2020/09/28 のログ
ご案内:「裏常世渋谷(お昼)」に幣美奈穂さんが現れました。<補足:ちっちゃい巫女さん、なんか頑張る。>
幣美奈穂 >  
「なんか、こっちの方・・?」

猫伯爵様こと、ケットシーの◦レオンシュレーゲルスタインハウゼンベルガードルフ伯様を胸に抱えてえっちらおっちら。
降ろした方が早いのじゃない?、とプルプル震える腕に抱えられた猫伯爵様が見上げてくる中で。
美奈穂は常世渋谷の端にです。
ここまで、めったに乗らないトラムに乗って。物珍し気に猫伯爵様とお外を見ながらです。
ちなみに、トラム。子供料金と猫、という値段で乗ってきました。
妖精国といっても、都会ではないのです。
猫伯爵様は、こいつが騒がしいやつにゃ、と乗る前に少し騒ぎましたが。
人が乗る動くのものが珍しく、乗ってしまえば一緒に外を眺めてたのです。

こっちから吾輩来たにゃ、と前足を向ける猫伯爵様。
あっちの方がなんか近そう、それに猫成分を感じます、と感性だけで方角を決めて進み美奈穂。
なんやかんやとありましたが・・なんか、空気というか、世界が少しおかしい空間にいつの間にか入り込んだのです。

幣美奈穂 >  
「・・空間が、出来上がってます・・」

ここの雰囲気、なんか覚えがあります。
前に、風紀委員でお役目で連れてこられたことがあります。
建物の構成を払えば、一瞬、風化したように見えますがすぐに戻ります。

お鼻をぴくぴくさせたレモンシュークリーム伯爵様がこっちにゃ、と前足を向けるのに、呑気にとったとったと歩くのです。

――怪異の穢れを少し感じます。少し力がある怪異・・。
だけど、そこに猫成分を少しだけ感じるのです。

「この先に・・何かおりますわ・・」

暫く進んでいくと、その先の通りに穢れを感じます。
人知れず、ひそひそと声が小さくなります。
歩みをゆっくりとして、抱きかかえた猫伯爵様と一緒に、角からそっとお顔を覗かせます。

そこにいたのは・・。

幣美奈穂 >  
・・先ほど乗っていたトラム車両と同じ程度のサイズ。
そして、ノーズが伸びた面構え。
そんな怪異が、すやぴよーとお昼寝しています。

すやぴよー、すやぴよー。

猫伯爵様を見ますと、吾輩が見たのとちょっと違うにゃ、とゆっくりと首を振ります。
もう一度見ます。
少し平べったいくちばしをもつお顔が付いたトラムに見えます。
だけど、美奈穂の完成には少し猫成分を感じます・・けれど、まるで猫成分は見られません。
そう、ガチョウのお顔が付いているようにしか見えないのです。

牛車の代わりに電車の先頭車両を持つ、巨大な顔を持つ『朧車』。
軽めの車体と空気抵抗を考慮したノーズを持つお顔を持っています。
具体的に例を言えば、新幹線N700系を小型化したような姿かたちをしているのです。
最高時速300㎞時は余裕な、、高速型の『朧車』です。

そんなちょっと変わった朧車を見つけてしまったのは、幸か不幸か。
すやぴよーっとしている姿はなんかほのぼのとするのですが。

・・鼻提灯がぱちん!
はっと起きだす朧車、そのガチョウなお顔が驚いて左右をきょろきょろとします。

幣美奈穂 >  
きょろきょろとしていたガチョウのお顔が、こっちを見ます。
――美奈穂と猫伯爵様の視線と、ガチョウのお目めがばっちり合いました。
その時、美奈穂は気が付いたのです。
・・そのガチョウの瞳の部分がにゃんこさんです!

と思ったのは、暫しにらみ合っている時間。
『ぐわぁ~っ!』
と、車体の先頭に付いたガチョウ頭が叫びます。
『ぐわぐわぐわっ』
威嚇するように吠えてから、車輪に火を纏いこちらに突っ込んできます!

