2024/12/22 のログ
ご案内:「異邦人街」にヴィシアスさんが現れました。
ご案内:「異邦人街」にセロさんが現れました。
■セロ >
夕方。
異邦人街を漫ろ往く。
雑多な街並みだけれど、どこか元いた世界を感じさせるような。
そうでもないような。
ここでもみんなクツという革やクツシタという布で足を飾っているのだから違和感はある。
みんな扇情的だよ……
視線を極力、下に向けないように歩く。
人とぶつからないように。
鎌は人に向けないように。
■ヴィシアス > 夕焼けを背に歩く、巨漢の悪魔。
雑踏に紛れて歩む、その、先には――
新鋭焼肉店の風景。
今日の目指す先だった。
遠くへ視線をやる間には、色んな人が居るものだ。自分が言うのもなんだが……
獣人に悪魔に天使に鎌――鎌?
「……おおう、でか……」
少女?らしい子がそれを持っているのもあって、
サイズ感の違いが余計に大きさを感じさせてくれる。
ロマンがある。小さな子に大きな武器ってのは良いものだと聞いたのだ…
■セロ >
視線を遮るような長身が目に入った。
いや……本当大きい…
「……おおう、でか……」
思わずハモってしまった。
えっ私なんか大きい部分あった?
二本の角、血を思わせる鮮やかな紅の瞳。
屈強そうな体躯に好奇心を表現するかのような口元。
「……チィーッス?」
この前覚えた、男性向けの挨拶をしてみた。
■ヴィシアス > 「……?ちぃーっす……?ああ、うむ。」
妙な挨拶だが、確かにそういう挨拶はある。
とりあえず、疑問符を付けて返してみる。
貴女に向けられるは…赤黒い、一目見て人外だと理解出来よう異形の眼差し。
そして、兎角大きなからだである。
さらに言えば紅いオーラを放つ鋼鐵色のツノは、
この男が悪魔であることを示そう。
それは丁度貴女の鎌と翼が貴女を死神であると示すと同じように。
「ええと、――で、でかいな。どうしたんだい、それ。いやまあ、気になっただけだ。」
とりあえず、素直になんで声かけたかは鎌をチラ見して白状しておこう。
■セロ >
角の生えた男性は戸惑っている。
この挨拶、思ったより汎用性がないな。
ひょっとしたら目下の男性に向けた挨拶だったりするのだろうか?
だとしたらいきなり失礼だったような…?
「あっでかいって大鎌のことですか!?」
そっか、確かに私の持っているもののなかでは一番大きなものかもしれない。
「心臓を貫かれてから鎌を振る愚か者はいません」
「常在戦場の心持ちあらば死神たるもの、常に武器は持ち歩くものです」
立ち止まっていると一層周囲の視線が集まる。
うう、いづらい!!
「とはいえ……この島ではエグゼクターを持っている存在は珍しいようですね…」
■ヴィシアス > 「エグゼクター――それがその鎌の名、か。」
「ふむ、そうか――常在戦場……この場では少々違うような気がするのだが……」
きょろきょろ、周りを見回す。
死神と悪魔。
そりゃあ注目されるよな!
「ああ、君、死神なのか。」
「私は悪魔だ。契約と癒しの悪魔――名をヴィシアスという。」
名乗られた気がしたので、軽く名乗り返すかのように。
ついでにちょっと場所変えようかって視線から外れるように緩く歩き始めた。
「……悪魔だからと、契約書を常に持ち歩いている者もおらんが…」
「ふむしかし。」
「確かに死神とは往々にして、そういった鎌を手にしているものではありそうだ――だが、実際に死神を見るのは、初めてだ。」
■セロ >
「はい、今は本調子ではありませんが……」
「こう……何かとすごい鎌です…」
説明できる部分が少なくてふわっとした会話をしてしまった。
指でツンツンと刃の部分に触れてみる。
全然切れる様子がない。それはそうだ、理力を通していないのだから。
結局、使っていなければスフォレール・キンドもサキオウクウェル……
おっと、今は会話会話。
「ヴィシアスさんですね、私はモルテの死神セロです、よろしくお願いします」
「私も本物の悪魔を見たのは初めてですが……」
伝承上の存在じゃなかったんだ。
すごいな常世島。
「それにしても……」
視線を足元に向けて赤くなる。
この人も足をエッチな感じに飾ってるよお!!
