2015/06/28 - 15:23~02:52 のログ
ご案内:「とある道のベンチ」に正親町三条楓さんが現れました。<補足:式典委員。黒髪姫カット、巨乳。>
正親町三条楓 > 「はぁ――」

居ない。
見失った。

――絶望した楓は、ベンチに座り込む。

正親町三条楓 > 「…………」

ベンチで蹲る。
嫌われたかな。

……そりゃ、嫌われる。
あんな所を見られてしまうなんて。ぐすん。

正親町三条楓 > どうしよう。
どうしよう。

……折角、決意したのに。
こんな事で。

「うぅ……」

情けなくて、泣けてくる。

ご案内:「とある道のベンチ」に日恵野ビアトリクスさんが現れました。<補足:上はシャツ、下はスカートの男子生徒>
日恵野ビアトリクス > ぼんやりと道を歩いていたら
名前を知っている美女がベンチでうなだれているところを目撃してしまった。
一度深呼吸。少し近づいて控えめに声をかける。

「おおぎ……(長い)、式典の副委員長さんじゃないですか。
 どうしました。具合でも崩しましたか?」

極力穏やかに、控えめな様子で声をかけてみる。

正親町三条楓 > 「……いえ」

はぁ、と溜息。
普段外面を良くするのが常だが。
今回はそうもいかない。

あぁ、どうしよう。
ちはやに何と言って謝ろう。

日恵野ビアトリクス > 「…………」
普段ならそう言われればそれ以上は深入りはしないのだが、
今回はそうしなかった。

近くの自販機でジュースを二つ買う。

「隣、いいですか」

許可されるなら隣に少し距離を開けて座るだろう。
買ったジュースのうちの一つをそっと差し出す。

「美人には優しくしろというのが家の習わしでして」

正親町三条楓 > 「――ありがとうございます」

こういうのには慣れている。
下心を持って彼女に寄ってくる人間は多い。
……いつもなら適当にあしらうところだが、少し鬱屈しているところだ、話し相手になるのもいいだろう。
ちょっと好みの少年だし。

ジュースを受け取る。
美人と言われても、あまり感慨は無いようだ。

日恵野ビアトリクス > ちらり、と横目で表情を伺う。
手を膝の上で握りこみ、緊張を悟られないように息を潜める。
大した反応は得られなかったようだがそれはいい。
別にそれが目的ではないからだ。

「ぼくは日恵野ビアトリクスと言います。
 ……いえ、ぼくの名前はどうでもいいんですが。
 友人の神宮司ちはやがお世話になったそうなので、
 どんな方なのか、一度挨拶に伺おうと思っていました」
ジュースのプルタブを開け、人受けのいい笑みを作ってみる。

正親町三条楓 > 「――っ!」

神宮司ちはや。
今、一番聞きたくない名前。

少し震えながらも、頷く。

「正親町三条楓、です。
――ちはや君のお友達、ですか」

ジュースをひとくち。
味がよく分からない。

日恵野ビアトリクス > (友達、か。自分で言っておいて、へどの出るような言葉だな)

「ええ。この間話した時、少しあなたのことについて話していて。
 正直妬けてしまいましたよ」
あはは、とにこやかに。
『人としゃべる』と思うとうまくいかないが、
『演技をする』と捉えると思いの外うまくいくようだ。大した発見だ。

「――ひょっとして、彼と何かありました?」
ちはやの名前に反応があったのを受けて。

正親町三条楓 > 「え、妬けたって――その、彼、何か言ってました?」

正直、彼が自分をどう思ってるか、気になる。
多分、彼、誰にでも優しいし……
そう考えると、急に彼にとって自分が何なのかが気になりはじめる。

「……ちょっと、嫌われちゃいまして」

はぁ、と溜息をつきながら。

日恵野ビアトリクス > 妬けた、というのはもちろん
あなたのような美人がぼくではなくて彼を好いていることにですよ、と補足。

「なんだか胡乱な話し方でしたが、
 どうやらあなたに心底夢中みたいですね。
 花が似合うとか、美人で綺麗とか。自分が側に居たらもったいないとか
 そんなようなことを言ってましたよ」

