ご案内:「スラム」に
シュリクさんが現れました。<補足:真っ白なロングヘア 金の瞳 ややゴスロリチックな服>
シュリク >
(学園生としての身分を手に入れた。拠点も手にした。そんな彼女が次に取った行動が、島の散策であった)
……ふむ、豊かに見えてこのような場所もあるのですね。あまり治安がよろしくない様子。
(窓の割れたまま放置された建物、壁中に描かれた落書き、値踏みするような目でシュリクを眺めるゴロツキ連中。どんな人が見ても、シュリクのような少女が一人でうろつくのは自殺行為にしか思えないだろう)
シュリク >
このような場所であれば、違法な取引も思いのまま……犯罪の温床ですのに、何故放置しているのでしょうか。なにか思惑が……?
(考え事をしながら、奥へ奥へと進んでいく)
シュリク >
(どん、と柄の悪い青年の集団の一人が、わざとらしくシュリクにぶつかる)
「あァ!? ってーなこのクソガキ、どこ見て歩いてんだ、あ!?」
「あーあー、前をちゃんと見ないで歩いてるからこういうことになんだよなー」
「嬢ちゃん、きれいなおべべ着てんねえ! イイトコのお嬢様だったりして?」
「じゃあ金もたんまり持ってるよなあ、ゲヒヒ!」
(あまりにもテンプレートな不良集団。この世の果てを見つめているかのような冷め切った目でそれらを一瞥した後……溜息とともにその場を過ぎ去ろうとする)
シュリク >
(去ろうとするシュリクの肩を、ぶつかってきた男が鷲掴みにする)
「……ちょっと待てやコラァッ! なにシカトぶっこいてるわけ!?」
「優しく声をかけてやったからって調子乗ってる? 乗ってるよーねーェー!?」
「もしかしてガキだからって許してもらえるとか??? 思って??? たり???」
「たりたりたり???」
(なんでこんな連中がこの学園にのさばっているのでしょうか……財団は、風紀委員は、何をしているのでしょう……再び溜息をこぼした後、手を振り払って去ろうとする)
シュリク >
「……キレたわ。ガキだからって容赦しねえ」
(手を振り払われた男の一人が、なにもないところから刀を生み出す。異能、「至る刃の輝き」(ブレイドオブスピリッツ)だ)
「あーあーしらねえぞー、こいつは人も殺したことのある札付きのワルだからなー」
「かわいそーに嬢ちゃん、バラバラにされちゃうなあ」
「もったいねえなあ、せっかくきれーな顔してんのに」
(周りの男達が下品に笑うと同時に、「至る刃の輝き」がシュリクに向かって刀を振りかぶる――
「死ねやコラァッッッ!!!」
ご案内:「スラム」に
橿原眞人さんが現れました。<補足:制服姿の青年/表向きは至って真面目な生徒>
橿原眞人 >
「開錠――『偽典・倭文祭文註抄集成』より。《常世神の糸》」
シュリクの向かって「至る刃の輝き」が迫らんとした時であった。
突如、シュリクの背後から、何かの声が聞こえ、魔術執行時に発生する燐光のようなものが煌めいた後に、何やら白い糸が伸び、それが幾重にも折り重なってシュリクを包み込む。
「至る刃の輝き」はその強靱な繭に阻まれ、彼女を切り裂く事は叶わなかっただろう。
「チッ、やはりまだこの程度の術式しか解放できないか……! おい、何してんだ! 早く逃げるぞ!」
シュリクを包んでいた繭はほどける。すると、シュリクの方に走ってくる青年がいた。眞人である。左手に何やらタブレットを抱えていた。
《銀の鍵》として活動する為には情報が必要だ。情報屋と密会して早々に帰ろうとしたときに、シュリクが襲われているのを見つけたのである。
彼女に手を伸ばし、さっさと逃げるぞと叫ぶ。
シュリク >
(ふう、と3度めの溜息を漏らしつつ、擬似異能の一つ、「凍てつく爆心地」(アイスシェイカー)を発動させようとした瞬間、絹の如き白糸がシュリクの頬を掠める)
「う、うおおお!?」
(「至る刃の輝き」の斬撃は、シュリク前方に出来た糸の塊により防がれ、剣戟を跳ね飛ばされた)
(これは、異能――いや、魔術――!)
