2020/11/29 のログ
ご案内:「常世学園付属常世総合病院 VIP個室」に神代理央さんが現れました。<補足:患者衣/肩から下腹部にかけて包帯巻き>
神代理央 >  
さて、そこそこ長かった入院生活も取り敢えず今日で終わり。
といっても、厳密には今夜までは此の病室が己の寝床となる。
明日の午前中の退院は、まあキリ良く週末までは入院していましょうというくらいのもの――という訳でも無く。
再生治療を施された傷口の、所謂術後経過の観察期間が今日までだった、というだけの話。

退院の準備だのなんだのも、特にすることはない。
元々私物は仕事用のタブレットくらいしか持ちこんでいないし、着替えだの消耗品の類は全て病院から提供されている。
VIP個室の大きなメリットは、着の身着のままで快適な入院生活が送れる事にあるのだ。
従って――退院前の夕方。特に片付けに追われる事も無く、のんびりと眺めているのは休んでいた講義の教科書。
委員会活動で単位を得ている、とはいえども、勉学を疎かにする訳にもいかない。

「……遅れた分は、何処かで取り戻さなければならんな…。
学園祭前に小テストを行う講義も多いし…うーむ…」

完全に分からない事は無くても、理解が追い付いていない講義もちらほらとある。
休み過ぎたかな、と溜息を吐き出しながら、教科書とノートを拡げて困り顔。

ご案内:「常世学園付属常世総合病院 VIP個室」に幣美奈穂さんが現れました。<補足:ちっちゃい巫女さん>
幣美奈穂 >  
なんかお知り合いの方が怪我で病院にいるそうです。
それを聞きました美奈穂、お見舞いしたいと知り合いの方に頼みまして。
そして、なんやかんやあったようですが許可がおりました。
病院なんて行った事がないので、興味もあったのです。

能力を抑え込むようにじゃらじゃらと色んな封具を身に付けさせられて。
勝手に人を癒したりしないようにと抑え込もうと対策。
「いたいのいたいのとんでけー」とかしないことをお約束しまして。
そして、進む経路に怪我人や機械がどけられる仕様。
そんなところを、風呂敷包みを背負いましてとっことっこ。

「へぇ~、病院ってこんな感じなのですね」

きょろきょろしながら危なっかしく歩く美奈穂です。
・・いろんな封具がなんかぴかぴかしたり、びびびっと震えていたり。
1人なのに賑やか。
階段を使い、言われたところへ向かいます。
後で隠れて追いかけている職員さんは、まるで「初めてのお使い」を見る気分かもしれません。

「あっ、ここです!」

見つけました、確か、理央お兄様の上の名前は神代さんです。
プレートを見つけて扉に手をかけて・・がちゃがちゃ。
あれ?あれれ?、開きません。

・・と、その頃。扉を手がふさがっていても開けられるようになっている、
電子装置がびちびちばちばち、青い光を立てています。
ぽしゅんっ、という小さな音で電子光を消すと共に。

「あっ、開きました!」

元気なお声で、両手で扉を開けた美奈穂なのです。

神代理央 >  
何やら、扉をがちゃがちゃと揺らす音。
はて、こんな時間に何用だろうかと頭を捻る。
次いで、小さな警告音と共に、備え付けのタブレットにアラート。
病室の自動扉の開閉装置の故障だそうだ。退院前に縁起が悪いな。

などと思案していると、開かれた扉の先にいる少女に目を丸くする事になる。
何やらけったいな魔具だの封具だのを身に着けた、巫女姿のあの少女は確か――

「幣……か?どうしたんだ。その……そんな恰好で」

ぱちくり、と目を瞬かせて、予想外の来訪者に驚いた様な表情。
ついでに、そのじゃらじゃらと身に着けた色々なあれこれに再度目を丸くするだろうか。

「いや、まあ……取り敢えず、どうぞ。かけたらどうだ?」

拡げていた教科書を閉じて、取り敢えずベッドの上から少女を部屋の中へと招き入れようか。
入院するのに此処迄豪華にする必要ある?みたいな絢爛豪華な病室が、彼女の視界に広がるだろうか。
中央にでん、と構えた巨大なベッドに横たわる己は、その体躯もあって小さく見えるかも知れない。

