2025/01/02 のログ
ご案内:「転移荒野」にセロさんが現れました。
■セロ >
1月2日。夕方頃。
転移荒野に足を運んでいる。
私は結局、元の世界に帰りたいのだ。
その気持ちを誤魔化すために始まりの地、転移荒野に時々来ている。
素足を寒風が撫で付ける。
一人でいるのは寂しい。
ただ、人混みの中で自分が一人だと自覚した時の寂しさはその比ではない。
畢竟、ただのクレタ・カントゥスの道化なのだ。
■セロ >
その時、悲鳴が聞こえてくる。
あっちの砂塵の方角だ!!
何をボケている、セロ!!
お前は死神だろう!!
悪の命を刈り取り、無辜の民を守らずにその名を名乗れると思うなよ!!
翼を広げて空へ舞い上がる。
この世界でもなんとか飛べる!!
悲鳴のあった方向に急行だ!!
■一般男子学生 >
「やめろぉ、来るな、来るな!!」
叫びながら逃げ惑う。
冷気を放出する異能で、群がるように襲ってくる小鬼たちを退けようと。
■“引き裂く小鬼” >
「ギギッ!!」
数十匹という大群で男子生徒に襲いかかる。
何人か凍り付いても、お構いなしだ。
■セロ >
ゴブリンだ!!
この世界でも確か敵対的種族として認識されていたはず……!
少年の前に舞い降り、翼を広げる。
「逃げてください!! ここは私が!!」
大鎌を両手で握る。
さて、この世界に来てから不調だったエグゼクターが起動してくれるか。
……冥神よ、私に一振りの力をください!!
「エグゼクター、起動!!」
理力を通すと大鎌が確かな力の気配を返してくる!!
いい子だ、後は……この場を収める!!
■“引き裂く小鬼” >
新たに現れた小さくて柔らかそうな存在に。
それぞれがサビの浮いた刃物を掲げて叫ぶ。
「ギィーヤッハァ!!」
各々の武器は刃こぼれしながらも。
人を殺すに十分な殺傷能力を有している。
■セロ >
「下がれッ!!」
一喝して大鎌を振りかぶる。
「ここで戦えば私が勝ちます、管理できない魂を遊ばせることなど不本意」
「あなたたちも命が惜しいなら立ち去りなさい!!」
この世界のゴブリンは大声で引くような存在だといい。
そうでなければ……!
■一般男子学生 >
なんだこの状況は。
空から女の子が降り立って引き裂く小鬼と戦おうとしている。
僕は異能の練習に来ただけなのに。
どうして。
■“引き裂く小鬼” >
その示威行動を嘲笑うようにゴブリンたちは。
「ギャッ! ギャッ! ギャーウ!!」
武器を構えてセロに殺到していった。
■セロ >
横薙ぎに大鎌を振り、かかってきたゴブリンたちの首を刎ねた。
血が吹き上がり、私の顔と服を汚す。
「下がれと言っているのが……」
星天との接続を試みる。
この世界にも星はある、大丈夫だ……!!
やれる!!
「聞こえないのかあああああああああぁぁ!!」
私を中心に白い光の円が広がっていく。
星との接続は…スターコンジャクションは適性だ!!
このまま振れば敵だけ倒せる!!
臆するなよ、私!!
■一般男子学生 >
「ひいっ」
女の子が光を広げたのに怯えてその場に蹲る。
■“引き裂く小鬼” >
「ギ……!」
白い光の円の範囲に全ての個体が収まる。
しかし何も起きない。
構わず武器を上段に持って振り下ろそうと──
■セロ >
「スターリィブレイクッ!!」
光の輪に沿って大鎌を振れば。
悪しき魂をエグゼクターは刈り取る。
全てが星天満ちるこの星にあるならば。
広範囲切断攻撃。
■“引き裂く小鬼” >
「………ッ!!」
全員が光の輪の軌道上にある部分を切断され。
そのまま絶命して荒野に躯を晒した。
■セロ >
周囲に悪意はもうない。
慎重に目視でも確認してからエグゼクターに理力を通すのを止めた。
「大丈夫ですか? すぐに生活委員会と風紀委員会に連絡します」
「怪我は……」
■一般男子学生 >
「うわあああああぁぁぁやめろッ! 来るなぁ!!」
そんなこと言いたくなかったのに。
助けてくれた存在に対して。
僕の喉を通った声は、悲鳴と拒絶だった。
■セロ >
「………っ」
その時、自分の顔と服に、差し出した手に。
べったりと小鬼たちの血が付着していることに気付いた。
「ごめんなさい」
その言葉を穏やかな表情で言う。
それが死神の務めだ。
「ごめんなさい……」
差し出した手を引いて、私はもう一度謝った。
■セロ >
それから泣きながら震え続ける男子生徒を遠くで見ながら。
手に入れたばかりの“けいたいでばいす”で各委員に連絡を取った。
彼が安全な場所に行くのを見守ってから。
私は事情を風紀委員のメンバーに話し始めた。
私は孤独であろう。
今、そういう星巡りにあることは間違いない。
ただ、人を助けることが私を孤独にするのなら。
私は孤独であり続けよう。
ご案内:「転移荒野」からセロさんが去りました。