(思わずその手を取り、男に先導されるままその場を後にした)
……反応、ありません。諦めたのでしょう。これ以上の逃走は必要ありません。
(スラムの入口近くまで逃げ出し、その先に行こうとした道中、不意に告げる)
橿原眞人 >
(彼女の手を取ると、そのまま不良集団から逃げるように突っ走っていく。やがて入口付近まで走った頃、不意にシュリクから声をかけられる。振り返ってみれば、あの不良集団は既にいなかった。)
撒いたか……それにしても、こんなところで子供が何してんだよ。ああ、いや、子供じゃないのかもしれないが……。
(小さくため息を吐きながら、シュリクの手を離す。世界の変容により色んな存在がこの世に現れていた。子供のような見目でも中身はどんなものかはわからない。それぐらいは眞人も認識はしている。)
あのまま突っ立ってたらやられてたぜ。あんな不良連中でも異能や魔術使えたりするんだから、こんなところ歩かないほうがいいぜ。
(そう言いながらタブレットを鞄にしまう。先ほど魔術を使った眞人であったが、魔導書の類は一切持っていない洋だった。)
シュリク >
子供という概念は私にはありません。機械人形ですから。
(さらりと自らの正体を明かす。そういえば、割と全力で走ったはずなのに息切れ一つ起こしていない)
ご心配には及びません。擬似異能を使えばあの程度の術者は比較的楽に排除できます。ので、救助も不要でした。
……ですが、貴方が先ほど使った能力に興味があり、付いてきました。あれは魔法、でしょうか? しかし、その機械式のパネルから出ていたように見受けられましたが。異能反応ではありませんでしたし。
(黄金の瞳が眞人をじいと見つめる。……よく見ればこの瞳、人間のそれと明らかに瞳孔が違う。カメラのレンズのように、何重にも層が連なっている)
橿原眞人 >
……機械人形?
(そう言われるとぽかんとしたようになる。確かによく見れば疲れているのは自分だけである。目の前の少女は息切れ一つ起こしていない。)
つまり、ロボットってことか? そうか、最近そんな手合いばっかりに会うな。妖怪に退魔師に破壊神に……何だよ、それじゃ俺はただのバカじゃないか。
(脱力したように頭を振る。救助も不要だったと言われると情けなさが募る。やれやれと言った様子で、それじゃあまたあんな奴らと面倒なこと起こすなよと去ろうとしたのだが、自身の遣った魔術のことについて言われると、一瞬、気づかれてしまったかというような表情を浮かべる。じっと見つめられるので少し居心地が悪い。見てみれば、確かに彼女の言うとおりその瞳孔は人間のそれと違う。確かに機械人形というにふさわしいのだろう。)
ああ、あれな……まだ実験中だから、今使うつもりはなかったんだが。
(そう言って頭を掻く。)
機械人形のあんたに言う事じゃないだろうが、今は人間の科学も発展してる。魔術と科学となんて分けて言われることもあるけど俺はそうは思わなくてね。
つまりだ、魔導書を電子書籍化したってことだ。呪文を機械語に変換して……ってやつさ。お前の言うとおり魔術だよ。他の人間がどういうか知らねえけどな。
シュリク >
妖怪、退魔師……破壊神……?
(最初2つはいい。<<ゲート>>が開いた影響でそういったものが出てきても何らおかしくはない。しかし、最後の単語だけは見逃せなかった)
破壊神って、あなた、気軽に言いますけど、それって途轍もなく不味い状況なのでは? 地球崩壊の危機なのではないですか……?
