2020/09/12 のログ
ご案内:「常世港」に----さんが現れました。<補足:作業員の格好>
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帰省シーズンが過ぎても慌ただしく人員と物資の移動が行われている海の玄関口。いまもそうして重たい荷物が船舶から運び出されている中、作業員のひとりが、タブレットを倉庫の影で操作していた。
「………………………」
港湾部分のマップを手に指先は滑り続け、赤いラインでなにかの導線を描いていく。何かを探している。何かを探し出そうとしている。
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既に地図は真っ赤になっていた。おおよその目星はついていた。しかし慎重に慎重を重ねなければならなかった。目的は天罰を与えることではなかった。極論、勧善懲悪に興味はなかった。人命救助、治療。そして今は信仰。善悪に拘る人間ではなかった。自分が悪であるという恥しかなかったから、たとえ悪意の行いであってもそれを成したもの言えることなどなにもないから。
「休めませんでしたって言ったら、怒るかな」
青垣山を降り、既に寝ずにこれを続けていた。眠らずの医者が覚醒し続けるのは本人の異能の性質もある。肉体の負担はなくならないが、多少の無茶をしながら完全な動作をこなすことができることは、とても便利だった。
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これが空振りの可能性ももちろんある。しかし組織に頼れない現状、こうして一歩ずつやっていくしかない。いつもいつも積み重ねだった。人為的に奇跡を起こすにあたって必要な要素の九割はそれだと考えていた。あとの一割はまた別の要素だが、それもまた自分や多くの心に秘められたものだと了解していた。
「……………………よし」
タブレット型デバイスの画面を閉じてしまい込む。踵を返す。影に忍び込む。うっかりやらかしたら終わるか自分が委員会にふん縛られかねない。それでもやった。行くしかなかった。…彼女なら、行くだろう。
だから。
ご案内:「常世港」から----さんが去りました。<補足:作業員の格好>