2015/06/26 - 03:53~03:46 のログ
久藤 嵯督 > (なーにが可笑しいのやら……)

個人の感情にケチをつけることもあるまいと、ついつい浮かんできた考えを振り払う。
ワイルドに口元をぬぐう事務員を見れば、「やっぱりハンカチ渡しとけば良かった」と思い直す。
そんな状態で色々な物に触れられると汚い。物品の劣化も激しくなるのでちゃんと拭かせるべきだった。

「俺は死ぬほどやり合いたいんだがね……何もしないよりかは良いんだろうが。気が向いたら呼んでやるさ。
 ……ご忠告どうも。しかし残念ながら、俺は布団派なんだ」

揺れる三つ編みを見送れば、連絡先の書かれた紙に目をやる。

(……周波数で書かれてない)

今時アナログ無線で会話するような男は、携帯電話を持っていなかったのだ。

久藤 嵯督 > その後は次の留守番組が来るまで、ピアノ線で戯れていたという。
ご案内:「風紀委員会 本部」から久藤 嵯督さんが去りました。<補足:表情を一切崩さない白髪の男。刃のような目付き。中肉中背。制服の上に黒いコート、風紀委員の腕章を付けている。>
ご案内:「委員会街」にアルフェッカさんが現れました。<補足:女/見た目17歳/171cm/79kg/銀髪紫目。しなやかな身体つき、巨乳。触られても分かりませんが、立派なロボ娘です。>
アルフェッカ > ワンピースの上にパーカー、ジーンズにローファー、ハンチング帽の少女が、委員会街を歩いている。
その手には、一部のパンフレット。
「常世学園について」というタイトルがつけられている。

「――ふむふむ、ここでは「委員会」が省庁に該当する、と。」

ぺら、とパンフレットに目を通し、一人呟く。
学園の紹介用として配布されているらしいものを、一つ抜き取って来たのだった。

「入学案内…少し違う気がするけど、これは「生活委員会」にいけばいいのかな…。」

アルフェッカ > 生活委員会、生活委員会…、と呟きつつ、帽子の少女は委員会街を進む。
制服を着ていないので、もしかしたら目立つかも知れないが…これはもうどうしようもない。
誰かに何か聞かれたら、入学志望で資料を探しに来たとでも言ってごまかそう。

(半分は嘘じゃないし…うん、多分大丈夫。)

アルフェッカ > 「生活委員会…生活委員会…… ! あった、あそこだ!」

目的の文字が掲げられている建物を発見する。
後は中に入って何かしらの情報を聞きだすなり、さっきみたいにそれっぽいパンフレットか資料を手に入れればそれでよし。
努めて平静を装いつつ、アルフェッカは建物へと近づく。

(やましい事がある訳じゃない…ただの尋ね事、あるいは資料を貰うだけ! 問題ない!)

アルフェッカ > 『いらっしゃいませ、生活委員会に何かご用でしょうか?』
「あ、あの、此処への入学についての資料か何か、ありますか?」
『入学希望でございますか?』
「あっ!? い、いえ、まだ詳しく決めてなくって! で、資料とか見て、決めたいなぁって!
あ、私じゃ無くて…親戚! そう、親戚の子が!」
『――かしこまりました。入学についての資料ですね。少々お待ち下さい。』



しばしの後、生活委員会窓口から、ハンチング帽を被った少女が軽い足取りで出て来る。
胸に、書類の入った大型の封筒を抱えて。

封筒には「常世学園入学案内」と印字されている。

アルフェッカ > 「いやー、よかったよかった。とりあえず資料は確保、と!
後は、これをもうちょっと詳しく確認してからかな。」

独り言もつい弾む。

「――資料を見てからでないと何とも言えないけど、情報が足りなかったら、また来て詳しく確認すればいいかな。」

思った以上にすんなりと事が進み、特に怪しまれた様子も無かった為、此処に来る前より随分と気が緩んでいる様子だった。
そのまま、軽い足取りで委員会街を立ち去ってゆく。

ご案内:「委員会街」からアルフェッカさんが去りました。<補足:女/見た目17歳/171cm/79kg/銀髪紫目。しなやかな身体つき、巨乳。触られても分かりませんが、立派なロボ娘です。>
ご案内:「風紀委員会本部会議室」に五代 基一郎さんが現れました。<補足:特殊警備一課の制服。>
五代 基一郎 > 「では刑事部と警備部での合同で本案件に対処するに辺り
 刑事部より推薦のあった委員より選抜された一名に……」

