2020/09/18 のログ
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」に幣美奈穂さんが現れました。<補足:ちっちゃい巫女さん>
幣美奈穂 >
放課後、学生街を通りますと。
自分の家を少し通り過ぎまして・・ファミレス。
きょろっとしましてから、その横道を通ります。
今日の委員会のお仕事は、ファミレスの裏手にあります。
角からファミレスの裏口をひょこりと見ておりますと。
しばらくして、かちゃりと開く扉。
そこからのっそのっそと出てきますのは――頭胴長が60cm弱の、ふっさふさな毛並みで、太い尻尾に縞がはいった生き物。
「あっ、ちょうどよかったですわ」
どっこいせっ、とおじさん臭い雰囲気で、瓶ケースに腰掛けるその生き物。
前掛けから煙草を取り出しますと、しゅっとライターで火を付けます。
「きゅあ(なんだ、嬢ちゃんか)」
そんな鳴き声で反応するのは、少し威厳のあるアライグマです。
幣美奈穂 >
もふもふ好きな美奈穂です。
笑顔を浮かべながら、そそそっと少し速めな歩みでそのすぐ傍に。
「マ王様、今、時間がありますかしら?」
ぐあっ(なんじゃい)という返事。
それはOKな合図だとうけとりまして、振袖から封筒を取り出します。
別段、この毛達磨が魔王なわけではありません。
王様っぽいアライグマだから、美奈穂がマ王様と呼んでるだけです。
「あの、そろそろ。予防接種の時期です・・」
両手で封筒を差し出します。
それをじろりとみたマ王様。
ふんっ、と鼻息で咥え煙草のまま封筒を片手で受け取り、前掛けのポケットの中に無造作に。
「あっ、今年は早めに行ってくださいませ!」
そんな無造作なのに、きゃんきゃんと文句を言います。
3年前に出会ったこのアライグマさん。
何か怪異の気配があったので探してましたら、迷子になっているのを見つけたのです。
怪異は見つけられなかったのですが、そのまま保護したところ。
「無害」「元のところに」と言われたのです。
ですが、そんな放り出されては困るのが、今からの生活をどうしたらいいかというマ王様。
通じない言葉のまま美奈穂との交渉の末。
ファミレスの皿洗い係として紹介し、アルバイターな生活をしているのです。
風紀委員として、このように人の世に混じるのを監視するのもお仕事。
拾ってきた責任として、時々、マ王様に挨拶に来る美奈穂です。
そして去年。
同じように無造作に入れられた封筒。
見られず、期限ぎりぎりになって急いで抱え連れて行ったのは美奈穂なのです。
幣美奈穂 >
「ぐぁあ(めんどくせぇなぁ)」
と鳴くマ王様の頭をなでこなでこします。
すっかり美奈穂に撫でられるのになれてしまっているご様子。
「きちんといってくださいませ。
去年、委員長さんに叱られたのですから」
ぶっきらぼうだけど、お仕事真面目なマ王様。
そっぽむきながら「きゅあ(仕方がねえなぁ)」と呟くのです。
頭から背中、そしてふっといお尻尾までなでこなでこ。
両手でお尻尾を握るのも許してくれます。
けど、太い尻尾をふりますと。
煙草を携帯灰皿に入れます。
休憩時間が終わりなようです。
残念そうに手を離しましたら、ケースから降りたマ王様。
二本足でのっこのっこと浦口。
少し振り返って、またな、と小さくなきます。
ふるりっ。
そうして挨拶として、その2本の太い尻尾を振るのです。
アライグマ王様、実はアライグ又なのでした。
お仕事にマ王様が戻るのを見ますと。
ちょっと残念そうな表情を浮かべましてから。
よしっ、と気合を入れます。
あと4件、予防接種のご案内を渡さなければならないからです。
近道などせず、表通りに出てから。
遠回りになっても判り易い道順で封筒を配る美奈穂なのでした。
ご案内:「ファミレス「ニルヤカナヤ」」から幣美奈穂さんが去りました。<補足:ちっちゃい巫女さん>