(機械人形という割に、表情が引き攣っている。見用によっては青ざめているようにも。感情があるように思えても不思議ではない)
(さらに、魔術への問いかけの答えがシュリクにとって驚くべきことだった)
魔導書を、電子書籍化……? 魔術の電脳化……? ああ、あああ……ついに、恐れていたことが現実になったのですね……境界が、あやふやになってしまった……。
(項垂れ、嘆くように。顔を上げたシュリクの瞳には……怒りのようなものが見えた)
……それは、貴方が発明したのですか。魔術と機械を混ぜるなどということを。
橿原眞人 >
ロボットっていうけど、殆んど人間と変わらない反応してるよな、あんた。
(人型のロボットというのは眞人も見たことがある。だが、ここまで精巧はものはほとんど見たことがない。感情すらあるように思える。地球とは別の世界からきた、というのならばわかる話だが。)
そりゃ俺もまずいと思ったがね。当人が今は破壊するつもりはないとかいってたんだからそう信じるしかないだろ。俺みたいな一般人にはどうしようもねえよ。
常世学園はヤバいとは聞いていたんだが、ここまで色々いるとは俺も思ってなかったよ。妖怪とかそういうのなら、本土にもいたんだけどな。
(破壊神の話をすると、ひどく疲れたような声を出す。眞人当人にとっても破壊神との出会いは大きく常識を覆すものだった。)
え? え? な、なんか怒ってる……? なんで……?
(魔導書を電子化したという話をすると、突如シュリクはうなだれはじめた。そしてクッ、と顔を上げたかと思うと、その瞳には怒りの色すら感じられた。顔色をうかがっていた眞人は思わず一歩退く。)
いや、だってしょうがねえだろ。俺は使えるものは使いたいし試せるものは試したいんだよ。
ああ、そうだよ。他にやってるやつがいるかどうか知らねえけど……さっき使った魔導書の電子化というのは俺が考えた。まだ未完成だから企業秘密だけどな。
で、それが……な、なんか気に障った……?
シュリク >
……破壊神の話は、どうやら大丈夫そうなので置いておきますが。
(とはいえ、そちらも調査する必要があるようですね。記憶の片隅においておきましょう……ですが、その前に)
貴方は、自分がどれほど愚かなことをしでかしたか理解しているのですか。魔術というのは、本来ならばこの世界にあってはならない力なのですよ。外なる世界の力です。それを、この世界の力である「科学」と融合させてしまっては、世界のバランスが保てなくなるのですよ。
(本当ならば、魔術もこの世界の一要素だ。しかし、6000年前はそういう解釈ではなかった。異能こそがこの世界における力であり、魔術とか異端なる能力である。――宗教的な問題だ)
外なる世界をつなぐ門、<<ゲート>>の開放により、魔術が再びこの世界に現れ、バランスをかき乱している。ですが、それなら<<ゲート>>を閉じれば何とかなったのです。ですが貴方が、現代の技術と融合させてしまったから、この世界に余計な能力が混ざり、バランスが崩れていってしまうことに!
(ずい、と近づいて。至近距離。目と鼻の先)
橿原眞人 >
(結構な剣幕でまくしたてられ始めてしまった。いきなりのことに困惑の表情を眞人は浮かべる。魔術側から魔導書の電子化がどうといわれるのはわかるが、目の前の機械少女は科学的な産物に思える。むしろ賞賛されてしかるべきではないか、などと眞人は思っていたのだが。)
お、愚かなことって、ちょっと待ってくれよ。落ち着いてくれロボ娘。
(機械人形を自称する少女が眞人に迫る。眞人はどうどうとなだめるように両手で彼女の肩を軽く押して離れようとする。ロボットとはいえ子供の姿の少女に迫られるのは色々とまずい。)
お前、この世界の存在なのか? それにしてはなんか、常識に欠けるというかなんというか。えらく昔の人間と話してる気分だぜ。
俺は魔術についてそんなに詳しくないから知らねえけどさ、元々魔術は隠されてただけでこの世界にあったって話だぜ?
21世紀初頭の世界の大変容のときに、誰か知らねえけどネットワーク上に異能とか魔術の情報をリークしたらしいんだよ。それで世界にもその存在が実在のものだって知られたわけだ。
21世紀が始まるまでは普通の人間は魔術や異能なんてオカルトの話だと思ってたし、本当だなんて思ってなかったって話だぜ。それが今や魔術も異能も余に満ち満ちてるんだ。
今更あんたみたいなこと言う奴の方が珍しいと思うぜ? それに俺みたいな一般市民の発明がそんな影響なんて及ぼさねえって。
「門」だってさ、閉じれば何とかなるみたいにあんた言ってるが、まるで今以前にもそういうことがあったみたいな言いぐさじゃねえか。何者なんだ……?