立体的なディスプレイ上のは
案件に関する対象者。そしてそれに対処するための人員の
プロフィール等が映し出されている。

「本案件は対象に関する本部を設立の後に、選抜者による部隊を編制することが最善の対処ですが
 現在まで続く他の案件や先の件から続く社会秩序への不安を助長しかねないこともあり
 選抜者のみによる捜査が妥当とされます。」

五代 基一郎 > ディスプレイに映し出されているのは
”既に終わった組織”(ロストサイン)の幹部とされていた者達。
しかしそれらは組織を抜きにしても、凶悪犯罪者と言える存在である。

これらを表立ってどうこうするには現在はまだ早すぎる。
風紀に対する攻撃的な凶悪犯罪者や、先の事件の混乱もまだ尾を引いている。
それに現在進行形で不安とされる案件がいくつか存在する。

そんな中で2年前の一件を穿り返すようなことを公的に表立って進めれば
この学園に幾つ危機があるんだ、治安はもうだめだと
治安維持組織の機能不全を認めることに他ならない。

故に刑事部が捜査としてではあるが、凶悪犯罪者に対する
威力的な捜査として対処するのが現状は好ましいと判断された。

最も小数での編成どころかほぼ選抜者一人に任せるのだから
相当に慎重な対応と
最大限の装備の用意が必要とされる。
必要なことではあるが、風紀の人間を捨て駒にするわけにはいかない。
現状ではここまでしかできないが、死なれたらそれは風紀の敗北も意味している。

「よって選抜者の中から先の案件での功労者でもある
 レイチェル・ラムレイを任命したいと思います。」

五代 基一郎 > 犯罪あるところに遭遇、というより自ら行き
名も通っている。選抜者の中から任命されるのも納得できる
十分な理由がある。

今回の任命により警備部、それも
特殊警備一課で研究されている装備の使用も許可される。
風紀の一般委員に許可が下りる装備よりも強力なものだ。
それらを以って、捜査という名の攻撃にうって出る。

軍的な言葉で言いかえれば”威力偵察”である。
最も対象を撃破することを目的とはせず削ぐ、または調査することを目的とするものだ。
対象とする者達にそれらが出来るのは、風紀の中でも少なく
故にレイチェル・ラムレイが推挙された。

「では特殊警備一課第二小隊から試作装備や特殊装備に関する
 説明等を行うように。」

以上、と警備部長によりこの会議は締めくくられる。
第一小隊はそも控えているし出動の可能性もある。
故に空いている第二小隊がこういう時に働くのである。

五代 基一郎 > 正式な辞令は今日にでも出る。
それら書類とレイチェル個人への通達と連絡を取り
装備の受理や選定に入るだろう。

これにより混乱が広がるか、終息に向かうかという段階ではない。
というよりも政治的に近い駆け引きが必要な
組織的な情勢ではないが故に出来ることだ。

書類とデータを纏め、他の風紀の幹部役員が退出する中で
一人残り。一番最後にその会議室を後にした。

ご案内:「風紀委員会本部会議室」から五代 基一郎さんが去りました。<補足:特殊警備一課の制服。>
ご案内:「生徒会本部内休憩室」に正親町三条楓さんが現れました。<補足:式典委員長。黒髪姫カット、巨乳。>
正親町三条楓 > あわただしく人が駆けて行く音がする。
どうやら、落第街方面で何か起きたらしい。
それも、かなり大規模な事が。

もっとも、正親町三条楓には関係がない。
彼女は落第街の事など考えた事はなかった。
当然だろう――そんな街は『存在しない』のだから。

「――ふぅ」

紅茶が美味しい。
もっとも、スイーツまでは揃えてないのがここの欠点だ。

正親町三条楓 > 生徒会の公安担当が駆けて行く。
それに風紀委員も。
というと、治安面での問題か。
やれやれ、毎日物騒な事だ――

「お仕事頑張ってくださいねぇ」

まるで他人事のように呟く。
自分で持ってきたクッキーを一口。
なかなか上手く出来たようだ。美味しい。

正親町三条楓 > 誰も式典委員である彼女には話しかけない。
まったく、この件で式典委員の出番があるとすれば被害者の合同葬儀の時くらいだろう。
楽で結構な事だ。

「――この日常が変わる事なんて、あるわけないですよねぇ」

あぁそうだ。
この日常が、常世島が、変わるわけないのだ。
それでも変える事を夢見た愚か者――西園寺偲。
あのような輩は、二度と出ないようにしなければならない。

「頼りにしてますよぉ、風紀と公安の皆さん」

正親町三条楓 > 紅茶を飲み、クッキーを食べる。
その顔はまるで「あぁ、今日も平和ですねぇ」と呟きそうなほど、緩い。

そう、西園寺偲が打破しようとした体制。
無関心と平和の名を借りた抑圧――
楓に代表される「パワーゲームの結果の平和」の信奉者にとっては。それが学園の平和の全て。

「……あ、ちはや君とのデート、何を着て行きましょうか~♪」

正親町三条楓 > 人の出入りが慌しくなってきた。
特に公安関係者が多いように見受けられる。

――また公安か。
まったく、終わった後バランス調整をするこっちの身にもなって欲しいものだ。
内部処理をするのはいいが、もう少しスマートに出来ないものか。

(――西園寺偲を焚き付けた私が言う事でもないですね~)

