ご案内:「《サイバーアレクサンドリア大図書館》」に
《銀の鍵》
さんが現れました。<補足:【乱入歓迎】 黒を基調としたサイバーウェア。多くの自作プログラムを積んでいる。>
《銀の鍵》
>
――没入する。
格子状に形作られた電脳の世界の中が視界の中に生み出されていく。
――没入する。
マトリクスが現れる。この常世島に張り巡らされたネットワーク。
その中に没入する。電脳世界へ、仮想でありながら一つの現実である疑似世界へとダイブした《銀の鍵》は巨大な《大電脳図書館》の前に来ていた。
ステルスプログラムを起動し、並大抵の警備プログラムの目は既にごまかしてある。
学園地区を再現した電脳領域。そこに《銀の鍵》はいた。
図書館が立ち並ぶその中でひときわ目立つもの。
《大電脳図書館》あるいは――《サイバーアレクサンドリア大図書館》などと言われる場所だ。
《銀の鍵》
>
《サイバーアレクサンドリア大図書館》とは俗名であり、正しくは《大電脳図書館》なのだが、その蔵書データの多さからそのように呼ばれるようになっていた。
通常、許可なく入れる場所ではない。電脳世界に没入した際は、そのアカウントなども入念に調べられる。
この電脳の大図書館には学園の報告書や研究業績、機密文書などが収められていると噂されている。
故に、普通ではないれない。一般学生では許可すら出ないだろう。
《銀の鍵》が今用いているアカウントは偽のものだ。よく調べられればすぐに偽だとわかるだろう。
だが、元よりそんなものをアテにはしていない。《銀の鍵》はハッカーである。
そして――彼には異能の力があったのだ。
大図書館の入り口。警備プログラムなどが周回する中、ステルスプログラムを起動し、《銀の鍵》は姿を消しつつ、ジャミングプログラムを飛ばす。
刹那、警備プログラムの電脳に偽の映像記録が映し出される。その間に、《銀の鍵》は何重にもロックされた扉の前に立つ。
「――開錠」
扉の前に右手を伸ばし、そう呟くだけで、何重にもかかっていたはずのセキュリティロックが一気に外れていく。
ご案内:「《サイバーアレクサンドリア大図書館》」に
有澤 零砂
さんが現れました。<補足:外見は、ロールで表記となります。特殊環境のためです。>
有澤 零砂
>
その近くを、ふよふよと立方体のようなアイコンのプログラムが飛んでいる。
見慣れないそのプログラムは、偶然にもそのロックの解除を認識したらしく、
周囲を確認するかのように辺りの巡回を始めた。
《銀の鍵》
>
開錠を確認すると、そのまま勢いよく《銀の鍵》は扉を駆け抜けていく。
この大図書館には一度侵入したことがある。ここまでは問題ない。
《銀の鍵》は後ろ向きに鍵を回す所作を行う。そうすれば扉は何事もなく閉まっていくだろう。
(……魔導書の電子データは今はいい。必要なのは……)
《銀の鍵》の顔の左前に小さなウィンドウが出現する。
この大図書館の地図だ。あらかじめハッキングして入手しておいたものだ。
《銀の鍵》が必要とするものは学園の機密文書。
この学園の電子領域で消息を絶った“師匠”のことだった。
(第六六階層か……)
機密文書のある場所までは掴んでいた。
電子の色彩に彩られた図書館の中を《銀の鍵》は駆ける。
ステルスプログラムは未だ起動している。問題はない。
時折存在するセキュリティロックは、右手を伸ばすだけで解除されていく。
ハッキングする形跡すらなかった。
有澤 零砂
>
プログラムは、解錠されたロックを追いかける。
なにもせずに開くロックを見れば、それは異様なことだ。
ゆえにふわふわと、それでいてそちらに負けない速度でたどって飛んでいく。
「Piii.....」
時おりそれが、どこかへ向けて信号を放っていることに気づくかもしれない。
《銀の鍵》
>
(……《氷》か? 面倒な)
機密文書のある階層へと降り始めた《銀の鍵》であったが、何かのプログラムがこちらに気づき、追ってきているのを感知した。
ステルスを見破ったかどうかまではわからない。恐らくはセキュリティロックが外されていくことに反応したのだろう。
無論、扉を開けた後は即座にハッキングを行い、痕跡は消している。だが。外からそれを見られていれば具合は悪い。
(……ここまで来て邪魔をされてたまるか)
《銀の鍵》の顔部分は電子の仮面で覆われている。
こちらは何重にもセキュリティや防御プログラムをかけている。