シュリク >
なっ――
(魔術が、この世界に、もともと存在していた――?)
そ、そんなはずは、ありません! あのような非科学的かつ、魔力などという胡乱なエネルギーを使うものが、この世界にあるはずが――
(そこまで言って、矛盾に気づいた)
――それでは、異能、とは、――?
……申し訳ありません、些か、情報整理に戸惑っております。
後日、改めてお話をお伺いしたいので、お名前を聞いてよろしいでしょうか。
(少し距離をとって、頭を下げる)
橿原眞人 >
……すごい前時代的な事をいうんだな? 今じゃ使おうと思えば魔術なんてそう難しいものでもないぞ。
(魔術がこの世界に元々存在していた、ということをいうと機械の少女はひどく狼狽えたようである。)
そう、それを言ったら異能もだぜ。今の世界じゃ普通のことだ。だが異能だってそもそも、21世紀以前はオカルトの範囲だったんだ。常識でもなんでもなかったんだよ。
それが急に現れ出したから、世界が混乱したってわけだ……知らないのか?
(自己矛盾に少女は気づいたようだ。だが、どうにも眞人の歴史観と齟齬があるようだ。)
ああ、わかった。なんだか知らないが、あんたはあんまりこの世界の事を知らないみたいだな。
俺は橿原眞人、常世学園の一年だ。こういう機会とかネットを弄るのが好きでね。あんたには怒られたが、今やろうとしてるのは魔術の電子化だ。
それで、あんたの名前は?
シュリク >
前時代……そう、ですね。6000も時代が違うのであれば、解釈も当然……いや、しかし……
(異能は、6000年前はその仕組を解明されつつあった。故にシュリクに擬似異能というシステムが組み込まれていた)
……どこまで魔術が解明されているか知りませんが、電子化できるほどならば、ほとんど体系化されていると考えていいのでしょうね……
私は、シュリク。今から凡そ6000年前に作られた機械人形……異能人形(アーツドール)です。
橿原眞人、登録しました。私も同じく一年生なので、整理が付き次第声をかけます。
……助けていただいたのに無礼を働いてしまい申し訳ありませんでした。では、私は調べたいことが出来ましたので、これで。
(もう一度深々と頭を下げると、跳躍し去った。人間の動きとは全く異なるそれは、一瞬のうちに姿が確認できなくなるほど疾かった)
ご案内:「スラム」から
シュリクさんが去りました。<補足:真っ白なロングヘア 金の瞳 ややゴスロリチックな服>
橿原眞人 >
6000千年前……!? ま、まてよ、そんな時代にあんたみたいなロボットがあったっていうのか!
俺からしたらそのほうが驚きだぜ!
(素っ頓狂な声を上げて言う。21世紀以前は魔術も異能も現実のものと考えられていなかったのだから、そういう話もあっても当然なのかもしれないが、それにしてもであった。)
ああ、いや、いいや。色々驚いていたら今後身が持たない気がする……またあんたの話も聞かせてくれよ、シュリク。異能人形なんてのは初めて聞いたよ……。
まあ、あんまりここら辺うろうろしないほうがいいぜ。破壊神だっていたんだ。他に何がいても……あっ、はええ……。
(シュリクが頭を下げたかと思うと、跳躍して何処かへと去ってしまった。)
……やはり、俺の知らないものがこの世界には多いな。
そうだ、異能や魔術、異界の「門」……どれもこれも、本来はこの世界だと普通じゃなかったものだ。
俺は真実を知りたい。この世界の真実を。
その点じゃ、俺もあんたも同じかもな。
(消え去っていくシュリクにそう呟くと、踵を返し、落第街の闇の中に消えて行った。)
ご案内:「スラム」から
橿原眞人さんが去りました。<補足:制服姿の青年/表向きは至って真面目な生徒>