2015/06/25 - 23:06~01:11 のログ
ご案内:「食堂」に桜井 雄二さんが現れました。<補足:不燃不凍のスーツに身を包んでいる。(乱入歓迎)>
桜井 雄二 > 食堂に男が姿を見せる。
いつものスーツ、いつもの無表情、いつもの食材、そして。
いつもの料理を作るはずだ。
「キッチン、使わせてもらうぞ」
誰に言うでもなく呟き、前もって冷蔵庫に入れておいた白ごはんを取り出す。
桜井 雄二 > 夕方、男が一人で作る料理はチャーハン。
男は異能ゆえに火の温度を完璧に管理できる。
材料さえ揃っていれば―――――完全なるチャーハンができる!!
「にんにくはみじん切り、玉ねぎは粗くみじん切り、ソーセージは幅2~3mmで斜め切り」
「缶詰のコーンは水気を切っておく」
半端な水気などチャーハンには不要だ。
冷やした白飯の中に水分を閉じ込められればそれでいい。
桜井 雄二 > 「バター! にんにく! たまねぎから鍋へ入れる!!」
「以降、『マジで?』というくらい強火でいく!!」
「無論、温度の調節は異能による熱視界によりプラスマイナス2度の誤差だ!!」
それにしても料理中によく喋る男である。
彼は普段、ぱっと見や対応から氷の男と称されることがあるが。
実際は天然の入った、真面目だがちょっとIntの低い兄ちゃんである。
男子寮住まいの学生なら彼の奇行を目撃したことも一度や二度ではあるまい。
桜井 雄二 > 「たまねぎがその身を半透明にする頃にコーンとソーセージを投入ッ!」
「以降、軽く熱が通るまで3分21秒……いや、3分19秒ッ!!」
彼の紅い右目が爛々と輝く。
「経過―――――ごはん投下ッ!!」
「味付けに塩と顆粒のコンソメを追加!!」
「あとは中華なべを振りながら全体に火を馴染ませるッ!!」
断っておくが彼は一人である。
食堂内にいる学生たちも『また桜井か』という表情で半ば以上諦めている。
桜井は独り言の多い男である。
ご案内:「食堂」に湖城惣一さんが現れました。<補足:どなたでも乱入歓迎。身長181cmの痩せぎすで目つきの悪い男。勘違いしたような和装ベースのファッション。横一文字に傷痕の残る腹を丸出し。>
湖城惣一 > ぐぎゅるるる。
腹の虫を鳴らしながら食道に足を踏み入れる不審者が一人。
和装ベースの奇妙な服装、腹筋を見せつけるが如き装い。
腹には真一文字の美しい傷が刻まれている。
名を、湖城惣一。いかにも空腹といった顔色で扉を開けると、暴力的なまでの香ばしい香りが腹に直撃する。
「……これは、まずい」
戦慄。その香りに胃袋が活性化し、男の体力を全力で奪っていく。
桜井 雄二 > 「ご飯がパラパラになってきたな…」
「水分を米粒の一つ一つに封じて外側がコーティングされた最高のコンディションだッ!」
なお、諸説あるがパラパラのチャーハンはあくまで日本人の好みである。
「ここに醤油で最後の味付け! というやつだッ!!」
「中華料理であるチャーハンの味付けに醤油というのもおかしな話だが、とにかく醤油だ」
「ここで完成かなぁ……フフフフ、自分のことながら完璧な出来栄えだ」
「ダメ押しに乾燥パセリを散らせておくとしよう」
料理を終えて食堂のテーブルスペースに行くと。
「あ……」
腹の音を鳴らしている奇妙な服装の男。
「……腹が減っているのか?」
湖城惣一 > 「ああ……少々限界でな」
元々、日常を貧血・飢餓状態で過ごしている男だ。
限界まで酷使された肉体は明らかに栄養を求めていた。
たまらず、普段はあまり利用しない学生寮に飛び込んだのだが――。
米の一粒一粒に火が通ったようなパラパラのチャーハン。ほのかに香る醤油の香り。
べちゃっとした焼き飯とは一線を画すその出来栄え。
食にこだわりの薄い男ですら、ややも腹を鳴らしてしまうのは仕方がない。
「何か食べようと思っていたところだが……」