並大抵の技術ではこちらの正体はわからないはずだ。
「――対《氷》プログラム起動」
《銀の鍵》は立ち止まった。そして、自身を追いかけていたプログラムに相対する。
《銀の鍵》の手には小刀のような物があった。とはいえ、イメージはあまり重要ではない。
それは当たれば一時的にプログラムを停止状態に追い込むものだ。普通のプログラムならそれで停止する。
《銀の鍵》は迷わずそれを自身を追ってきたものに投擲した。
有澤 零砂
>
「Pipipi---」
あっけない、防壁もほぼなく、攻撃を行うそぶりもなく機能を止める。
そう、先程まで放っていた信号も、だ。
それをきっかけに、何かのデータが、いや、調べればわかるが誰かがダイブに使っているアバターが高速で迫ってくるのが確認できる。
どうやら、先程のアレはその誰かが撒いていたものらしい。
《銀の鍵》
>
(……転移用のプログラムか。クソッ)
《銀の鍵》は悪態をつく。
自分は“師匠”の消失に関する情報を集めなければならない。
だが、今のプログラムの破壊で何かをダイブさせるルートを作ってしまったらしい。
普段ならばもっと冷静だったはずだ。即座に破壊することもなかったはずだ。
「……面倒なことになったな」
《銀の鍵》はそう呟いた。
目的なのは必要とするデータのみだ。誰かとことを構えるつもりなどない。
対《氷》ようプログラムをバックグラウンドでいくつも起動しながら、何ものかの到来に備える。
有澤 零砂
>
飛んでくるそれを視界に捉える。
その見た目は銀髪の幼い少女に見える、とはいえこの世界で現実そのままの姿で隠しもせずに出てくることはないだろうが。
そして、その少女があなたのそばに着地する、そしてあなたが居る場所をまじまじと見つめる。
「なるほど、いい腕ですね。」
まず、一言目はそれだった。
よくよく見ると、アバターはいわゆる狐耳が生えている、なんとも可愛らしいといった印象を受けるかもしれない。
なんにせよ、その少女の見た目のそれは、あなたをまじまじとみていた。
《銀の鍵》
>
目の前に現れたのは狐のような耳の生えた少女だった。あまり珍しいものでもない。
《銀の鍵》は電脳世界に没入する時間が長く、現実との齟齬を避けるためにほとんど自分の姿を現実と同じ構成にしてあるが、あまり一般的ではない。
目の前の少女も、現実でこのような姿であるとも限らないだろう。慎重に《銀の鍵》は様子を伺う。
ステルスプログラムもおそらくは意味を成してないだろう。監視よけのために今も起動はしているが、様子からしてあちらには見えているらしい。
「……何の用だ。ふざけた真似をして。
そう言うあんたも大した腕のようじゃねえか。
こうもあっさりと没入してくるとはな。
……俺は簡単には捕まらないぜ?」
有澤 零砂
>
「いや、ふざけたもなにも、飛ばしていたbotが、周囲で妙なロック解除を検出。
こちらに信号を送りつつ確認していたのをあなたが止めたんですよね。」
耳をピコピコさせながら、たんたんと話す。
「別に、ここのセキュリティ担当でもないからさ、捕まえてつき出すとかはしないよ。 たぶんだけど。
なかなか面白いものが関知できたから、見に来た。 それ以上でも以下でもないんだよね。
本気で捕まえるなら、もっと賢い手を使うしね。」
自信満々にそう言った。 実際、口にしながらも彼女は警戒用の観測プログラム回しているし、アバターも厚い防壁で保護されているのがわかるだろう。
《銀の鍵》
>
「ここのセキュリティ担当じゃねえならあんなもん飛ばす必要ねえだろ。
下手すりゃクラッカー扱いだぜ?」
ふん、と《銀の鍵》は悪態をつく。
相手の言っていることがどこまで本当かなどわかるはずもない。
ただ、あれほど自信満々なのだからそれなりの腕はあるのだろう。
軽く解析してみても、身を守る防壁は厚い。
「そんな軽い気持ちで邪魔をされた俺は不愉快だが……。
どんなセキュリティにも捕まらない自信はあるぜ。
……別にあんたが何者かなんて聞くつもりはない。俺も聞かれたくないからな。
ただ、あれを見られたのは少々面倒だ」
あれというのは《銀の鍵》の異能を持って、全てのセキュリティロックを解除していったことだ。
本来ではありえないことである。だが、その異能はあらゆる「門」を突破する異能だった。
それが電脳世界でも通用しているのだ。それは何よりも知られたくなかったこと。
