2015/06/23 - 23:22~00:25 のログ
ご案内:「転移荒野」に桜井 雄二さんが現れました。<補足:不燃不凍のスーツに身を包んでいる。(乱入歓迎)>
桜井 雄二 > (防塵加工を施したばかりのバイクで荒野を走る)
(本日のゲート予報、確率は60%)
(出てくる存在は未定、だから戦闘もできる生活委員会が急行する)
(ある地点に到達すると通信機器を取り出して)
こちら桜井雄二、ゲート予報のあった地点に到着した。
……言っておくが、相手が蟻人であった場合には好き勝手やらせてもらうからな。
(通信相手の声は聞こえてはこないが、そう長く受け答えはしていない)
桜井 雄二 > (バイクを停めて、氷を使ってしっかり固定する)
(戦闘があったら最悪盾に使ってでも生き延びなければならない)
(その時、次元境界線が歪んでいく)
(白の極光が満ちていく)
当たりだ、切るぞ川添孝一。
(通信機器をポケットに入れると身構えて)
(しかし、光の中から出て来たのは一人の少年だった)
………? 異邦人、なのか……
桜井 雄二 > (少年は周囲を見てしばらく視線を彷徨わせていたが)
(すぐにその場に蹲って嘔吐を始めた)
お、おい。大丈夫か? ひどい召喚酔いのようだな…
言葉は通じるか? お前はどこから来たのか教えてくれ。
(少年は異世界の言語で何かを喚きたてる)
む……この言語パターンは、確か……
(手元の翻訳機をチューニングする)
該当する言語が見つかればいいんだが……
桜井 雄二 > (生活委員会の仕事の一つ、異邦人の保護)
(言葉にすればたった一言だが、それは相当に苦労する)
あー。あー。これで言語は通じるか?
一応、この機械で君の世界の言語に近い言葉を構成している。
(まずは会話ありきだ、相手から信用を得られなかったら保護どころの騒ぎではない)
(しばらくゲーゲーとその場で胃の中身を吐き散らしていた少年が、こちらを見上げて)
「わかると思います、あんたの話していることが」
(そう翻訳機を通して喋ってきた)
うーん……言語チャンネルは合っているが精度がイマイチだな、この翻訳機…
カタログスペックを真に受けすぎたか……
ああ、いや。こっちの話だ。
(機械を弄りながら少年にタオルを差し出す)
口を拭くといい。水もあるぞ。
桜井 雄二 > (少年はタオルで口を拭いた後、水をがぶ飲みして)
「お礼を言うべきです、サンキュー」
(と、微妙な翻訳だがお礼が返ってきたことはわかった)
自己紹介がまだだったな。
俺の名前は桜井雄二。君みたいな世界の迷い子を保護する立場の人間だ。
君の名前を聞かせてほしい。
(しばらく逡巡の末に少年は自分の顔に手を当てて)
「私は思い出せません、それを」
「わからないのです、自身の名前」
(少年の頬を、涙が伝った)
桜井 雄二 > ………自分の名前がわからないのか?
(珍しいことではない、こちらの世界に来る時にひどい船酔いに似た症状を起こすことがある)
(生活委員会の間で通称を召喚酔いと言うこの症状は時折元の世界の記憶の欠落を伴う)
何か思い出せることはないか?
家族のこととか、元いた世界のこととか。
(異邦人の少年はこちらに向けて空のペットボトルを投げつけてくる)
「わかりかねる!!」
「思い出せません、それを!! それらを!!」
「何故、このような状況になったのかを求めます説明!!」
(頭にペットボトルが当たっても、微動だにしない)
……誰も悪くないんだ。この状況に『悪』は存在しない。
(手元の機械を弄る、もう少しまともなコミュニケーションが取れないものか)
桜井 雄二 > 「私はあなたがふざけるのを禁止します!!」
「帰してください!! 世界の元に!! 帰してください!!」
(泣きながら食ってかかってきていた少年がどんどんと桜井の胸を叩く)
「母親………父親……友達…いない誰も…」
(流れる涙を見て、桜井は右目が熱くなるのを感じた)
(この世界で生まれた新たな悲しみの欠片に右目が反応しているのだろうか?)
桜井 雄二 > (その時、手動で行っていた翻訳機のチューニングが偶然上手くいく)
(すう、と一呼吸して少年に語りかける)
俺の言っていること、さっきよりはっきりわかるんじゃないか?
(少年は頷く)
「…わかるよ、自然な言葉で伝わってくる」
(さっきまでの機械的な翻訳とは違うその言葉に無表情のまま頷いて)
よかった。言いたいことは色々あると思うが、まず俺の話を聞いてくれ。
(少年はそれに答えることなく桜井の顔を見上げた)
桜井 雄二 > いいか、お前の世界と繋がるゲートが開いたのは一瞬のようだ。
お前が元の世界に帰るのは、少し難しいと思う。
それでも、この世界にはお前みたいな存在は珍しくない。
異邦人、というやつだ。
(青空を見上げる)この空にも光らない星がたくさんあるように。
お前みたいな存在はいっぱいいるんだ。残念ながらな。
(自分だけが不幸の中心だと喚いていた少年が顔を歪める)
「でも……僕はどうしたらいいんだよ…ユージ…」
桜井 雄二 > ……少年。お前の『何がしたいか』を見つける手伝いをするのも俺の仕事だ。
困ったら俺を頼れ。何から何まで叶えてやることはできないが……
それでも、一助くらいにはなれるはずだ。
(少年に向かって手を差し出して)
さ、全部吐き出して腹が減らないか?
まずは腹ごしらえといこう。街までバイクで行こうじゃないか。
桜井 雄二 > (バイクに跨り、少年をタンデムシートに座らせて)
しっかり掴まっていろよ。振り落とされると危ないからな。
(通信機器を取り出し)こちら桜井雄二。聞こえるか、川添孝一。
ゲートから出てきたのは異邦人の少年、翻訳チャンネルは2XBWだ。
詳細は追って報告する、街まで戻る。それじゃな。
(通信機器をポケットに入れて)
さ、行こうか……今日は特別に俺がこの世界の歌を教えてやる。
涙がこぼれそうな時、あるいは上を向いて歩きたい時に最適の歌だ、覚えて損はない。
(そのまま魔導バイクは青空の下を少年を乗せて走り去っていった)
ご案内:「転移荒野」から桜井 雄二さんが去りました。<補足:不燃不凍のスーツに身を包んでいる。(乱入歓迎)>