2024/06/15 のログ
ご案内:「常世渋谷 常夜街」にテンタクロウさんが現れました。
ご案内:「常世渋谷 常夜街」に先生 手紙さんが現れました。
■テンタクロウ >
夜の常夜街。
薄汚れた街、だが今は。
女連れで歩いているホストの少年。
その前に触腕を使ってビルとビルの間から姿を見せる。
「ハァァ……そこのお二人、少し聞きたいものがあるのだが」
触腕を蠢かせて、二人の前に立ちはだかる。
「それはキミたちの骨が折れる音だ……」
数日前の学生通りの事件は既に広く知られている。
街が恐怖に染まっていく。
■ホストの少年 >
すぐに恐怖に顔が染まるも、同伴の女性に、
「みっちゃん逃げて!!」
と叫ぶとバタフライナイフを取り出して握った。
例えヒグマに棍棒で戦いを挑む行為だとわかっていても。
女性に怪我をさせるホストは三流だ。
■テンタクロウ >
「ハァァ…キミはなかなか勇気がある若者のようだ……」
「ますますキミの骨が折れた時の音を聞きたくなってきた」
彼へマシンアームが伸びる。
■先生 手紙 >
恐怖の波及。その末端に触れた時、間が悪いことに、自販機から樽型の缶コーヒーを取り出すところだった。
「ウソだろ……」
ピッピピピピピピ!
悲鳴が聞こえる。当たりが出たのでもう一本。えェー……
「ウソだろ……」
がこん。同じボタンを押し、缶コーヒーは二つになった。
――先生手紙は、一般に不真面目な学園生徒である。
■先生 手紙 >
――――ドヒュンッ!
■先生 手紙 >
中身入りのスチール缶コーヒーが、弾丸めいた速度……空気抵抗を極限まで減衰された推進力で、逃げ惑う人々の間を抜け、恐怖の発信源……
今まさに、勇敢なホストへと伸びるマシンアームへと飛来する……!
■テンタクロウ >
缶コーヒーは寸分違わずマシンアームに着弾。
攻撃行動は中断された。
「何者だ!?」
コーヒー缶は拉げ、中身を撒き散らしてマシンアームを汚した。
先日の戦いで負傷し、万全ではない。
だがそれを悟られるような戦いはできない。
夜の闇を見渡す。
今、缶コーヒーを投げたのは。
「誰だ! 出てこい!!」
■先生 手紙 >
かしゅっ、とタブを開ける音が喧騒に消える。
缶コーヒーを飲みながら、逃げ惑う人々と逆に……『彼』の元へと歩く、この場に似合いの、ホストみたいなスーツ姿の男……
「……精力的だなァ?骨折り魔。おれ?おれは……」
誰何の声に、応える。
「覚えなくていいよ、風紀じゃない」
「常世学園、学生――留年だ」
煙草を銜え……
――先生手紙が、そこにいた。
■先生 手紙 >
「リョースケくん、ナイスガッツ。ここはおれに任せて、みっちゃんを安心させてくれ」
その言葉にどんな魔力があったのか。ホストの少年は震えを止め、人々と同じ方向に駆け出した。
■テンタクロウ >
「ハァァ……お前は何か勘違いをしている」
「そのつまらない正義感で」
「惨劇の結末を呼び寄せたことをまだ理解していない……」
両手をゆっくりと広げて。
「もう逃げられはしないがな」
近くのピンクカラーのネオン看板をもぎ取る。
そしてそれを、手慰みと言わんばかりに男に投げつける。
破壊の音、響く悲鳴。
■先生 手紙 >
「はあァ?……君こそ何か勘違いをしている」
「正義感なンざ持ち合わせちゃあいないよ、おれは。君が、」
「他人の骨以外を。例えば無駄骨あたりと、折るンだ」
飛来するネオン看板。バチバチと紫電をまき散らしながら突っ込んでくるそれを、最小限の動きで躱し――ながら。
「サンクス」
その火花で銜えた煙草に、火を点す……
「ふーっ……あんまりハデに暴れてくれるなよ、テンタクロウくん。生活安全委員会が最近お冠だぜ?」
――こちらも十全ではない。あちこち痛んじゃいるが、それを悟らせない軽口とムーブで、さらに歩を詰める。
■テンタクロウ >
動きが速い。
一瞬、脳裏に私と同じ身体加速α型類似異能かと思いもしたが。
アレは違う。単純に慣れているんだ。
戦闘に!! 鉄火場に!!
「ハァァ……私は生委に仕事をやっているだけだ」
「次は医者に、だな……」
こいつを捻り潰す!!
細いマシンアームを鞭のようにしならせて三連鞭打!!
痛みに体が強張るようであれば戦いやすくなる!!
