2015/06/18 - 20:57~00:28 のログ
ご案内:「常世神社」に五代 基一郎さんが現れました。<補足:夏用スーツ。人待ち中。>
五代 基一郎 > 緩やかな待ち合わせの中で、小さな絵馬のような札を足に付けた大鳥に豆をやりながら待つ。
傍らにはもちろん黒猫が座り、時間の流れを表すようにゆったりと尻尾を振っていた。
待ち合わせに来る相手がどのような話をするか。
小さな期待と共に待つ。

ご案内:「常世神社」に遠条寺菖蒲さんが現れました。<補足:ハッチング帽にポニーテ―ルの黒髪で蒼い瞳の茶色に黒の落ち着いた色合いの私服姿の少女。左肩に小太刀ほどの肩袋を背負っている>
遠条寺菖蒲 > 初めて来る神社までの道のりで迷子になりつつもなんとか神社に辿り着く。
その姿はいつものように見える。
境内に入って五代を見つけるとゆっくりと菖蒲は近寄っていく。

「お待たせいたしました、五代さん」

五代 基一郎 > 「いいよ。大した時間でもないし。」

それがここへの待ち合わせの時間か。返事を待つ時間か。
そのどちらでもあるように答えて立ち上がる。
立ち上がれば大鳥は一声鳴いて、空へ飛び立った。
足に付けられた小さな絵馬……六六六の数字が入れられた絵馬を揺らしながら。

「ここで会うことが答えみたいなもんだけどさ」

答えなど最初からわかっていたかのように語る。
これが楽園からの追放を唆す蛇であったなら。
言葉を待つようにその目が君を見ていた。
黒猫の瞳も君の姿をみていた。

遠条寺菖蒲 > これは儀式のように思える。自分がこういう場所をメールで指定して選んだのも。

「それでも、私はこの間の答えを……」

自分を見つめる五代と黒猫を見て、小さく息を吐き捨てる。

「先ず最初に私は、自分すら守れるかもわかりません。それは自分でも嫌というほど理解しました」

困ったような顔で菖蒲は言う。
思い出したのはこの数日間の戦いとも呼べない一方的に負けて辱められた自分の記憶。
不意打ちをしてでもあんな強い相手に自分が勝てる可能性は低いなんていうのはよく分かるから菖蒲は先ずそう言った。

五代 基一郎 > 五代が、黒猫が……空を飛ぶ大鳥でさえも。
この神社という空間そのものが遠条寺 菖蒲という一人の言葉を待つような
静かな時間。

遠条寺菖蒲という一人の少女ではなく、一人の人間としての言葉を
聞き逃すことないように。じっと静かに言葉を待った。

儀式。
まさしくその最初の試験を見届けるかのように。

遠条寺菖蒲 > 「それはある意味当然で、私は異能使い同士の戦いにも魔術戦も素人で勝てていると優位であると錯覚させられ踊らされて負けるのが精々かと思います」

それはようやく客観的に自分の実力を判断できるようになった少女の悔しさにも似た言葉で、

「だからといってその経験の差を今から訓練して埋められるものとも思うほど自惚れても、もういません」

しかし、諦めたわけではないと瞳は語っていて、その蒼色は優しくも強く。

「なので誰かを守るために、なんてテレビドラマの主人公のような事は声に出しては言えません」

夢を見ずに現実を見つめようと五代の目をしっかりと見つめる。

「私に出来るのは、せめて生き残るくらいです」

その判断に恐らく間違いはないと菖蒲は考える。
そもそも即死されられるような相手や状況ならば『何が出来る』など考える余裕すらないから。
自分が何か出来るとすれば自分の命をなんとか守るくらいだと言う。
だが、それでも、と。