嫌われた、と訊けば悲しげに眉をひそめて。
「そうですか……」
ジュース缶を傾ける。一呼吸。

「あの、ぼくに何かできることはありますか。良ければお手伝いしますよ」
瑕疵のない笑みと見せる親切さは完璧すぎて、
かえって胡散臭い印象を与えるかもしれない。

正親町三条楓 > ――彼が、そんな風に。
段々と顔が熱くなってきた。
いや、そんな、生娘じゃあるまいし。

「……そう、ですか」

なんとかそれだけ言う。
だめだ、まだ顔が赤い。

「――手伝い?」

さて、どんな事が出来るのだろう。
今は藁にでもすがりたい気持ちだが――

日恵野ビアトリクス > 相手の顔に赤みが差したのを見て、
空いていた手で、気付かれないように注意をはらいながら
ジュースを握る手の首を握り、強く爪を立てた。
表情は変えない。

「手伝い、と言っても大したことじゃありませんよ。
 嫌われた、ということは大方なにか失態を犯したか、
 誤解されるような振る舞いを見られたかのどちらかでしょう。
 あなたの口からでは直接彼に謝ったり誤解を解いたりするのは
 難しいでしょうし。
 それを、ぼくがかわりに引き受けようかと」
差し出がましいでしょうか? と困ったような笑み。
「彼やあなたが悲しい顔をし続けると、ぼくも悲しいので」

正親町三条楓 > ふっと視線を上に上げる。
直接会うのは難しい、か。
――でも。

「――いえ、これは私が言わなければいけない事ですからぁ」

あぁ、そうだ。
難しいかもしれないけど、でも。

彼に、会いたい。

日恵野ビアトリクス > 「なるほど。ぼくの出る幕ではなかったようだ。
 余計なことを言ってすみません」
大げさに肩をすくめて、立ち上がる。

「少しは気分も紛れたようですし、ぼくはそろそろ失礼しますね。
 ――ああ、そうだ」

軽く咳払いをして、わずかにタメを作る。

「男遊びは大概にしておいたほうがいいと、
 ぼくは思いますよ」

今日一番いい笑みを貼り付けて。

正親町三条楓 > 「――ッ!」

この少年、最初からそのつもりで――!
ギリっと歯を食いしばり睨みつける。
なるほど、罠か、危ないところだった。

だが、悪意を受ければ戻ってくる。
いつもの彼女が。式典委員会副委員長・正親町三条楓が。

ふっと表情を緩め、柔和な笑みを顔に貼り付け。

「あらぁ、ご忠告、感謝しますねぇ」

日恵野ビアトリクス > 内心ほくそ笑む。それだ。その顔を見たかった。
今ぶつけたのは根拠の曖昧な流言にすぎない。
上に立つものにはそういった醜聞が必ずついてまわる。
だがこの反応は。クロだな。

「ふふふ」

とても楽しい。
口元を吊り上げる。目が笑っていない。

「ぼくは彼とあなたの仲を応援したいと思っています」
「絶対に彼を悲しませるようなことはしないでくださいね」
「そうなったら」
「ぼくは絶対にあなたを許しませんから」

あくまで穏やかな調子でそう言うと、背を向けて
ひらひらと手を振って立ち去る。

(メス豚が)
(いまさら生娘ヅラか)
(ちゃんと恋愛しようなんて虫が良すぎるんだよ)

ご案内:「とある道のベンチ」から日恵野ビアトリクスさんが去りました。<補足:上はシャツ、下はスカートの男子生徒>
正親町三条楓 > 楓は少年に感謝した。
まったく、何を迷っていたのか。

――そうだ、男を惑わせ、手玉に取り、そして己のモノとするのが正親町三条楓ではないか。

彼が迷った? 嫌われた?
好都合だ。なら、自分が忘れられないように徹底的に甘く蕩けさせればいい。
自分になら、出来るとも。

「――ふふ」

己が何者かを思い出した少女は、ゆっくりとベンチを後にした。

ご案内:「とある道のベンチ」から正親町三条楓さんが去りました。<補足:式典委員。黒髪姫カット、巨乳。>
ご案内:「図書館の自習室」にライガさんが現れました。<補足:銀の鎖が巻かれ、獣の爪に似た形をしたナックルダスターを装備。ふだんは武器を収納した制服姿。>
ライガ > この時間帯なら、人も少ないだろうか。
なにやら膨れ上がったバッグを抱えてやってくる。それをテーブルの一つにどさりと置くと、さて、と本棚を探し始める。