「ひぃっ!?」

びっくりした一人と一匹。
思わず、今いる路地を駆け戻るのです。
毛並みを逆立てた猫伯爵様がこっちにゃ、と前足を向けます。

幣美奈穂 >  
とたたたたっ!
美奈穂にしては頑張った走りです。
そして、後ろを見ますと・・車体より幅が狭い路地の前をうろうろ。
そしてくちばしを突っ込んだりしてから、ぐわぐわっと威嚇してきます。
なんとも、意思を取ることも難しい攻撃的なご様子です。
まるで、卵や雛を抱えたガチョウに人が近づいた如くです!

「こっちまではこれそうも・・ひやぁっ!?」

もだもだしていた朧車、不意ににゅいんと車体が横に潰れたようになって路地に入って来ます。
猫伯爵様と大慌てで逃げます。
幾つか道を曲がり、こっちにゃ、と更に狭いビルとビルの間の細道。
所謂猫道。
配管などもある、人が普通にあるくのも難しい細い道にと入ります。
横向きになってえっちらおっちらと進みます。
降ろすにゃ、といいかけた猫伯爵も。
頭を我儘さんの間に挟まれて黙ってしまいました。

通っていた道をにゅるるんと走る朧車。
どっちだ、どっちいきやがったか、とぐわぐわ言いながら。
道を行ったり来たりして、猫道に気付きます。
こっちを覗き込もうとする朧車の姿が。

幣美奈穂 >  
『ぐぅわぁぁぁ~~』

みつけたぞ~、というかんじに吠えますガチョウ顔の朧車。
見つかったわ!、と慌てた美奈穂の声と。
見つかったにゃぁ~、とどこか蕩けたお声の猫伯爵様。
流石に狭く速度が出せない朧車ですが、ほぼ横にぺっしゃんこになって執拗に追いかけてきます。

急いで抜けた美奈穂、やぁっと飛び出しますと大通りに出てしまったのです。
どうしよう、どうしましょうと左右にうろうろ、おろおろとするのですけど。
はっ、と意識を取り戻した猫伯爵様が、退治してくれるんじゃなかったのにゃ、と見上げていってきますと。
そうでした、と。思い出します美奈穂です。

急いで、猫伯爵様のお昼寝を守る為にと。路地の出口に結界を。
「やぁっ」とあまり迫力ない気合の声で、足の裏で地を抑えます。
すぐに、どぅっ!、と大きなものがぶつかる音。
一瞬、ノーズが少しだけ飛び出しましたが、跳ね返します。

「これで、逆側も封しちゃえば・・!」

と、猫伯爵様を抱えたまま、道を回り込んでみようとするのですが――。

幣美奈穂 >  
どごんっ!

と凄い音を立て、すぐ横のビルの横が破裂するように中から爆ぜます。
そこから飛び出してくる、小柄の車体にガチョウの顔が付いた朧車。
まさに貫いてきたのです。

目が点になってしまいます美奈穂。
ぶるぶるっとお顔をふる朧車は、左右を探して・・こちらを見ると、にやぁりとくちばしを歪めるのです。
ぐわぁ!、と吠えて突っ込んできます。

てりゃぁ、とお目めを瞑って咄嗟に前に結界を張るのですが。
どんっ!
突っ込んできた朧車に、後ろにコロコロ~と転がってしまいます。
結界で防いでいるのですが、車体の機械部分までは防げず。
そこが結界を突き抜けてきます。
その先は、猫伯爵様の額の毛を少し刈ったのです。

純粋な穢れの怪異ならよかったのですが、憑依した元の車体部分が美奈穂の結界と相性が悪いのです。
ただ、数瞬とはいえくちばしの先端の穢れが払われた朧車も、お顔を振ります。

