2015/06/16 - 00:50~03:53 のログ
ご案内:「◆速度Free(違法描写注意)1」に秋尾 鬨堂さんが現れました。<補足:悪魔のLと呼ばれたマシンを操るドライバー。踏んでいける男>
ご案内:「◆速度Free(違法描写注意)1」にローザヴィ・クロン・天塚さんが現れました。
ご案内:「◆速度Free(違法描写注意)1」からローザヴィ・クロン・天塚さんが去りました。
ご案内:「◆速度Free(違法描写注意)1」にローザヴィ・クロン・天塚さんが現れました。<補足:ひゃー>
秋尾 鬨堂 > 神杜峠下り線。まだまだ、祭客で道は空いているとは言いがたい。
「少しだけ、飛ばすから」
アクセルが踏み抜かれる。
ゼロヨンでもやっているのかという急加速で、今夜、公道に踊り出る―マシン!!

《悪魔のL》と呼ばれたミッドナイトブルーのクルマが、明らかにダウンヒルによる錯覚以上にすっ飛ばしていく。
ヘアピンカーブを、一般車をスレスレで追い抜きかわし、
今日のメインステージ―湾岸線―へと踏んでいく。

ご案内:「◆速度Free(違法描写注意)1」に岡部 吹雪さんが現れました。<補足:まだら髪の教師。漆黒のライダースーツ。ガンメタルカラーのオートバイ>
ローザヴィ・クロン・天塚 > 「ひゃぁああああ?!少しだけ?!これがー?!」
ローザヴィ・クロン・天塚 >

加速でシートに体を押し付けられながら叫ぶ。
こんなにすぴーどだしてどうするのとかいろいろ聞きたいのにしたをかみそう。
時折する浮遊感に耳が痛くなるような叫び声をあげるくらいしかできない。

岡部 吹雪 > 湾岸線への合流口。
Lの車体が稲妻めいた軌道を見せる中、助手席で戸惑う天塚には見えただろうか。
周囲の車が高速に背景へとすっ飛んでいく中、一台の大型二輪が忍び寄る。
ガンメタルカラーの影はじわりじわりと後方へと忍び寄り、這い寄る姿は悪霊のそれか。
暗いバイザーの向こうには、不敵な笑みが浮かぶ。

秋尾 鬨堂 > 「峠だからネ」

ガチガチの湾岸最高速セッティングである《悪魔のL》は、
サス重視の峠用チューニングからは程遠い。
200km/hも出せない状況、そして曲がりくねり高低差のある道。一般車を避けるだけで、集中力は削られる。

そう。こんな道では、小回りの効くマシンのほうが有利。

小型車。もちろんエンジンは強力で無くてはならないし、出来れば軽いほうが良い。
しかし、重量と小回り、馬力のバランスで言えば―

「―こういう、ヤツが一番怖い!」
一目見て感じ取れる。
この世界で、走り続けていれば。
ホンモノが向こうから来てくれる時には、一発で。

湾岸線合流口、つまりあえて自分に最も有利な峠路を「見逃して」待ち構えていたということだ。
何たる自信。
そして、不遜を虚栄にしないだけの雰囲気。
こいつは、《踏んでくる》

死角に隠れ、刺す機会を伺っている―!
振りきれるか?
振るしかあるまい。

牽制の、スライドテールがやや膨らみ気味にカーブを攻める。

ローザヴィ・クロン・天塚 > 「峠だから? ひぁっ うひゃっ! …それってりゆうにな…ひゃー!!?!」

カーブで窓に頭をぶつけながら必死の突っ込み。
小さな体でシートのしがみつくと後ろが見えた。
テールライトに照らされて見えるのはやっぱり見慣れない……今度はバイク。
あれにおい抜かれないようにはしっているようだった。

車とバイクってどっちが早いんだっけ?近づいてくるように見えるそれを目を凝らして見つめる。

「な、なんかうしろからくるよ!ひゃー!!!」

岡部 吹雪 > ―――最初は何気ない一言だった。
「岡部サン、"悪魔のL"って知ってる?」
常世財団が誇るメカニックチームにて、修理された愛車を受け取ったときのことだった。