有澤 零砂
>
「ははは、ちゃんとばれないようにはやってるよ。
信号の探知もされにくいようにうまく作ってるからね。」
停止したプログラムを拾って、どこかの領域へしまいこむ。
「こっちもそっちの都合まではわからないもの、そこで恨まれても困っちゃうよ。」
と、わざとらしいかわいいしぐさで困ったポーズをする。
「たしかに、始めてみたなぁ。 痕跡も残さない即時の鍵開け。
どういうギミックかな、といっても企業秘密かな。
予想では、異能か、魔術だとおもうけど。」
いちいち、そういうしぐさで困ったりした動きを見せながら話を進める。
《銀の鍵》
>
(セキュリティ担当でない、という言葉からすれば……。
ネットワーク関係の風紀か公安か、あるいは教師か……)
《銀の鍵》はそう推理した。
いちいち可愛らしい仕草を取るので《銀の鍵》は非常にイラついていた。
こんな見た目をしていて、中身は40代の壮年男性という可能性もありうるのだ。
「中身はオッサンだったりしてな」
そう敢えて呟いてみた。
「……教えるわけねえだろ。俺は見ての通りハッカーだぜ。
仲間でもない奴に情報なんて教えねえよ。
……ま、わざわざ色々飛ばしてるってことは、あんたも本来ここにいるべき奴じゃないんだろ。
俺が用があるのかここの深層領域だ。あんたもハッキングでもしてたのか」
どうにも可愛い仕草で動かれると緊張感に欠けてしまう。
敢えて自分の情報を出して、相手の様子を探ることにした。
いざという時の手段はいくらでもある。恐らく相手も同じではあるだろうが。
有澤 零砂
>
「ははは、そうかもね。」
そこで口を滑らすほどバカでもないらしい、それを否定すれば年齢層が絞られるのだ。
自身の年齢がばれれば、技術力等からかなり絞られるのは目に見えていた。
「ふふふー、まぁそりゃそうだね。 なんにせよ、うちのセキュリティは対策を固めなくちゃ。
まぁ、お散歩だと思ってくれればいいかな。 特に今日はほしいものがある訳じゃない。 競合することまないさ。」
お散歩とは言うが、暗に破ってたというやつだろう。
《銀の鍵》
>
「……チッ」
相手は引っかかりはしなかった。幼稚なやつならと思ったが、さすがにそうでもないようだ。
《銀の鍵》が今必要としているのは、相手が敵かそうでないか、ということに尽きる。
だが、大した情報は得られなさそうだ。
相手の防護は強い。ハッキングを仕掛けるにしても、そちらに集中すればここのセキュリティに感づかれることになる。
「こういう場合、お互い“見なかったことにする”っていうのが鉄則だと思うが、どうだ。
俺はあんたの事を別に何かに報告したりしない。する意味もねえしな。
ハッカー仲間だっていうんなら、静かに目をつぶっててもらうのが一番だ。
俺の鍵開けのこともだ。黙っていてくれるよな?」
《銀の鍵》としては、ここは穏当に済ませたいところだ。
相手の情報も大して得られていない。相手も同じはずだ。
たとえどこかに通報したとしても自分にたどり着くことはないだろう。
相手が拒否した場合の事も考えてはある。相手の電脳への強制介入だ。
とはいえ、これは失敗する可能性も多く、危険度も高い。
まず、行いたくないものだ。
有澤 零砂
>
「ははは、そこまで露骨に舌打ちしなくてもいいじゃないか。
傷ついちゃうよ。」
わざとらしいしょんぼりしたアクション。
「まぁ、それがいい、お互いベターな選択だね。
僕だって、君のような腕のいい人は敵に回したくないからね。
で、鍵開けの件は条件付きかなぁ、こっちの領域へ来たらダメかな。
敵に回ってからも、内緒ですとはいかないからね。
君が悪ーいことするなら、それこそダメだもの。
ま、敵に回らなきゃ、大丈夫。」
にっこりと笑って答える。
「それに、こんな奥に来てるのなら、目的はかなりやばそうだしね。
そういうのを狙う相手を告げ口すると、僕まで動きづらくなっちゃうもん。」
困ったと様子で大きく首を振りながら。
《銀の鍵》
>
「一々イラつくぜ、そのアクションはよ」
しょんぼりしたアクションにはあ、とため息を吐く。
これで本当に壮年男性だったら大変だ。
「……そうかよ。
ま、あんたの領域になんて入りはしねえよ。あんたのことよく知らねえけどな。
俺が必要とする情報を、あんたが持っていなければそれまでさ。
俺の求める情報があんたに繋がらないことを祈るばかりだ。