桜井 雄二 > 「そうか、限界か………」
沈思黙考。ここで自分の腹を満たすのは簡単だ。だが。
「よかったらこれを食わないか? ガーリックバター焦がし醤油チャーハンだ」
「それとも、もっとおかゆのような胃に優しいものがいいか?」
皿とスプーンをテーブルに置いて対面に座る。
「俺は生活委員会だ。困っている人をそのままにはしておけない」
湖城惣一 > 「……む」
しばし、停止。魅力的な提案だ。嗅げば嗅ぐほど腹は減る。
改めて目を閉じてたっぷり十秒。己の活動限界と諸々にかかる時間を冷静に弾きだしたあと。
「かたじけない。有り難く頂戴しよう」
頭を少し下げ、座り込む彼の対面に己も腰掛ける。
「俺は湖城惣一。一応はここに居を構えてはいるが……事情があってな。あまり男子寮に顔を出しては居ない」
世話になる以上、名乗るぐらいはしておこう、と。竹刀袋をすぐ近くに立てかけながらもう一度頭を下げた。
桜井 雄二 > 「湖城惣一か。俺は桜井雄二、生活委員会で、怪異対策室三課の新人だ」
「食えるのであれば食ってくれ、人に料理を食べてもらうなんて久しぶりだけどな」
座ったまま彼の容姿を見る。
「……金欠なのか? 奨学金制度や常世の学生を優遇するバイトもあるが」
「非礼に当たらないのであれば、事情を聞かせてほしい」
胸ポケットからメモ帳とペンを取り出しておく。
相手の事情は込み入っているかも知れないからだ。
湖城惣一 > 一匙チャーハンをすくい、口へと運ぶ。
「こ、これは……!」
鋭く細められた瞳が見開かれる。う、美味い。完璧なチャーハンだ。
素晴らしい出来だ。賞賛されるべき出来栄えではなかろうか。
思わずスプーンが進みそうになるが、ひとまず、この恩義を返すのが先だろう。
「怪異対策室……」
なるほど、広義の意味で言えば同業だ。
実力を買われ常世財団に依頼され入学した嘱託委員であるが、その本業は退魔である。
「金はあるが、俺の扱う術が問題でな」
チャーハンをたっぷり咀嚼しながらゆっくりと話していく。
まず、自分の立場。風紀・公安に所属しながら、彼らの太刀打ちできない相手にカウンターを仕掛けるための最終的な抑止力であるということ。
次に、己の術は神に命を捧げることで"神域"へと潜るものであるということ。その際、それによって性能を落とさぬよう生き血を神に奉納する必要があること。
それが原因となってこのような状態に陥ることがままにある。
「自業自得といえばそれまでの話だな」
口に物を入れながら喋ることもないし、食事はよく噛んで飲み込む派である男は、たっぷりと時間をかけながら説明していっただろう。
桜井 雄二 > 「美味いか? ならよかった」
無表情に男はシャーペンを持つ。
「……実はチャーハンくらいしかまともに作れる料理がなくてな、肝心のこれも飽き気味だ」
「怪異対策室といっても、公権である一課や二課と違って私設組織だから規模は小さい」
「それでも精一杯、できることをやっている」
男の話を聞きながら、黙って頷くことで相槌の代わりとしながら話をメモに記入していく。
「なるほど、風紀と公安に……それは大変だな」
「生き血を神に捧げるのであれば、体力の消耗も頷ける」
「ここから先は俺の話をする、食いながら聞いてくれ」
男は咳払いをして、どこから話したものかと悩む。
「手短に話すぞ。俺か川添孝一という男に頼めば飯くらいすぐに用意する」
「消耗が激しすぎて命の危機を感じたらこの番号に電話してくれ」
「……まぁ、俺も川添も忙しいからな。繋がらないこともあるだろうが」
「ないよりはマシのお守り程度にこの番号を持っていてくれ」
「これも生活委員会の仕事だからな」
そう言ってペンを一度ノックした。
湖城惣一 > 「ふむ」
チャーハンしかまともに作れないとはいうが、
このチャーハンはなかなかの出来栄えだ。
ここまでこだわりを持てるならば他のものも作れるのでは?
