2015/06/10 - 20:46~03:53 のログご案内:「歓楽街」に聖夜さんが現れました。<補足:黒髪を纏った紅玉の瞳の少女>
聖夜 > 「欲望を詰め込んだ…と言う表現は良くあるけれど、こう言う街の事を言うのかしら?」

手にした紙パックのジュースをストローで啜りながら聖夜はぽつりと呟いた
吸血鬼である彼女が夜の街を散策する事は珍しい事ではない
むしろ夜の世界こそ彼女の領域であり、楽しむべき時間だ

聖夜 > 「まぁ、嫌いではないけれど、この雰囲気」

女性徒がこんな場所を歩く様な時間帯ではないが
聖夜は気にせず歩を進めて行く、目的とする場所は無い
先程まではあったが既に達成した

聖夜 > 彼女が手にしているジュースが本日の目的とする物
ジュースと言ってもただのジュースでは無い、血液のジュースだ
歓楽街某所には吸血鬼達の組合が存在し吸血鬼達の支援を行っている
このジュースもその組合が調合と調整を行い配布をしている物
(ちなみに血液30%その他70%ほどの成分調整済み)

「…味は悪くないのだけど、もう少し純度を上げてほしいものだわ…あら?」

不満を口にしながらまた啜れば空気を吸う乾いた音が響く
紙パックが空になった音
ストローでジュースを啜る際にはいつか必ず聞く事となる音

聖夜 > 「ま、狩ればいいだけの話よね」

狩るとは勿論吸血鬼としての狩り、他者から吸血すると言う事
若干のリスクは伴うが吸血鬼としての彼女の欲求を満たすには最良の手段
紙パックをクシャリと握り潰すと背後へと放り投げる
潰された紙パックは綺麗な放物線を描き
道端に設置されたゴミ箱へと落ち乾いた音を立てた

ご案内:「歓楽街」にシュリクさんが現れました。<補足:真っ白なロングヘア 金の瞳 ややゴスロリチックな服>
シュリク > そんな聖夜の横を、真っ白な、絹の如き髪を湛えた少女が通りすがる。
年の頃は10ほどだろうか、このような夜の街に出歩くようなワルにも見えない

「ここが、歓楽街……夜だというのに随分賑やかですね」

通りがかる人々も奇異の視線をシュリクに向けた。
中には、ガキは早く帰りなと野次を飛ばす者もいたが、「お気遣いなく」とずれた返答を返していた。

聖夜 > 「そうなると今日はどの付近がいいかしらね」

口角を笑みの形にすると周囲をグルリと見渡す
夜の歓楽街に闇は多く
吸血鬼の聖夜が狩りをするには実に好都合だ

「あら?」

周囲を見渡す聖夜の視点が止まる
視点の先には彼女以上にこの場には似つかわしく無い者
少女の姿を見つけたからだ

シュリク > 歓楽街の多くは、所謂「大人」を対象としたものが多く
飲酒、賭博、女……学生が手を染めていいものが、逆に少ないほど

「何故このような場が放置されているのでしょうか」

見られていることにも気付かず、路肩で考える素振りを見せる
スラムの時も同じことを考えた
常世財閥のあり方、考えた方に疑問を持っていた

「犯罪を減らそう、という意図が全く見えません、寧ろ、煽っているようにすら……」

聖夜 > 「おもしろいわ……」

白髪に金の瞳の少女を見つめながら聖夜は呟く
少女の言動もそうだが、少女その物に極めて興味をそそられた
最初はお人形さんの様だと感じた
だが観察すればするほどに何か違和感を覚えた、だから……

「こんばんわ、こんな時間に夜遊びかしら?」

聖夜は少女に声をかけた
顔を笑みの形にし物腰穏やかに声をかける
狩りをする際に相手を油断させるための作法だが
今の聖夜には狩りよりも
興味を満足させ疑問を解決する方が先であった

シュリク > 「はい?」

振り返れば、聖夜を視界に収める
自分とは対照的な、夜闇の如き長い髪に、紅玉の瞳
端的に言って、絶世の美女であった
通りがかる人間が、皆一様に鼻を伸ばして聖夜を見つめる

「夜遊び……と言われればそうかもしれませんね。自分的には、調査のつもりですが」

しかしシュリクには、聖夜の持つ「魅了」の力が通じていないのか、至って平然としている
柔和な笑みに、ある程度気を許してはいるようだが
聖夜を見るシュリクの表情は、どこか、無機質なものを彷彿とさせるかもしれない

