2015/06/23 - 23:55~03:20 のログ
ご案内:「打ち捨てられた祠」に畝傍・クリスタ・ステンデルさんが現れました。<補足:短いブロンドの髪と赤い瞳、オレンジ色のボディスーツ姿。狙撃銃を携帯>
畝傍・クリスタ・ステンデル > 「ここで、いいのかな」
以前、石蒜と出会った『鳴羅門火手怖』神の祠。畝傍はこの場所に再び訪れていた。
図書館で借りた本の内容を石蒜に教える約束をしていたが、どこで落ち合うかまでは聞かされていなかった故、
教えようとしている内容に最も相応しい場所を選んだのであるが。
「……シーシュアン、くるかな」
しばし待つ。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「……それにしても」
祠の中に祀られている神像を見る。
「ほんとに、よくにてる」
図書館で読んだ『図説・常世島の神々』に文章と挿絵で記載されていた鳴羅門火手怖神の姿。
神像はその姿にあまりにも近かった。恐らくは、この祠も神像も本物だろう。

ご案内:「打ち捨てられた祠」に石蒜さんが現れました。<補足:黒髪に漆黒の巫女装束の少女>
畝傍・クリスタ・ステンデル > 畝傍は本に書かれていたことが気になって仕方なかった。
この祠で過去に行われたらしい儀式とは、一体何なのか。幼い好奇心は巡る。
しかし、眼前に聳える神像には何となく触れてはならないような気がしていた。

石蒜 > 少し立ち止まって言い返してやったら畝傍を見失ってしまっていた。
しばらく探して、どこかで待っているかもと思い、心当たりがある祠へとやってきたのだった。
「畝傍ー?居ますかー?」

畝傍・クリスタ・ステンデル > 畝傍がそうして考えを巡らせているうち、
待ち合わせていた少女の足音と、自分を呼ぶ声に気付く。
「シーシュアン」
祠の中から現れ、畝傍も彼女の名を呼ぶ。

石蒜 > 「ああ、居た!」覚えのある匂いと声に顔をほころばせ、駆け寄る。
「ごめんなさい、あなたを見失ってしまって。やっぱりここに来てたんですね。」やっぱり私達は通じあっている、その事実が喜ばしい。

畝傍・クリスタ・ステンデル > こちらも石蒜に対して微笑み、歩み寄る。
畝傍は石蒜の笑顔が見られたことが嬉しくて仕方がなかった。
「いいよ。きてくれるって、おもってた。本のことおしえるなら、ここがいいとおもって」
答える。

石蒜 > 「やっぱりここは居心地が良いですからね。」
「さぁさぁ、教えてください。何て書いてあるんですか?」待ちきれない、といった様子で、ねだる。まるで飼い主が餌の用意をし始めたのに気づいた犬のようだ。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「えーっとねえ……」
一時的に狙撃銃を傍らの柱に立て掛けたのち、本の該当するページを開き、文章を読みはじめる。
「『鳴羅門火手怖 <なるらとほてふ> 神ははるかな昔からこの世界に存在していたとされる、顔のない黒い体の神であり、顔がない故にさまざまな化身をとる』……ボクがまえにいったところだ。くろくて、すがたがいっぱいある」
先程、図書館でも読んだ文章だ。すらすらと読めるが、
もしかすると石蒜には意味がわからない部分もあるかもしれないので、畝傍なりの説明も加える。
「『中でも有名なのは黒い翼と燃え上がる三つの目、三本の脚を持つ姿や』……これは、あのほこらのなかにあったのとおんなじで……『這い寄る混沌と呼ばれる、手や鉤爪を持ち自在に伸縮する無定形の姿とされる――』……こんなのも、あるらしい」

石蒜 > 「ふむふむ、確かに同じ神のようですね。姿もご神体と一致しています。」ここまでは特に不都合なく理解できる。しかし、何故この見知らぬ神にたいして既視感のようなものを覚えたのかはまだわからない。
続きの説明を待つ。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「『鳴羅門火手怖神の化身には人間、またはそれによく似た姿を持つものもおり、年齢、性別などを問わないさまざまな姿で現れる。化身たちは複数が同時に存在可能とされている』……だって」
先程図書館で読んだ際はあまり重要視していなかった部分だが、
石蒜に説明するにあたって改めて読んでみる。
「もしかしたら、ボクたちのちかくにも鳴羅門火手怖さまの化身がいて、ボクたちとおんなじようにくらしてるのかもしれない」
もちろん、畝傍なりの考えも添えて。
「『また、鳴羅門火手怖に類似する神への信仰は日本以外の世界各国においても確認され、古代エジプト王ネフレン=カはその信仰を国中へ発展』……ここはボクにもよくわかんなかったとこ」
畝傍はエジプトには行ったことがない上、古代エジプトの文明にもあまり興味がないのだ。

