間に落ちるのだろう。

暫くの間、そうして少女2人の静かな寝息が保健室には響いていた。

ご案内:「第二教室棟 保健室」から水無月 沙羅さんが去りました。<補足:身長:156cm 体重:40kg 不死身少女>
ご案内:「第二教室棟 保健室」から神樹椎苗さんが去りました。<補足:黒基調の衣服、スカート。怪我だらけで右腕は動かない。時間や細かいシチュはお任せ【乱入歓迎】>