2020/11/03 のログ
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」にオダ・エルネストさんが現れました。<補足:黒髪緑色の瞳/「誉れそば中卒」のロゴの入ったクソダサパーカー【乱入歓迎】>
オダ・エルネスト > 古代の蛮族たちの「夏のおわりと冬の始まり」を祝祭を元にした現代の娯楽まつりは終わった。
だが、流石今の世の中であった。
人が何かをきっかけにはしゃぎたいだけの催しかと思っていたが、
『落第街』と呼ばれる場所で亡霊のような《怪異》が発生したという噂が耳に届いた。
――侮っていると私も危ないところだったかも知れんな……。
そう、思う。
偶然だが、あの夜に常世渋谷から歓楽街へと続きその更に奥へと私が迷い込んだ場所こそ、件の場所であったらしい。
幸い、恐ろしい目には合わなかったし、同じく仮装した仲間としかやり取りはしてないが。
閑話休題。
「さて、勝負服か……」
男、オダ・エルネストがそう真顔で呟き居るのは、
常世渋谷でも大きめのファッションビル―――その女性向け衣服売り場である。
女性服売り場の中心で、トルソーに着せられた流行りのブランド衣装をみて呟く男がどう映るかは人それぞれだろう。
オダ・エルネスト >
《勝負服》。
遂に、月は十一を数える。
オダがこの異能学園都市へと来て、四ヶ月にもなる。
未だ島のありとあらゆる場所へと足を運んだ訳ではないが、
この学園の年間行事くらいは学園のパンフレットで知っている。
学園祭がある。
しかも、かなりの規模で生徒会というか常世の財団も動くような大きなイベントである。
これを楽しまずして何が、学生か。
「季節を意識した服装のほうがいいか……?
性的な主張を意識したものの方がいいか。
それでは、女性からの反感があるか……」
イメージというものがある。
八方美人というのが誰であろうと難しいのは、オダも理解している。
それでも、そういう方向に一度でも頭が動くのはオダもまた思春期の男ということである。
一人、女性向けの衣装を真剣に眺めてメモを取ったり、口からなにか考察的な台詞が漏れたりしている。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」に春日 遥さんが現れました。<補足:白スカート・アイボリーニット帽 / 幸運体質女装少年>
春日 遥 >
晩秋の候、冬の予感を感じさせつつも、まだ本格的に冷え込むのは早い季節です。
ハロウィンイベントを終えた常世渋谷は、祭りの後という言葉がまったく似合っていて、酷く静かなように思えました。
――いえ。静かというのは違いました。夢と現実が切り替わったかのように、普段通りの世界となった、というのが正しいでしょう。
さて、常世渋谷という場所は人の尽きぬ土地です。行き交う人は様々、時には変わった――といってもこの島では変わっていないほうが珍しいのですが――人もたくさん集まります。
お出かけの最中、ふらりと立ち寄ったファッションビル、女性服売り場。
一際背の大きな男の人を見かけて、私はついそちらの方に目を向けてしまいました。変な言い方になりますが――この場には似つかわしくないが故に。
しかしながら男の人はただそこにいるのではなく、衣装を前に何やら考え込んでいるようでした。どうも何やら入り訳のあるご様子。
「あの、こんにちは。何かお探しですか?」
と。何か力にはなれないかと、つい声を掛けてしまうのです。
――"同じ性別の人"が、ここにいたというのが珍しいというのもありますが。
オダ・エルネスト >
思考は堂々巡り、一人ではまともな解答も導けない。
もうしばらく考えて答えを出せないのであれば、レジ付近からこちらを熱い視線で見つめてきていた店員さんにご意見をいただこうかなどと考えていた。
そんな矢先に可愛らしい声と姿の方から声をかけられれば、
おやっと一瞬眉間に寄った皺を解いて、そちらへと身体を向けた。
「おや、こんにちわ。
私が探し求めているものがあるとよくわかったな、如何にも」
そちらの顔を見れば、笑みを浮かべて一度歯をキラリと光らせ
その通りと親指から中指までを伸ばして謎のハンドサイン。
その手で自身の顔へと視線誘導して、言葉を続けた。
「私はオダ――オダ・エルネスト!