「噂程度にはな。」
その程度のはずだった。
あくまで存在するはずのない、スピードに魅入られた愚者達の与太話。
実在しないキャラクター。

「川添クン、そいつに負けたらしいヨ。」
「冗談だろ?」

嘘じゃない。
映像にも記録されている。
何より、川添も口にした。
「アイツは速過ぎる……。」

どんな美女の囁きよりも甘美な響き。
男の心はガソリンと同じだ。
一度火が入れば―――。


「俺のがはええんだよッ!」
爆発的な加速力はバックミラー越しに秋尾を刺す!
貨物トラックのサイドを舐めるように、モンスターマシンがNS-Lの脇へと躍り出た!

秋尾 鬨堂 > 小さな同乗者の反応は、この速度域では三テンポほど遅い。
しかし、優しく労る運転は、とても不可能だろう。
「ああ、わかってる!ドアの取っ手に掴まっておきナ!」

軽くカーブの入り抜きを躱されて、間のラインを埋めたはずのトラックをすり抜けて、気がつけばもう並ばれている!

「意地の張りどころ、ってートコ、かな…」
シフトチェンジは正確に。
路面に粘りつくようなトルクから、真っ直ぐ加速する、高回転域へと――


変えられ、無い!

再び、眼前に壁のように迫る別のトラック。
一瞬の間に此処はもう湾岸高速エリアの入口。
直線が増えるかわりに、物流の貨物車も増える場所。

そこまで並走していても、左右に散ることのできる速度が違う。
増して、踏んだまま維持した岡部と、踏み切る前に刺された秋尾では!

「マシンとの一体感…それが違うって、いうのか?!」
後塵を拝す、奴は何処へ行った?トラックを避けた先、もう一度合流するはず。

ローザヴィ・クロン・天塚 > 「おおおとなとはからだのつくりがちがうのよ!!」

両手を後ろに回してシートをつかんで体を必死に固定する
送るって言ってたけど地獄へかな?みたいな気持ちで。
青年の横顔を見るとなんだか楽しそうに見える。
こどもがかけっこして遊んでるものだろうか。

追いついてきたバイクの操縦者も、
ヘルメットで顔は見えないけど同じような表情をしてそうだなと思った。

おとなのかけっこ。

やっと速度に慣れてきた頭でそんなことを考えていたら――――――
――――――トラックを避けるために急激に横へ動いて――――――

また耳をふさぎたくなるような悲鳴。
おとなのかけっことはかくもはーどなものなのか。

岡部 吹雪 > 「何だよあれ……何だよあれ!!」
"湾岸沿いを流していただけ"のドライバーたちが、次々とその影を見送った。
この先は地獄の連続ヘアピンカーブ。"通称 大蛇の顎(オロチのアギト)"である。

「ああやって若い奴ほどノせられちまうんだ。」
「あんな速度……曲がりきれるはずがない……ッ!」

どれだけのスピードジャンキー達の命を奪っていったのか。
方々には誰向けともわからぬ花束が風に踊っている。
死者はこの光景を見て安堵するのだろうか。
ブレーキランプが次々に点灯し、急速に流れが緩む―――。


―――ただ二台を除いては!

危険地帯への入り口に、鼻先先手を取ったのは岡部の陽炎!
それはコーナリングとは最早呼べぬほど、強引に車体を傾けてコーナーへ捻じ込み続ける!
レッグガードがアスファルトを削り取り火花を散らす!
まるで季節外れの線香花火のように、漆黒のアスファルトに色を添えた。

「へへ……頭ァ抑えたぜ。」

ヘルメット越しにも轟く四輪の鼓動。
刹那の油断が容易く命をも散らす。
まるで剣士が交わす鍔迫り合いめいて、両者の意識は極限の域へ―――!

