2020/08/24 のログ
ご案内:「落第街-施療院」に山本 英治さんが現れました。<補足:長い直毛/全身に包帯/入院着(待ち合わせ済)>
山本 英治 >  
ようやく両手の重度熱傷が治った。
異能も人を殺すような力を発揮する一方で、こんな風に身を助けることもある。

……あんまり邪険にしてやるのも、可哀想かな。
なぁ、俺の中の力よ。

頭の裏に両手を伸ばして。
のんびり寝転がりながら考える。
た、退屈だなぁ!!

ご案内:「落第街-施療院」に227番さんが現れました。<補足:白い髪、青い瞳。白いワンピースにグレーのキャスケット。>
雨夜賢瀬 > 「入るぞ山本」

ノックの後、答えを聞くそぶりもなく、遠慮なくドアを開ける男。
今日は風紀制服だし、腕章もつけている。

部屋に入った後、後ろを向いて、下の方に声をかけた。

「ほら、ここだ。心配要らない。俺と山本しか居ないぞ」

その視線の先から──

227番 > 恐る恐る覗き込むように、小さな少女が現れた。

「……エイジ?」

その姿を確認して、一瞬間を置いてから、部屋に入ってくる。

山本 英治 >  
「おお、雨夜先輩! また足を運んでもらってありがたいねぇ」

両手を広げて、先輩を迎え入れる。
彼は後ろを向いて話しかけている。
まだ、誰かいるのだろうか。
すると。

「ニ、ニーナ………!?」

そこにいたのは、小さなジュンヌ・フィーユ。
以前、一方的に助けてそれきりになっていた女の子。
ニーナ。

「…お見舞いに来てくれたのかい?」
「先輩、友達を連れてきてくれてありがとな」

雨夜賢瀬 > 「この子が会いたがっていてな」
「警ら課のピンチヒッターのついでだ、気にしなくていい。
 しばらくこの辺を回ってるから、また後で来る」

ひらひらと手を振って、部屋から出ていく。

227番 > 「お見舞いは…よくわからないけど、エイジが、怪我したって、聞いて」

事情は詳しく聞いていないものの、心配になって、
無事かどうか確認したかったらしい。
それで何人かを経由して雨夜にたどり着き、
たまたま予定が合っていたために連れてきてもらえたようだ。

お見舞いをよくわからないとはいいつつも、小さな花束を持たされている。
雨夜の入れ知恵だろう。

雨夜に小さくお礼を言ってから、山本の方を向いて。

「……大丈夫……?」

山本 英治 >  
「雨夜先輩………」

なんでこの人こんなに格好いいんだろう。
それが理解できたら俺も彼女できる気がする。
多分幻想だけど。

「ああ、大丈夫だ。もう痛みも熱も引いたよ、あとは骨をくっつけるだけだ」

器用に片目を瞑って手招き。

「花束、俺のために持ってきてくれたんだね。ありがとう、ニーナ」

怪我はしたけど、こんなこともあるんだなぁ。
ありがたい話だ。

227番 > 招かれれば近寄って。

「良かった。はやく、治ると、いい」

ほっとしたようで、部屋に来てから少し緊張していた面持ちが和らいだ。

「うん……何か、有ったら、良いかなって……」

花の数は少ない。
少女のお小遣いで買えそうな量であり、小さな花瓶に飾るには最適な量だ。
手渡そうかとも思ったが、ちょっと不自由そうだと判断して、近くの台に置くだろう。

山本 英治 >  
「ははは、ニーナが心配の言葉をかけてくれるなら、きっと早く治るさ」

目元を両手で擦る。
な、なんという!!
雨夜先輩が花束を買ってあげようとしてニーナが自分でお金出すって言い出してこうなった!!
その結果、可愛らしい花束が俺に届いた!!

その様が見えるようだ………

「嬉しすぎて泣きそう」

思わず本音が出た。

「あれからどうだい、ニーナ。色んな人と話したかい?」
「ユウリさんには良くしてもらっているかい……?」

旧交を温めるかのような言葉を彼女にかけてみる。

227番 > 「喜んでもらえて、よかった」

嬉しそうに微笑んだ。
正直何が良いのかさっぱり分からなかった。
食べ物とか小物とか、実用的な物しか思い浮かばず。
悩んだ挙げ句、移動前に雨夜にたずねてみた、という流れ。

「……色んな人。うん、友達、たくさん。
 ゆーりは、少し、忙しそう、だけど、わたしは、十分」

前と変わらぬたどたどしい話し方で答える。

山本 英治 >  
「ああ、すげぇ嬉しいよ、ニーナ」

うんうんと頷いて、顎に指を当ててあの花が飾られる窓際を想像する。
なんて素晴らしい日々。
人は食べ物や会話でしか満たされないものがあるように。
花でしか満たされないものだって、必ずあるのだ。