「えーと……呪紋・紋章術の本、呪符術の本、マジックアイテムの資料、あと何あればいいかな…」

ライガ > 持ってきた本を、片っ端からテーブルに積み上げていく。

護符なんて市販で十分だろうと思われる諸君がいるかもしれないが、
品質の良し悪しは実際に使ってみるまで分からない、それが訓練中ならいいが、戦闘中となると、嘆いてる暇もないだろう。
『粗悪な護符を使ってたので死にました』とかうっかりなりたくはない。
死人に口なし、いやネクロマンサーなら喋らせることはできるかもしれないが。

「アレが物理だけだと対処できたんだが。ま、無理ありすぎるんだな」

ライガ > ようやく席に座り、頁をめくりながら練習用ノートに書き込む。
この学園、呪符作れる奴いそうな気もするけど、探すのも大変だ。

「圧縮粉砕、ってのが謎なんだよなぁ。
あの魔力の塊、どうやったら割れるんだろ」

ライガ > あの呪詛を受けた時。
どこか一点に集中して引き寄せられるように感じた。
ならば、その中心部、渦の発生地点をなんとかできればいいのではないか。

「なあんだ、ってことは、これ大地属性関係ないじゃないか。
水属性と、風属性ベースで考えてみよう。あーあ、買い物が無駄になっちゃったなあ」

──そういやこれは聴取で言ってなかったっけ。
苦笑しながら、片手を額に当てる。

ライガ > (まあ、任務上、ロストサインと正面から事を構える必要もないんだけどね)

最低限の自衛は必要である。
背中を預けられる完全な味方など、この島のどこにもいやしないのだから。

「うーん、煮詰まってきたな。
いったん止めて帰るかなあ」

ライガ > 「よし、気分転換に何かしよう。
しばらく護符のことはやめたやめた」

本をもとの所に戻し、バッグを手に提げると、受付の図書委員に挨拶を交わして、図書館を出ていく。

ご案内:「図書館の自習室」からライガさんが去りました。<補足:銀の鎖が巻かれ、獣の爪に似た形をしたナックルダスターを装備。ふだんは武器を収納した制服姿。>
ご案内:「第二図書館」にアリストロメリアさんが現れました。<補足:由緒正しい魔女のお嬢様。態度は尊大だが非常におおらかで善意的である>
アリストロメリア > さて――……期末テストも近くなり
放課後になれば日課になりつつあるテスト勉強を行っていた

アリストロメリア > 「今日はどこを勉強しましょうか……?」
等と言いながら、ノートと教科書を鞄の中から取り出しつつ
机の上に広げるのであった

ご案内:「第二図書館」にギルバートさんが現れました。<補足:金髪碧眼の少年。ぼんやりとした眠そうな目>
ギルバート > ぼけーっとしながら彼女を見ている。
ギルバートもまたテスト勉強ということでこの席に陣取ってはいたが
どうにも目の前の少女が纏う派手なファッションに気を取られていた。

「(ああいう服装って、何処で売ってるんだ……?)」

アリストロメリア > 彼女は西洋占星術が専行の為
学園に入ったばかりの今であれば
西洋占星術や選択の卜術(彼女の場合はタロットを選択)
それからヘブライ語――……といっても初期の為アルファベットとその意味等
とてもとても簡単な――……といっても
それは魔術師の名家の彼女からすれば何度も反芻して行ったからであり、今更なのだけれど
何から復習しようかと教科書を眺めながら選んでいた

――……が

目の前に、偶然座ったギルバードが此方の方に視線を送るのに気付けば
顔をあげてにこやかに微笑んで
「御機嫌よう、庶民」
と、挨拶をした
失礼な物言いだが、そこに棘は無く 実に彼女は穏やかに

ギルバート > 「(しょ、庶民……? 『庶民』って言ったのか……?)」

話しかけられることも意外であったし、話しかけられた言葉も意外。
人並みに人付き合いはしてきたつもりだったが、流石にこんな経験は生まれてはじめてだった。

「庶民……ってもしかして、オレのこと?」

他の誰がいるわけでもないが、聞き返してしまうのは人の心というやつだろう。

「よくわかんないんだけどさ……お嬢様ってやつなのかな?」

アリストロメリア > 驚きを隠せないギルバートに、にっこりと
柔らかな微笑みのまま、静かに頷いた

「ええ――……恐れ入りますがお名前を存じませんので」
と、その微笑みと同じくらい、柔和に返答を返す
言葉自体は人によっては侮蔑と捉えられても仕方ないかもしれないが
言葉に含まれる響きには、決してギルバート自身をを見下したり貶める影は感じない
……要するにアリストロメアにとっての『庶民』という言い方は
他者を示す言葉の一つの様である