秋尾 鬨堂 > この湾岸エリアで、かつてこれ程に速い二輪が居たか?
やや早い時間帯が、巡りあわせたのか。
それとも、今日この場に突然現れたのか。

公道の世界とはそういうものだ。
昨日まで宝石のように輝いていたマシンが、
何よりも速かった機械が。
新たな伝説とともに色褪せていく。

《悪魔のL》。
そう、《悪魔のL》とて、例外ではない。
伝説は、新たな伝説に塗り替えられ―消え行くもの。

「そんなのは――イヤだね!」
横目にはしゃぐ少女を見れば、この悪魔を駆る男の心はまた点火する。

『あの大蛇に呑まれて消えたはずなんだよ』
『いいや、バレットバードに刺されてオチたんだ』
『…なんでもない下道で事故ったっていうぜ』

時空を超えて聞こえてくるノイズ。言わせておけ。

今、お前は――ここに、生きている!!

湾岸セッティングのはずだ。
ドリフトワークには到底向かない、車体を重力以上の何かで抑えつけ、
ロスを最小限にアウトインアウト。

基本に忠実に、しかし悪魔的な精度で。
ヘッドライトが迫る。

それは、公道に潜む魔物が。
幾多の魂を喰らい、地に縛り付けられた魔物が、
L30A改ツインターボエンジンの叫びを上げて、陽炎の脚を掴もうと、這い寄る幻視を見せて。

《悪魔のL》―――!!!

ローザヴィ・クロン・天塚 > 一瞬で見えなくなっていく人間が皆同じ顔をしてる。
驚いてる。そりゃあこんだけ早いんだもの。
でも、どうしてぶつからないのかしら、とても早くて左右にも動くのに。
自分が頭をぶつけたのは数えるほどで。

窓はすべて閉まっているのに風になっているみたい。
夜だからライトが綺麗。道に規則正しく並んだ明かりも。

流れるように走っているのにサイドミラーに見えるバイクのライトは離れる様子すらなく。
まるで悪い夢を見ているときに追いかけてくるおばけみたい。

「…が、がんばって……っ!!」

つい口から出た言葉。応援しようにもまだこの人の名前も聞いていないことに気がついた。

「わ、わた……きゃーーーーーーー!!!!」

自分から名乗ろうにもやっぱりそれは悲鳴で消えてしまう。
綺麗でも、風みたいでも、怖いのだ。

こんなものを楽しむおとなはきっと
悪魔に違いない。

岡部 吹雪 > ぞわりと沸き立つ感触が。
濡れた指先が首筋を伝うような錯覚が。
後方なんて見えやしない。
しかしそれは来た、と。言い得ぬ何かが告げていた。

「一番はてめェじゃねェェェ!!!」

陽炎が追い抜かれようとしたその矢先、再度のカーブで異変が起きる!
異物が弾かれガードレールへと突き刺さった!
岡部の足を守護していたレッグガードか!
止め具の耐久値を大きく越えた結果、ベルトだけが風に吹かれて尾を引いている!

「なあおい……後ろ見てみろよ!」
「そんな……はっ はええ!!」

コーナーが絡むたびに前方車両を過去にしながらも、互いにその差は譲らない!
毒牙を振り切り抜けた先、街へと至るロングストレート―――。

300m、200m―――100m。
チェッカーフラッグの代わりを務めるのは、見慣れた街への入り口標識。

「……ッッ!!」
咆哮さえも掻き消す風の中、二筋の光芒が軌跡を描いた。

ローザヴィ・クロン・天塚 >
秋尾 鬨堂 > 伝わる。その叫びは、遥か後方に置き去りにされようと。

「そうだ…一番は、お前じゃない」
同じだから。
ココに、同じ思いで踏みこんで来ているから。
200km/hオーバーのスラロームで、二輪と四輪が互いに化け物じみた軌道で交錯を繰り返す。

レースではない。
こんなものがレースであるはずがない。

大蛇の顎をズタズタに引き裂く、悪魔と悪魔のドッグ・ファイト!