「ですけど、それでも誰かが理不尽に侵されるのを見て見ぬふりなんてできないし知っていながら何もしないなんて出来ない。それは自己満足で自分勝手な話ですけど」

その後に続く言葉を少し言葉に悩んでから頬を指でかいて

「後味が悪いじゃないですか、そういうのって」

曖昧に微笑み菖蒲はそう言った。

五代 基一郎 > 「そうだ」

肯定するような言葉と共に一歩、歩み寄る。

「人間だけじゃない。神であっても存在が一つであるなら出来ることは限られる。」

黒猫もまた、ゆっくり歩幅を合わせるように近づき。

「両の手や体一つで出来ることは思っているよりずっと少ない。」

天限り知らずと夢見る少女ではなく
今冷静に自分が何か、どうしているか。何が出来るか。
それを客観視し正答せしめた少女にまた一歩歩み寄る。

戦いの世界は定められた勝負の世界とは違う。
勝った負けた、出来た出来ないの世界ではない。
生きるか死ぬかの世界である。
目の前の少女はその真理を知って尚生き残る、と言う。

「それで自己満足であり自分勝手であると知りながらも、見て見ぬ振りなど出来ないとするなら」

あと一歩。それで少女と距離が無くなるという所まで来て
腕を組み君を見る。答えを待つようにして、そして問う。

「どうする、遠条寺菖蒲。」

生徒会所属の幹部役員候補ではなく。
敗れ、無力さを嘆き、刃を手にした一人の少女に問う。
ならばどうするのかと。

遠条寺菖蒲 > 「だから私は戦う――
……なんては言いません。それは風紀や公安のお仕事で私のすべきことではないですから」

態々、自ら進んで破滅の道に行くのはただの愚者で英雄ではない。
そもそも菖蒲が英雄になる必要はない。

「私は、私に振りかかる火の粉だけを。
目の前で理不尽に潰されそうになっている知り合いの為に戦います」

 それしか出来る事はないしそれ以上は菖蒲の容量を越えていく。
 それこそ今五代の言ったように手も足も身体も足りやしない。
 『誰もを助ける』なんて個人でやろうとするのは『ただの夢』でしかないのだから。

「戦うのが無理ならその子と一緒に逃げて風紀や公安の人に助けてもらいます」

恥じらいもなくそう言ってみせる。

「戦ってるのは私だけじゃないから」

 そう、私がこうして悩むよりも前から戦い続けている人達がいる。
 それは公安委員だったり風紀委員の人だったり、今目の前にいる先輩だったりまだ名も知らぬ人だったりする。
 だから、一人で無理なら誰かに頼ろう。何も一人で戦えだなんて誰も言わないだろうから。

「私は『この現実』で生きていきます、五代さん」

そうハッキリと言って、どうでしょうとでも言うかのように首を軽く傾げた。

五代 基一郎 > 「そうだ」

再び肯定する言葉が返される。腕は組まれたままに。

「現在、いや常世学園が始まってから風紀委員会や公安委員会がこの島の治安を担っている。」

大なり小なり違反部活や落第街の問題だろうとそれで解決してきた。
時間や質、解決するまで等は千差万別だろうが十分事足りている。

「自分が世界を変えるんだ、なんて驕りを持つこと事態こ社会を理解していない証拠であり、暴走する者の根本だ。」

有志はさておき、風紀や公安としての職務を逸脱した思想を持てば
それはただの愚者であり。暴走した権力である。
健全な体制装置とは言い難い。事実そうした思想を持ってしまい狂人と化し破滅を辿るものは幾人か出ている。

「いい答えだ。『現実』をよく知った人間の、正しい答えと言える。」

首を傾げて答えを問う遠条寺にそれが正解であるように頷きつつ。
組んでいた右手を外し、胸の前で君に向けて小さく指を差し問い始める。

「では『現実』を知った君が、その『現実』の中でこの”社会の枠組みの外”にいる脅威を知った時。」

それはこの島の社会の枠組みの中での戦い。公安や風紀と違反部活との捕り物劇等。
身近な脅威、それら司法やそれらの下の武力等でどうにかなるものではなく。
それではどうにもならないものが存在し、それを”知ってしまった”君が
”戦うことのできる”君が直面した時に

「どうする、遠条寺菖蒲。」

どうするかを。問うた。
それは常世島の学生という生活の中にいて帰る者へではなく。
一歩外れた外の世界を垣間見て、過酷で冷たい『現実』へ踏み出した者への問い。
もはやそれは学生である遠条寺菖蒲への問いかけではなかった。
戦う力を持ち、『現実』を見て振るうことの出来る戦士への問いだった。