聖夜 > 「調査?」

復唱する様に言いながら聖夜は首を傾げた
その口調でわかる
聖夜の質問に対し少女は嘘偽りの無い返答をしたのだと
子供が探偵ごっこをしている様な意味合いで無く
何かの疑問を解決する目的でこの場へと訪れ散策しているのだと

そしてもう一つわかった事がある
それは聖夜が疑問として感じていた事の答えの一つ
聖夜の魅了の視線にも揺るがぬ瞳の意味
この愛らしき人形の様な少女は人では無いと
人形その物である可能性がある

なんと面白き事だろう!
吸血は出来ぬが、この事実は聖夜の好奇心を刺激するに十分な事実であった
聖夜は即座に決断した今宵の狩りは中止だと
狩りなぞいつでも出来る、今は目の前の少女と話す事が先だと

「ふーん、どんな調査なのかしら? ああ、失礼、私は聖夜…黒森峰聖夜よ」

一歩下がると笑みを強くしながら自己紹介をする
これで警戒されてしまうならばそれはそれで面白いが
どちらに転がっても今宵は退屈しないだろう事を聖夜は予感していた

シュリク > 「ええ。もっと詳しく言えばこの島全体の把握、ですね。如何せん、分からないことだらけなので」

聖夜という存在が、どういう人物なのか
黄金の瞳の、その奥のレンズが開閉を繰り返し、フォーカスを当てる
夜の街に繰り出すような不良には見えない
寧ろ、良家のお嬢様といった雰囲気すらあった
お忍びで夜の街に……という線も考えた
しかし、その割には街に馴染んでいるようにも見えた

「聖夜。……インプットしました。私はシュリク。<<異能人形>>(アーツドール)です」

何の躊躇いもなく、自らの正体を明かす
自分にとって隠す必要がない情報というのもある
その前に、あまりに精巧に作られたシュリクは、人とよく見間違えられるのだ
故に作成された時、初対面の友好的な相手には自らの正体を明かすよう、プログラミングされていた
人間と機械間での、要らぬ問題を解決するための一つの策であった

「聖夜は、なぜこのような街に? ここは、背徳に満ちた危険な場所ですよ」

自らを棚に上げて、説法でもするかのように聖夜に尋ねた
一層艶やかに微笑む姿に、警戒の文字はない

聖夜 > 「シュリクね、え?<<異能人形>>(アーツドール)…あはっ
ごめんなさい、こんなに簡単に教えてくれるとは思わなかったから」

シュリクの名を聞くと同時に笑みが笑いとなった
拍子抜けするほどにあっさりと正体と目的を明かされた
そのあまりの警戒心の無さは聖夜に大きな驚きを与え
同時にその少女に人には無い純粋な物を感じさせた

「そうなると私も教えないといけないわね?
とは言ってもただ単に夜の散歩をしていただけなんだけど
ほら、こんなにキラキラとして素敵でしょう?」

夜の散歩と告げたが少なくとも嘘では無い、狩りは中止としたのだから
そして聖夜はクルリとその場で一回転すると
全ての光を纏い集める様にしながら告げてさらに言葉を続ける

「確かに散歩するには危険な場所かもしれないわね……
そうだ、一緒に歩かない? 一人より二人の方が安全だと思うの」

名を告げ合ったとは言えいきなりな提案だ
それでも聖夜は提案せずにはいられなかった
このシュリクと言う少女をもっと知りたいと感じたから

ご案内:「歓楽街」から聖夜さんが去りました。<補足:黒髪を纏った紅玉の瞳の少女>
シュリク > 「隠すべき事柄ではありませんから。知った所で、何が変わるわけでもありませんし」

あくまでプログラムされた通りに動いている――つもりだ、自分では
それが彼女本来の「性格」なのかは、誰にもわからない
恐らく、自分自身でさえも

「はあ。……まあ、綺羅びやかではあると思いますが」

胡乱な解答だな、と感じた
嘘はついていないが、重要な点を話してもいない
ただ、楽しげにくるりと舞い、夜光を浴びるその姿は、機械の目から見ても、
――綺麗だな、と思わせる何かがあった

「良いのですか? ――せっかくですので、お言葉に甘えるとしましょう」

一人よりは二人のほうが効率が良い、と判断した故の結論
それに、聖夜はどうやら街に詳しい様子
ならば、ナビゲートされながら散策するのも悪くない

そうして二人は、夜の街を闊歩する
白無垢の少女と、漆黒の淑女
対照的な二人の様子はいっそ幻想的で、却って男たちの目障りな声を跳ね除けたという

夜の帳は、まだ、明けない。


――暗転――

ご案内:「歓楽街」からシュリクさんが去りました。<補足:真っ白なロングヘア 金の瞳 ややゴスロリチックな服>