幣美奈穂 >  
「理央お兄様!
 お見舞いにきてみました!
 へぇ~。病室ってこんなのなのですね・・」

ほわわっと笑顔でお見舞い宣言です。
そして興味深げに、きょろきょろと病室を見ます。
来た事がないので、見たことがないのです。
病気知らずで怪我も勝手に治る美奈穂、医療保険は払ってますけど病院とは無縁なのです。

「道で転んだのですか?、階段で転んだのですか?
 それともわんこさんのお散歩で引きずられたのですか?
 お身体、大丈夫ですか?・・わっ!?」

美奈穂、神代様を見つけまして。嬉しそうなお顔。
三大擦り傷要因をあげながら笑顔で少し早歩き・・と、すぺんっ!
何もない所で勢いよく転びます。
ぺかぺか光って震えている封具がちょっとジャマなのです。
そして背負っていた風呂敷、小物がはみで零れながらひゅるりとお空を飛び、神代様の方へ・・。
何かのカバーが取れてきらりと光るものを見せながら、5㎏ぐらいの重さはあるそれが落ちてきます。
落ちたら、ずしゅっ、となんかがベッドに刺さる音がするかもしれません。

香ばしい匂いがする包み。
そして零れててんてんと転がるりんご。
転がるりんごを両手で捕まえますと起き上がってお座りです。

「お見舞いの品も持ってきたしたのよ?」

リンゴを両手で持ってこてり、ちょっとお顔を傾けます。

神代理央 >  
「ああ、いらっしゃい。お見舞いありがとう。
まさか、幣が来てくれるとは思っていなかったから、ちょっとびっくりしちゃったよ。
病室…というか、病院には慣れていないのかな?寧ろ、それは良い事だからこれからも健康で過ごして欲しいな」

ほわほわとした笑顔を浮かべる少女に、此方も穏やかな笑みを返そうか。
興味津々といった感じで病室を見渡す少女には、その方が良いよ、と小さく苦笑い。

「あー…えーと…まあ…ちょっと、任務中にね。
流石に、わんこに引き摺られたりはしな――」

入院する理由が中々にアレ。いや、平和というか牧歌的な理由なのは宜しいことなのだが。
流石にそんな理由じゃ入院出来ないな、と笑いかけて――

「っと、大丈夫か………ぷあぁっ!?」

突然転んだ少女に気遣う言葉を投げかけようとして、素っ頓狂な悲鳴を上げたのは己の方だった。
何せ、突然空中から結構重めの荷物が降って来た。刀に刺されても立っていられる自信はあるが、流石に不意打ちの此の一撃は中々効いた。
痛い、というか何というか、めっちゃびっくりした。

「………こほん。
えーと…怪我とかは大丈夫…みたいだな。
ああ、わざわざお見舞いの品まで…ありがとうな」

先輩としての威厳、守れてるかなあ。
なんて思いながら、ちょこんと座り直した少女に咳払いを一つ零した後お礼の言葉を告げて。
己に振って来た荷物もそうなのかな、と取り敢えず振って来た物を両手で抱えてみようか。

幣美奈穂 >  
「うんっ。病院って初めてです・・。
 あんまり人が居ないのですね?」

歩いてきた間も、全然人を見かけなかったのです・・先に連絡があり、人がどけられていたのです。
そう、美奈穂が勝手に変なところに入り込まないように。

「お仕事でわんこさんのお散歩代行ですか?
 あれは過酷ですものね・・。
 え?、違いますの?」

うんうん、頷きます。
美奈穂、お願いされたらするのですけど。
大体、犬に引っ張られてしまいます。
と、転んだのは意識がそれたのが悪かったのかもしれません。

中にはがさごそと言うなにか紙包みに入ったものが幾つもと、
そしてすり鉢状のものや筒状の固いものなどもあります。
そして、ベッドの向こうにてんてんてんっと落ちていったのは、包丁の木のカバーです。
そのカバーの中身は・・。

「はいっ。
 あっ、今から作ったりしますから。
 飲んだら元気になれるのを作りますから!」

ぱぁ~っと明るい笑顔でこくりっ、頷きます。
立ち上がっててこてこと近づきますと、神代様の腕にある風呂敷の中に両手をずぼっ!
そしてがさごそしますと。

「じゃじゃ~ん!
 これ、大体効くってききました!」

と、つかんだものを取り出します。

神代理央 >  
「あー…まあ、此の部屋は警備が厳重ということもあるし、きっと幣に気を遣ったんだろう。
とはいっても、人がそんなにいない、っていうことも無い筈なんだけど…」