「そうですわね……魔術の名家に生まれましたので」
と、小さく頷いて肯定して
「私は、名をアリストロメアと申しますの
恐れ入りますが、お名前を教えて頂けると嬉しいですわ」

ギルバート > 「ん―――ああ、オレはギルバート。ギルバート・レイネス。」
「一年だよ。」

どうも価値観自体が違うんだなと、一人納得に至る。
それで怒るほど器の狭い男じゃないが、そのまま流すことのできる男でもなかった。

「アリスト……ロ、メリアさんだっけ。」
「『庶民』って響き、あんまり聞こえがよくないぜ。」
「他の……なんつーか、もっとやわらかい言葉の方がいいと思う。」
「それが『魔術の名家』なら当然なのかもしんないけど……。」
「……それこそ庶民にとっては、見下されてるように感じちゃうよ。」

頬杖を突きつつ。

「その辺のケンカにしたって、切欠なんてそんぐらいの些細なもんだし。」
「あー……ちょっとややこしいかな。」

「オレの言ってる事、伝わってるかな。」

アリストロメリア > 「ギルバート様ですわね、宜しくお願い致しますわ
まぁ、本当でして?私も1年生ですの……仲良くして下さいませ」

と、彼の頭の中のもやもやとは裏腹に、にこやかに

「ええ……長いですわよね。愛称はアリスと呼ばれる事が多いですけれど
他の短い愛称も幾つかありますし、お好きに呼んで下さって結構ですわ」
と答えた後に、彼の言葉に耳を傾ける
「……成程」
彼女の表情は、真面目そのもので
「見下しているつもりは無いのですけれど――……受け取り手にそう思われてしまうのでしたら
止めた方が宜しいですわね

……いいえ、貴方の仰っている事はよく分かりますわ
私は庶民の皆様に対して、その様に発言する機会も多かったですし
相手もそれに対して……表面上かもしれませんが、問題はございませんでした
けれど、それは私の国の文化の話と言われればそれまででしょう
『郷に入っては郷に従え』――……との言葉のある通り
ここでは、それは通用しない常識ですし

きっと、それが原因で敵視されること、或いは喧嘩の種になる事もあるという事を仰りたいのでしょう?
……教えて下さって、ありがとうございますわ」
『ややこしいかな』という彼に、静かに首を横に振る
……多分、きっと。今まで学園で生活していて他に指摘してくれる人もおらず
初めて其れを指摘されたのであろう

「どういういい方が、宜しいかしらね?」
と、首を傾げながら、良い言い方を教えてもらいたい様だった

ギルバート > 「あー、うん。オレ話すのそんなに上手くないし、理解してくれてホント良かったよ。」

くすりと笑う仕草はまだあどけなさの残る少年の色。
彼女の言葉の終わりを待って、どう返していいもんかと再び押し黙る、が。

「……あのさ。無理に代わりの言葉を探さなくてもいいんじゃない?」
「オレたち同じ学生なんだし。」
「無理に言葉を繕わなくてもいいんじゃないかって……。」
「……あっても人って他人を同列以下に起きたがるから、『同輩』とか『学友』とか。」
「そういう方が、聞き手も気持ちいいんじゃない?」

自分でも変な話だと思うが、どうにも目の前の彼女は真面目過ぎるきらいがあった。
彼も妙に真面目なものだから、変な話は変に傾いていく。

「アリスさんは不思議な人だね。」

アリストロメリア > 「恐れ入ります……私に『それはおかしい』という事を教えて下さってありがたい事ですわ」

自身がそうとは思わず投げかけてしまった言葉で、多少なりとも不快な思いはさせてしまっただろう
……

けれど、彼は優しく指摘してくれてありがたい

くすりと笑う彼に、笑い返しながら
押し黙る彼の言葉を大人しく待って
時々、頷きながら彼の話に耳を傾ける

「……成程、『同輩』とか『ご学友』
そうですわね、同じ学生同士ですし、そういう言い方の方がきっと相手にも良いですわね
人というのはどうしても、良くも悪くも他者と比較する生き物ですし
互いに同等な言い方であれば、摩擦も置きづらいですわよね」
代わりの言葉を探さなくていい、という言葉も念頭に置きながら
少しばかり『初めて会う人に対して投げかける言葉』というものを改めて考える
多分、きっと貴族であると言う事から、相手に対しての呼び名という物は
彼女の中では、無意識のうちに重要なものの一つでもあるのだろう

