2015/06/28 - 23:44~03:15 のログ
ご案内:「実習区/隔離訓練施設」に焔誼玖杜さんが現れました。<補足:長袖セーラーにマフラー。前髪をヘアピンで留めた黒髪。表情に乏しい。>
ご案内:「実習区/隔離訓練施設」に畝傍・クリスタ・ステンデルさんが現れました。<補足:短いブロンドの髪と赤い瞳、オレンジ色のボディスーツ姿。散弾銃を携帯>
ご案内:「実習区/隔離訓練施設」に風間蒼介さんが現れました。<補足:忍者/赤いスカーフ/忍び装束>
焔誼玖杜 > 【重々しい扉を開き、施設に入る。
そこは広々としていたが、一面を壁と天井に覆われ、それらもすべて特殊な加工を施された施設。
足元はグランドのように土が敷かれていたが、その下にも壁や天井と同様の処理が施された床がある。
そんな、干渉を受けないための施設に、玖杜は二人を連れてやってきた】
「……ここでなら、周りに気を使わないですみますので」
【中央までゆっくりと歩いていき、二人を振り返る。
赤いマフラーが尾のように揺れた】
畝傍・クリスタ・ステンデル > 「…………」
玖杜の言葉を聞き、ここまでの道中で若干緩んでいた畝傍の表情が再び真剣なものに変わる。
その右手には、禁書庫で受け取った呪文のメモがしっかりと握られていた。
風間蒼介 > また…ずいぶんと物々しい場所を選んだでござるな
(それだけ危険なものなのか、秘匿性が高いものなのか
彼女の態度から推測されるのはその両方
頭の中のスイッチを切り替え深呼吸、心と頭を冷やしこんでいく
もう、頭痛や吐き気の残滓はない)
焔誼玖杜 > 【二人の様子を見て、うなづいた。
その小柄な体に似合わない威圧感すら伴う真剣な表情……まあ単に無表情なだけなのだが。
ゆっくりと言葉を紡ぐ】
「まず、その呪文によって呼び出せるのは『生ける炎』……旧支配者《クトゥグア》と呼ばれる『神格』です」
【端的に、簡潔に。
推測や希望を含まないように、言葉を選んでいく】
「召喚の方法は、フォーマルハウトが地平線上に現れたときに、その呪文を三度唱える……それだけです。
けど、その際に『彼』は願われた通りにすべてを焼き尽くします。
それに、敵や味方の区別はありません」
【自身が体験した事実を下に語っていく。
そしておそらく、畝傍も知らない話へと続く】
「『彼』は願い事を叶える『神様』じゃありません。
その……メイメイと名乗った《ナイアーラトテップ》と同じ、旧支配者です。
だから……気まぐれでもなければ、誰かのために動くなんてことはありえないんです」
【それが、その呪文では『助けられない』と言った理由。
もし召喚されれば、誰も彼もが焼き尽くされて、誰も後には残らないだろうと。
そこで、玖杜は二人の様子を伺うように、一度言葉を区切った】
風間蒼介 > (またチリ…と痛みが走る
名は力を持つ、名が確かな知識として入り込んだ瞬間、血がざわめいた
風間の血がはっきりと言っている、危険だ、と
だから知っている、とその声をねじ伏せ)
だが…畝傍殿は一度その炎を使い、こうして生きている
そして焔誼殿も
(あの口振りからすると彼女はそれに属する力を扱えるはず
ならばと言葉を繋ぐ、反証ではなく、先を促すために)
畝傍・クリスタ・ステンデル > 玖杜が語る、呪文についての真実。それを聞いて。
「……わかった。ありがと、おしえてくれて。やっぱり……ボクは、あの呪文を使わなくてよかったのかもしれない」
畝傍は素直に情報提供への感謝の言葉を述べた後、しばし考え。
「だから、これはいらないかな」
クトゥグアと呼ばれたその神性を呼ぶ呪文が書かれたメモを丸めてしまうが、まだ捨ててはいない。
その後、畝傍から玖杜へ、気になったことについて尋ねる。
「ナイアーラトテップ……それが、メイメイの……あの神さまの、ほんとうのなまえ?」
すると、鳴羅門火手怖神というのは、あくまで伝承の中でその神性の呼び名が変わっていったにすぎないのか。確認せんとする。
焔誼玖杜 > 【風間の言葉には首を振って答える】
「私の時は、運がよかっただけなんです。
偶然と幸運が、重なり続けて、助かった……それだけです」
【もしあの時、あの声が止めてくれなかったら。
全身を熱で焼きながらも抱きしめてくれなかったら。