遠条寺菖蒲 > 「その時は、きっとどのような方法になるかは分かりませんが戦うのでしょうね」

しかし、戦うのならば手段は選ぶ必要がある。
西園寺忍のようにやってはいけない。
それがどんな相手であっても、それは間違いなのだから。

「それが生徒会としてならこの学園の法を持って」

この学園の司法である生徒会としてソレを学園の敵であると上に通して『学園』に呼びかけて、個人ではなく組織としてしっかりと戦わなければならない。
しかし、この彼がした質問はきっとそういうことではない。

「もしも、どうしても私が戦わなければならないのなら、
生き残るために。倒せるかどうか逃げれるかどうかは恐らく問題ではありません」

戦うことが自分の最もすることではないのだから、
相手をどうこうすることに固執するのは二の次であるとかんがえるべきだ。

「明日、笑って知り合いに会うために戦って生き残るだけです。……こうして」

恐らく五代にもとっくに報告はいっているだろうが菖蒲は退院前日の夜に再び“害来腫”と遭遇し、協力者の助力もありこれを撃退している。

「何が来ようときっと変わりません。それが知り合いなら殴ってでも止めます」

そう笑顔を五代に向ける。

「私、後悔しない為に『現実』でも笑って過ごせるように『戦う』んです」

五代 基一郎 > 遠条寺菖蒲が考えている通り。生徒会の人間としてではない。
組織として、ではないのだ。そういった枠組みの外にいる連中は確かに存在し
またそれらが確かにこの社会を、学園に存在している。
内にて外にいる脅威となる存在が確かにいる。


「いい答えだ。」

その目は以前病院で見せたような目であるが、それは遠条寺を咎めるような目ではない。
それは、今目の前にいる相手を認めるような目である。

戦うことは最ではないだろう。だがそうとも言えない。
戦う力が無ければ信念を通せぬ世界。
信念が無ければ戦う力が暴力になる世界。
現実を知らなければ道化で終わる世界。

立ち上がったことは報告で聞いている。そこに立ち会った者が誰であるかも。誰と戦ったかも。
戦う力こそ未だ非力かもしれないが、その力と自らの信念
そして何より現実を知った上でそのどちらも持つ者がいる。

「君の答え、決意は十分に伝わった。」

差していた指は再び組まれた腕の中へ。
顔は笑っていた。歯を見せるほどではない。
だがしっかりと表情がわかるような、顔だった。

「だからこそ遠条寺菖蒲。君をスカウトしよう。」

遠条寺菖蒲 > 五代のそんな言葉は予想外で、認められればいいとは思っていた。
自分の『覚悟』が伝えられたら拒絶されてもそれはきっと考え方が違うものだと諦めただろう。
だけれど、
それは想定外であった。

「……スカウト、ですか?」

一体何のだ?
自分は、仮にも生徒会の人間である。
そして幹部候補生だ。
そして彼は風紀委員会警備部の特殊警備一課の第二小隊の隊長。
委員会の鞍替えなど……いや、目の前に実例の人物がいるか。
いや、しかし、と先程までの決意に満ちた顔などは消え失せ困惑の色を顔に浮かべていた。

五代 基一郎 > 「役職の話じゃないさ。生徒会でも風紀でも公安でもない。」

困惑する遠条寺に説明のような、そうでもないような概要をそれとなく伝える。

「ここだと聞かれている可能性もあるしな。あまりおおっぴらに言えないんだ。
だが、まぁ。”どういうものに”スカウトするかはなんとなくわかるだろ」

今まで話してきたこととは無関係ではないというニュアンスを含めて菖蒲に伝える。
それがどういうものなのか。どういう組織なのかは伏せたままに。

「こういうことも含めて、だから自宅が都合がよかったんだけどな……
まぁ、もしその気があるなら後日になるけど。ウチに来てくれれば話すし
その気がないなら忘れてくれて構わない。」

言ったろ、スカウトだって。断ることもできるんだから。
と付けつつ。組んでた腕を伸ばして伸びをした。
困惑する菖蒲などどこ吹く風で。

遠条寺菖蒲 > 「…………」

委員会ではない?
そんな組織、いや大っぴらに言えないと言うことは何かあるのか。
西園寺偲のようなやり方を否定する彼ならそれは恐らく違法なことではないのだろうが、知られたくはないような……事?