少女の能力に対して、病院側が注意を払った、などと言う事は露知らず。
あまり人がいない、と告げる少女に、此方も不思議そうに首を傾げる事になるだろうか。

「……えーと、うん。まあ、犬の散歩はあまりしたことないしね。
ペットを飼っている訳でもないから。
今回は、本当に任務中の負傷なんだ。とはいえ、もう退院出来るから心配はいらないけどね」

そう言えば、最後に動物と触れ合ったのっていつだったかな、なんて思いを馳せながら。
己が手に抱えた荷物の中身は一体なんぞや、と覗き込もうとして――

「……今から作る?」

え、今から此処で調理するのだろうか。
と、不思議そうに少女の動きを眺めている。
手に持った風呂敷の中に両手を差し込み、がさごそと漁る少女。
確かに、中に入っていたのはすり鉢状の何かや、擦り棒の様にも思える何か。
ベッドの向こうに転がっていったのは、きちんとカバーに収められた包丁。
えーと……つまり…?

「……あ、え?これ、って…?」

と、疑問符が頭の上で優雅に踊り始めた時。
少女が掴んで取り出したものに、釣られる様に視線を向けるだろうか。

幣美奈穂 >  
「そうなのですの?
 あっ、でも・・ここのお部屋の扉。建付けが悪かったです」

なかなか開かなかったのです。
噂に聞く、欠陥住宅というのかもしれません。

「?。理央お兄様ってどこでお仕事してますの?
 わたくしは霊的予防係なのですけど・・」

風紀委員4年。それでも組織はよく判っていない美奈穂です。
「?」ときょとんと首を傾げさせてしまいます。

少し背伸びをしながらがさごそ。そして取り出しましたのは。
大体効くという征呂丸とマスロン消毒液。
美奈穂は使ったことありませんけど。人に聞いて買ってきてみました。

「これで、少し待っていてくださいませ」

と、のこのこ。取りづらいのでのこのことベッドに上ってきます。
そして端っこでにこにこ正座。
征呂丸、さらに取り出したお皿にざらざら開けて入れます。
小さい丸いのです。なんか効きそうな匂いですね・・。

「はい、お飲み物を準備するまで摘まんでおいてくださいませ」

おツマミの小鉢感覚で神代様の前に上に置きます。
次はマスロン消毒液です。これはかけるものだそうですね。
青いキャップを回して取ります。キャップの蓋を開けたのではありません。
キャップを取っちゃったのです。
えと、これはかける、と・・躊躇いも邪気もなく。
身を乗り出して、怪我してるらしいおなかにとぽとぽとぽ・・とかけちゃうかもしれません。

神代理央 >  
「ふむ?ああ、そう言えば自動開閉装置が故障していたみたいだな。
すまない、迷惑をかけてしまった様だな」

まさか、少女が原因で故障したなどとは露知らず。
建付けが悪かった、と告げる少女に申し訳なさそうに謝罪の言葉を告げながら、あとで担当者に文句でも言ってやろうと。
とんだとばっちりな担当者の明日はどっちだ。

「…今は、特務広報部というところで部長を勤めているよ。
といっても、今は活動休止中だから実質暇を持て余している様なものだがね。
霊的予防係……ああ、そう言えば朧車の報告書で名前を見たな。
御幣島先輩も、確か其処の所属だったか」

怪異も霊的存在も取り敢えず殴って砲弾を叩きこむ戦い方を好む己は、霊的予防係について詳しい訳では無い。
本庁の屋上のプレハブが駐屯所と聞いた事はあるが…本当なのだろうか。

さて、そんな会話を続けながら少女が取り出したものは……御世辞にも、調味料とか料理の材料にはなり得ないモノ。
思わず、顔が引きつる。

「……あ、ああ。分かった。待ってる。うん、待ってる」

ベッドに上がってきた少女。
豪華で巨大なベッドは、少女の体重を受け止めてもびくともしない。
揺らいでいるのは己の精神。征呂丸と消毒液は、絶対食べ物じゃない。いや、征呂丸はまあ、腹痛薬だから口にするものではあるのだが。