……そう過去の記憶を一瞬思い出し、もう一度頭を振る】
「そう、ですね。
今単純にそれを使うのは……きっと誰も望まない結果になってしまうでしょうから」
【その様子にほっとする。
使えないわけではなかったが……危険性を理解してもらう必要はあったのだ】
「はい、おそらくですけど。
少なくとも私が知っているのは、その名前です」
【そう畝傍の言葉を肯定し、そして再び話し始める】
「対抗手段として、呪文を使うのは有効だと思います。
それに相手が『混沌』でしたら……さっきの話と矛盾してしまいますけど、手を貸してくれる可能性も、あるはずです。
けど、今は普通に使っても条件が揃いません。
最悪……別の存在が現れて、もっと酷い事になることもありえます」
【召喚の失敗は、別の存在を呼び出しかねない。
アレは、いつでもその隙を狙っているのだ】
「ですが、その条件を埋める方法が、一つあります。
その上、手を貸してもらえる可能性が、ずっと上がる方法が。
……ここに来たのは、それを話したかったからです。
それが私が無事でいられた理由の一つで、畝傍さんに起きた現象にも……もしかしたら無関係ではないかもしれません」
【そこまで長々と重ねて、もう一度言葉を休める。
自分でももう一度整理するように、頭を働かせながら。
二人は、着いてこれているだろうか?】
畝傍・クリスタ・ステンデル > 「やっぱり……そうなんだ。鳴羅門火手怖……ナイアーラトテップ……うん。にてる」
そして、さらに玖杜が語ることにも、畝傍は聞き覚えがあった。
クトゥグアの召喚に際し、条件が揃わない詠唱によって現れる可能性のある、別の存在。
「…………ヤマンソ」
畝傍はその名前を知っていた。
禁書庫で呪文のメモを受け取った際に、老人から聞かされていたのだ。
「条件を埋める方法……それって、何?」
玖杜の言葉を聞いて、一度丸めてしまったメモを再び戻しつつ、畝傍は問う。
風間蒼介 > ……ふむ、つまり…
力を借りる相手、クトゥグアは人格神であると
そしてその気まぐれがゆえに単純に願いをかなえるような存在ではなく
しかして気まぐれであるがゆえに混沌の関わる出来事に気を向ける可能性がある…という事でござるかな?
して、その条件とは?
(焔誼の語った言葉を自分なりに噛み砕き
認識の違いがないか確認してから、その先を待つ)
焔誼玖杜 > 【畝傍の知識と、風間の理解力に驚かされつつ、安堵する。
ここまで着いてきてもらえてるのなら、ここから先も、おそらく大丈夫だろう、と】
「……方法は、『私を使うこと』です」
【目をとじ、二人に向けてそういうと、同時に玖杜は、『同調』に入る。
ふわり、と熱気が上がるように髪が揺れ、そこから火の粉が散った】
「私は、一年前、『彼』の召喚に利用されました。
召喚の生贄として、その触媒として。
その結果、私は『彼』と同調して、私自身が『彼』になりました」
【目を開ける。その瞳は黒ではなく……赤。
燃える恒星のごとき赤】
「私が触媒に選ばれた理由、そして戻ってこれた理由。
それは、私が生まれたときから『彼』と繋がっていたからなんです。
『魂の波長』それが酷似していた……いえ、『彼』と同じなんだと聞いています。
最初は何も気づかなかったんですが、私が十三になったときに、『彼』の声が聞こえたんです。
そして、私は異能に……『彼』の力を引き出す力に目覚めました」
【玖杜の髪が燃える。
赤いマフラーが燃える。
手足が燃える。
全身に炎をまといながら、玖杜は語る】
「だからこそ、私は召喚に利用されて……けど、今もこうして繋がったまま生きていられる。
その事件の後、私を保護した人たちから言わせれば……私は『彼』の『眷属』に成ったんだそうです」
【玖杜の変化はそこでとまった。
赤い瞳は、憂うような色を帯びて揺れ、二人に向けられる】
「だから私を……私の一部を使うことで、召喚の条件はある程度クリアできると思います。
ただ、これは私の居た世界での話しですから……ここでも確実だとはいえません。
けど……」
【そこで畝傍に視線を向ける。
おそらくもう、伝わっているだろう。
畝傍に起きただろう現象に対する、玖杜の心当たりに。
それが事実どうなのかはわからないが……その可能性はあると思えた。