――……彼の言うとおり、言葉一つ、相手の取り方一つで極端な話幾多の解釈も出来るし
そこから極論、相手に名分を与えることにも繋がる恐れ――……というのがあるのだから

真面目同士だからか?寧ろ真面目故に傾く会話に――……

「不思議……?何故ですの?」
不思議と言われれば、理由を聞きたそうに首を傾げる
彼女の中では『恐らく、此方の人と常識が異なる時点で変に見えるからだろうか?』と思っていたが
先程述べたとおり、人の感じ方は千差万別だ
また、そのような指摘というのは全ての物が遠からず、自分を省みる機会にもなる

ギルバート > 「何故ってー―――うーん、何故だろう?」
「なんか、そんな感じがするんだよね。」
「今までオレの身近にいなかったタイプっていうか。」
「(服装も派手だし……きわどいっていうか。)
「別に責めてるわけじゃないんだけどさ。」

「多分、あんまり島の文化に慣れてない気がするのかな。」
「島の外から来た人でしょ? なんか、そんな気がするよ。」
「そのうちここでの生活が普通になって、こう……。」
「……日常に溶け込むっていうか。違和感なくなるよ。」
「自分にとっても、他人にとっても。」

「オレも似たようなもんだったからさ。」

彼の場合は事情が少し違うが、日常に溶け込むまで時間を要したのは間違いない。
そういった意味では、ある種の親近感が沸いたのだろう。
口下手な彼にしては比較的舌が回っていた。
仲間が見たらどう思うのだろう? そう頭の隅にちらついたとき、不意に彼は自嘲した。

「オレ用事あるからそろそろ行くね。」
「それじゃまた。」

これから公安の定例会議。
そそくさと身支度をして出て行った。

ご案内:「第二図書館」からギルバートさんが去りました。<補足:金髪碧眼の少年。ぼんやりとした眠そうな目>
アリストロメリア > 「……そんな感じ……?」
自分というものは、一番身近にいる筈の人物である自分という物はよく見えないものである
彼の話を聞いて、確かにこの学園の他の生徒と比較しても
確かに、自分と同じ分類分けをされる様な人間は稀なのかもしれない
責めている訳ではない、という彼の言葉に安堵感を抱きつつも
――……確かに『ここに居る人達と比較して変わっている』という事は否めないのかもしれない

「貴方の仰る通り、こことは違う所から来ましたわ
……そうですわね。此方と私が居た所では、大分文化や常識も違いますし、不慣れな部分や
他の方から見れば奇抜に映る事も、きっと多々ある事でしょう
……そうですわね。早めにこの世界に慣れたいものですけれど……」

自分にとっても、他人にとっても
そして、続く言葉に少し驚いた様に

「まぁ?ギルバート様もでしたの?」

物想いにふける彼を見ながら
(以前の彼は、どのような生活や文化を送っていらっしゃったのかしら?)
と、不思議に思うが――……
自嘲する彼の、切ない表情と続く言葉に

「……ええ。御機嫌よう
今日は指摘をして頂いてありがとうございましたわ」

と、彼の去っていく姿を見送りながら――……
彼の話を聞きたいと思うと同時に、自嘲気味な表情が、脳裏から離れなかった

「何か、知らず知らずのうちに彼に不躾な事をしてしまったかしらね?
次に会ったら、先ずは非礼について謝罪をしましょう」

(もし、いつか……互いの仲が良くなる事があれば
彼の身の上話も聞けるかしら?)
と、思いながら

その後は、テスト前という事もあり魔術の教科書に目を通していたのだけれど
彼とのやりとりが気になって集中できず
教科書を早めに閉じると、鞄に荷物をまとめて帰って行った