■先生 手紙 >
「仕事が無いことを嘆いてるくらいがいいンだよ。おれも。……ッ」
完全に標的にされたか。予定通りだ。器物破損系の二次災害はまァ、ほんと生活委員会にお任せしよう。
情報通り。人力を遥かに超える、機械の触腕。いち、に、三本……三方向――規則的だが不規則。ほんとうに、鞭のようだ。
「『七つ目ダイス』――道は、人の通った後にできるもの」
三方向からの鞭。跳んだらそのまま食らうだろう。横もまァ、幅的にカバーされている。
「……上がってる情報よりヌルいな。そういや、大規模な戦闘があったってハナシ」
だから踏み込む。――唱えられた詠唱。『減衰』の異能は、自身が発し、体を強張らせる恐怖心と緊張を眠らせて、唯一の安全地帯――触腕とテンタクロウの間に、男の歩を進ませる。一歩、二歩、三歩目は――
■先生 手紙 >
――どんッッ!(震脚)
■テンタクロウ >
加速する紐状の物体。
多くは肉を削ぎ、骨まで響く威力があるとする。
先端の暴威から逃れ、安全とする場所を求めよ。
───正解は鞭を放つ者の内側。
だがそこはこのテンタクロウの零距離。
そこに潜り込むとは。
パルスフィールドを伴ってなお、衝撃が体を揺らす。
先程の負傷だけでない痛みが全身を貫く。
後方に弾かれ、うめき声を無理やり飲み下した。
「ふぅぅ………」
「カンフー使いか何かかね? よくもここまで」
「ではこうしよう」
看板やビルに触腕をかけて上方に向かった。
その高さ、3メートル。
「どうした? まだ近接格闘を続けるかね? それともそこから拳銃でも撃つか」
「無駄だ、これが私とキミの間にある埋まらないアドバンテージだ」
上方でメインアームの先端が煌めく。
太い触腕から伝播ソリトン砲が撃たれた。
破壊の光弾は二発、男に向かって迫る!!
■先生 手紙 >
「づっ……!」
徹った。正しく撃てば痛まないがめっちゃ痛い。なんかこう、科学の粋で守護ったなコイツ――!
これが電磁パルスフィールド。なるほど攻防一体だ。異能を使うまでもなく、もう一度撃ち込む気が萎える。ヤだなァ……って。
「――ッくそ、」上――!多腕のアドバンテージ。ただでさえこっちに不利な状況なのに、えっと、その、何?
「ビームを――」
二方向から迫る光弾。弾くような異能は持ち合わせがない。それに耐えうる身体能力も。視界に入れる。
「……神は胡桃を与えてくださる。けれどもそれを、割ってはくれない」
嘆きの声。着弾。
■先生 手紙 >
ガァン――ッッ
■先生 手紙 >
直撃である。煙が濛々と立ち込めた。
■先生 手紙 >
「撃つなや――!」
そのうえで耐え抜き、壁を蹴る。近接格闘を続けるつもりか?
そうとも。一撃目で、まだ確信が取れていない――!
一回転かかと落としをお見舞い申し上げます。
■テンタクロウ >
「ハァァ……」
煙が立ち込める、周囲の悲鳴が一際大きくなる。
風紀が駆けつけるのも時間の問題か。
「!!」
壁を蹴って上がってくる!!
燃える月の女サムライと同じだ、
こいつらには多くの場合高さの概念が通用しない!!
胴回し回転蹴り。
それをカカトから当てる、古流武術で金鞭とも呼ばれる技ッ!!
異能を発動、紙一重でカカト落としが頭部に直撃するのを避けて。
「ぐうッ」
鎖骨辺りにヒットする。
複合装甲とパルスフィールドがなければ間違いなく骨折だったぞ!!
「うおおぉ!!」
空中で両の手を使い、相手を掴みにかかる。
掴んだ瞬間、地面に加速して叩きつけてくれる!!
■先生 手紙 >
ああくそ。これ三張羅だったのに。(あと二着スーツはある模様)
「…――!?」
当てるつもりだったが回避られた。鎖骨、これ触腕に関係ない場所だから、装甲を抜けていない。いや――この手ごたえ――!
「げ」
(空中、本体の両腕――!こっちは空中機動などできない。この場で対処せよ。何がある?煙草はさっきの跳躍で口から外れた。そもそも役に立ちませんね?
脚。ここで軌道を変えたら『身体傀儡化』系統の能力じゃん。無理。なら腕。パワー勝負?ヤだよどう考えても向こうの出力上じゃん!)ここまで0.02秒。
壁に掛けた手が、テナントビルの窓枠を掴み、もぎ取り――
「勢ェ、のォ……ッッ!」
渾身の力で、テンタクロウの上から被せる――!即席の手錠、もとい胴に窓枠――ッッ両腕を封じにかかる!
■テンタクロウ >
掴みかかる手は隔たれる。
窓枠にしがらむ腕は封じられた。
「くそッ!!」
近接では手も足も出ないか。
元より足は動かせないが───!!