■ヴィシアス > 「なんかこうすごいパワーがあるんだな。分かるぞ。私のツノからもなんかこうすごいパワーが出ているからな。クックック…」
「――ああ、よろしく、セロ。」
「ふむ…悪魔とは物語に語られるだけの存在が多く、また実在していてもコソコソ隠れる輩も少なくない。」
「存在を知られぬために、関わった者の記憶を奪い去る者もいるという。」
「もっとも…そうしたやつらは往々にして下等な悪魔だがね…」
悪魔があまり見かけられず、伝承上の存在となりがちな理由を、悪魔なりに呟く。
聞かれてもないだろうけれど――もし仮に、心当たりがあったなら、悪魔に騙されている者に救済することも、出来るのだから。
「……?どうした?」
ヴィシアスは制服に革靴を履いている。
なんでそんな見られてるのかよくわからん……どうした……??
よくわからん……なんで顔を赤らめているんだ…????
「――私の…足が、何か…??」
■セロ >
「確かにオーラが出ていますね」
「まるで伝説のバイコーン、アンキースのようです」
……バイコーンってこの世界だと人に言っていい言葉なんだろうか。
ちょっと言ってから不安になってきた。
「そういうのは下等な悪魔……つまり」
「ヴィシアスさんは上等な悪魔……?」
なんかズレてる気がしないでもない。
下等の対義語ってこの世界の言語だとなんて言うんだろう。
「い、いや……」
「その、言ったらなんなんですが…」
「この世界の人ってみんな足を何かで隠してますよね?」
「それってえっちには感じないんですか…?」
自分の裸足を指して。
■ヴィシアス > 「ああその……褒めてるのかソレ?」
比喩が絶妙にわからない。分からないが――私が求めていた、異種族とのかかわりらしくてなんだかおもしろくなってきた。
追及してみよう。
「自分で言うとあれだが、一応――魔王をやっていた時代もある。上等或いは高等な悪魔…」
「……いや。高等を自称して散っていた愚かな脳味噌植物を思い出す…んんっ、なんでもない。」
「兎に角、下等な悪魔の甘言には気を付けてくれたまえ。もっとも、死神を脅かす愚か者がいるとは思えんがね…」
ふい、と目を翼と鎌に向ける。
「ん?あぁ…!!」
「なるほどな!!」
「そういうことか、なるほど、なるほど。」
全く文化が違えば考え方も全く違うらしい。
なにが"えっち"か、も。
「そうか、脚を隠すのはえっちだという考えがあるのだな。」
「この世界には――確か逆に"素足を見られることは恥ずかしい"と考える文化を持つ民族も居たそうだ。」
「私は少なくとも感じないし、多くの者は、えっちに感じる事もないらしい。」
「しかしそう考えると…君の世界ははだしで生活できるほどに路上が整っているのか?」
■セロ >
「褒めてます、完全に」
自信満々。
「魔王……!? それはすごいことなのでは……!!」
「魔王って……私の世界では200年に一度しか現れません…」
「はい、悪魔のカンゲンには気をつけます!」
よくわかってないけど、要するに騙されるなと言っているのだろう。
大丈夫。私は大丈夫。だって大丈夫だから。大丈夫。
彼の説明に衝撃を受けた。
素足のほうが恥ずかしい……!?
そして足を布で覆うのはえっちなことではない……!?
「モクトカルチャー……」
文化が違う、という意味の感嘆の言葉を口にして。
「ああいえ、足が汚れたり傷ついたりしないように足を理力で覆っているんですよ」
「尖ったものを踏んでも怪我しませんし、ほんの少しだけ浮いてます」
そ、それより……私はえっちとえっちじゃないが逆の世界に来てしまっている…
モ、モクトカルチャー!!
■ヴィシアス > 「うむ――魔王とは。その世界によって定義も様々で、種族そのものを言う場合もあれば、役職を言う場合もあり。」
「私の場合は魔王は役職で、前任者が死んだら引き継がれるモノだったから、200年に一度という決まりはないが、逆に200年たっても新しい者にならぬこともあるだろうな……」
「死神なのに素直だ…いいね。だが、もし何かあれば言うが良い。クックック…」
何かちょっと怪しい反応だなコレ。とりあえず、補足だけしとこ。
「もくとかるちゃー…???カルチャーショックのことか…?」
聞きなれない言葉ばかりだが、なんとなく言いたいことはわかる。
浮いているって…それって○○エモンだな…。
それでも常識が圧倒的に違う。
いや。
元は私もこうだったか?