石蒜 > 「人間の姿も取れるなら、確かにそうかもしれませんね。この学園にも確か異世界のですが、神が居るはずです。」その内の一人に、まだサヤであった時であったことがある。知らないうちに出会ったというのが一番ありえるだろう。

「古代、はわかりますが……えじぷと…そこの王ねふれん、か? うーん、こちらの世界の地名ですか?私もさっぱりですね……。」石蒜もわからない、こちらの世界についてはほとんど何も知らなかった。ここが日本という国であることすら知らない。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「あ……シーシュアンは、しらなかったっけ。いまボクたちがいるのが、日本の、常世島。それで、エジプトはここからずっととおくのくになんだけど、それはいま、あんまりかんけいないから」
石蒜がこの世界の地名について知らなかったらしいことに気付き、説明を付け足す。
「それでね。だいじなのは、ここから」
表情が真剣になる。
「『鳴羅門火手怖信仰の存在はこの常世島においても例外ではなく、過去に鳴羅門火手怖神像を収めた祠が作られ、その祠において何らかの儀式が行われた形跡が確認されている』……って、かいてある。つまり」
畝傍の推測が正しければ、この祠こそ本に書かれている通りの、過去に作られた祠そのものなのだ。

石蒜 > 「にほんとえじぷとは別の国なんですね。じゃあ随分広い範囲で信仰されてたのか。」しかし、今は祠が打ち捨てられている。長い時を経て廃れたのだろうか?

「ごくり…」畝傍の表情に、ごくりと唾を飲み込む「これがまさにその祠ですか。しかし過去に、ってことはもう信仰されてないようですね。」

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「そう。たぶん、このほこらがそれなんだとおもう。でね、まだつづきがあるんだけど」
真剣な表情のまま続ける。
「『鳴羅門火手怖神が唯一恐れるのは≪生きている炎≫ であり、それは魔術的手段によって召喚できるとされるが、悪意を持つ者による召喚を防ぐため、呪文を記した書物のほとんどは失われている。かつて召喚された≪生きている炎≫は、鳴羅門火手怖神の潜む森を一夜にして焼き尽くしたという』……って、かいてある」

石蒜 > 「ふむふむ、神に弱点があるのは、私の世界ではよくあることでした。そうでなくとも神同士の諍いで死んだりするのも珍しくなかったですね。」
と感想を述べる。別に鳴羅門火手怖を殺したいわけでもないので、あまり重要だとは思えなかった。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「……そうなんだ」
先程まで真剣だった表情を和らげ、素直に頷く。
「シーシュアンは、べつのせかいからきたんだね」
それは畝傍が今まで知らなかったことだった。
まだまだ知らないことが多いな、と感じる。

石蒜 > 「あれ……あ、そっか。言ってませんでしたね。」すっかり忘れていた、照れ隠しのように頭をかく
「ええ、私は異邦人なんです。私の世界の文化の一部はここの、ええと…えど時代?に似ているらしいです。畝傍は、この世界の出身なんですか?」他の生徒とは違う格好をしているので、異邦人かと思っていたが、こちらに詳しいようなので、どっちかわからなくなったので聞いてみる。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「そだよ。ボクはこのセカイのニンゲン。ここからずっととおくのくにでうまれた」
石蒜の問いに答える。スーツのことについては直接聞かれていないため、まだ答えない。
「えどじだい、かー……たしかに……そんなかんじ、するかも」
巫女のような装束を見ながら。

石蒜 > 「不思議な服を着ているから、最初は異邦人かと思いましたよ。でも別の国の生まれなんですね。この国…ええと、にほんの言葉って難しくありませんか、文字が何種類もあるし……。」実際自分は苦戦していた、ひらがなにカタカナはまだしも、漢字はまだ一、二、三ぐらいしかわからないのだ。