「つまんで……つまんで……?」

征呂丸は絶対そういう食べ方をするものじゃない。
というか、別に腹痛を患っている訳でもない。
少女の気遣いを無碍にするのもアレなので、取り敢えず一粒手に取って飲み込む。美味しくはない。
微妙な表情を浮かべている間に、此方に身を乗り出した少女。
止める間もなく――また滑ってベッドから落ちたりしたら大変だし――己の腹部に手を伸ばした少女が包帯の上から垂らす消毒液。

「………ああ、うん。なんだかきいてきたきがする。
痛みも、ちょっと楽になってきた気がするよ」

再生医療と魔術で傷口はとっくに塞がってはいるのだが。
消毒液をかける少女に渇いた笑みを浮かべながらも、取り敢えず効果が出たフリをしてみたり。
消毒液の独特な香りが、一気に腹部から漂ってくる。

「」

幣美奈穂 >  
「広報部・・あっ、壁新聞とかですね。
 わたくし、あそこにのるお仕事、よくしてます!」

提示版とかに張られる、清掃活動や芋煮会など。
そんなのにはきちんと参加する美奈穂です。
あれはお仕事じゃない・・と教えてくださる方は、まだいません。

「埜瀞ちゃんと一緒ですけど。
 少しお役目が違いますので、あまり一緒にお仕事はしないです・・。
 あっ、でも。お茶会は時々してますの!」

両手を合わせて、幸せそうにほのほのと伝えるのです。
美味しそう?に征呂丸を摘まむご様子にも満足です。
大体効く、万能薬だそうですし。
そして消毒液をとぷとぷとぷ。
吹きかける、とかいうレベルではありません。

さて、ここからが本番です・・。
包みから、すり鉢と擂粉木。まな板も取り出しておきます。
そして、紙包みたち・・身体が良くなりますようにと願をかけ乍ら作りました黒焼き。
きりっと真面目な様子で、神経を集中しますようにしまして紙包みを開けてはいれます。
すり鉢に入れまして、丹念に山椒の擂粉木でごりごりと細かくします。
煎じ薬にする為です。

「お家にありましたのとか、すぐに採れたので作りました!
 うなぎはちょっと高かったのでないのですけど・・。
 これが干し柿・・これがアカザ・・これが柿の種で・・これがヨモギ・・」

家で作っておいて紙に包んでおいたそれらをここで細かくするのは。
空気に触れて効能が下げず、できるだけよい成分が抽出できるようにと。
ごりごりごり。
干し柿は歯痛・血尿・痔に、アカザは口内炎・のどの痛みに効きます。
柿の種は夜尿症、ヨモギは歯痛・のどの痛み・扁桃炎・風邪の咳止めになのです。
他にもヒネショウガ(胃の痛み)、ジャガイモ(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)、
イチョウの葉(ウオの目)、ミカンの皮(風邪のせき・たん・頑固な便秘)、
ナスのへた(口内炎・歯槽膿漏・気管支炎)、玄米(血液の浄化・食欲増進)、
ナス(利尿・せき止め)、キンカン(風邪・せき止め)、ノビル(扁桃腺炎)、
スズナ(下痢)、ヘチマの種(のどの痛み)、レンゲ草(やけど)、
色々と黒焼きを作ってきました美奈穂です。
どこのお加減が悪いか存じてませんが、大体なんかが効くでしょう!
黒焼き万能説です。
ごりごりごり。

「あれですかしら?
 ずばり、壁新聞を張ろうとして梯子から落ちちゃいましたとか?
 ちゃんと下で梯子を支える人がいないと駄目ですよ?」

先輩な美奈穂、後輩さんな理央お兄様に教えて差し上げるのです。
ごりごりごり。

神代理央 >  
「…あー…まあ、うん。そんな感じかな。
へえ、壁新聞に載る仕事……仕事…?」

そういう活動が行われている、ということは知っているが如何せん己からは随分と遠い活動だ。
落第街に施す様な任務は、特務広報部の真逆に位置するもの。
とはいえ、それを明確に告げて少女の純粋無垢な心に傷をつける訳にもいかず、曖昧な笑みで誤魔化す事になるのだろう。

「……ふむ。霊的予防係も色々と仕事があるのだな。
とはいえ、仲が良いのなら何より。
横の繋がりを大切にすることは大事だからな」

幸せそうに言葉を紡ぐ少女に、此方も穏やかな笑みと共に答えるだろう。
よしよし、と頭を撫でようと腕を伸ばしてしまうだろうか。
腹部が冷たくなるほど消毒液がかけられているのは……もうこの際、気にしない事にした。