「……わ、わかりました。ではお話は後日お伺いするという形にしましょう」

次々に出て来た単語に脳が一瞬の混乱を生じさせたが、そう答え。
しっかりと返答するように。

「私が『ここ』で生き残る可能性が高まるのなら」

なんであれ、ここまで色々喋らせてそれと関係ないことはないだろうから。
菖蒲は少しは察して、真面目な顔つきでそう答えた。

五代 基一郎 > 「よし、じゃぁ今日の話はここまでにしよう。」

話はここまで。今日は終わりというように切り上げ。
帰る支度に入っている。

「その時は連絡してくれれば車で迎えに行くし、住所送っておいてもいいしさ」

欠伸。そして。

「『そこ』からだな、まずは。」

と真剣な言葉と顔つきに返し。
駅まで送っていくよと先導するように歩き始めた。
黒猫は先を歩き始めている。

大鳥はいない。

遠条寺菖蒲 > 「はい、では住所をメールで送ってもらえれば」

それはちょっとしたわがままで移動の電車を楽しむ口実であったわけだけれど、

「あ、そう言えば五代さん」

ふと思い出したかのように帰ろうとする男に後ろから声をかけた。

五代 基一郎 > 「了解、それじゃ帰ったら送っておく」

インプレッサの方が早いのにな、と思いつつ鳥居を潜ろうとした時。

「どうしたの?」

石段に足を下ろそうとした時。
そのまま声がした方へ首だけ動かし振り向いた。

遠条寺菖蒲 > 「その、『クロス』さんって方って知ってますか?」

誰から聞いた名前だとはなんとなく言えなかった。
けれど、知っているかどうかの確認は出来るかと思った。
多分、『クロス』だと思うその名前の人物の事を尋ねる。

「知らなければ、別にいいのですが」

と小さな声で付け加える。

五代 基一郎 > 「よくありそうな名前だけど、名前だけで誰かを特定するのは難しいな。」

「どういう経緯でその名前を知ったかによるんじゃないの、詳細を詰めるならさ」

ぼんやりと顔だけ振り向いていたが。
いつのまにか体も向いていた。
何か察したような様子で、君を見ていた。

遠条寺菖蒲 > 「えっと、それは――」

知りたいならきっと言うべきなのだろうが、
ふと先程五代が零した言葉を思い出した。

『ここだと聞かれている可能性もある』

一体、誰に何を?

「えっと、今度五代さんのお家で先程の件とご一緒に……
その時に説明したいと思います」

何故かその言葉を聞いてからどうしてか妙な感覚があるような気がした。

だから、ここではこれ以上聞くのをやめた。

五代 基一郎 > 一度瞬き。首の裏に手をやり少し考えて。

「じゃ、そういうことで。」

それ以上は聞かなかった。
聞かなかったが……

「ほら、行こうよ。そろそろお腹が空いて来たよ。」

夜食なんて体に悪いんだけど、どうしても足らなくなるよね。
ファミレス出来たの知っている?と話しながら。
菖蒲が言葉を選んだのは何かしら聞かれるとまずい元から来ているわけだが
それが何を指しているのか考えつつ、石段を先んじるようにおり始めた……

遠条寺菖蒲 > 「はい、ありがとうございます」

それは今聞かないでくれたことか覚悟を認めてくれたことへか、その両方か。
五代に続くようにして歩く。
ファミレスとはなんだろうか?なんてまた一つ知らないものを教わりながら。

ご案内:「常世神社」から五代 基一郎さんが去りました。<補足:夏用スーツ。人待ち中。>
ご案内:「常世神社」から遠条寺菖蒲さんが去りました。<補足:ハッチング帽にポニーテ―ルの黒髪で蒼い瞳の茶色に黒の落ち着いた色合いの私服姿の少女。左肩に小太刀ほどの肩袋を背負っている>