「この服、この世界だと神社の巫女とかなり似ているんですよね。私の世界だと、道場の道着だったんですけど。」袖の先をもって広げ、自分の服を確認しながら。だから初めて神社に来た時は驚いたものだ。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「ママがにほんじんだったから、にほんごはだいじょうぶ」
畝傍は父がドイツ人、母が日本人だ。もっとも、どちらもすでにこの世にはいない。
「ドージョーかあ……シーシュアンは、なにか、ぶじゅつとかならってたの?」
石蒜の服は彼女の世界において道着として着用されていたと聞き、尋ねてみる。
「ボクのこのスーツはね、ボクがいたくにでつくってもらったんだ。うごきやすいし、いろいろベンリな機能もある」
畝傍が着用するオレンジ色のボディスーツは、身体強化実験により強化された身体機能を活かすための、専用のものだ。
その動きやすさをアピールするかのように、上半身をねじったり脚を持ち上げたりしてみる。

石蒜 > 「うー、いいなぁ~」素直に羨ましい、自分は満足に読み書きできるのはひらがなぐらいなのだ、カタカナはまだおぼつかない。「私はこんなに苦労してるのに、えいえい」ぷにぷにとほっぺたをつつこうとする。八つ当たりだ。

「よくぞ聞いてくれました。」立ち上がり、薄い胸をはる。「この石蒜こそ、東方に恐ろしく卑怯な剣ありと謳われた生存重視の実践剣術。人刃一刀流(じんばいっとうりゅう)の免許皆伝なのです。その気になればこちらで道場を開けます。」ふふーん、と自慢気に。

「なるほどー、確かに動きやすそう。ちなみに私の道着もご主人様に便利にしてもらいましたよ、防御力が高いし、汚れもつきません。」砂を少し拾って、袴にすりつけてみるが、軽くはたくと全て落ちて、全く残らない「ね?」

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「あうぅっ」
なされるがままに石蒜に頬をつつかれ、柔らかい頬がぷにぷにと凹んでは戻りを繰り返した後。
「ジンバイットーリュー……なんか、かっこいいかも」
自慢げな石蒜に微笑みながら述べる。実年齢よりさらに精神が幼い故の、率直な感想だった。
続けて、袴についた砂が軽くはたいただけで落ちていくさまを見る。
「ほんとだ、よごれないのってすごくべんりそう。ボクのはよごれたりしたら換えないといけないから、おなじのがいっぱいあるの」
感嘆しつつ、自身のスーツについても説明する。
畝傍のボディスーツにはまったく同じスペアが大量に存在し、
いつも同じ服のように見えても着替えや洗浄はしっかり行っているのだ。

石蒜 > 柔らかい触り心地に我を忘れそうになる。それにしても私はあんまり肉がない、まっすぐ切り立った崖なのに、畝傍は年齢は私とあまり変わらなそうなのに、私より身長もずっと高いし豊穣な大地だ。羨ましげにその体を見る。

「ふっふっふ、実は全然かっこ良くなくて、生き残るためならなんでもする流派なんです。挨拶と見せかけて襲ったり、土下座の姿勢から奇襲したりとか平気でやるので恐れられていました。」流石にそういう話は少し恥ずかしい、礼儀作法を重んじる意識ぐらいは残っているのだ。

「ええ、ずっと同じの着てるんだと思ってました。私のみたいに汚れが付かないようになってるのかと……。あ、本当だ触り心地がこの間とちょっと違う」スーツの適当なところをなでなで

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「ひゃっ」
体を撫でられると、畝傍は少しくすぐったくなる。
若干の恥ずかしさに頬を赤らめつつ笑みを浮かべた。
「……そうなんだ。あんまりかっこよくないかもしれないけど……いきのこるのがだいじ、なら、それでもいいんじゃないかな」
畝傍なりに、石蒜を否定してしまわないようにと考えた言葉で返す。
傍らに立て掛けていた狙撃銃を再び手に取りつつ、
「ボクだって……いまはマモノを撃ってるけど、むかしはこの銃でいっぱい『ヒト』を撃った。あいてにみえないところから撃って、ころしたんだ。それでおひねりもらってた。かっこよくないのは、おんなじだよ」
と続けた。

石蒜 > 「そうですね、お互い今まで生き残ってきたから、こうして話せる。どこかでかっこつけて死んでたら、会えませんでしたもんね。」
「だからお互いかっこ悪くてよかったのかな?」奇妙な結論に、おかしくなってクスクスと笑う。
「あ、そうだ、本の続き。まだにゃ…な、なるらとほて……ふ?について、書いてありませんか?」すっかりお互いのことで話し込んでいた、本来の目的を思い出して、続きをねだる。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「そだね。まだちょっとかいてある。さっきのつづきだけど……」
狙撃銃を再び立て掛け、また本を開いて。
本には『生きている炎』の召喚に伴う注意事項も記載されていたが、そこは飛ばして読みはじめる。
「『鳴羅門火手怖神は、人間はもとより、他の神々や自分より上位に位置する神さえも嘲笑い続けている。この世に狂気と混乱をもたらすために暗躍し、魔術や機械を人間に与えて自滅させることを好む』……だって。やっぱり、よくない神さまみたいだよ」

