2022/07/23 のログ
ご案内:「商店街」に北上 芹香さんが現れました。<補足:オレンジ2ラインVネックの常軌を逸した芋ジャージ/スニーカー(乱入歓迎)>
北上 芹香 >  
私、北上芹香は。
今。散歩をしている。

もちろん、ただチェーン店の素うどんを食べるように漫然と歩いているわけじゃない。
夕方、比較的涼しくなった頃合いで犬の散歩をさせるバイト。
そしてボーカルとして声量の維持に必要な体力づくり。
それらを兼ねた一石二鳥の………

「暑い……」

散歩させてるシベリアンハスキー(2歳)のカイトくんが、
アスファルトで足を火傷しないのだから日中に比べれば相当涼しいはず。

でも暑いったら暑い。

カイトくんに水分補給をさせながら自分もミネラルウォーターを飲む。
倒れるな、芹香。熱中症で救急搬送なんてされたらバイトは赤字に転落。

北上 芹香 >  
犬の散歩をさせるだけのバイトって書いてるものの七割は大型犬だ。
そりゃ簡単な用事を金を出してバイトに頼むわけがない。

シベリアンハスキーは好奇心が強く、体力があり、体重もかなりある。
よって………

「よぉぉぉぉしよしよし、カイトくんそっちはダメだよぉぉぉぉ」

商店街の通行人に興味津々で匂いを嗅ぎに行く大型犬を宥める。
こういうのがメイン労力消費となるわけ。

「なぁ、カイトくん……どうしてそんなに元気なの?」

聞いても犬が答えるわけがない。
第一……毎日のバイトと勉学、
さらにバンド活動で疲労が蓄積している私とはわけが違う。

北上 芹香 >  
また人の方向に走り出そうとしたカイトくんのリードを
力いっぱい…まぁ、優しく? 引いた。

「人間が好きだねカイトくん………!」

どうして知らない人の匂いをそんなに嗅ぎたがるのか。
私には理解ができない。
近所の猫は全く私に懐かない。
その辺、私は猫のほうが非常に好感が持てる。

あ、今のフレーズ歌詞にできるかも。
立ち止まってメモを取った。

北上 芹香 >  
立ち止まった私の肩に前足を乗せて伸し掛かってくるカイトくん。
ぐええ。お、重い………!!

引きつった笑顔でおすわり、おすわりと告げて大人しくさせる。
決して躾がなってないわけではない。

ただ、ひたすらに元気で人懐っこい。
それがこちらの体力を際限なく奪う。

北上芹香発電所、供給電力量逼迫警報。息切れです。

北上 芹香 >  
沈む夕暮れ。
落ちてくる藍色が茜と溶けて混ざり合っていく。
コントラストの中央値がきっと夜と夕方の境界線。

涼やかな夏風は飴で、気温と湿度の責め苦は鞭。

でも、この飴が慰めにならないくらい暑い。

座って大人しくしているシベリアンハスキーの喉を撫でる。
犬も猫も知らない人が頭を撫でるのは威圧感を与えて良くない。
らしい。

心地よさそうに目を細めるカイトくんは、
確かに募集文通りの無駄吠えをしない良い子のように見えた。

北上 芹香 >  
そのままカイトくんを立たせて行こう、と小声で告げる。
犬に人間の言葉がわかるわからないじゃない。
私がそうしたいからしているんだ。

カイトくんは笑って(これもまた、犬が笑うかどうかの問題になるけど私は笑うと思う)
私についてきてくれる。

体力づくりができているかはともかく、リフレッシュにはなったのかもしれない。

北上 芹香 >  
そのまま商店街を散歩しながら去っていく。
どうでもいいけど、おしっこした部分を流す水と
カイトくんようの飲水と私のミネラルウォーターで
都合5本以上水をバッグに入れてて非常に重たい。

夕日を眺めると、また頑張ろうという気持ちになって。

ご案内:「商店街」から北上 芹香さんが去りました。<補足:オレンジ2ラインVネックの常軌を逸した芋ジャージ/スニーカー(乱入歓迎)>