――あっ
そうか。
「そうかそうか。そうか――わかった。」
「君はどうやらこの世界に不慣れのようだ。来て日が浅いからこそ、目新しいのだろう」
「丁度いい――見てくれ。」
異邦人外の街並みを歩く"人々"に目を向ける。
「この世界には、4本の脚で歩く者も、尻尾が映えている者も、実体を持たぬ者も、顔を複数持つ者もいる。」
「君と同じ常識を私は持たぬが――面白い事に、同じ常識を持たぬ者同士で構成された街故に、」
「この島に慣れぬなら、ここをまずは、歩いて回ると良いかも知れぬ。」
「鎌を持っていても、ほら――妙な目では見られても、排斥はされなかっただろう?」
余計なお世話を、焼いてしまったようだが…
折角の機会なので、ここなら安心して異文化交流も出来ることは伝えておこうという事で…
■セロ >
役職で魔王。200年以上先の魔王。
すごいスケールの話だ。
あっそういえば生活委員会の人にこれさえ使いこなせば
ニホンゴが爆発的に上手くなれるっていう言葉を教えてもらったんだった。
「ヤバいですね」
ヤバい。
とりあえず使っておけば意味が通るレベルの言葉のようだ。
神妙な顔つきでその言葉を使っておいた。
「それですそう、カルチャーショックです」
相変わらず共通交易語じゃないのに頭の中に意味が伝わるのは不可解な現象だ。
続く言葉に、周囲を見渡した。
盾鱗がある人。
美人さんで頭が二つある人。
半透明でふわふわ浮いている人。
一見、よく見る人間種だけどカニを散歩させている人。
確かに、異邦人街は色んな存在がいるように思えた。
(60cmくらいのカニはリードでつながってても普通に怖いけど)
「いいかも知れませんね、異邦人街」
「ヤバいですよ」
微笑んでその言葉を(また)使った。
■ヴィシアス > 「おおう、でかいな…」
カニが…カニが歩いている…。60cmのカニ。水族館ではもっとでかいのがいたような気がするが、
街中で歩いていると十分すぎるほどでかい。
「ヤバいなあれ。」
便乗するように呟いた。
※ヤバい 意味
―――――――――――――――――――
危ない:
例:「あの建物、崩れそうでヤバいよ。」
すごい:
例:「あのコンサート、マジでヤバかった!」
困った:
例:「もうお金がなくてヤバい。」
緊迫している:
例:「試験の結果が出る前のこの時間、ヤバい。」
急ぎ:
例:「今すぐ出発しないと、時間がヤバい。」
素晴らしい:
例:「あの映画、ほんとにヤバかった!」
―――――――――――――――――――
「ああ、そうだな…ヤバいな。異邦人街。」
私達は雰囲気で会話しているのではないだろうか。
ヤバいと言っておけば大体なんでも伝わる気がしてきてしまった。
「さて、私は料理の研究の為に、焼肉食べに行こうと思っていたのだが…」
「折角だし何かの縁だ。牛肉が嫌いでなければ君も来るかね――中々ヤバいぞ。」
※美味いの意味。
■セロ >
「でかいですね……人に慣れてるのかも知れませんが…」
仮に人に慣れていてもあのサイズの甲殻類は怖い。
そして散歩が必要な事実も怖い。
(犬くらいの知性を持っていそうで)
「いやぁいくらなんでもヤバいです」
意味が通じている!!
すごい、魔法みたいな言葉だ!!
一気にこの世界の言語が上手くなった気すらしている!!
「牛肉……? よくわかりませんがお肉は好きです」
「ご一緒しますよ、ヴィシアスさん」
この後、初めての焼肉屋でヤバいを連呼したのはまた別の話。
■ヴィシアス > 「クックック…この世界ではメジャーな食べ物だが高級品らしい。」
「もっとも、この世界の人間ですら牛は喰えないという者もいるが――君はそうではないのだな」
「では言ってみよう――!」
そういうわけで、
ヤバいヤバい言いながらヤバい牛肉をご一緒に楽しんだとさ――
ご案内:「異邦人街」からヴィシアスさんが去りました。
ご案内:「異邦人街」からセロさんが去りました。