一方、取り出される調理器具にはちょっと身構えてしまう。
まさか征呂丸をすり潰したりしないよな…みたいな。
と、それはどうやら杞憂だった様子。

「…へえ?所謂漢方薬、に近いものなのかな。
というか…随分と色々持ち込んだものだな……」

次々と取り出される紙包み。
少女がつらつらと説明していくそれらを、へえと興味深げに眺めているだろうか。
漢方や薬学の知識は限りなくゼロに近いが、それでも聞き覚えのあるものがちらほら。
寧ろ、少女の博識に感心したようにほうほうと唸るばかり。

「……いや、その…うん。
ちょっと色々揉めてね。お腹を刺されてしまったんだ。
でもまあ、もう退院出来るくらいには元気になったから、大丈夫だよ」

流石にそろそろ誤解を解いておいた方が良いかな、と。
ちょっとだけ眉尻を下げ、微妙にオブラートに包みながら。
自分が怪我をした原因を、そっと告げてみるだろうか。

幣美奈穂 >  
「お役目の日でないときは、いろんなお仕事しますの。
 この前は泥棒をしていたにゃんこさんを捕まえまして。
 あっ、でもその子も理由がありまして・・」

刑事課の仕事(のまねごと)をしたことを嬉し気にお話しします。
電子機器を扱えない美奈穂、提示版に張られるものは大事な情報源なのです。
あとは受付とか総務課とか、いろんなとこの雑用とか。

頭を撫でられますと、照れましたようにえへへっと少し頬を染めまして。
嬉しそうに甘えたお顔をするのです。

さらに、栗イガ(円形脱毛症)、クチナシ(めまい・ふらつき)、イモリ(精力剤)、
シジミの殻(百日咳)、梅干し(風邪・頭痛・冷え性・下痢止め)、にんにく(高度障害)、
梅の核(腫れ物)、鯛の骨(胆石)、昆布(せき・ゼンソク)、鮭(風邪の予防)。

「黒焼きです。
 黒焼きしたら、色々なことに効く・・そうです。
 んしょっ!」

そして今回の目玉の体長が20㎝を超えたオオカレエダカマキリ(切り傷・利尿・ゼンソク・いぼ)、と、
成貝の殻径が 8cm、殻高が20cmはあるアフリカマイマイ(いぼ・腎臓炎・神経痛・糖尿病)。
とある知り合いの伝手で手に入れました生きた大きなカマキリとカタツムリを黒焼きにしたものです。
姿がまだそのままのそれらを折ったり割って、すり鉢に入れましてごりごり。
これを手に入れる対価に、3年物の常世鰹節を渡したのです。
味が丸くて美味しい旨味がたくさんでる鰹節で、美奈穂も家では愛用している一品です。
・・ちょっと大きいのです。半分にしましょう。
包丁・・あれ?包丁どこかしら? 包みの中にありません。
・・探すと、下の方に、包みを突き抜けて下にベッドに刺さってます。
刃の方向が神代様の方に向きまして、その、股の間ぎりぎりに。

「お腹さされちゃったのですか!?
 あっ、もしかして《猫権を守る会》・・?」

なんか、そんな放送があったようです。
過激派がいるそうです。

神代理央 >  
「正しく、泥棒猫を捕まえた、という事だな。
お手柄じゃないか。そういったところから、街の風紀を守っていかないといけないからな」

少女の仕事っぷりと、その奮闘をニコニコしながら褒めてみる。
頭を撫でれば、嬉しそうに頬を緩めた少女に此方も思わず頬が緩む。
年下を相手にするのは苦手な部類かと思っていたのだが、案外そうでもないのかな、と思ったり思わなかったり。

「……ええと。その…何だろう。カマキリみたいなのとか、カタツムリみたいなのも…あー、入れるのか…」

食に頓着しない性質とはいえ、流石に姿そのままのソレを見ればmちょっとだけ顔が引きつる。
効果があるのは分かる…分かるんだが…。
と、何やら探し物をし始める少女。その視線の先を追えば、先程落ちて来た荷物から飛び出したであろう包丁が、己の股座ギリギリに突き刺さっていた。