石蒜 > 「人も神も笑い……。世に狂気と混乱をもたらす……神。」顎に手を当てて、じっと考えこむ。「まさか……?」思い当たる人物が一人、だが……そうであるとすれば、この祠に安らぎを感じるのも頷ける。「だけど……そうなのか……?」
畝傍・クリスタ・ステンデル > 「……どうしたの?」
何やら考え込んでいるらしい石蒜の様子を見て、
畝傍は心配したような表情で問いかける。

石蒜 > 「も、もしかしたら……なんですが。」ありえるのか、いや、異界の神が生徒として暮らすこの学園だ。十分にあり得るだろう。
「ご主人様、私のご主人様が、鳴羅門火手怖神かも、しれません……。まだ確証はありませんが、それなら、ここが居心地良く感じるのも頷けます。」ためらいがちに、口に出す。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「え…………っ?」
その言葉に、畝傍も驚きを隠せなかった。
「……まって。ボクは、石蒜の『ご主人さま』のこと、まだしらないんだけど……それなら」
知らないし、会ったこともない。
しかし、石蒜の『ご主人様』が鳴羅門火手怖であるとするならば。
彼女は悪神に何らかの目的で利用されているかもしれない――畝傍はそう考えた。しかし。
「……その……『ご主人さま』が……よくない神さまなのかもしれないって、ことは……シーシュアンは」
言葉に詰まる。畝傍は狂人ではあるが、倫理観まで失ってはいなかった。
だがそのことを伝えることは、『ご主人様』を否定することとなるかもしれない。
つまり、石蒜と敵対することにつながる可能性がある。畝傍はそれを恐れていた。

石蒜 > 「あ……うあ……。」何も言えなくなり、畝傍を見る。それ以上、言わないで欲しい。そう必死で訴えていた。否定しないで欲しい、私と同じ側で居て欲しい、と。

ご主人様が良くない存在だということは薄々気づいていた、でもそれ以上に、畝傍がそれを否定する言葉を言いかけたのが、衝撃だった。うまく息が吸えず、あえぐような声しか出ない。
「あ……で、でも……まだ……まだ、わかりません……!勘違いかも、知れませんし…。」なんとかそれだけ言えた。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「う……」
何かに訴えかけるような石蒜の苦しむ表情を見ると、畝傍もそれ以上言葉を紡ぐ気がなくなっていた。
畝傍は石蒜の言葉を聞き、ひとまずお互いの心を落ち着かせようとする。
「……ごめん。そう、だよね……。シーシュアンがそんなに大切におもってるひとが、よくない神さまだなんて……そんなの、ちがうよ。きっと」
心からの謝罪。よもや自分の言葉で、石蒜を不安にさせてしまっただろうか――そんな心配が畝傍の心に満ちる。

石蒜 > 「はぁ……はぁー……。」ゆっくりと、息を整える。ある程度落ち着いたら、俯いて。
「う、畝傍……。ごめんね、知りたがったのは私なのに……私がお願いしたから教えてくれただけなのに……ちょっとでいいんだ、一人にしてもらって……いいかな……。」顔を合わせられない、今畝傍が何を考えているのか、顔を見てわかってしまうのが怖い。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「うん……シーシュアンがそうしたいなら、いいよ」
俯き、顔を合わせることができないでいる石蒜の様子を見て、優しい声で告げると、自身もやや俯き加減になり。
「……わるいのは、ボクだよ」
そう呟く畝傍の瞳には、大粒の涙が浮かんでいた。

石蒜 > 「ごめんね……ごめん、畝傍……ごめん……。」それだけしか言えない。涙が止まらない。考えがまとまらない。
同類だと思っていた、仲間だと思っていた、けれど、違った。
やっぱり彼女は人間なんだ、気が狂っていても人間なんだ。
悪神に魂まで歪められた自分とは違う。違う、違う、ただそれだけが頭のなかをぐるぐる回っている。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 一方、俯いて涙を流す畝傍の頭の中ではある考えが渦巻いていた。
「(もし、石蒜の『ご主人さま』が……ほんとうに、鳴羅門火手怖なんだとしたら。『生きている炎』をこわがるはずなんだ)」
危険な考えである。しかし、仮にそうだった場合。
考えうる道はこれしかないように感じられた。
「(もし『生きている炎』がほんとうにいて。ボクの声にこたえてくれたなら。ボクは……シーシュアンを……)」
『生きている炎』を召喚する方法は失われている。さらに、『生きている炎』を呼びだそうとするものは、かの神性が召喚に応じて現れる道に巣食う悪鬼『山礎<やまんそ>』に喰われる危険もあると、本には書かれていた。
しかし、そのような危険を冒してでも『生きている炎』を呼びだせたなら、あるいは。そう考えていた。
そう――彼女は狂っていた。