違ったとしても、それならそれで安心できる。
玖杜自身は恨みも後悔もしていないが……自分のような存在は増えない方がいいのだから】
畝傍・クリスタ・ステンデル > 「……つまり」
全身に炎を纏った玖杜の姿、そして彼女の言葉から、畝傍は推察する。
「ボクも……クトゥグア……だっけ。それの『眷属』に、なってたかもしれないってこと?」
畝傍にも思い当たる節はあった。畝傍がその身に異能『九死一生』<デッド・ノット>を宿し、狂気に陥ったあの日。
彼女を捕らえ、命尽きかけるまで嬲り続けた男たちの末路を、畝傍は知り得ていない。
ただ、気がついた時には男たちの姿は消え、辺りには炎の残滓があっただけだ。
しかも、『九死一生』<デッド・ノット>は、祖国でのあの時と常世島に来てからのただ一度を除き、明確に発動したといえる状況に陥ってはいない。
「……もしかして。ボクも、あのとき」
自身に宿ったのは『避けられぬ死を避ける異能』などではなく――
『彼』の力の一部だったとしたら?畝傍はその可能性について考えていた。
風間蒼介 > (ざわり、ざわりと、奥底に何かが触れる
凪いだ湖面如く静かに、波濤の如く激しく、矛盾した感覚が内面を掻き回して行く)
……神降ろし、望まぬ事とはいえ自身を器として神性を招きいれた…
そういうわけにござるか
(赤く燃える瞳から目が離せない
今自分が覗き込んでいるのか、覗き込まれているのか、認識が曖昧になり始める
個という魂を覆う絶対的な結界を侵食しようとする神性…なるほど、これは危険だ、これは誰かに漏らすわけには行かない
意識と無意識のスキマから零れ落ちた何かが異能を発動、目に見える異能の風で全身を覆い、熱波と共に押し寄せる暴威に対抗する
これは自分の領分ではない
事ここに到っては自分に出来る事はない
そう、「今」は
だから「いずれ」に向け、この感覚を自分に叩き込む、この光景を自分に刻み込む)
焔誼玖杜 > 【玖杜はそのままうなづく。
それはどちらにだったか、両者にだったか。
ともかく、その直後に炎は霧散し、瞳の色は元に戻った】
「その可能性はあると思います、だから――」
【玖杜は目を閉じ、その呪文を唱える】
焔誼玖杜 >
ふんぐるい むぐるうなふ
くとぅぐあ ふぉまるはうと
んがあ・ぐあ なふるたぐん
――いあ くとぅぐあ
焔誼玖杜 >
【その呪文は三度は繰り返されず、簡略化されたもの。
しかし、玖杜の、そして二人の目の前に炎が生まれる。
それはゆらゆらと揺らめきながら、勢いを徐々に増していく。
そこに宿る神性もまた、徐々に大きくなっていく】
畝傍・クリスタ・ステンデル > 三人の眼前に炎が生まれると同時に、畝傍の肉体にも異変が起きる。
それは先日、打ち捨てられた祠で鳴鳴と交戦した時と同様の変化だ。
ブロンドの髪はやがて色彩を変転させ輝きながらなびく。その先端からは炎。
そして、眼帯の下の左目、両手首、両足首からも炎が溢れだす。
「これは……あのときの……?」
畝傍は自らの変化を再び目の当たりにし、その目と脳裏に焼き付ける。
風間蒼介 > これは……
(それは炎だった、ただそのものだった
原始的な破壊の象徴、全てを焼き尽くすもの
暴力的で根源的なものでありながら、そこには確かな意思を感じる
生きた焔という言葉がうちより湧き上がるようにして脳裏に浮かぶ
気が付けば印を素早く切っていた、異能の力を術式で精密操作
風に乗せた意を食わせる事で薄紙を重ね炎をせき止めるが如き作業に没頭する
引き伸ばされた時間の中、余波にしか過ぎないであろうそれを必死に耐え…受け流す)
焔誼玖杜 >
【炎はどんどんと輝きを増し、揺らめきを増し。
そして大きさは変えず、それでも膨張していく。
――そして】
焔誼玖杜 >
【ぽんっ、と気の抜けた音を立てて、炎がはじけた。
現れたのは……手のひらサイズの火の玉。
それに獣のような悪魔のような手足が生えている。
それが赤い瞳を巡らせ、牙の生えた口で……あくびをしていた。
神性は……一応感じられるかもしれない。微弱だが】
畝傍・クリスタ・ステンデル > 「……これが……『彼』?」
眼前に現れた小さな火の玉を眺め、問う。
畝傍はその火の玉にわずかな神性を感じると、
改めて『彼』の方向へと向き直った。
風間蒼介 > ……………は?