「……危ないから、刃物の取り扱いには注意しような。
次から、病室に刃物持ち込めなくなっちゃうぞ」

めっ、と言う様な声色と共に、細心の注意を払いながら包丁を引き抜いた。
流石に、此処を再生治療の対象にしたくはない。

「……流石に、そういう組織と戦うことはないかなあ。
いや、その猫権を守る会、とやらが違反部活ならあれだけど…」

小さく苦笑いを浮かべて、首を振った。
そう言えば、そんな団体がテレビで見た気がする。

幣美奈穂 >  
「そうなのですけど・・その子、お友達が動けないから。
 食べ物を持って行ってあげてたみたいなんです」

20㎝もある大きなカマキリ、お顔も大きいです。
それが真っ黒な姿焼きになってます。

「はいっ、気を付けてます・・!
 危なかったですね!」

本当に危なかったのに、それに気づいていないので朗らかです。
果物包丁、きちんと手入れしてあるので切れ味抜群です。
抜かれた包丁を受け取りまして、カマキリさんをだんっ!かたつむりさんをだん!
カマキリの頭側と縦半分にしたカタツムリを、病室の机の上に飾っておきます。
そしてごりごりごり、と出来上がるのは黒い粉末。

そこに健康にいい牛乳、身体にいいレンゲ蜂蜜、一日一個のリンゴを包丁で細かく削り入れまして、あと美味しそうだった刻みキウイ。
身体を温める為に生姜汁と刻み鷹の爪を少々、濾しておいた置いたバナナペーストをぺいっと加えます。
ヨーグルトと豆乳で伸ばして、飲んでおくといいらしい葛根湯の粉末も加えておきます。
作っておきました緑のお野菜達や薬草の刻み煮込んだ緑色のお汁と玄米茶を水筒から注ぎまして。
味を調える為にお塩少々、お砂糖を小さじ三杯加えておきます。

良ーくかき混ぜますと。大きめ水筒に漏斗を置きまして。
ガーゼを敷いて、濾すのです。
出来るだけ細かくしたのできちんと抽出できて、結構たくさん出来ました!
水筒一杯にしましてから、残りは湯呑に。
・・んっ、丁度です!

「もしかして、犬権を守る会・・。
 あ、でもお腹を刺されたのだと・・刺さる・・蚊?蜂ですか?」

と、湯のみをそそっと神代様の前に。
・・小皿の征呂丸、あまり減ってないです。と、ちょっと見てしまいます。

たくさん入れておいた水筒は、これまた机の上に。

「治りかけが一番大事と言いますから。
 朝昼晩と3回食後で飲んでくださいませ!」

黒焼きの煎じ汁ですし、体にいい物を沢山入れましたので。
大体効くと思う美奈穂なのです。
・・入院が1日伸びるかもしれませんけど。

神代理央 >  
「…んー…まあ、猫の事情も色々あるだろうけど、人の物を買ってに持っていくのは良くないからね。
…ほんとに、猫に言っても仕方ないんだろうけど…」

と、困った様に笑いながらも、泥棒は良くないことだと諭してみせるだろうか。

さて、無事に男としての尊厳を守りつつ、少女の調理…調薬…?を見守るばかり。
流石に机の上にカマキリとカタツムリの残骸を置かれるのは、ちょっと困った表情を浮かべてしまうだろうが。

ついで投入されたのは、漸く馴染みのある食べ物、と言えばいいだろうか。
いっそそれ単品で欲しかったなあ、と思わなくもなかったが、流石にそれを口にする様な野暮な事はしない。

そうして、漏斗とガーゼで濾されたモノ。
まあ、健康には良いのだろう。健康には。
湯呑と水筒に分けられたそれを、これ大丈夫かな…と言いたげな表情で見つめる。
いや、流石に毒ではないから大丈夫なんだろうけど。具体的に味とか…。

「……人だよ。流石に、蚊や蜂に刺されて入院は…まあ、此の島だとするかもしれないけど。
戦闘でね。刀で刺されてしまったんだよ」

もう、誤解を解いておかないととんでもない理由で入院したと思われかねない。
流石に詳細は伝えずとも、取り敢えず入院の原因は告げておくだろうか。

「朝昼晩…か。ありがとう、きちんと、頂く事にするよ」

征呂丸の乗った小皿へ視線を感じるが…流石に推奨量以上の薬は…。
しかし、少女を悲しませるのは本意では無いので、おずおずともう一粒飲み込んだ。これは果たして健康に良いんだろうか。