勝負服を求めてここにいる男だ」
春日 遥 >
「こんにちは。何やらとても考えこまれていらしたので、つい」
さてその方はその風貌に違わず、快活なお方のようでした。こちらを振り向き挨拶をしてくれます。こちらも笑みと言葉を返して。
どうやら私の心配事は当たっていたようでした。声を掛けてよかった、のでしょう。
「ふふ、初めまして、エルネストさん。私は春日 遥と申します」
こちらも自己紹介。そして共にかけられた言葉の意味を考えます。
なるほど勝負服。特別な日に着る衣装。しかしここは女性向けの服を売っているエリア。この方が着るには……何というか、あまり合っていないようなものばかりです。
となれば、妹さんなどへの贈り物でしょうか。
「勝負服……ですか。どなたかにプレゼントされるのですか?」
その相手が今ここにいらっしゃるなら、私が声を掛けたのは大きなお世話だったかもしれませんが。
オダ・エルネスト > 自己紹介を返して貰えたのであれば、第一印象は好印象ってところだろう。
「ありがとう遥、君の声掛けがなければ私は時の迷路を彷徨っていただろう」
腰に片手を当てて、
もう片手でお手上げだと言わんばかりに手を上げて肩を一度上下に揺らした。
(よく見れば中々、洒落た服装……これは運命か)
そう逡巡の後、一度頷くと遥の顔を見つめて問への解を口にする。
「いいや、私用だ」
ハッキリと無駄に男らしい声色で宣言した。
私用、個人のために用いること。
この言葉に、嘘偽りはない。
「学園全生徒を魅了したいと、考えている……」
大真面目に、本気で真剣な表情でそう口にする一八〇センチオーバーのよく見ればマッシヴな肉体の野郎だ。
春日 遥 >
「私用、ですか」
なるほど。
……なるほど。
言葉の意味は理解できました。即ち贈り物でも何でもなく、ただ自分のために。
学園全生徒を魅了したい、と。そう語るエルネストさんの顔に、悪ふざけや冗談といった類の色は一切見えず。本気なんだということが伝わってきます。
男が女物の服を着ようとするなんて、とは言いませんし思いません。返ってきますし。自分に全部。
ですが。人にはそれぞれ似合う服の傾向が異なるというのもまた然り。
「その……エルネストさんの場合、この辺りに並んでいる服よりも他のフロアにある服の方が、とは思うんですが……何か理由って、あるんですか?」
筋肉質な体つきをさっと見て、そう訊きます。
この体躯ならば、凛々しい服装や野性的な服装など似合うように思うのですが、生憎この辺りにはそういった服は無いように見えます。
オダ・エルネスト >
大きく頷いて、肯定する。
「そうだ」
しかし、その後に続く台詞にどうやら遥と自分の想定に違いがあるようだと気がついた。
視線が自分の体つきを確認するようなものであったから気がつけた。
なるほど、どうやらちゃんとした情報を言わなければならないな。
「……ああ、安心してくれ女性向けで問題ない。
一六〇センチはないくらいに、スリーサイズは上から七十八・五十八・八十一の少女を想定くれ」
流石にこの男の肉体に合う衣服を求めている訳ではないようだ。
「セクシーなものなども考えたが、流石に短絡に過ぎると思っていてな。
男性にも女性からも悪くないように思われそうな衣装、それが理想だ」
明らかに違う体格の衣服を年頃の男が求めている。
プレゼントでもないという。
では、どういう用途が想定できるだろうか……。
春日 遥 >
「……ああ! ああ、そうですよね……私、何て勘違いを……」
ひどい勘違いをしてしまいました。何ということでしょう……。恥ずかしくなり、思わず顔に紅葉を散らして俯いてしまいます。
しかしそれはそれでどうして欲しがるのかとか、随分と想定が細かいようなとか、といった疑問が残るのですが……深くは気にしないようにしましょう。話が進まなくなりますし。
「でも、そのくらいの女性となると……私よりも一つ二つ上くらいでしょうか。その方の、勝負服……男性にも女性にも……」
あれこれ思案を巡らせます。普通の、それこそとりたてて特徴の無いような服を勧めることもできるはできるのですが――それでは『全生徒を魅了したい』という願いを叶えるのは難しいでしょう。
「難しいですね。髪形や顔立ち、容姿によって似合う服装は異なりますから……実際にその方を拝見しないと、何とも……」
困ったように、周囲を見渡します。ある程度組み合わせは考えられますが、最高といえるかは悩ましいところ。
オダ・エルネスト > 「なるほど、確かにそうか……
遥の言う通り、歳は恐らくそのくらいだ」