(は?と…今意識と無意識の完全一致というなんか知らんが極致達した気がする
達してしまった気がする
なんか知らんが二人ともシリアス持続しているので必死で堪えているが
今すぐずこーとか派手なリアクションがしたかった
これは何だ、ボケか、ボケごろしか。ボケによってボケを討つという神話的なアレだろうか
もったいない気がして風の異能を緩やかに解除し
忍者は一人、ぷるぷるとしていた)
焔誼玖杜 > 【これが? と言った視線を向けられると、その『彼』はふん、と鼻(?)を鳴らす。
そして二人に目をやり、それから玖杜に振り返る】
『お前の説明は無駄に長い。
最初から我を呼べばよかっただろう』
「話には順序があるの。
それより今の演出は何」
『お前に合わせて見たが、なんだ。気に入らなかったか』
【やや細まったじと目で見る玖杜に、『彼』はさも何てことなさそうに答える。
それに玖杜も、あ、そう。とだけ返して、二人に目を向けた】
「……そんなわけで、『彼』こと、《クトゥグア》です」
『普段は《フサッグァ》と名乗ってるがな』
【そう紹介されて、小動物サイズの火の玉は、四つの足でのんびり歩き、畝傍に近づいていった】
畝傍・クリスタ・ステンデル > 「あ……初めまして。ボクはウネビ。畝傍・クリスタ・ステンデルです」
ゆっくりと近づいてきた『彼』――クトゥグア、あるいはフサッグァ。
何はともあれ、まずは彼に自己紹介。今回は相手が相手なので敬語になり、しっかりと頭も下げる。
風間蒼介 > ………喋るんでござるね…
というか意思疎通できるんでござるね…
なんかもう見ただけで全身の穴という穴から出血して血と汚泥の交じり合った得体の知れないゲル状物質に成り果てるものだとばかり…
(後悔の念が遅れてじわりと染み出してくる
なぜ自分はもう少しマシな手を打てなかったのかと
なぜ自分はこの状況を予想することすら出来なかったのかと
くっそ一発ボケかましとけば良かったでござるよ!と)
あっるぇ…拙者一人空気読めない感じになってきたでござるよコレェ…
(なんかもう神聖な瞬間が訪れたかのように継続される空気に思わずぽつりと)
焔誼玖杜 > 『ほう、礼儀正しい娘だな。
……なるほど、確かに玖杜に近いものを感じる』
【いや、これは我か? と首(?)を傾げながら見上げた】
『ふん、我が完全に顕現すれば、貴様が我を認識する前に灰も残らん。
ツッコミが甘いぞ、小僧』
【えらそうに講釈たれるアレ。
実際まともに召喚されれば塵も残らないのだろうが。
ちなみにコレ日曜五時の番組を見るのが趣味である】
「……すみません。こんなので。
ですが、やっぱり、そうみたいですね」
【少しばかり申し訳なさそうな表情が玖杜に浮かび、しかしまた無表情になり畝傍を見る。
何がとは言わないが……おそらくそういうことなのだろうと】
畝傍・クリスタ・ステンデル > 「では……フサッグァ、さん……教えてください。あの時……ボクに異能を授けてくれたのは、あなただったんですか」
畝傍は問う。『九死一生』<デッド・ノット>の正体が彼の力であるのか、純粋に畝傍に発現した異能なのか。
それをはっきりさせておく必要性はともかくとしても、確かめたかったのだ。
「それに、ボクのこの姿は……」
以前は鳴鳴に対する強い怒りによって変異したため、激情がそのトリガーとなっているのではないかと畝傍は考えていた。
しかし、彼が顕現したことで、畝傍は怒りを伴わずとも姿が変化している。その点についても聞いておく必要があるだろうと判断した。
風間蒼介 > ……コズミックぷりちーなナマモノにツッコミの切れ味ダメ出しされたでござるよ……
いや、まあ似たような存在に中てられそうになった時のいい経験になったと思うんでござるけどね……
(しかし腑に落ちない…全くもって腑に落ちない
これがコミックの世界ならば「登場シーンのシルエットと全然違うじゃねーか!」とかそういう流れが挿入されるアレだろう
しかもなまじっか畝傍がマジメにやっているから自分がボケたらマジメな空気でなにやっとんねん自分的な印象を与えかねない
許されるならばかばんの中のプリッツ(トマト味)を鼻に突っ込んでやりたい