幣美奈穂 >  
「凄かったですわ。
 机の下にこっそり入って、立ち上がってしゃっ!って盗ってました!」

熟練の猫泥棒の技でした。
でも、悪い事なのでしっかりめっとした美奈穂です。

「・・!
 あれですわね!。聞いたことあります!
 三角関係からのちじょーのもつれ!
 あとあと、どなたかのお嫁さん・・!」

はわわっ。
美奈穂、目をくるくるしてお顔が赤くなってきてしまいます。
お腹を人に刺されるなんて、そういうのお友達から聞いたことがあります!
具体的には聞いてませんが、美奈穂にはまだよく判らないオトナの世界にはよくあることだそうです!。
とんでもない方向に想像してしまった美奈穂です。
――後輩さんを助けます為に、お友達に相談しなくちゃ!
そう心にメモをするのです。

「も、も、もうそろそろ。
 面会時間終わりですから・・!」

あたふたあたふた。
すり鉢やまな板、使った水筒を片付け風呂敷に包みます。

「大丈夫です!
 わたくしが、どうすればいいか考えてきますから!」

あたふたしたままベッドを降りようとしましてずべしっ。
滑り落ちますけど。
直ぐに立ち上がって、あたふたと出ていこうとします。
でも出ていきます前に。

「きちんとお休みしてくださいませ!
 きちんと食べて飲んでくださいまし」

入り口でぺこり、頭を下げます。
・・机には黒焼きのカマキリの頭と、半分になったカタツムリ。
そして甘く辛く苦く青臭いけど絶妙に不味くはない汁の入った水筒。
そして再生治療にしかけた果物包丁が置かれていたのでした・・。

神代理央 >  
「待て。流石に私もそんな略奪愛めいた事はしないぞ。
そんな人の恋人を略奪する様な野蛮な真似を私がする訳ないだろう」

流石に、断固として否定した。
痴情の縺れで怪我をしただなんて勘違いされては困る。困るったら困る。
いやまあ、女性がそういう話が好きなのは分かってはいるのだが…!

「……まて、幣。勘違いしたまま行くな!
此の怪我は…ああ、もう!本当に戦闘による負傷だからな!
せめてその勘違いだけは解いていけ!」

出した時とは裏腹に、さささっと片づけを済ませていく少女。
…別に、どんな噂が立ったところで困る事は無いのだが、流石に尊厳に関わったりしそうだし。

「考えてくる…って。いや、本当にそういうのじゃない……
…って、大丈夫、か…?」

べしゃ、と滑り落ちた少女を気遣いつつ。
誤解、解けたかなあと不安は尽きない。
解けてない気がする。
後で解かなきゃ。

「……ああ、ありがとう。この薬も、ちゃんと飲ませてもらうから。
幣も、風邪とか引かない様にな。今日は、お見舞いありがとう」

何だかんだ、小さな台風の様な少女は、最後に太陽の様な気づかいを見せて立ち去っていく。
そんな少女を、小さな苦笑いと共に手を振って見送って――

「………一日三回、だったっけ、これ」

と、少女の置き土産を眺めつつ。
取り敢えず、湯呑を手に取って、その中身をちょっとだけ匂いを嗅いでみた後。恐る恐る口に含んでみて――

「…………不味くは無いのが、不思議だなあ…」

後程検診に訪れた看護師に、凄い目で見られながらカマキリとカタツムリの残骸を片付けられて。
VIPの患者ということで一応成分調査までされた水筒の中身は――まあ、飲んでも大丈夫だとお墨付き。
保存料が入っていないから、退院するまでに飲み切った方がいいよ、と御丁寧な忠告まで貰った少年は、その日の夕食後から早速少女お手製の『薬』を飲用することになる。
一口飲む度に、何とも言えない表情を浮かべる少年の姿が、病室にはあったとかなかったとか。

ご案内:「常世学園付属常世総合病院 VIP個室」から幣美奈穂さんが去りました。<補足:ちっちゃい巫女さん>
ご案内:「常世学園付属常世総合病院 VIP個室」に幣美奈穂さんが現れました。<補足:ちっちゃい巫女さん>
ご案内:「常世学園付属常世総合病院 VIP個室」から幣美奈穂さんが去りました。<補足:ちっちゃい巫女さん>
ご案内:「常世学園付属常世総合病院 VIP個室」から神代理央さんが去りました。<補足:患者衣/肩から下腹部にかけて包帯巻き>