2020/09/26 のログ
ご案内:「第三教室棟 職員室」に羽月 柊さんが現れました。<補足:待合済:【はづき しゅう】深紫の長髪に桃眼の男/31歳179cm。右片耳に金のピアスと手に様々な装飾品。くたびれた白衣。小さな白い竜を2匹連れている。>
ご案内:「第三教室棟 職員室」に白泉椿丸さんが現れました。<補足:桃から赤に色が沈むくせっ毛ポニーテール。彩度の変わる緑の瞳。191cmで109kgの、可愛い可愛いオカマ先生。>
羽月 柊 >
職員室の扉に紫髪の男が手をかける。
片手には教材やら授業の資料やらを抱えて。
最近は他の教師の授業を手伝ったり見学したりだ。
『専門では無い人間に教える』というのがどういうことか、
対処や接し方を学ぶのに、先人の振舞いを見ることは大事だ。
中へ入れば、自分に割り当てされたデスクに荷物を置きに行く。
デスクの上は特に私物も無く、シンプルに学園用に購入したノートPCが閉じて置かれていた。
せいぜい小竜用の小さな座布団のような、彼らのスペースを作っているぐらい。
「あぁ、お疲れ様。」
引き連れた小竜たちも学園に馴染み始め、
通り過ぎる教師が通り際に撫でたり、挨拶していったりしていた。
教師である柊もまた、顔見知りになったモノが声をかけてきたりするのに応答しながら、
教材と資料の整頓をしていた。
その存在に気付くまでは。
白泉椿丸 >
「うふふ、本当に久しぶりよね。
ごめんなさいね、忙しく出入りしちゃって。けどもう大丈夫だから」
アタシこと、魔女薬学の担任教師――白泉椿丸。
まあ今はアタシの事なんていいのよ。今は挨拶が大事なの。
やっぱり数年離れちゃうと、知ってる先生もいなくなってたりするのよねぇ。
それが少し寂しいわ、ええ、とっても。
でも、別れの寂しさは生きている限り続くもの。
代わりにあるのが、新しい素敵な出会いっていう喜びなのよ…。
羽月柊は見てしまった。
筋肉隆々の巨体が、白く可愛いリボンで結ったポニーテールを軽やかに揺らす姿。
スマートかつラグジュアリー、なのにさっぱりとカジュアルなワンピース。
そう、ワンピースである。聞こえた声は低くも上質。かつ骨格は明らかに男のその人が、
見事な脚(それは鍛え抜かれている)に絶対領域を何故か生み出している、クッソ絶妙なワンピースであることを、見てしまっただろう。
そして、見てしまったという事は…見られてしまった、という事でもある。
明るい新緑を思わせる緑の瞳が、紫髪の教師をとらえてしまった。南無。
「あら?知らないお顔だわ!あなたも先生よね?」
羽月 柊 >
──流石になんというか…、
異邦人との付き合いも多い柊だが、ある意味での別世界を見た気分だった。
常世学園は広い。
当然職員室も場所に寄るだろうが、今男が居るそこは広めで、
相手に気付くまで遅れたには遅れたのだ。
だが、見てしまったらもう、存在感がヤバイのである。
小竜たちは半口開けて相手を凝視していた。
「あ、あぁ、"も"ということは、貴方もか。
この夏から教師になった羽月 柊(はづき しゅう)だ。初めまして。」
だが『異世界学』も教えるつもりをしている自分が、ここでたじろいではいけない。
努めて冷静に、言葉を返す。
そういう種族(?)なのかもしれないし。
白泉椿丸 >
挨拶を返されると、これまたにっこりと屈託のない笑顔が羽月に返った。
「ええ、初めまして。羽月先生とおっしゃるのね!
アタシは白泉椿丸という魔女よ。どう呼んでも良いけれど…そうね。
出来たらジュディって呼んでもらったら、アタシは最高に嬉しいわ!」
そう挨拶をしながら、191cmの大柄な乙女がハイヒールをカッツンカッツン鳴らして近づいた。
羽月も決して低くはない背丈だろう。しかし、この椿丸は履物のお陰で2mを越している。
この白泉椿丸、背丈とガタイという圧は免れないが、表情や雰囲気は非常に穏やかだ。
にこっとした笑みを湛えたまま、羽月を僅かながら…いやそこそこに…見降ろしているだろう。
んまあ!近づいてみたら黒のように美しい綺麗な紫の髪ね!