幣美奈穂 >  
1人と一匹も転がって目がくるくると少しします。
けど、いち早く体調を戻す美奈穂が、猫伯爵様を抱えたまま。慌てて朧車から離れようとするのです。
が、速度に優れた個体である、ミニ新幹線のようなガチョウ頭型朧車。
ぎゅわっと回り込みます。
慌てて、逆にと走れば、朧車は更に回り込みます。
徐々に、大通りの中央にと追い込まれていく一人と一匹・・一匹は、離すにゃっ、と美奈穂の腕を前足でたっぷたっぷしてますけど。

真ん中に追い込み、左右の路地に逃げ込むのにも少し掛かる位置と見た朧車は。
その速度をもって美奈穂たちから離れます。
そして、車輪の火を大きくして、地面から煙を立てるホイールスピン。
最短で最速に至る、その態勢を取るのです。

幣美奈穂 >  
ぞぞぞっと背中がします。猫伯爵様も毛並みを逆立てます。
先ほど、そこまで速度が乗っていなくても、結界を少し抜けたのです。
速度を乗せられますと、どこまで突き抜けられるか分かりません。

逃げるにゃ!

猫伯爵様の前足が指す方向に美奈穂は走り始めます。
それと同時に『ぐわぁ~!』とガチョウの鳴き声と共に、はるかに離れた位置から急発進の音を立てて突進する朧車。

幣美奈穂 >  
横道に逃げようとする美奈穂の足は遅く。
巻き込むにゃ~!と悲鳴を上げる猫伯爵様の声が響き。
さらに方向を微調整しながら、突撃してくる朧車。
その速度、時速100㎞・・200㎞・・300㎞・・400㎞・・さらに加速。
10秒にも満たない時間――!

べちゃっ。
むぎゃっ。

転ぶ美奈穂と、地面とで潰される猫伯爵様。
そして、転んで薄っぺらくなった美奈穂を守る結界。

そこに突っ込んできた高速の朧車は、片輪を乗り上げ・・車体をひねりながら空を飛び・・
置き石同然になってしまった美奈穂の結界に、空を飛ぶ自由を得た朧車。

幣美奈穂 >  
とんっという軽い衝撃だけ受けた美奈穂。
いたたた・・とお鼻を打っちゃったと起き上がり(無傷)。

いたたたたっ、とお鼻打ったと両前足でお鼻を抑える猫伯爵様は、
今だ美奈穂の片手で抱きしめられていまして。

そして前を見て、上を見て、後ろを見ます。
激しい衝突音の連続に、びくっ!
きりもみしながら勢いよく飛んでいき・・ビルに突っ込み・・突き抜け・・更にビルに突っ込み、突き抜け。3本目のビルに突っ込む朧車のお姿。
暫くびくびくっと震えていた見えている車体部分が、くたりとします。

朧車が自身の最速度で、そして車体重量を下げるため小柄になった姿。
それが仇になったのです・・。
幣美奈穂 >  
猫伯爵様と顔を合わせます。
どちらからとも言わず、こくんと頷きます。
――見なかったことにしましょう。

なんか、風紀委員会や祭祀局にばれたら、叱られちゃう案件だと思うのです。
随分とビルに被害が出ましたし・・。

そそそくさっと、その場を離れることにします。
わたくしたちは、ここに居なかったのです。
とてとて~と抜けると、ふいに世界の喧騒が戻ってきます。
異界を抜けたような感じ・・裏常世渋谷を抜けたのです。

とりあえず、風紀委員会に戻りましょう、と。
トラム駅にたどり着けられたら、美奈穂でもなんとかなるでしょう。
少し時間がかかり、道を間違えたり。トラムで逆方向に行ったりもしましたが。
今日は無事に戻れるのでした・・。

ご案内:「裏常世渋谷(お昼)」から幣美奈穂さんが去りました。<補足:ちっちゃい巫女さん、なんか頑張る。乱入大丈夫ですよー。>