ご案内:「第二図書館」からアリストロメリアさんが去りました。<補足:由緒正しい魔女のお嬢様。態度は尊大だが非常におおらかで善意的である>
ご案内:「クオン先生の青空教室」にクオンさんが現れました。<補足:どなたでも乱入歓迎。全長20m以上 赤い鱗を持つオーソドックスな翼竜。>
クオン >  学園地区の外れ。広大な空き地に巨大な赤が鎮座している。
魔術学講師、古の赤き竜。教師陣の中でもおよそ古参の部類に入るであろう教師だ。
 彼はその巨体故、プリントの記述などを行なうことはできない。
テストにしろ基本は実技であり、平常の授業からしても口頭による教示が主である。
 そのためか、一般教員より幾分か――いやかなり――暇であった。

クオン >  空いた時間を、しかし彼は自分のためではなく生徒のために充てていた。
翼を丸め、首を丸め、視線を地上に這わせるような姿勢で誰かを待つ。
特定の誰か、というわけではない。
彼はいわゆる相談役であり、見た目以上には気さくな――話の分かる教諭であろうとしていた。
 今日も何人かの相談を終えると、飛び入りの"相談"が無いか、ただじっと待っていた。
もうじき試験期間も始まるはずであるし――今の時期、何かと教師も生徒も悩みを抱えがちだ。
 "暇"であるクオンは、教師としての仕事を果たせぬ代わりに、少しばかりでも生徒や教員の負担を減らそうと試みているのであった。
 ……いや、人と話すことが好きな彼は、多分に趣味も含んでいたが。

クオン >  伏せた瞳を、やや開いて。空を眺めた。
いつも通りの空模様。いつ見ても同じ景色はなく、そしてどこで見ても同じ景色。
かつての世界に想いを馳せながら、少しばかり首をもたげた。
 その喉奥からは赤い燐光が舞っている。
口を開くと、その奥から青空に向かって、ゴウ、と炎が吹き上げた。
 不思議とそれは辺りを焼くことはない。
その炎は魔力の塊であり、その性質はこの古き竜の喉元ひとつで多彩に変化する。
 今はただ、空を走る赤が消えた後、燐光がちらちらと周囲を輝き漂うぐらいであった。

クオン > 「しかし……」
 どこで見ても同じ空。それを眺めながらゆっくりと声を吐く。
世界を揺らすかのような低い響き。それを慎重に、穏やかに静めるように。
そうして漏れでた声は、魔力を伴ってゆるやかに伝播していく。
「平穏とは言いがたいだろうな」
 騒がしくなる学園。教師の負傷。様々な話が最近特に立ち上がってきている。
それは久しぶりのようにも感じたが――。
「いや」
 そこまで考えて、少しだけ笑いがこみ上げてきた。
永くを生きた古龍が、つい数ヶ月、あるいは数年程度昔を"久しぶり"と呼称する。
 それがどうにもおかしくて。
「ずいぶんと、こちらにも慣れたものだな」
 などと、炎と共に口元から笑いが漏れるのであった。

ご案内:「クオン先生の青空教室」にリグナツァさんが現れました。<補足:・アルファニウス・ピセロット。尊大な態度の小さな魔術師。と白い犬アルヴァーン。>
クオン >  しかしながら。この学園の物語を紡ぐのは、今に生きる者達だけだ。
精々この老いた竜に出来るのは、こうして話によって導くことか、精々が道を作る程度のこと。
 彼のような竜が表立つ物語などそうはない。
愛する子らによって紡がれる物語の中にこそ自分の役割があることだろう。
 だから、竜は詠う。炎に乗せて。
声無き詩は、遠く古い、忘れ去られた古の魔術。
世界と語らい物語を紡ぐ、否、物語そのものである竜の詩。
 空に向けて吹き上がる朱が、世界に散っていく。

リグナツァ > 「待てアルヴァーン!……そう急くな、このリグナツァを置いてどこに行くというのだ……龍、だと?」
白い大型犬がやってくるのに少し遅れて、貫頭衣の青年が空地に姿を表した。

その威容が見え始めたのは空地に入るよりも随分と前。だが、それからずっとリグナツァはぶつぶつと独り言を言いながら歩いていた。
曰く帝国にも龍の一頭や二頭…云々。

大型犬は物怖じせずに竜に近づくと、顔を見上げながら腰をさげて座った。地面の匂いをかぐ様子は、まるでお辞儀をしたようにみえる。
…その後ろから、青年の魔術師が近づいて、尊大に龍を見上げた。
「……人に物を教えるのか、龍が」
「どれほど痛苦にまみれた過去を語られようと、凡夫には行動を改める心根などないだろうに」