お亡くなりになられたと思われたシリアスさんは確かにそこに居る
そう信じて見守る、見守ろう、見守るべき
畝傍がフサッグァさんと名を呼ぶたびに、ふっすーと鼻からファンタジー的な何かが漏れ出るが我慢である
変身…いや変神状態に入ったのは希望であり、それを支えるだけの頼もしさとかっこよさを維持しているのでそこに意識を集中させる)
焔誼玖杜 > 『さてな。
……それは我であって我でない。
だが、お前は我に答えた。
であれば、お前もまた、そうなのだろう』
【ようやく、《フサッグァ》はまじめな調子で話す。
待ちくたびれたのは本心だったのだろう。演出を考えるくらいには】
『だが、まだそう繋がりが強いわけではないようだな。
いや、そのほうが幸せで居られるのだろうが……ふむ』
【畝傍を見、次いで玖杜を見た。
玖杜は首を振る】
「私とは少し違う。
私は抑えないと耐えられないけど……畝傍さんは引き出さないと使えない」
【そう言いながら、玖杜は口の中でだけ呪文を唱える。
すると、畝傍の変化は収まっていくことだろう。
力の根源は同じ、ならその制御もまた、同様に可能なのだ】
畝傍・クリスタ・ステンデル > 「……ありがとうございます。教えてくれて」
フサッグァに対して感謝の言葉を述べる畝傍。
その体の各所に起きていた変化が、玖杜の詠唱により元に戻りはじめる。
手首と足首、左目の炎は徐々に小さくなり、やがて消える。
そして髪の先から出る炎が消えていくと、色も元のブロンドになった。
「引き出さないと、使えない……」
つまり、何かしらのトリガーによって彼の力が引き出されないことには、畝傍は先程の姿にはならないということだ。
「ボクはあの時……異邦人街の祠で、あの姿になった時――鳴鳴に、『ナイアーラトテップ』に対して、怒りました。もしかして、その時の怒りみたいな強い感情の動きがないと……引きだされない、ってことでしょうか」
畝傍はさらに問うた。
風間蒼介 > (突如戻ってきたシリアスさんに今度はギャグ側に置いて行かれそうになる
意識だ、意識のスイッチを切り替えよう
調息を行う、吸って吸って吐いて、ひっひっふーのリズムだ)
ふむ…分祀のようなものでござるかね?
根を同じくしつつ別たれ、そこに注がれた思いの力を変質されていく
拙者の知る神は確かでありつつうつろい往くモノと言われてござるが
(異界の…いや遠き星辰の彼方の神にその理屈が通じるかどうかはさておき
理解の埒外の物を理解できる形に解釈し、言葉に出すことで纏めていく
胸中で済ませないのは間違いならば誰かが気付くだろうと)
焔誼玖杜 > 『感情……というよりは、願望だろう。
子が心より求めれば、力を貸さぬ親など居ない。
自ら使おうとするには多少時間も掛かるだろうが……それでよいのだ。
力にはすべからく、代償が伴うのだからな』
【そう畝傍に話しつつ、風間を見れば】
『たいした理解力だな、小僧。
その認識であれな、それほど間違いはあるまい』
【そして、また玖杜を見ると、玖杜は頷いて話し出す】
「私は『彼』の力を引き出すのに、精神力……いえ、心を代償にしています。
以前、路地裏で襲われたときに、逃げ出すのに一部召喚を行ったんですが、その結果、感情が沸き起こらなくなりました」
【正しくは、感情が生まれにくくなっただけで、それもまた、徐々に回復してはいるのだが】
「ですから、きっと畝傍さんも……気づかないだけで代償を支払っているんだと思います。
それが何かは、わからないですけど」
『その代償も、我が求めているのではない。
我の力を扱うには……人間の身では、心では耐えられんだけだ』
【玖杜の言葉を引き継ぐように、《フサッグァ》がつなげた。
そう、人の身にはその力は大きすぎる、負担が過ぎる。
だからこそ……引き出せないくらいで良いのだと】
畝傍・クリスタ・ステンデル > 「代償……」
玖杜とフサッグァのその言葉が、畝傍の心のどこかに引っかかった。
「ボクが支払ってる代償って……何だろう」
現在の畝傍が左目の視力を失っているのは、過去に男たちから受けた暴行の結果であると畝傍自身や過去に畝傍の周囲にいた人物は考えており、