他人の電脳を灼きたくなんてねえからな。
あんたも俺の領域には来ないことだ。後悔するだろうからな」
こういう場合に弱気を見せることは禁物だ。情報は秘匿すべきものだと師匠もいっていた。
無論、相手の電脳を本当に灼くつもりなどはない。軽い脅しのようなものだが意味はないだろう。
「ああ、それが利口だ。
こんな深層まで来てるやつの事を、あんたが知ってることになるんだからな。
ま、邪魔するならそれなりの手を打つだけだ。くれぐれも、邪魔はしないでくれよ。
別に悪事のためにここに潜ってるわけじゃねえ」
「――俺は、世界の真実を知りたいだけだ」
自分の顔を隠す、電子の仮面ごしにそう言った。
「俺があんたに伝えることとしてはそれぐらいだ。
あんたが俺に特に用事が無ければ俺は下に降る。
くれぐれも痕跡なんて残すんじゃねえぞ、俺も面倒なことになるからな」
恐らく、相手はかなりの技量を持っている。
そんなヘマはしないはずだろうと《銀の鍵》は思った。
有澤 零砂
>
「ごめんね、まぁこれくらいやらないとうまく隠せるか不安だからさ。
もしかしたら素の自分が出るかもしれないし。 まぁ、かわいい姿ならかわいい動きの方が似合うでしょ。」
申し訳なさそうにあやまりつつ。
「ま、君が悪事を働かなきゃ大丈夫なんじゃないかな、あとは僕の晩御飯のレシピがとか欲しいじゃなければね。
はは、それもそうだ。 僕だって焼くのは嫌いだからね、気持ちいいことでもないしさ。」
脅しには恐れるそぶりもない、こちらもまたわかっているのだろう。
「ま、止めないさ。 ここで暴れてお互いお縄なんて面白くもない冗談だしね。」
そこまでは冗談のように答えるだけだった。
「ふむ、真実ね。」
その言葉に、空気が少しだけはりつめる。
まっすぐとそちらを見るその瞳は、仮面越しのあなたの顔を見るように、じっと、じっと見る。
「止めはしない、が。 死んじゃダメだよ、でもって、絶望もしちゃダメだ。
真実なんて、往々にしてろくでもないからね。」
先程までの、オーバーなアクションはない、ただただ、心配そうな瞳がそちらを見る。
「まぁ、ほかにはないかな。 そっちも頑張ってね。
大丈夫、上手に消えるさ。
あとはまぁ、気が向いたら手伝うよ。 それくらいかなぁ。」
帰るための準備を始める、ここにいた自身のログを消して、データ移動の痕跡なども処理を行う。
《銀の鍵》
>
「……あんたに言われるまでもねえよ。
俺が知りたいのは真実だ。それがいいものであれ悪いものであれな。
死ぬことも絶望もすつもりはねえ。
あんたが心配するようなことじゃない。
人の心配をしてる暇があるなら自分の身を案じることだな」
相手の心配したような瞳を見れば、顔を背ける。
そんな心配はいらないと手を振る。
「生憎だな、俺は基本的に一人でやる主義でね。
あんたが俺の同志になるってなら別だがね。
……ま、たぶんないことだ。
あんたが想像してるように、俺が調べているのは危険が伴う。
余計な世話回してあんたにも被害が及んじゃ気分が悪いぜ。
――じゃあな、名もなきハッカー。あんたが俺の敵にならないことを祈るぜ」
敬礼のようなポーズをすると、その場でこの領域にハッキングを仕掛けた。
すると、格子状の模様が広がる床に穴が現れた。このホールを下りて一気に階層を降るつもりのようだ。
そして、そのまま《銀の鍵》は穴の中へと飛び込んだ。
すぐに穴も消え、後には何も残らなかった――
有澤 零砂
>
「ま、それもそうか。 確かにそうだね、もうちょっと自分を大事にしようかなぁ。」
こちらも、めをそむけて。
「なるほどね、だとすれば邪魔しないようにしなきゃね。
まぁ、ないだろうね。僕は真実を求めたとしても課程でしかないからさ。
まぁ、早々被害を受ける気はないけどね、それじゃ。
まぁ、敵に回ったときはそのときかんがえればいいよ。 また巡り合わせがあれば会おうね。」
そう言って、手を振って見送る。
「しかし、ここまで腕のたつ人が居るとは、やはり楽しみは尽きなさそうだ。 おいで。」
飛び込んで、いなくなり。一人きりになってから、辺りにいたプログラムを招集する。
かなりのかずのそれらのうちひとつを撫でる。
「いいこいいこ、それじゃ、帰ろうか。」
一つ一つがこの場のログを消しながら、自らの領域へ消えていく。
そして彼女もそれと一緒にとけるように消えた。