クオン > 「ほう、君は――」
 最初に彼の目に入ったのは、白い大型犬。
しばらく待てば、まるでお辞儀をしたかのように頭を伏せる彼。
「なに、頭を垂れる必要はない。私は遠く古い、既に老いたる竜だ」
 低く、大きく。世界を震わせるような声を、穏やかに穏やかに、相手を威圧せぬよう気を払って、"犬"の彼に声をかけた。
 不思議と、翻訳などを通さずとも相手の意志を汲み、そしてこちらの意志を伝えられるはずであった。
 次いでやってきたのは、人だ。尊大な瞳。いずれもかつての世界で見たことのあるような眼光。
彼のその言葉には、少しだけ目を伏せる。
「ふむ。なに、私の言葉を聞いて何を思うかは、その凡夫の心内に眠るロマン次第。
――旧友など、そういった凡百の徒の中にこそ英雄たる者が居るのだと信じていたぐらいでね」

リグナツァ > 白の大型犬とて使い魔、龍の気は、心遣いは十分に伝わる…はずなのだが。ふるふる、と首を振ってみせた。
そのまま、目線を外さずに…尻尾がぱたぱたと魔術師の青年の方を指して揺れる。そして、顎の下に前足を置いて困ってしまったかのように伏せた。
……例え遠慮されようと、自分の主人が迷惑をかけるだろうから、と。

「ロマン?…野心のことか」
「それこそ凡夫の取るも足らぬ考えだ、
確か…こちらの言葉で言えば、小人閑居して不善を為す。
我が皇帝陛下が反旗を翻した総督にかけた言葉のデッドコピーだが」
魔術師は自分の信ずる者の言葉を借りて、否定する。
自分が信じた物以外を受け入れまいとして拒絶しているかのように。
……世界には、人には、分というものがあり、それを超えることは出来ないのだと。

クオン >  遠慮するように身体を伏せる彼の配慮に、竜は身体を一層緩めた。
彼の心遣いを無駄にせぬよう、ただリグナツァを見る。
「ふむ。小人閑居して不善をなす……か」
 彼もまた、この世界出身ではない。
それ故にこちらの言葉を全て知るわけではないが――今回ばかりは知っていた。
「なるほど。しかしながら――」
 周囲に向かって首を巡らせ、再びリグナツァへと視線を戻す。
「君の器は誰が測ってくれるのかね?」

リグナツァ > 白い犬の…使い魔の悲しげな目を受けながら、それに気づかずに。
魔術師はその言葉を待っていたと言わんばかりに吠えた。
「我が皇帝陛下の他に誰が居られようか!多元宇宙に広大な版図を広げ、
市民、属州民、あるいは未だ啓蒙され得ぬ無知な辺境の民さえも慮る我が君主の他に、誰がこのリグナツァの器を測れよう!」

反射的とさえ言える言葉、長い言葉の節々で、魔術師はあまりにも完璧すぎるほど息を継いだ。果たして自らの言葉でさえあるのかどうか。
「やはり未だ光明得ぬ辺境の民では、皇帝陛下のその御心の広さは想像もつくまい。龍といえども、このように狭い世界に会っては同じことよ。陛下に出会わぬまま年月など重ねたところで何の足しにもならんだろう……」
「……」
ようやく言葉が途切れてから、少し魔術師は逡巡した。いつものように使い魔を見ると、ようやく言うべきことを思い出したかのように顔を上げた。
「龍よ。聞くべきことが有る。」
「……なぜこの世界では"門"を開こうとはしないのか。魔術の水準は十分に高いはずだ、出来ぬわけがない」
開けないのではなく、開こうとしていないのではないか、と。
開きさえすれば、こんな世界の無知蒙昧など、洗練された我が帝国がすぐに押し流してくれように、と。
常世学園をまるで何も見たことがない魔術師はそう言った。この世界にかつて与えられた衝撃と混乱からははるかに時間を置いて現れたのだ。