触腕を使って零距離での攻防をしながら
非常階段を伝って上へ、上へと上がっていく。
雑居ビルの屋上に両者は着地した。
「お前は厄介な男だ」
どう足掻いても距離は詰められ、CQBで削られていく。
先の戦いの負傷に響き、新たなる打撲傷に全身が痛む。
「人間、鍛錬次第で如何様にも動けるものらしい」
それがこのテンタクロウの三次元戦闘であっても、だ。
奴は回避しきってまた喰らいついてくるだろう。
■先生 手紙 >
「……動かないンだろ、その下半身」
二度の打撃。徹した気、で本体の組成を暴く。
ビルの屋上。落とされていたら――完全に取り逃がしていた。
「……まァね。如何様も使ってるけど」
煙草を銜え、火を点ける。
「ふーっ……そもそも、怪人テンタクロウの拿捕は、おれの受け持ちじゃあ、ないンだが」
紫煙。破れたスーツ。ちぎれかけのネクタイを緩めながら。
■先生 手紙 > ……煙草に、血の味が滲んでいる。そう悠長に構えてもいられない、か。だが、余裕を見せる。――余裕に、魅せている。
■テンタクロウ >
「そうだと言ったらどうする?」
「街にいる足が動かない者全員から取り調べをするかね」
「無駄だ、無意味だ、無価値で、それ以上に徒労だ」
バレたか。
捜査の手が回る。
橘壱は他人に興味がない男だった。
ゆえに看破されても奴は次の私との闘争のために動くと踏んでいた。
だが、今回の相手は違う。
テンタクロウは終わる。
私は……僕は。藤井輝は終わりだ。
だがそれまで思うがまま邪悪であるのが。
僕の憎悪だ。僕だけの道だ。
「戦いを続けよう、来たまえ」
「遊んでやろう」
■先生 手紙 >
「――莫ァ迦。そういう時はシラを切ってりゃいいンだよ。おれみたいなひねくれ者には通ることもある」
煙草を捨てる。ついでに、ベッと血反吐を吐いた。
「そうだな。君の趣味じゃあないが、骨が折れる仕事だよ。多くが徒労に終わり――それでも、怪人の仮面を剥ぐためのカギになる。そういう、損な役回りなもンでねェ」
ぱきり、と親指で人差し指の骨を鳴らした。
「…………おれとしては、この情報を持って帰って、それこそ人海戦術で君の正体を暴いちまう為に尻尾巻いて逃げるのが得策なンだ」
だが。
――タン。タン。タン。軽い跳躍、三回。緊張する身体を、リズムを以て弛緩させる。
「怪人がそう言うなら、口封じに付き合ってやるよ」
■先生 手紙 >
「公安委員会『単独捜査本部』、先生手紙」
「――推して参る」
名乗った。
■テンタクロウ >
「推して参る?」
「武人の戦いに付き合うと思っているのかね」
イオン臭が漂う。
その体が浮き上がる。
上空に加速し、マイクから出力される変声機のボリュームを上げる。
「ゲームオーバー」
下部メインアームから火炎放射を放つ。
その轟炎は雑居ビルの屋上を薙ぎ払って余りある威力があるだろう。
■先生 手紙 >
――根底に素直さが見える。この期に及んで、『彼』の人間性を更に、暴こうとしている。分厚い装甲。蠢く触腕。その内に渦巻く、凶行への動機――!
「……ふ、っは」
笑っちまう。ヒトひとりをどうこうするには過剰な暴力だ。なのに使う。名乗った甲斐もあるものだ。これほどまでに。
上空から吹き付ける炎はどうしようもない。此処はビルの屋上。燃え上がったところで全焼とはいくまい。
――駆け抜ける。目標到達地点はただひとつ。
ばきっ。かちゃり。ばたん。
いっそ清々しいほどの全力逃避。屋上のドアのカギを蹴り開け、ドアを開いて閉じる――!
■テンタクロウ >
口封じに抹殺できなかった。
風紀も公安も無能ではない。
せいぜい、後ろに手が回るまであと一週間と言ったところだろう。
では、それまでに僕は悪を重ねて見せる。
最後までやり遂げることが重要なのではない。
自分がどうあるかが問われるのだ。
そうだろう、レイチェル・ラムレイ────
音もなく旋回すると、サイレンの音を遠く聞きながら夜空へと飛翔していった。
ご案内:「常世渋谷 常夜街」からテンタクロウさんが去りました。
■先生 手紙 >
エレベーターは静かに下降する。これだけの騒ぎだ。途中階で止まることもないだろう。
「……こちらセンジョー。『特対生』と遭遇。は? 何言ってンの。制圧できたらしてるっつーの。先日の風紀委員との戦闘結果と照らし合わせていい。骨折りはヤツの生き甲斐みたいなもンだ。単純にヒトを殺せるだけの武装を搭載しているよ。それと……あァ悪ィ。ビルから出る」
■先生 手紙 >
――おそらく、もう出遭うことは無い。獣を襲う狩人は、この夜を境に狩られる側になるのだろうから。
「……はァ、しんど」
雑居ビルから出るまでに、随分と時間を要した。具体的には1Fに着いて開いたドアがもう一度開いて閉まるくらい。
ご案内:「常世渋谷 常夜街」から先生 手紙さんが去りました。