そうだな、と携帯端末を手に取り画像を一枚表示する。
そこに映し出されているのは、長い黒髪でエルフ耳の色白な肌の少女で赤を主体に黒と白を上手く混ぜたカラリーングのミニスカ風の和服を着ていた。
ゲームセンターで遊んでいたりすれば、ゲーム名くらいは知っていてもおかしくはないアルアイドル育成ゲーム『イワトビラキ』にて、オダが使う自分のアバター《ノヒメ》の写真である。[※1]
「こういう和服っぽい格好とは違った別の格好で学園祭に魅せたいと思っているんだ」
表示させた画像を見せる。
オダと同じような瞳の色だが、画像の少女は日本人的な雰囲気があるがエルフ耳という特徴が目立つ。
妹、という訳はないかも知れない。
[※1]wikiのイワトビラキのページ参照
http://guest-land.sakura.ne.jp/tokoyo/wiki/index.php?%E8%A8%AD%E5%AE%9A/%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96/%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%AB%E8%82%B2%E6%88%90%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%80%8E%E3%82%A4%E3%83%AF%E3%83%88%E3%83%93%E3%83%A9%E3%82%AD%E3%80%8F
春日 遥 >
「……へぇ……」
エルネストさんが端末をこちらに向け、見せてくれた画面には。
濡れ羽色の髪やアレンジされた和服風の衣装ながらも……白い肌の、エルフさんでしょうか。そんな、可憐な女の子がいました。
実際の写真ではなく、何かのキャラクターのようですが……生憎、思い当たるものはありません。
「なるほど……綺麗なお方ですね。なるほど、これなら……」
偏に大和撫子然としたお方なので、なるほど和服から外した服装となるとなかなか難しいところ。
「そうですね……ワインレッドやネイビーのような深い色の方が、白い肌や綺麗な瞳が生かせて良いかと思います。和服から外すとなると、例えばロリータ服なんて似合うと思うのですが……どうでしょうか?」
あくまで私の一意見ですが、そう言ってみます。
他人をコーディネートするのは初めてなので、気に入っていただければよいのですが。
オダ・エルネスト > 「ロリータ服か……
いい挑戦になるかも知れないな」
腕を組んで斜め上を見るようにしてイメージする。
一般服装の組み合わせという思考になっていたが、ロリータ服は辿り着けていなかったイメージだ。
該当する衣装を手にして、値札を確認する。
「よし、どちらの色の服も買うか。
なに……スカートだけで高いな、流石ブランドもの」
元々お高いブランド物な衣装を見ていたが、ロリータ服はオダの想定した値段よりも一回りほど高い。
しかし、最近バイトで稼いだ財布の中身をもってすればなんとかなる。
値段を気にしなくてもいいかなと思うくらいには勧められた服はオダにも好評であるようだ。
「遥、君のそのイメージ力……センスが素晴らしいと言わせてくれ。
私にはない輝きを持っている、君の女子力に感服せざるを得ない」
尊敬の眼差しを向けながら、感謝に軽く顔だけで礼をする。
春日 遥 >
「えっと……どちらも買うんですか? その、お金に余裕は……あ、いえ、エルネストさんが良いならいいんですけど」
勧めた張本人とはいえ、なかなか値が張るお洋服。両方とも買うとなると、学生の身にはなかなか厳しいお値段です。
しかしそういう選択ができるということは、そういうところに余裕がないわけではないのでしょう。あまり言うことではありませんが……少しだけ、心配です。
「いえ、こちらこそ! 気に入って頂けたのなら、私も嬉しいです。よかった……」
正直、自分の服を選ぶのは何度もあったのだけれど、他人の服を選ぶのは初めてなので自信がありませんでした。だけれど、結果的には喜んでいただけたようで。嬉しくなって、笑みを浮かべます。
オダ・エルネスト >
「この礼は、そうだな……。
いずれ食事の一つでも奢らせてもらうことで返したい」
急に財布が軽くなる感覚に恐怖を覚えるが、ここは余裕を持っておくのがよい。
心のなかでは、またバイトをしなければ成らぬと誓いつつ。
しかして、最初に思ったとおりだったな、と改めて男は自分の直感の良さに――ナルシストに――浸る。
「やはり、君とここで出会ったのはやはり運命だった……!