そんな思いが脳裏をよぎるが、多くは口にしない。
「川添孝一に、桜井雄二か」
川添に関しては、委員会の報告で名前だけは聞いたことがある。
実際に遭遇したことはないし、具体的な事項については忘却してしまったが。
「ありがたく受け取っておこう」
メモを受け取ると、こちらも一枚の紙片を差し出した。
「ならば、俺の連絡先も。……俺は、学生である前に本業は退魔でな。
これは委員会は関係無い故、何か厄介事があれば手を貸すとしよう」
桜井 雄二 > 「ああ。川添孝一は風紀であれば悪名もあるかも知れないが」
「今は更生して真面目に勉強と委員会活動をしている」
「話せばわかる人間だ、頼ってやってくれ」
紙片を受け取り、その連絡先をポケットに入れる。
「退魔か………なぁ、湖城惣一。幽霊の類は退治できるか?」
「怪異対策室三課は怪異への対策・対処を謳っておきながら、幽霊は超ニガテだ」
「もし、湖城惣一が幽霊騒ぎに対処できるなら頼りたいのだが」
ダメで元々、話を聞いてみる。
湖城惣一 > 「承知した。……なに、俺はあまり物事に頓着しないタチでな。
その川添という男の悪名も知ったことではない」
目を細め、息を吐いてそちらの目を見返したあと。
「実際に会ってみてどうなのか、というだけだ」
つまり偏見はないのだと、訥々と語る。
あまり喋ることは得意ではない男だが、とにかく真っ直ぐに話すのが男の在り方だ。
「ふむ」
続く問い。幽霊は退治できるか、という言葉。それには一も二もなく頷いて。
「無論だ。有形無形問わず対処できねば、怪異を相手取るには些か厳しいものがあるだろう。
……どういった対処がいい? ある程度の対処を教示することもできるし、手を焼く物件なら、直接斬りにいってもいいが」
桜井 雄二 > 「そうか、よかった……」
「話は変わるが、俺は友達が少ないんだ」
「川添孝一もその少ない友人の一人だ。湖城惣一が拒絶したら少しだけ悲しい」
満足げに頷いてメモ帳をぱたんと閉じる。
「敵対的怪異であれば斬る、そうでなければ対話がしたい」
「湖城惣一がその手の怪異の対処に協力してくれるなら…とても助かる」
「飯で釣ったようで悪いな、この程度のチャーハンでよければ何回でも何種類でも作るから許してくれ」
シャーペンを仕舞って、無表情に右掌を見せる。
「怪異対策室三課に貴重な協力者、かな」
湖城惣一 > 「生憎と俺も友人が少ないものでな」
湖城惣一という男は、お世辞にも付き合いやすい人間とはいえない。
しかしながら、目の前の真摯な態度の彼が友人と称する、川添という男には好感が持てる。
「いずれ、見かけることがあればこちらからでも声をかけてみるとする」
などと言っては、一度頷いた。
「対話か……なるほど。魂を鎮めるのは領分でもある。専門分野ではないがな」
許すも何も、ない。少なくとも目の前の彼に恩義を感じたのは事実である。
筋を通すか、通さないか。ただそれだけの単純な話で。
「ああ。俺にできることがあれば協力しよう。いつでも声をかけてくれ」
桜井 雄二 > 「そうか、じゃあ俺と友達になってくれ」
唐突に、しかしはっきりとした物言いで告げる。
「友人が少ない者同士だ、きっと馬が合う」
無表情だが、彼は冗談で言っているわけではない。
「ありがとう、湖城惣一」
「実体を持たない怪異に対しては全く手が出せなくて困っていた」
「これからその手の怪異に困ったら遠慮なく連絡するよ」
湖城惣一 > 「――――」
惣一という男は、直截的な物言いを好んでいたし友人と知人の間が分からない男でもあった。
しかしながら、こうもすんなりと友人を願い出る相手も初めての手合であった。
「相分かった。これから君と俺は友人同士だ」
数少ない、常世学園における友人。その中にしっかりと彼の名前を刻む。
「できる限り君の力になろう。場合によっては多少なり対価をもらう必要があるだろうが」
言いながら、とうとう炒飯の最後の一口を食べ終えた。
「うむ。実に美味かった。馳走になったな、桜井」
桜井 雄二 > 「よかった、それじゃこれからよろしく頼む、湖城惣一」
顔は相変わらず、しかし声音は嬉しそうに言う。
男にとって生活委員会の仕事も、怪異対策室三課の戦いも、友達作りも、そのどれもが大切だ。
「対価なら仕事に見合う分は払えるはずだ」
「怪異対策室三課としても仕事が十全にできるかどうかの瀬戸際だからな」
チャーハンを食べ終わった湖城惣一に満足げに頷く。
「お粗末様だ、湖城惣一。では俺は洗い物を済ませるよ」
「また今度会う時があれば、ゆっくり話そう……友達だからな」
そう言って男はチャーハンの皿とスプーンを持ってキッチンに戻る。
友達という響きに、どこか嬉しさを感じながら。
ご案内:「食堂」から桜井 雄二さんが去りました。<補足:不燃不凍のスーツに身を包んでいる。(乱入歓迎)>
湖城惣一 > 去りゆく彼に挨拶を済ませ、手持ち無沙汰な手で自分の顎を撫でる。
「友人、友人か」
彼の言葉を咀嚼するようにつぶやくと、ゆっくりと立ち上がった。
幾つかお守り代わりの品を作っておくべきだろう。
竹刀袋を片手に、無表情な彼が、僅かに笑んだ。
ご案内:「食堂」から湖城惣一さんが去りました。<補足:どなたでも乱入歓迎。身長181cmの痩せぎすで目つきの悪い男。勘違いしたような和装ベースのファッション。横一文字に傷痕の残る腹を丸出し。>