でも少し水分が足りないような…ケアを気にしてないタイプの人かしら。
せっかくウェービーに伸ばしているのに、勿体無いわ……。
一晩アタシに貸してほしいわ。翌日には光輝くような姿で世界に羽ばたかせてあげるのに…。
…あらあら?もしかしてと思っていたけれど、この小さくも気高い白は竜かしらン?!
ンマ~~~~!!!カワイイ~~~~~!!!お口!なぁんてちっちゃなお口!
アタシみたいな存在は見たことが無いのかしら?魔女よ~!血筋からちゃんと魔女~~!
ちょっと背が大きいから怖いかもしれないけれど、慣れて頂かないと!ごめんあそばせ~~!!
羽月 柊 >
桃眼が椿丸……もといジュディを見上げる。
この見上げる角度に覚えはある。
己の友人の1人に、これぐらいの背丈差はある。
あるのだが、感じるガタイと謎の圧の違いは明瞭だった。
研究者の柊はどちらかと言えばもやし体系に近い。
故に、この二人は並ぶとかなりあべこべに見えた。
他の教師が二人の会話を物珍しそうに見ていたり、
あるいはこれ幸いと授業に出かけて行ったりしていく中、話は続く。
声の質だけを聞けば間違いなく男同士の会話であるのに、
片方の口調の違和感がすさまじい。
かたや白衣が、かたやワンピースが揺れている…。
「…あぁ…では、ジュディ先生と呼べば、良いかな。
魔女(?)なら、貴方の専門はやはり魔術関係になるのか?」
白泉椿丸 >
「ええ、学園ではそう呼んで!
プライベートで出会った時は、先生なんて要らないけれどね!」
素直にジュディと呼んでもらえたので、乙女は大変ご機嫌だ。
専門、もとい担う学科を聞かれると、いいえと首を軽く横に振った。
「もちろん魔術や魔法は扱うわ。一通りの魔法や魔術、呪術には精通しているつもり」
「けれど、アタシがここで教えるのは<薬学>なの。
<魔女薬学>と言って、素材や環境から魔法の力を引き出して作るのよ。
体質的に魔力が伴わない子も、沢山いるでしょう?そういう子でも、魔法と似たことが出来るのよ」
ニコニコと自身の専門を述べると、自分の顔横に軽く垂れる髪をそっとどける。
少し屈み、出来るだけ背丈の威圧感を無くした状態で――羽月の傍にいる小さな竜を見た。
良く見なくても全身がなめらかな長毛に覆われているのね。
寒地種でもなさそう…。どこの仔かしら。
「羽月先生の専門、もとい教えてる学科は何かしら?