「そっか……よかった」
「前に雷覇と戦った時は…………」

ふと、考えがあの時に至る。
ニーナは……

「ニーナは……雷覇に、あの男に一度殺されたのかい?」

それがどんな意味を持つのか。聞いてみなければわからない。
詮索は良くない。だが、聞かなければわからないものは、人間あるもので。

227番 > 花を置いたら、傍らにある椅子を少し引きずって、ひょいっと座る。
椅子に手をついて、そちらに向いた。

「……らいは……」

少し固まって。少し考え込んで。
やがて口を開いた。

「多分、そう。しっかりとは、覚えてない、けど。
 わたしは、殺された、と思う」

落ち着いた様子で、淡々と述べた。
死の間際は覚えていない。
脳の機能が低下するので、覚えられないのだ。

山本 英治 >  
椅子に小さく跳躍して座るその姿に目を細める。
本当に、この命を守りきれてよかった。そう思える。

「殺された、か………」

不死の異能? それとも?
しかし、考えるだけで思考は実を結ばない。

「それでも……ニーナが今、生きているということが大事、か」
「俺もあれから色々あったぜ……」

足のギプスに書かれた『目指せ! 全国大会優勝』の文字を見て笑う。

「怪我もしたし、心も傷ついたし、それ以上に楽しいことがいっぱいあった」

227番 > 「……うん」

何もわからない。
覚えているのは、殺すのを躊躇って、殺されたということ。

「理由は、わからない、けど、生きてる」

ギプスに目をやる。"せ"しか読めない。

「そっか…………エイジ、ちょっと、変わった?」

覗き込むように見上げる。
もちろんアフロのことではない。

山本 英治 >  
「ニーナを大事に思ってる人はいっぱいいるし、ニーナは生きてる」
「今はそれで十分さ………俺だって生き残ったから大丈夫なんだ」

柔和に笑って腕組みをして。

「変わったよ」

と断言する。俺は前より変わった。
甘くて青いだけのペーペーから。
少しは変われた。そう思う。

「ニーナも変わった。前よりずっと素敵になったよ」
「友達に良い影響を受けてるんだな」

227番 > 「うん。これからも、そう、していたい」

頷いて答える。

「そっか」

変われるというのは良いことだと、少女は思っている。
変わり続けられるから、新しいことを知っていける。
変化を怖れる少女はいないのだ。

「……うん。私は、もっと、変わる。皆の、おかげで」

それは決意にも似ている。
そして、友達の影響と聞いて、最近あったことを話しだした。

「……わたし、図書館で、名前、思い出した」

山本 英治 >  
「変わったな、っていうのは悪い意味ばっかりじゃねーもんな」
「良い方向に変わっていけば、ニーナも将来とっても素敵な女の子になるぜ」

今も可愛いけどね!!と付け加えて破顔一笑。
そして相手の言葉に、真顔に戻って。
咳払いをして、相手の言葉を聞く姿勢を取る。

「名前、か……聞かせてもらってもいいかい?」

相手の目を見ながら、聞いてみる。
聞きたい。ニーナの、本当の名前。

227番 > 「……そう、かな」

そういう事を最近言われるようになった。
少女にとって、未来は"わからないもの"なので、不思議に思う。
それはそうと、可愛いと言われれば、小さくお礼を言う。

「名前。パウラ。パウラ、エストレーヤ」

目を合わせて、名乗る。

「でも……エイジは、ニーナって、呼んで、ほしい……かも」

山本 英治 >  
「パウラ、か……可憐な名前だな?」
「でも君がそう言うなら、俺は君をニーナと呼び続けるよ」

枕に頭を沈めて天井を見る。
今までニーナと話した出来事が脳内に浮かぶ。
あの時、何もわからずに落第街にいた少女は。

もう、一人じゃないし。番号しか名前がない存在でもないんだ。
それが無性に嬉しくてたまらなかった。

「ニーナ、名前を思い出せたのは」
「君にとって良いことだと思うかい?」

227番 > 「パウラは、小さいとか、そういう意味で、エストレーヤは、星、らしい」
「うん、ありがと」

その様子を不思議そうにじっと見る。

続く言葉には、真剣な顔で頷く。

「うん。良いこと。
 わたしは、もっと、自分のこと、知りたい、から。
 もっと、他のことも、思い出したい」

山本 英治 >  
「小さな星、か……素敵な名前だ」
「でも、ニーナだって負けてない。良い名前がたくさんあるな?」

体を起こして、ニーナを手招きする。
君の頭を撫でたい、と告げて。

「ニーナ、君は知る過程で辛いことを思い出すかもしれない」
「でも、覚えておいてほしいんだ。俺も、他の友達も、ユウリさんも」
「過去も未来も現在も、全部ひっくるめて君のことが好きなんだ」