狂気に陥ったことについても、その影響とみて間違いはないだろう。
魔術の素質は元々持っていないはずだ。では自分は、何を代償として支払っているのか?畝傍はしばし考える。
風間蒼介 > 割とそういう思想に慣れてござるからなあ
あと、そういった力を制御するための「スイッチ」を作るという辺りも…
(風間の術は異能と術式を融合させたものだがそれはイメージや意識の誘導で行われる
ゆえに印と詠唱はそのためのトリガーであり厳密には意味を持たない
魔術が世界へコマンドを打ち込む術ならば、風間は自身にコマンドを打ち込む)
なるほど…代償を支払い行使するというわけでなく
行使した結果なんらかの代償となる欠損が発生すると
そういうわけでござるな?フッさん
(さりげなくあだ名を付けに行く忍者であった)
しかしその代償…目に見える、感じ取れるものであればよいが
認識できぬ何かであれば厄介でござるな…
焔誼玖杜 > 『さてな……それがわかれば苦労はしまい』
【どこか無責任に言って、しかし、気遣うような視線が向けられるか】
『フッさん……。
……うむ、人間は脆い。簡単に壊れてしまう。
だがそれも、個体によるだろう。どこが壊れるかなど誰にもわからん』
【あだ名には文句が入らない。どうやら、気に入ったのかもしれない。
そうして代償について話しつつも、もう一つ踏み込むように玖杜が続けた】
「……けど、それだけの負担を掛けて力を使っても、きっとその『メイメイ』には届きません。
たとえば私が『彼』と100%に近い同調を行っても、少しの時間拮抗するだけで、倒す前に力尽きるはずです」
【それが、玖杜の予想する現実……いや、現実はもっと望みが無い。
なぜなら、玖杜はまだ、八割の同調ですらコントロールできないのだ】
「私『たち』は力を借りられても、『彼ら』そのものにはなれないんです」
【コレもまた、正しくは『なれる』
しかし、その時は体も魂も『彼ら』と同化して消滅するだろう】
『ゆえに、もしやつ等と戦わんとするのなら、娘よ、貴様の『親』を引っ張り出すしか今現在では手が無かろう。
それでもどうなるかは知れん。
手段の一つではあって正解ではない。
正解であり確実であるならば、我らがそれをすでに行っているだろう。
だが、我はまだこやつを失いたくは無いのでな』
【そう言いつつ、赤い瞳は玖杜を見る。
言外にその代償……召喚による危険も示唆しつつ、《フサッグァ》は話す】
『制御できるなどとは思うな。
それは人間には叶わん。……できるのはただ、願うことだけだろうよ』
畝傍・クリスタ・ステンデル > 「……じゃあ、やっぱり」
どうにもできなかった時の保険として考えても、やはりあの呪文は必要なのだろうか。
しかし……それをすれば、石蒜は、サヤは、きっと悲しむだろう、あるいは悲しむ間もなく消えてしまうのだろうと。
それを考えてしまったことで、畝傍の脳裏には暗い感情がよぎり、俯く。
「ボクは……」
何か言おうとして、躊躇う。
「……そう、ですね。ボクも……シーシュアンを……サヤを……取り戻したいって……願えば」
あるいは、叶うだろうか。
焔誼玖杜 > 『さて、な。
だが、願うこと、祈ることは人間だからこそ許されたものだろう。
その強さ次第では……呼ぶのは曲がりなりにも『神』とされたものだ。
ご都合主義くらいは、起こりえるかも知れんな』
【そしてそれを、人は奇跡と呼ぶのだろう。
そんなものが起これば、の話だが】
「……私に話せるのは、コレだけです。
もし、今後『混沌』と戦うつもりなら……できる協力は惜しみません。
微力ですが、力になれたら……そう思います」
【そして、話はようやく終わりを見せる。
疲れたように大きく息を吐きながら、玖杜はフッさんに近づいて、その体を抱き上げた】
風間蒼介 > いわゆるオーバーロード…しかも流れる力の質も量も桁違いだからこそ発生する反動も生半可な物ではないと…
(ふむ、と顎に手をやり…しかし何も思いつかない
彼女達こそが専門家である上、自分は経験した事どころか想像すら及びつかない世界の話
推測一つ立てる事すら出来そうにない)
あ…いや、でもその辺は何とかなるのではござらぬかなあ?