とても愛らしくて気高い純白を連れてらっしゃるけれど、そちらは関係あって?」
羽月 柊 >
以前に出逢ったレザーズという、
少女のような外見で男性の声をしたモノを思い出す。
似て非なるモノではあるが、まぁなんというか、
何かしらに経験の類似点を認めれば、話しやすくはなるだろうと。
「薬学か。魔女は呪いの他に、薬にも精通しているとは聞くな。
…俺もある意味似た、"魔力無き魔術"を教える予定ではあるが、
完全理屈の近代魔術とはまた別の系統で、奇跡を体現できるモノだな。」
体質的に魔力を伴わない、魔力を生成できない。
それは目の前の柊もまたそうであり、
この男は身に着けた装飾品から魔力を身体に巡らせ、
疑似的に魔力があるモノと同じ状態を保っているのだ。
故に、椿丸が魔力感知を可能とするならば、
男の魔力は手に集中していて、全体的には薄い。
小竜はじぃっと見られれば半口開けた状態から意識を回復し、
男の肩と頭の上に留まり、見上げる。
「…俺は本業は研究者でな。彼らが俺の研究対象であり、同時に相棒だ。
『魔術』『異世界』『妖精』……それから、彼らの言語である『竜語』を教える予定をしている。
まぁ、もう少しの間は、他の教師を手伝いながら雰囲気を掴んでいる所だがな。」
白泉椿丸 >
小さな竜に触るということはせず、驚かせてごめんね?くらいの一方的なやりとりをした。
竜であれ犬であれ、小さな生き物は自分よりも大きい存在に驚きやすい。
脅かしたい訳では無いこの乙女心を、いつか理解してもられば良いのだが…。
「まっ。魔力無き魔術?とても面白そうで、興味深い魔術だわ。
他にも教鞭をとる科目があるのね。研究者というだけあって、多彩なのねぇ」
乙女は専門教科に興味が沸いたらしく、瞳の色が黄緑に変化する。
その変化に気づくかはとももあれ、羽月の話を楽しそうに聞いていた。
自分が知らない事ならすぐに興味を示す。これがこの乙女の強みの一つである。
「夏からの教師役なら、知識のない子に噛み砕いた内容を教えるやり方とか、手探りだものね。
アタシも戻って来たばかりだから、必ずしも正解のヒントを共有出来る訳ではないのだけど!
島の外に出る前にもこの学園で教えてたから、分からない事があれば聞いてネ=v
背筋を正し、口元に指を当ててパチンッとウィンクをした。
「年間、または月間感覚で授業を組み立てなくちゃいけないのだもの~。
とても難しいことよね。先駆者は、後継の景色を忘れがちだから…」
羽月 柊 >
見目こそ小さくはあるが、彼らは一応、成人の人間と変わらない知能はある。
しかしまぁ、やはりというか、それでも椿丸の圧には…驚いてしまった訳で…。
「多彩という訳でもないさ。
この教科は、俺の専門の竜から全て派生している。
貴方が薬学を主から呪いや魔術に入るようなモノだとも。
彼ら竜といった魔力的な存在の為に、"魔力の無い"自分が、そうしているからな。
『理』を解して、より『科学』に近いように魔術を操る。
魔法薬で例えるなら、己を薬にしているようなモノ…と言えば、貴方にも分かるか?」
口調やらに惑わされがちではあるが、
椿丸はどうやらふざけた先生という訳でもないのが言葉から分かった。
見た目はともかくとしてだ。
「…確かに、授業回数自体も少なく見積もった状態で、
どれだけ素人に教えられるかというのは悩ましい課題の内だな。
もしかすれば、貴方を頼ることもあるかもしれん。
まぁ、選択授業的に取ってもらうよう考えてはいるがな…。」
研究者という本業がある故に、
基礎知識から教え込む通常授業形式は自分には向かない。
白泉椿丸 >
「ええ、分かるわ。大丈夫よ!魔女とはいえ、現代に生きるアタシですもの。
一つを知るために多を埋めて、知識の堀を埋める方だというのも、よく分かったわ。
羽月先生の手に魔力が集中していたのは、何となく察知はしていたけれど。
貴方の手というよりは、……ああ、これは魔道具なのかしら?」
アタシの授業でも魔道具は使用するのよね。
周囲から力を借りて、薬という箱の中に魔法や奇跡を閉じ込める技術だから。
ひょっとすると、この先生の話をより深く知る事で、魔女薬学もまだまだ進化出来るのかもしれないわ。
一口に教師という立場になったと言ったって、自分の分野の解像度を上げることを止める訳じゃない。
留守にしている間にとても良い人が来てくれたものだわ~!
気持ちを新しく持って、他の先生とのコミュニケーションはもちろんのこと。
可愛い生徒たちの事や最近の出来事は、しっかり知っていかなくちゃいけないわね。
乙女は黄緑に成った瞳をきらきらさせながら羽月の手を見ていたが、羽月の教鞭の悩みにくすっと笑った。
「誰もが没頭できるようなリードをするって、すごく難しい事だもの。
選択式授業なら、内容に興味はもちろんのこと、ある程度は知識がある子もいるでしょうし。
…先生はまず、教えたい事・広めたい見解・分野が抱えている問題を洗い出すことから、かしら?