クオン > 「なるほど。君がそれだけ心酔するのだ。さぞその皇帝の器も大きいのだろう。いずれもその彼が成した偉業が尊い故なのだろうが」
 ――言外に。くだんの皇帝の器は誰が量ったのでもなく。
彼が何を為したかでその偉大さが決まったのだろうと。
 しかし、それ以上は口を出さず、ただ彼のその生きる様を見つめた。
 その熱弁が耳を通り、古龍の胸の内に収められた後。
続く問いには小さく炎が迫り出した。
「"門"とは危険なものだ。かつて開いたかの門は、その十分に高い技術ですら脅威を齎した」
 そういって古竜は遠くを見つめた。転移荒野。かつての門の成れの果て。
「一鳴きで死を齎す黒馬。対手の力が増すたびに無限に力を増す巨人。
あらゆる干渉をなかったことにし、命脈すら無に帰す死の霧。
あらゆる災厄がこの地に訪れた。そしてその度に、この世界のものたちは抗ってきたのだ」
 まるでその言葉は詩のようであった。
詩を吟じるように、あるいは目の前の少年に教えるように。
「故に、人は均衡を求めている。
開けようとするものもいれば、閉めようとするものもいる。
異邦人はこうして今もこちらに現れるし、その対処だけで良しとするものも居る。
様々な者達の物語が絡み合いながら、今、それは拮抗しているのだ」

リグナツァ > 「無論だ。話がわかるではないか」
カラカラと笑う魔術師の後ろで、白い犬が耳を伏せた。
「いずれは我が力もその器を満たす一助となるだろう。陛下こそ帝国、帝国こそ我らの献身の対象にして我ら故に」
――野心を飼いならされきっている。そのようなものを主人とは呼べぬから、犬は目を背け、耳を伏せている。

その炎を、魔術師は見たことがなかった。……だが、聞いたことがある。誰が語り部とも思い出せぬ昔、伝えるために、教えるために編まれた炎を。
「そんなことは…門が危険だなどということは、百も承知だ。
開けども閉じれぬ原初の炎が満ちた次元もある。閉ざせば行き場を失って死者が返る、そのような理の次元とてあったさ。
だがその炎はもはや帝国にはなくてはならぬ。たとえどんなに変わり果てようと帰らねばならぬ死者も居た。
…帝国とて元は帝国ではなかったのだ。いくつもの門を開くうち、どうしてもそうならざるを…」
不意に零れそうになった言葉を、魔術師は自らで打ち消した。帝国は、決して被害者ではない。
「拮抗か。それもよかろう!このリグナツァが先駆者でないのはよろしくないが、開こうとするものが居るのならばその決定打となってやろうではないか。」
幾つかの物語の始まりは、こんな傲慢な笑みから始まったのではなかったか。自らの成功を疑わない、そんな傲慢な笑みから。
「物語というならな。これは帝国の物語だ。…斯様な辺境はその歴史にただ1ページを刻むだけであろうよ」

リグナツァ > 「良き答だった、龍よ。……これでこのリグナツァの道も決まったというものだ。来い、アルヴァーン!」
尊大で傲慢な魔術師は、使い魔を呼んだ。先ほどとは違い、行き先がわかっている以上は転移しない理由がない。

「…さらばだ。いずれ帝国が訪れた時、帝国は貴様に感謝するだろう」

クオン >  クオンから見た彼の"ロマン"は、最早無いといってもいい程であった。
熱狂的な彼は物語を紡ぐ力を持つようにみえて、その実物語の書割のようにすら見えたのだ。
 だが、クオンはそれを量ることはできない。
その場に満ちる力を見ることは出来ても、
この魔術師の物語の良し悪しは、その進む道にしか見出すことができないのだから。
 何かと出会い変わるなら話は別だが――ただ一人では、その物語は袋小路に入ってしまうような。
 だがしかし魔術師にもまだ心の蟠りがあるようで、そこにこそ活路があるだろう。
「なるほど。君は君の行きたい道を行くといい。
リグニツァ。いずれ君の進む道に光が射すならば、この私が語り手となることもあるかもしれない」
 賛辞ではない。だが、ただ古竜は見送った。
否定もせず、肯定もせず。まだ短き時しか駆けていない彼を。
 いずれの道を進もうと、彼が彼のロマンを得ることを祈って。
『オォオ――ン』
 竜は鳴いた。それに寄り添う白き犬と、踊るように歩む飼い主に。
その進む道にロマンが満ちるように。

ご案内:「クオン先生の青空教室」からリグナツァさんが去りました。<補足:・アルファニウス・ピセロット。尊大な態度の小さな魔術師。と白い犬アルヴァーン。>
ご案内:「クオン先生の青空教室」からクオンさんが去りました。<補足:どなたでも乱入歓迎。全長20m以上 赤い鱗を持つオーソドックスな翼竜。>