石蒜 > ふと、思いつく、違うなら『同じ』にしてしまえばいいんじゃないか?と
そうだ、畝傍もご主人様に歪めてもらおう、そうすれば一緒だ、私の仲間になる。
今度こそ本当の、仲間になる!
弾かれたように立ち上がる、涙はもう止まっていた。
きっとご主人様に歪めてもらえば畝傍もわかってくれるはずだ!
ああ――彼女も狂っていた。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 涙は止んだ。今こそ伝えねばなるまい。そう思い、石蒜のほうを向いて。
「シーシュアン。ボクは。ボクはだよ。……もし、キミの『ご主人さま』が……ほんとうに、鳴羅門火手怖さまだったとしたら……」
言いかけて止まるも、精神力を振り絞ろうとし。
「……ボクは、『生きている炎』を」
そこまで言いかけて、止まる。

石蒜 > ニタリ、と笑っていた。壊れきった笑みだった。
「まぁ、まぁ、まぁ、畝傍。まだわかりません、まだわかりませんよ。私の思い違いかもしれません。」先ほどとは打って変わって、饒舌になっている。足早に畝傍へと歩み寄る。
「だ、か、ら……」横へ回ったり後ろへ行ったり、ちょろちょろと畝傍の周りを動き回りながら語りかける。「実際に会って確かめてみるのがいいんじゃないですか?会ってみましょうよ、私のご主人様です。大丈夫、とって食われたりしませんよ。いい人です、とってもいい人。どうですか?」

畝傍・クリスタ・ステンデル > 壊れた笑みを浮かべる石蒜に対して、畝傍は表情一つ変えず。
「……そうだね。会ってからかんがえてみても、いいとおもう。でも」
『ご主人様』がどのような人物なのか、畝傍は知らない。
もしかするとお互い、思い違いをしているかもしれない。
だが、例えそうであったとしても、畝傍の決心は揺るがない。
「ボクはそれまで……『生きている炎』を呼ぶ方法をさがすよ。もしものときのために」

石蒜 > 「そうですか、ええ、ええ、それでも構いませんよ。」大丈夫、きっと大丈夫だ、ご主人様は絶対だ、『生きている炎』とやらにも負けるわけがない。返り討ちにして畝傍も歪めて仲間にしてくれるだろう。
「それじゃあ、えへへ。そうだ、私はけいたいたんまつを買わないといけないんでした。今日はもう遅いから、一旦別れましょう。手に入れたら連絡して、ご主人様に会う日取りも決めましょう。楽しみですね、えへへへへ。」畝傍も本当に仲間になると信じこんで、楽しげに話す。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「……そうだね、今日はもう、わかれよう。……じゃあ」
そう返答する畝傍の表情は暗い。今まで石蒜の前では見せたことのない顔だ。心なしか、声までも同様に暗い印象を受ける。
それ以上、今の畝傍から石蒜に向けられる言葉はなかった。
唯一の希望となるかもしれない『生きている炎』。しかしそれを呼び出す手段は失われているとされる。
だが――禁書庫ならば、あるいは?畝傍は考えていた。
右腕に狙撃銃を、左腕に本を抱え、橙色の少女は足早にその場を後にしたのだった――

ご案内:「打ち捨てられた祠」から畝傍・クリスタ・ステンデルさんが去りました。<補足:短いブロンドの髪と赤い瞳、オレンジ色のボディスーツ姿。狙撃銃を携帯>
石蒜 > 「ええ、それじゃあ。また会いましょう。またね。」いつもよりオーバーな動きで手を振って見送る。
石蒜 > 「く、くくくふふふ、仲間になる。畝傍が、仲間に……」その期待だけで笑いが、喜びがこみあげてくる。抑えきれず、身を折って笑う。
「ウフフフフフフ、アハハハハハハ!!」夜の宗教施設群に壊れた笑い声がこだました。

ご案内:「打ち捨てられた祠」から石蒜さんが去りました。<補足:黒髪に漆黒の巫女装束の少女>