すでにその段階が済んでいたら、余計な言葉なのだけどね」
他の教師が入ってくると、軽く手を振って挨拶を飛ばす。
この椿丸を見慣れない人は、身構えるだろう。
しかし、見知った教師はそのイメージを崩さない程度の気軽さで、乙女に挨拶を返した。
羽月 柊 >
「魔術は今や秘匿された知識じゃあない。
確かに元から素養があるモノには敵わないかもしれないが、
それでも扱うことが可能だと言う事実だけは…教えていきたいかもしれないな。
だから、ある程度知識を持つモノもだが、きっかけになってくれればとも思っている。」
そう話しながら、手の装飾品を外していく。
全てを外す頃には、柊からはすっかりと魔力がなくなってしまっている。
この男は"薬を血に巡らせるように"、魔力を身体に巡らせている。
自分が教えられることは、自分が知っていることだけ。
過分なことよりも、それだけを男は見据えている。
「あぁ、これ全て魔具だ。
分からないモノから見ると成金趣味のようなモノだがな。
金属や宝石類は、大地からもたらされ、
様々な謂れを持つ故に、魔力と相性が良い。」
こうしたことは、椿丸の扱う魔女薬学にも言えることかもしれない。
数多の薬草や魔力を持った植物や物質、あるいは魔法生物の体組織等。
例えば…この男が名に冠する"柊"。
ヒイラギは、魔除けとして扱われる植物である。
白泉椿丸 >
羽月の手のひらにある指輪などの装飾品、もとい、魔具。
それを数秒かけてじっくりと見て、羽月自身を見る。
誤魔化しも何もない、魔力無しの男がそこにいるのを実感する。
「見事な魔具ねぇ。羽月先生から感じられた魔力は、これを源泉としていたのだもの。
うちの授業でも魔具や相応の道具を使用するのだけれど、ここまでの品は授業で出さないわ」
何か感ずるものがあるのか、感知・眼で追える範囲で魔具を学んでいる。
ふんふんと真面目に眺める目元から、まばたきをするごとに小さな緑の光がこぼれた。
ただそれも、十数秒の事である。
じっくり見たかったら、流石にここじゃ忙しなさすぎるのよね。
どこかで意見交換や知識の交換が出来ると、とっても嬉しいのだけど。
「人は地に足をつける生き物ですからね。鉱石や宝石に意味を見出すのも、そういう文明を持つ者の性だから。
魔法…よりは、魔術ね。魔術はそういった<複合・淘汰が免れない概念>にパースを与える部門が多いし」
見せてくれてありがとうと、魔具のお礼を伝える。
同時に、懐かしそうに眼を細めた。
「ああ、金属と言えば…金工センスが特に素晴らしい人を思い出してしまったわ。
羽月先生は、美術周りの教師をご存知かしら?」
羽月 柊 >
「まぁ、俺のモノは昔よろしくの一点モノが多いからな。
軽いモノなら自分で刻印もしているが…。
流通しているような魔具はどうしても、『扱える』ことが前提になるしな。
出来れば授業を受ける魔力の無い生徒にも、
同じように魔術を扱える実技を設けてやりたいとは思うんだが…やはり難しいか?」
椿丸は瞳に魔力があるのだろうかと勘繰りはする。
するのだが、聞いてよいのだろうかとも思っていた。
己の見目もまた、日本人の名前を持つには少々普通ではない。
年齢を重ねる最中で起きたことにより、この紫と桃色を持つに至った故に。
そう簡単に聞いてよいモノかと思ったりもしてしまうのだ。
「そうだな、魔術だ。魔法という、何もかもの法則を越えた"奇跡の体現"じゃあない。
探求し、解き明かす、果ては『真理』にすら近づき再現をする。
そう言った……美術?