正親町三条楓 > ここで彼女のタブレットにメールが入る。
どうやら関係各所にようやく情報が行き渡り始めたらしい。

――公安委員の一部が暴走。
落第街で『門』を開こうとしている。

つまりはまた公安の暴走というわけだ。
マジメな人間ほど、ストレスを溜めると暴発しやすいのだろうか。
風紀は普段から暴走しているようなものだから、決定的な事件を起こさないのかもしれない。

などと益体もない事を考えながら、楓は考える。

「――さて、どこを落とし所に持ってきましょうかぁ」

正親町三条楓 > 風紀委員会は動かず。
まぁ、この件に関してはノータッチだろう。彼らとて天秤を傾けすぎる事は望まないだろうし、下手をすれば生活委員会あたりから公安・風紀纏めて糾弾されるネタを作るだけだ。

公安委員会はあくまで『公安内部の問題』で事を済ませるつもりだろうし、そうでなくては困る。
ただでさえ先の事件で公安の力は落ちている。これ以上はまずい。

生活委員会はいつも通り、内部の局内での調整中。
巨大な機構は意思の統一に時間がかかるゆえ、こういう突発的な事件に介入する事をあまり望まない。
今回の事件での被害補填に関する事を取り仕切ろうとくらいしか考えないだろう。

図書委員会。そもそもこの非常時に連絡員さえ寄越していない、我関せずを貫いている。まぁそうでしょうね。

式典委員会はテストが終わった後の海開きの準備中。
スイカ割用のスイカが足りないと悲鳴を上げてた。
そんな足りなくなるまで割る気か、あいつら。


さて、ここまではいい。
大方予想された事ばかりだ。ただ、問題がひとつだけある。

今回の件で、島内の列車が運行を停止した。
これに関して鉄道委員会が確実に抗議をしてくるという事だ。

正親町三条楓 > 鉄道委員会。
島内を走る鉄道の全運行、管理を任されている委員会。

彼らは島内で起こる事件にほとんど関わろうとしない。
――それに鉄道が絡まなければ。

ただ問題は、何か事件があって鉄道の運行が阻害されると、烈火の如く怒り狂う事だ。
1分遅延が出れば悲鳴を上げ、3分運行停止すれば誰かのクビが飛ぶと揶揄されるほど、彼らは運行スケジュールに気を配っている。
今回、常世島の鉄道を一部運行停止する事態を引き起こした事に関して、確実に抗議してくる。


(で、何処にババを引いてもらいましょうかね~)

正親町三条楓 > まったく頭が痛い。
鉄道委員会は、確実に今回の件に関して責任の所在を求めてくるだろう。

つまり、誰かを吊るしあげろ、もしくは予算を寄越せ、という事だ。
何処かがミスをしたらそれを徹底的に追求し己の利とする。
その駆け引きを行わなければ舐められるだけだ。

(――はぁ、面倒ですねぇ)

楓はひとつ溜息をつく。
彼女の中では公安がどうのこうの落第街がどうのこうのより、差し迫った問題なのだ。

正親町三条楓 > そして正親町三条楓は考えるのをやめた。
彼女は所詮調停者。バランスは取るが、そもそも委員会同士が話し合って決着をつけてくれるならそれ以上の事は無い。
鉄道委員会とは当事者同士で話し合ってもらえばいい。


さて、クッキーも尽きた。
そろそろ行くとしよう。
そしてゴミを捨て休憩室から出て行く彼女は、ぽつりと漏らした。

「――そういえば、暴れた公安委員って誰なんでしょうね~?」

ご案内:「生徒会本部内休憩室」から正親町三条楓さんが去りました。<補足:式典委員長。黒髪姫カット、巨乳。>
ご案内:「公安委員会の一室」にクロノスさんが現れました。<補足:簡素な服に手錠、足枷。 >
クロノス > 一連の騒動の後、彼女は公安委員会に回収され、
『裁判を待つ』という名目でその一室に幽閉されていた。
どちらにしても『職権乱用』の上に『大量殺人』まで犯している。
自分自身が口にしていた通り、『死刑』は免れないだろう。