「だから……何を思い出しても大丈夫。ただ、頑張ってみてくれ」

笑顔でそのことを告げて。

227番 > 「ニーナは、"小さな女の子"、らしい」

手招きをすれば、ひょいっと立ち上がって、帽子を外した。
猫耳が顕わになる。貴方は初めて見るかも知れない。
それから、ベッドの縁に手をつく。

「うん。そんな気は、してる」
「……うん。みんなが、いる」

笑顔に応えるように頷いて、

「つらかったら、頼る。大丈夫」

にこりと微笑んだ。

山本 英治 >  
「そうだったのか……俺が言うジュンヌ・フィーユも同じ意味だぜ?」

猫耳を見て目を細める。
なるほど、可愛らしい。
隠すのが勿体ないくらいだ。

彼女の頭を優しく撫でて。

「強くなったな、ニーナ」
「坂道を一人で登るのは強さでも、誰かと一緒に登るのは弱さじゃない」
「俺の親友の言葉さ……」

手を離すと、ふっと微笑んで。

「君が生きていることが、嬉しい」

227番 > 「じゃんぬふぃーゆ」

隠せと言われている猫耳。
それを見た人の一人は、可愛すぎるからではと評価したらしい。
それはともかく、信頼している相手なので、隠さなくていいと思った。

撫でられれば、心地よさそうに体をゆすり、耳も揺れる。

「坂道……」

首を傾げ、少し考える。

「エイジも、一緒に、登る?」

わたしもついているから。
守られるだけ、支えられるだけの存在じゃないと。
少女はまた、笑った。

山本 英治 >  
「ああ、覚える必要はないけどな……」

明らかに俺くらいしか使わない言葉だった。
まぁ、それはいいとして。
猫耳は可愛らしい。これは確かに隠していたほうがいいのかも知れない。
可愛いもの好きの女生徒が放っておかないだろう。

そして、一緒に登ると聞かれれば。
ああ、この子はやっぱり頭が良いなァと笑ってしまって。

「もちろんだ、坂道で立ち止まってしまったら一緒に手を取り合おう」
「君が花束をくれたみたいに、俺が君を守ったみたいに」
「どんなことでも、大きな意味を持つからね」

小さな友達は笑っている。そう、笑っているんだ───

227番 > 「うん」

もちろんだと言われれば、笑顔のまま。

「これからも、よろしく、エイジ」

帽子をかぶり直して、片手を差し出した。
撫でることができるなら、握手もできるだろうか。
厳しそうなら、軽く触れるだけでも──

> 施療院の外から、バイクのエンジン音が聞こえ、止まる。
山本 英治 >  
ニーナの手を握り返して、軽く上下に振った。

「よろしくな、ニーナ」

友情の握手。彼女はもう守られるだけじゃない。
そのことが、手のぬくもりから伝わってきた。

そしてバイクのエンジン音が聞こえてきて。

「雨夜先輩が来たよ、ニーナ。そろそろ送ってもらう時間だ」
「今日は嬉しかったよ、花束……本当にありがとう」

227番 > 握手に応じて貰えれば、満足そうに。
それから手を離して。

猫の耳はもちろんしっかりとバイクの音を聞き分ける。

「もう、そんな時間」
「えっと……"どういたし、まして"と…
 なんだっけ……"お大事に"?」

自信なさげに言って。

「またね、エイジ」

小さく手を振る。

雨夜賢瀬 > ドアの前に立ち、出てくるのを待つ。
山本 英治 >  
「ああ、どっちも合ってるよ」

穏やかに笑って。

「帽子をちゃんと被って帰るといい」
「風に飛ばされないよう、しっかりとね」
「またな、ニーナ」

小さく手を振って見送る。
ドアの前の気配に、声を張って。

「雨夜先輩もありがとう、快気祝いは派手にやろう」

と言って。再びベッドに深く体を沈めた。
今日はいい夢が見られそうだ。

227番 > うん、と頷いて、ドアの前で振り返って、もう一度手を振って。
それからドアを開けて外へ出ていく。

雨夜賢瀬 > 「ああ」
ドアの隙間から二指の敬礼を送り、少女と共に立ち去っていく。

ご案内:「落第街-施療院」から227番さんが去りました。<補足:白い髪、青い瞳。白いワンピースにグレーのキャスケット。>
ご案内:「落第街-施療院」から山本 英治さんが去りました。<補足:長い直毛/全身に包帯/入院着(待ち合わせ済)>