「「先行依然陽炎、幾つかのライダーズ・パーツを飛ばしながらも走行に支障なし!」」
風紀交通担当官・『百目』が叫ぶ。
この湾岸高速交通法規の基本は現行犯。
異能に頼ったその視覚に、証拠能力はない。今からの出動は間に合わないのだ。
「「遅れ…いや、刺し…いや、抑えられた!後方、《悪魔のL》!!ブーストタレなし、推定9000回転!!」」
ゆえに、この実況は伝説にすぎない。
伝説の1ページに。
百目は、だからこの仕事がやめられないのだ。

「「最終直線!!両車すっ飛ばしてる、全開アクセルだッッッッ」」

「踏み切れッッッ!!!!」
応援は、届いたのか?



黒く焦げたゴムが冷めない。
公道に刻まれた轍が、タイヤからは続いている。
先ほどまでの喧騒は嘘のよう。静かに、路肩に停めて深く腰掛ける。

少女に「どうしたの?」と聞かれれば、こう答えたろう。
「ああ…浸ってるんだ。」
と。


結局のところ、この勝負の勝敗は定かではない。
まず公道でのバトルルールはとても曖昧なものという前提は置いても、
その当事者同士にしか見えない速度領域での決着。

ヒャクメには、どちらが速かったか判断することは出来なかった。

たまたま居合わせた観客たちは、やれ陽炎がチギッただの悪魔のLが空を飛んだだの、言い放題。
変わったところでは、悪魔に攫われた少女を騎士が助けに向かったのだ、なんてストーリーが付与されたりもした。

だから、最終的には。
またこの湾岸に伝説がひとつ―魔のツイストチェイスストレートという伝説が加わった、というのが、事実として残るのみだった。

ご案内:「◆速度Free(違法描写注意)1」から岡部 吹雪さんが去りました。<補足:まだら髪の教師。漆黒のライダースーツ。ガンメタルカラーのオートバイ>
ローザヴィ・クロン・天塚 > ふらふらと車から降りる。

ちょっと気を失っていたのだろうか。気がつけば車は止まっていた。

風が気持ちいい。さっきまで台風の目の中にいたようだったのが嘘みたい。
ずっと眠っていて、うなされてたんだって言われたら信じてしまいそうだった。

けれど夢ではない。道にしっかりと夢のあとが残っている。
騒がしい人たちがこっちをみているし。

何を考えているんだろう。開け放ったドアの向こう、遠くを見ている青年を見つめた。
この賑やかな声が聞こえていないんだろうか。

どっちが勝ったの?と聞くのも無粋な気がする。
かっこよかったとか言うほど、自分はこの勝負を理解できていないだろう。

「……やっぱり、あなたの方が悪魔のようなきがするわ」
「バイクにのってたあのひとも」


「ねえ、悪魔さんのなまえはなんていうの」

秋尾 鬨堂 > 「…アキオ。秋尾 鬨堂だヨ。」
「あの、世界に――悪魔に魅入られた男、サ」

そういえば、送る約束だったことを今更ながら思い出して。
もう一度、乗りなヨと手招きをする。

ローザヴィ・クロン・天塚 > 「わたしローザヴィ!苗字は天塚!よろしくね、アキオ」

誘われるままに車に乗って、助手席で大きく息を吐いた。

「なんだかまだ胸がどきどきしてる…」
「ちょっとだけ、あなたたちがこのあそびに夢中になるの、わかったきがするわ」

恥ずかしそうに笑って、自分の住んでるところを説明する。
落第街の、安くてぼろいアパートだ。

……説明しながらうとうと。緊張の糸が切れたみたいに。
そうして夢心地の中、風になっていたのを思い出すのだった。

ご案内:「◆速度Free(違法描写注意)1」からローザヴィ・クロン・天塚さんが去りました。<補足:ひゃー>
秋尾 鬨堂 > 「おや、ローザも踏んでみる?」
と、問いかけようとすれば、
もう彼女は微睡んでいる。

…同じ目をした男と出会えた夜。
そして、あの世界を垣間見た少女を送った夜。

悪魔のLも、今だけは揺り籠となって。
夜をゆく――。

ご案内:「◆速度Free(違法描写注意)1」から秋尾 鬨堂さんが去りました。<補足:悪魔のLと呼ばれたマシンを操るドライバー。踏んでいける男>