そう思いながら、彼女は暗がりで目を伏せた。
―――死ぬまでの間に見る甘い夢。これまでの思い出を、振り返るために。

残された時間を、最大限に幸せに過ごす為に。

クロノス > 先の戦闘で疲弊しきっている、
頭はゆっくりと薄いまどろみの中に落ちて行く。
いつもの甘い夢が終わって、目が覚めれば、自分は死ぬ。

眠りたくない、という思いと、
眠ってしまいたいという思いが、
彼女を薄いまどろみの中に留めていた。

『―――まぁ、偲様の所にいけると思えば、
    それはそれで幸せなのかもしれませんね。』

彼女の手枷のはめられた手が、帽子を探して泳ぐが、
その帽子は既にここには無い。

配属された時に彼女に被せて貰った、大事な帽子。
あの帽子は、衝突の時に焼けてしまっただろう。

―――諦めるように、目を伏せる。
彼女を思いながら、甘い夢に落ちて行く。

クロノス > ふとその甘い夢に滑り込むように、
最近知り合った『二番目に大好きな子』の顔が浮かんだ。

そうだ、私は『まだ』生きている。
あそこまでの大罪を犯してなお、私はまだ、生きている。

『猿の手の持ち主は、大きな代償を払って日常に戻れる』
―――彼女はそう言った。

『まだ、死にたくない。』

ぎりっと歯を食いしばる、頬を、ゆっくりと涙が伝った。

『まだ、死にたく、ない。』

彼女はゆっくりと身体を起こす。

『―――やっと彼女以外に、好きな人が出来たんですから。』

魔術と異能を封じる手錠と足枷が、ちゃりっと音を立てる。
ふらふらと扉に寄ると、食われ、片腕になった手をかけた。

『あの子に私と同じ思いをさせるわけには行きませんから。』


―――開くわけも無い、その扉に。

クロノス > 意外な手ごたえが、彼女の手に帰ってくる。
その『空かないはずの扉』は、何故か何事もなく開き、
彼女の居た暗い部屋に、外の電灯の光が差し込んだ。

それは彼女の死にたくないという思いが生んだ『奇跡』なのか、
その扉にはかかっているはずの『鍵』がかかっていなかった。

彼女はいぶかしむ間も無く、その扉から外に出る。
何故か、居るはずの見張りもいない。

『助けてあげようか?』
最近聞いた五代のその言葉が、思い返される。

―――彼女は、ただ外に走った。
その、無いはずの『奇跡』に縋って。

ご案内:「公安委員会の一室」からクロノスさんが去りました。<補足:簡素な服に手錠、足枷。 >
ご案内:「公安委員会 第二特別教室『調査部別室』本部」に薄野ツヅラさんが現れました。<補足:赤いジャージにヘッドフォン。右手に金属製の前腕部支持型杖。左腕には公安の腕章。>
薄野ツヅラ > 普段通りに流れ始めた高速。
なにもなかったかのように『何時も通り』の様子を見せた街は、静かにまた動き始める。
タクシーに乗り込み落第街に向かう予定だった彼女だが、何を思ったのか公安の教室に来ていた。

ついこの間、上司に抱きしめられて泣いたこの教室に今はひとり。
部屋の温度が、初夏にしては随分と低いように感じた。

薄野ツヅラ > 「───ひとりになっちゃった」

誰に云うでもなく、ぽつりと言葉が零れる。
一人にしないでと云ったのに。
あの上司は自分を置いて一人で好き勝手に行ってしまった。
何処に所属することもないと大口を叩いていた自分を公安に引き抜いた上司は。

「だから公安の人間は嫌いなのよねェ──……」

必死で悪態をつく。
両の眼に涙を湛えて、ぐしゃぐしゃな笑顔を浮かべながら。
第二特別教室はどうなるのだろう、とぼんやり思案する。
誰もいない教室の椅子を引く。

薄野ツヅラ > 椅子に座って、机に突っ伏す。
────普段上司が座っていた席に座って身体を机に預ける。

「……生きてるか死んでるかくらいは此処に居れば入ってこないかしらぁ」

高圧的で、余裕綽々の笑みをいつも浮かべて。
白い髪に血のように赤い双眸。
癖のように何時も帽子の鍔を引いていた彼女を思い出す。

「────あッは」

特徴的な笑い声が、乾いた教室に反響する。
一人の教室は、随分と広く感じた。
思考は堂々廻りを続けるばかり。不意に目眩に襲われる。