機会があればまた会い意見を聞いたりしたいところだ。
私は男子寮に住んでいるのだが……遥、君も寮かな?」
拒絶されないのであれば、遥の手を取って喜びを表わすように軽く上下に振ったりしただろう。
春日 遥 >
「いえ、お気になさらず! ……でも、食事ですか。ふふ、機会があれば、ご一緒したいですね」
取られた手は抵抗することなく。そのまま優しく、握り返します。
……それにしても、やっぱり金銭に関しては心配です。繋いだ手を通して、少しでもエルネストさんに良いことがありますようにと。そう願います。
けだまさま、力を貸してくださいね。このひとに、幸運を。
「エルネストさんは男子寮、ですか? でしたら――」
……そういえば。
「――ちょうど一緒、ですね。私も男子寮なんです」
性別の話をしていなかったな、と。
そう言った後に、頭の片隅で思うのです。
オダ・エルネスト >
よしよし、食事でのお礼でオーケーなようだ。
それに奇遇にも同じ男子寮! これは連絡のやり取りも楽だ……な?
「ふむ」
男子寮。
もしや? いや、早計かも知れん。
ここでこの場で確認を取るのは、公衆の面前よくないかも知れないし、
これで勘違いだったならば失礼というものだ。
それに女子寮は比較的に最新設備なため人気だ。 寮の部屋が相手なくて仕方なく男子寮に居るのかも知れない……。
ここで、男性だったのかと確認して女性だった場合「私って男っぽいですか?」と不況を買う事になりかねないし、
店員さんとか周囲に人がいる状況でそんな事を確認するのは、アレだマナーが良くない気もする。
つまり、今は可愛くてセンスがあるなら「どっちでもいっか」という解だ。
「……それなら、何時でも相談にいけるな!」
前向きに。
それとハハハ、と笑いながら先程の言葉にしたスリーサイズとは異なる大きさの花柄レースが可愛らしくも綺麗な白と黒の下着の上下セットを一つずつ会計に混ぜていく。
春日 遥 >
「……ふふ、そうですね!」
隠していたわけでも、言い出しづらかったわけでもありませんでしたが。ついこういった話題は意識してかしないでか避けがちではあります。実際、男性がこういった格好をしていることに難色を示す人も、います。
だけれど――エルネストさんについては、そういったことは気にしていないようでした。胸の中に、安堵の心が広がります。
にこにこと笑みを浮かべながら、レジに会計に向かうエルネストさんを見送ります。
……サイズが少しばかり、違うような気がしましたが――きっと気のせいでしょう。きっと。
……そして、レジに示された金額が、それなりの値段です。……本当に大丈夫でしょうか。
「そろそろいい時間ですね……何か他に用事がなければ、帰りもご一緒してよろしいでしょうか……?」
同じ寮ですから、と付け加えて。
オダ・エルネスト >
この島に来て以来、最大金額の出費になったな、と少し遠い目になりながら会計金額を眺めた。
大丈夫だ。 大丈夫よ。 お仕事をするから大丈夫だ。―――と心の内で繰り返す。
オダの祖国、アメリカでは同性同士というのも珍しくなかったし女装や男装だったとしても極めれば一流であると認められる世界である。
色々と《大変容》であった国ではあるが「自由の国」というその精神性は今の若者にも受け継がれているのだ。
なにより、今後こういう相談を出来る相手と知り合えた。
その事が彼にとっては非常に大きい。
「ああ、今日はこの買い物が終わったら帰るつもりだ。
では帰りを一緒にしよう。
改めて礼を言わせてくれ、今日は助かった」
白い歯をキラリと光らせて、親指を立てた。
春日 遥 >
どことなく、会計を終えたエルネストさんが落ちつかないような様子でした。やはり内心厳しいのでしょうか。
「いえ、お役に立てたなら幸いです。それでは帰り道も、よろしくお願いしますね?」
エルネストさんともう少しお話したいのもありますが――なんというか、放っておけないのです。それに、せっかくの出会い、お話してくれたお方には幸せになってほしいので。
エルネストさんに聞こえないように。――お願いしますね、みみけだまさま。エルネストさん、良い人ですから。
……まあ、よかろう。ハルカの頼みじゃ。聞いてやらんこともない。と。帽子の中から、微かに聞こえました。
「エルネストさんと、エルフのお方に幸運を。……勝負服、役立つといいですね」
そう言って、微笑みを浮かべて。二人で一緒に帰路につくのです。
二人が歩く道に、時折宙に浮く不思議な毛玉がいたのは――さて、誰のせいでしょうか。
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」から春日 遥さんが去りました。<補足:白スカート・黒チュニック・アイボリーニット帽 / 幸運体質女装少年>
ご案内:「常世渋谷 中央街(センター・ストリート)」からオダ・エルネストさんが去りました。<補足:黒髪緑色の瞳/「誉れそば中卒」のロゴの入ったクソダサパーカー【乱入歓迎】>