あぁ、友人なら美術教師に1人居るが…。」
どうも話に熱が入ってしまった所に、話が別へ飛んで首を傾げた。
椿丸が挨拶をする教師に柊も頭ぐらいは下げただろう。
幾人かの知り合いも出来ているかもしれない。
それでも、まだこの男の知名度は低い方だろうが。
白泉椿丸 >
「いらっしゃるの?じゃあ、ヨキという名前だったらよろしく伝えておいて!
それから、魔力のない子にも魔術を扱える実技は…そうね、出来ない事は無いと思うわ。
ただ……」
そこで少し、乙女は黙ってしまった。
その(ものっそい筋肉で)豊満な胸の前で腕を組み、口元を指でトントンと叩く。
技術の基礎が無いのではなく、魔力が無い生徒に魔術を実体験させる実技。
とっっても素敵な授業になるのは、まず間違いないのよ!素敵にならなかったら夢か何かよ!
周りが使ってたら、やっぱり使ってみたいはずだもの。座学で終わらない体験は素晴らしいわ。
けれど、自由に魔術を扱う体験となると、まずは代替わりされる<理>を用意してあげなきゃいけない。
マスターキーは使い方を理解してこそ。そうでなきゃ、鍵として機能してくれないのだもの。
魔術を代行させる呪言は、その種の理を把握したところから生まれるオンリーワンのパーソナルキー。
共有キーを扱っても良いけれど、道具と深い結びつきを生んだ方が事故率は下がりそうな…。
「魔力の補助は、それこそ道具や薬・香でいくらでもできるわ。
問題は、それを媒介として魔術を執行してくれる魔具の<精度>と<自由度>じゃないかしら?」
見た目以上に、乙女の頭の中では沢山の文献や魔具の作成・代行方法などが引き出されているらしい。
黄緑だった瞳は新緑色に戻り、瞳からこぼれる光の粒も無くなった。
「それから、体験使用させる魔術の種類を絞る事…執行顕現の上限や暴走抑制は、もちろんの事よね。
羽月先生の授業で触れる内容にもよるでしょうけどォ~~……ああ、そうだわ!
実技も視野にあるなら、初歩魔術を出力できるよう刻印魔具を作製する回があっても良いのではなくて?」
座学を生かした実技のつなぎ方として、どうかしら?と。
羽月 柊 >
「あぁ、ヨキだったのか。彼が俺の友人だな。
戻って来たと伝えれば良いか?」
本当に彼は交友範囲が広いなと思いながら、よろしくと言った相手に頷いた。
「………。」
相手の言葉に先人故の経験を感じた。
考える時の癖になのか、拳の人差し指を唇に当てる。
なるほど、包丁も使い方が分からなければ他人を傷つけるように、魔術もまたそうである。
それは遠い昔に自分も体験したこと。
今となっては昔故に忘れていたこと。
「なるほど、暴走か……自分の場合は使えない、出来ないが多かったから、視野外だったな。
暴発や自分の想像以上の事象を引き起こしてしまう可能性への対処方法…。」
下を見ていたが、様々な生徒を相手することになる以上、
当然上もあり、突き抜けてしまうこともあるという金言を得る。
そこに対処できる己の実力と合わせて授業内容を決めねばならないということ。
やはり、教師というのは難しい。
「初歩と言えば大抵は光を灯す程度だとは思うんだが、
照らすだけでなく攻撃魔法になってしまうこともあるかもしれん、ということだな。
刻印魔具に関しては、自分は魔術頼りの作成をしているからな…。」
完全に物理的に作るのであれば、その方法も調べて来なければな、と、
図書館に行く用事が増えたなと思うのであった。
白泉椿丸 >
「この学園で起こる事のほとんどは、教師<オトナ>が手を出さずとも生徒<コドモ>たちがどうにか出来るわ。
でも、教師の元で行う実技に関しては、<出来る限り成功体験をさせる>、<事故を限りなく減らす>。
教える立場であると言う事は、授業の主役はあくまで生徒。教室は教師の実験場ではないから…。
未然に防げる事故・現象を示しながらも、<大きな事故を呼ばない努力>が大事だと、私は考えているの。
大人やそれ以上の年齢に達している存在も、もちろん在籍しているのがこの学園よ。
けれど、学ぶ立場である限り――授業内容の理解度はもとより、ちゃんと守ってあげないとね」
リスクの管理をさせるのと、リスクに直面させるのは大きく違う。
乙女は羽月が思考を巡らせる際の癖を眺めながら、彼の言葉には逐一頷いて返した。
「魔力を扱う事に長けることと、魔道具を扱う事に長ける事は別ですもの!
