2020/07/12 のログ
ご案内:「転移荒野」に■■■■さんが現れました。<補足:輝くような金色の髪 血に濡れたような紅い瞳 少女姿>
■■■■ > ドンッッ
■■■■ >
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる
空中で回転しながら皇は考える――
「ふむ……話の通じないやつじゃな?」
あれは、僅か前のこと
いつものように荒野を適当に歩き回っていた時だ
目の前に、なんともいえない生き物が現れた
首が三つ
それは、まあいい
よくあることだ。なんなら、自分だって生やすことも出来なくはない
しかし、色だ
自分のような高貴なる金色、などはそういるわけもないが……
しかし、だ
なんだ、あの色は
七色とか普通無い
しかも、やたらピカピカと点滅する!
ちょっと面白すぎる
だからまあ、ちょっと話しかけたわけだ
その結果が、これだ
■■■■ > ゴンッッ
■■■■ >
一度、地面に激突
そして、跳ねる
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる……
まだ回っている
「世としても、譲歩したのじゃがな。
一体何が不満だったのじゃ、あやつは」
更に思い出す
そう、以前シュウのやつに
――育てている相棒
なるものが人間にもいて、それに手出しをするのは良くない、と言われた。
ゆえに
「きさま、人間の相棒か?」
と問うたわけだが
「ゴゥアアアアアアア!!!!」
返ってきたのは、そんな返事だった
うむ、何を言っているかわからん
シュウめ、翻訳ができておらぬぞ?
ついでにその後、張り飛ばされたわけで
今、こうして空を跳んでいるわけである
■■■■ > ドズッ
■■■■ >
無事、地面に刺さった
これで停止である
ついでに回想タイムもオシマイである
「むぐ……」
頭から刺さっているので、流石にちょっと息苦しい
あと、この格好は自分でもどうかと思う
痛みなぞはないけれど、それは許せない
「むぐぅっ」
ずぼっ
両手に力を入れ、無理矢理に地面から抜け出す
■■■■ >
「さて……話が通じぬのでは、どうしようもないのじゃ」
ふむ、と考える
あれが、此処の人間のぺっと?とやらであれば、またシュウが渋い顔をしそうである
臣下を無碍に扱うような皇ではない
しかし、殴り飛ばされてまで大人しくしているのは皇としての沽券に関わるのも確かだ
さて、どうするか……
もちろん、皇はこんな珍妙な生き物、人間のペットであるはずがない、なんて常識はまるでない
「うむ、そうか!
殺さなければおーるおっけー、じゃな!」
なにもOKではなかった
■■■■ > ゴスッ
■■■■ > しかして
皇がのんきな結論を出している間に、
珍妙な七色三つ首モンスターはすでに背後に忍び寄り……
またも強烈な前足での一撃を繰り出していた
■■■■ >
「……………」
ごろごろごろごろごろごろごろ……
再度転がる
「うーむ、この程度、痛みもないのじゃが……
この姿じゃと、踏ん張りが効かぬのが難点じゃな」
などと、冷静に分析する
転がったままだけど
■■■■ >
思考を切ったところで、体に力を入れる
「……!」
ごろごろごろごろごろ……ズザッッ
回転が止まり……
ホコリまみれの姿でゆっくりと立ち上がる
薄汚れてはいるが、輝くような金色の髪は未だにその輝きを失っては居ない
「さて、と……二発、じゃな?」
立ち上がって……見据える先は三つ首モンスター
剣呑な視線を向ける
「悪いが、じゃ。
流石に皇としては。無礼を看過できぬのじゃ。
よくわからん生き物よ。お返しをさせてもらうのじゃ!」
そこまで叫んだところで……
相手は大きく息を吸っている
これは――
「ほう?
『吐息』を使えるのじゃな? よかろう、ならば『吐息』対決じゃ」
こちらも大きく息を吸う
■■■■ >
ごぁうっっ
三つ首のモンスターから灼熱の炎が吐き出される
ふん、舐めるな
その程度の炎、吐けぬと思ったか
「ぐるぉおお!!」
ぼわっ
……ん?
口から出たのは、火炎、と形容すれば丁度いいくらいの炎
実にいい火加減でお肉はよく焼けそう
ごあっっっ
火炎は灼熱に飲み込まれた
■■■■ >
灼熱の炎が大地を舐める
人間など軽く焼き尽くすであろう、その炎は
しばしの時の間、空間を蹂躙していった
そして
「ぬぐぅ……不覚!
この姿では『吐息』は弱化しているのじゃ……っ!?」
そこには、変わらぬ金色
髪も、肉も、まったくといっていいほど輝きを失わず
欠片も損傷は見えない
平然と立つ少女の姿があった
しかし――
「えぇい、やむなしじゃ。
世の拳にて決着を……」
割と状況は追い込まれている
頼れるものは己が肉体のみ
そう、答えは一つしか無い
ブンッ
そこへ
三度、獣の前足が襲いかかってきた
■■■■ >
「三度も同じ手を食わぬ!
というか、いい加減回転するのは面倒くさいのじゃ!」
割と本音を漏らしつつ……
気を入れる
「ぬ、ぅ……あっ!」
ドズンッ
重い、打撃音が荒野に響く
しかし、今度は回転して跳んでいく愉快な物体はなかった
「まったく……出来るだけ楽をしたかったんじゃが……
まあ、時間短縮にはちょうどよいのじゃ」
打撃とともに吹き上がった土煙の中から、響く声
やや調子が低くなっており……
■■■■ >
「では、いい加減、返すぞ」
ゴスっ
鈍い音とともに、虹色に光って回る三つ首モンスターが宙を舞った。
金色の龍(人間体)の拳が入ったのだ
三つ首モンスターは何かを吐き散らしながら地面に落ちる
「うむ、勝利なのじゃ!」
皇は勝ち誇っていた
いつの間にか身長は伸び
幼女、から少女くらいの見た目に変貌していた
「出力の調整は必要そうじゃな、しかし……
人間の大きさはいまいち分からぬのじゃ」
やれやれ、と溜息をつく
■■■■ >
「……そういえば、アレ、死んでおらぬかな?」
視線の先には
地面に落ちてピクピクしている七色がいた
別に殺してどう、という気持ちは欠片もないのだが
シュウの手前、ちょっと悪い気もする。
まあ、死んでたら死んでたで、その時は自然の摂理
是非もない
「ふむ……なんぞ内臓っぽいものを吐いている気もするが……
息はある。うむ、死んでおらぬとしよう!」
雑な判定であった
元々生き死になんて、そんな慎重に判断したこと無いからしょうがない
「……さて、帰るか」
といってもアテがあるわけでもない。
たまに羽月研究所に押しかけてはいるが……
何しろまずはこの世界を知ることからなのだ。
あと、地理がよくわからない。
人間の大きさは実に不便だ!
「とりあえず、あっち……じゃな」
適当に道を選んで堂々と歩き始める
ところで――
肉は真龍だが、服は人間のものだった
つまりは……
ご案内:「転移荒野」から■■■■さんが去りました。<補足:輝くような金色の髪 血に濡れたような紅い瞳 少女姿>