一対一で拮抗の目はあるんでござろう?
まあその辺は色々限界突破気味なものが必要だとしても…
ならば、他の人間が共に居れば、その限界の半分ほどでも力を出せれば
判らんのではござらんかなあ?
畝傍殿も…サヤ殿も、一人ではござらんのだから
(楽観、と聞こえるかもしれない
だが蒼介としてはただそう信じて、そして自分がその中の一人であろうと決めて、笑顔を浮かべ)
畝傍・クリスタ・ステンデル > 蒼介の言葉を聞き、畝傍は考えた。
「ボクは……一人じゃ、何もできなかった。ボク一人の力には限界があった。でも。……だからこそ」
畝傍には仲間が必要だった。そして、この二人はまぎれもなく仲間であるといえるだろう。少なくとも、畝傍はそう思っていた。
焔誼玖杜 > 『……くく、そうかもしれんな。
この島には『強き者』が多い。
それこそ、何が起きても不思議は無かろう』
【玖杜の腕に抱かれたまま、フッさんは笑って答える。
玖杜もまた、わずかに微笑を浮かべただろう】
「そうですね、一人じゃない。
それはきっと……どんな力よりも、強いものだと思います」
【事実玖杜は、そうして救われたのだ。
だからこそ、信じて見たいと、そう思い、微笑んだ】
風間蒼介 > 何より…感情の欠落、狂気…享楽に人格の歪み
フッさんらのような神々はどうにも精神に働きかける模様
ならば少しでも心強くあらねば押しつぶされかねんでござるよ
希望は…折れた時の反動も大きゅうござる
が、であるがゆえに持ち続ければ強い芯となりうる
ならば拙者、信じ動くしかござらんよ
馬鹿でござるからな
(おそらく目は薄い、届くかも判らない、手を伸ばす以前の問題かもしれない
だが出来るかもしれないのに、出来たかもしれないのに
何も出来ず終わる事が一番怖い
だから戦術的判断とは別に、常に明るいところだけを見ていきたい)
畝傍殿、鍛錬の相手が必要ならば、拙者いつでも時間あいてござるからな
畝傍・クリスタ・ステンデル > 「うん、その時はよろしく」
と、蒼介に。
「……ありがとうございました。それじゃ、ボクはこれで」
そして、玖杜とフサッグァに感謝の言葉を述べ、この場の全員に別れを告げた後、畝傍は施設の出口の方向へゆっくりと歩き出す。
一度くしゃくしゃに丸められヨリがついたメモは、また広げられたうえできちんと畳み直され、スーツの収納部分に仕舞い込まれていた――
ご案内:「実習区/隔離訓練施設」から畝傍・クリスタ・ステンデルさんが去りました。<補足:短いブロンドの髪と赤い瞳、オレンジ色のボディスーツ姿。散弾銃を携帯>
風間蒼介 > うむ、それでは拙者もこれで…
とはいえ拙者も今しばし鍛錬を積まねば…上を見ても果てしないとはいえ後手に甘んじては情けのうござるからなあ
拙者ほら…男のでござるゆえ、な?
(くくっと笑みを漏らせば、さりげなくフッさんの喉の下を指でこちょこちょとしようと腕を伸ばし…
成功失敗のいかんに関わらず、さっさと逃げ出すようにその場を後にした)
焔誼玖杜 > 「私のほうこそ……ありがとうございます。
畝傍さん、風間さん……これからも、どうかよろしくお願いします」
【そう言って立ち去る背中には頭を下げ見送り、自分もまた施設を後にする】
『小僧、『娘ども』を頼むぞ。
希望を示したのなら、責任は取ることだ』
【風間さんにはそんな、愉快げな声が頭に響いた事だろう】
ご案内:「実習区/隔離訓練施設」から風間蒼介さんが去りました。<補足:忍者/赤いスカーフ/忍び装束>
ご案内:「実習区/隔離訓練施設」から焔誼玖杜さんが去りました。<補足:長袖セーラーにマフラー。前髪をヘアピンで留めた黒髪。表情に乏しい。>