もしかすると、道具の力を引き出すことに優れている子がいるかもしれないじゃない?
<かもしれない事故>は言いだすとキリが無いのは、アタシも重々承知してるわ。
どうしても起きたらヤバい事故に対する処置だけ、しっかり行えばいいのよ」
先生一人で対処できなければ、他の先生に応援だって頼めるの。
教師は教壇に立つ時は孤独なものだけど、それは教える立場を選んだ孤独よ。
学園にはたくさんの教師が存在するわ。もちろん、このアタシもね。
「キャップ付きの簡易魔具のサンプルなら、アタシも何種類か持っているから。
現物を確認したかったら、声をかけてネ。…今日から数日は、荷物を広げるのにバタバタしてるけど」
羽月 柊 >
「そうだな、守る。守ってもらえるという安心感があるからこそ、
生徒たちも新たなことに挑戦して行けるのだろう。
例えこの島がどれほど大人から権限を奪おうとも、
そういう所だけは、今も昔も変わらんだろうとは思う。」
己がそうした立場に成れているならば良いが、と零す。
生徒と生徒に挟まれた存在である教師。
しかし、学園である以上、教師という存在は不可欠であり、
教師であるからこそ、出来ることがある。
彼らを支え、導き、共に歩く…大人であるからこその視点として、だ。
そうしてすっかりと意見交換が円滑に行えるようになった頃、
時計塔が予鈴を告げて来る。
柊にも、次の授業の手伝いにと声がかかる。
「…すまない、すっかり話し込んでしまったな。
キャップ付きのサンプルはまた今度、拝見しにいかせてもらうとも。ありがとう。」
白泉椿丸 >
予鈴の音を聞くと、胸の前で組んでいた腕をパッとほどいた。
「こちらこそ。あらやだもぉ~~~、準備の邪魔をしちゃったわね…。
あ、これアタシの連絡先よ。後で教師名簿に加えられると思うけれど!」
ピッと名刺を取り出して、手伝いに向かおうとする羽月に乙女渡し(スッゴイ・届ける)をした。
名刺には<森の魔女・白泉椿丸>と書かれている。
さらに、その下には番号とアドレス、有名SNSアカウントが数種類載っていた。
自由につぶやけるSNSと、画像中心のSNSなどである。
椿丸は乙女ゆえに、流行とそこにまつわる情報発信には敏感であった…。
「またそのうち、ちゃんとお話できると嬉しいわ。またね!」
乙女式のお別れは…………そう! 投 げ キ ッ ス である。
羽月 柊 >
「あぁ、あぁ…ありがとう。
代わりにこちらも渡しておこう。
教師よりも、こちらの方がメインだからな。」
時間に急かされつつも、スッゴイ届けるを受け取った。
圧に押されている感じは否めないが、話す事柄はどれも興味深いモノだった。
ならば、こちらの名刺も渡しておこうと。
そうして、羽月研究所所長の名刺が渡されたのである。
互いの去り際、投げキッスが飛んで来た。
それへの対応に少し悩み、軽く手を振った後、男は去っていくのだった。
そういえば最近も投げキッスをされたな、などと考えつつ。
柊は次の授業の手伝いへと向かうのだった。
ご案内:「第三教室棟 職員室」から白泉椿丸さんが去りました。<補足:桃から赤に色が沈むくせっ毛ポニーテール。彩度の変わる緑の瞳。191cmで109kgの、可愛い可愛いオカマ先生。>
ご案内:「第三教室棟 職員室」から羽月 柊さんが去りました。<補足:待合済:【はづき しゅう】深紫の長髪に桃眼の男/31歳179cm。右片耳に金のピアスと手に様々な装飾品。くたびれた白衣。小さな白い竜を2匹連れている。>