2015/06/10 - 01:18~02:26 のログ
ご案内:「カジノ「蓬莱」」に鳴鳴さんが現れました。<補足:【乱入歓迎】 10歳程度の見た目の褐色の童女、ゆったりとした道服、>
鳴鳴 > 真夜中のカジノ「蓬莱」は奇妙な熱気に満たされていた。
客の多くがある一人の客の回りに集まり、人だかりが出来ていた。
その人だかりの中心にいたのは少女である。褐色の肌の少女だ。
褐色の肌に赤黒い瞳、長い髪をつややかに垂らした童女だ。
見た目の年齢としては10歳程度だろう。偉そうに椅子にふんぞり返り、何やら嬉しそうにしていた。
対するカジノの人間などはひどく苦々しい顔だ。
「ハハ、また僕の勝ちだね! いやあ、楽しいなあ! それにこの蓬莱って名前、僕とっても気に入ったね。今後ともひいきにしようかな」
ゆったりとした道服に身を包んだ童女は、けらけらと笑う。
彼女の前には非常に高く積まれたコインであった、
この店に少女が現れて一時間ほど。一切負けなしである。店側も当然イカサマを疑うものの、何化した様子は見えない。
鳴鳴 > 「知ってるかい。この島の名前の元の常世国っていうのと蓬莱山はねえ、同一視されてたらしいよ。蓬莱山と書いてトコヨノクニって読ませてたんだ」
明らかに今どうでもいいようなことを口走り、周りの怒りの度合いを高めていく。
適当にルーレットを回せば大当たりし、カードもボロ勝ちである。
このままでは店の限度額を超えてしまいそうなほどに少女はコインを積み上げていた。
「でもちょっとつまんないな。僕ももっとこう、ギャンブルのはらはらどきどきっていうものを楽しみたいものなんだけどね」
自信ありげに薄い胸を張りつつ、ニヤニヤと薄い笑いを浮かべる。
「ねえ、もっと楽しいゲームは無いのかい? このままじゃ僕は店を潰してしまうかもしれないね」
クスクスとカジノの人間を挑発するように笑う。
鳴鳴 > 証拠を掴めないにしろ、この少女が何かを仕組んでいるのは明らかだった。
入ってから一度も負けていない。そんなことがありえるだろうか。
そろそろ店の従業員たちもしびれを切らすころだった。
「ほらほら、こんな子供に負けつづけていいの? まあ僕は君達がご丁寧にも相手をしてくれるからいいんだけどね! これじゃあまた人間椅子が増えてしまうよ?」
さて、この少女が座っている椅子はただの椅子ではなかった。
人間椅子である。カジノの従業員や、少女に挑んだ客たちが折り重なってできた椅子であった。
「こら、ちょっと。変な動きをしないで」
少女が腰を載せている部分のパーツとなった男が長時間の奇怪な姿勢のために姿勢を崩しそうになる。それを少女は脚で小突いてたしなめる。
何故こういうことになったのか。少女が店に入った際、非常に子供扱いされた。客たちも酒に酔っていたのもあるのだろう。子供だと馬鹿にし、負ければいうことを聞くといったのだ。
その結果がこれであった。負けた人間たちが少女の椅子になっていた。そもそも、普通こんな状況になるはずもない。それ自体が奇妙だった。
鳴鳴 > 「まあ、これも万物斉同、絶対無差別ってことさ。君達や僕の勝ち負けに意味なんてなんにもないのさ。そう思うだろう? だからそう落ち込むことはない。ほら、荘子も行ってるじゃ……」
『おいガキ、いい加減にしろよ! 一体どんな異能か魔術使ってるか知らねえけどな、ここではそういう手品はお断りなんだよ!』
「へえ、それは知らなかった。でも仙術は禁止してないよね? 僕の仙術はテクニックでね、おかげですごく勝てたよ」
『て、てめえ、そんなの同じだ、同じ! ふざけやがって!』
いよいよ限界が来たようだ。店員の一人が少女へと近づき、これはイカサマだとまくしたてる。しかし、少女の方はどこ吹く風である。仙術だからいいよね、といった具合である。店員はぐい、と少女の細い手を道服越しに掴む。
「ほう。それで? イカサマがバレてしまった僕はこれからどうなるのかな?」
『へへ、わかってるだろうが。お前みたいなガキでも使えないことはねえからな!』
「へえ、そんなことになってしまうんだ? 僕は」
道服の首元を緩め、褐色の肌を少し露出する。男を挑発するように、口角を吊り上げて笑う。異様な気配がこの部屋一体に満ち始めていた。
鳴鳴 > 「じゃあ、やってみたらどうかな。……出来たらだけどね?」
酷く邪悪な笑みを浮かべる。心底目の前の存在を嘲笑っている表情だ。
赤い瞳で、自分の腕をつかんでいる男の瞳を見つめる。
「だけどまあ、やっぱり無理だよ。君達、僕の仙術にかかりっぱなしだもんね。普通、人間椅子になってくれなんて言われて、いくら負けたからといってもなりはしないよね?」
そう笑うと、少女は自分の手をクイと捻る。すると、少女の手を掴んでいた店員は一気に遠くに吹き飛ばされてしまった。
その様子を見て少女はケタケタと笑う。そして、人間椅子群の上に立ち、それらを蹴飛ばせばがらがらと音を立てるがごとく人間椅子たちは崩れていく。
少女は宙に浮いたままである。
「あーあ。つまんなくなっちゃったなあ。せーっかく楽しかったのに。ありきたりすぎるんだよ。もっと僕の昔の仲間たちみたいに面白おかしくやればいいのに。ロストサインみたいにさあ」
少女の行動にざわめいていた店内の人間たちが一斉に静まり返る。
ロストサイン。かつて存在した違法部活だ。
「あんまり僕がロストサインだったって伝わってないのかな? まあしかたないか。適当に姿変えてたりもしたしね」
少し肌蹴た道服をぱたぱたと振り、周りの反応を面白そうに見る。
「でもやっぱりちょっと萎えちゃったからね。お仕置きだ。恨むんならさっきのお兄さんを恨んでね」
ニイッと、三日月のような嗤いを浮かべる。瞳が妖しく輝いていく。
「さあ、開け! 鳴羅門!」
鳴鳴 > そう言って少女が天井に向けて手を掲げる。するとその手が向かう天井に、巨大な穴が突如出現した。
非常に禍々しい気配が満ちている穴である。その穴の中からは名状し難い何かの鳴き声が響く。
そして、それらはねばねばとした粘膜を垂らしながら、穴の中より姿を現した。
酷く凶暴な牙をガチガチと鳴らす獣に似た何か。
ギョロギョロと目を回し、三百六十度回転し続ける龍のような何か。
そんな奇怪な生命体が穴よりずるりずるりと現れる。
「この子たちは僕が仙界で飼ってるペットでね。人間が大好きなんだ。遊んでくれるかな?」
化物を見た店員や客たちの悲鳴が木霊する。少女の嗤いは止まらない。
「この子たちは人間が大好きでね。とっても好きなんだ。一度咥えたら離さないぐらいにね。 さあ、僕が手を降ろせば君達は見事冥界行きだ! どのみちこんなところで燻ってるなら碌な人生じゃなかったわけだ。無為自然であればよかったのに、ね!」
少女はその小さな手を、一気に――
鳴鳴 > ――振り下ろさなかった。
見れば、多くの客や従業員は頭を抱えたり、失神したりしてしまっていた。
「僕がそんなことするわけないじゃないか。ロストサインの他の連中みたいにイカれてはいないからね」
ケラケラと笑う。少女が手を握りしめ、下に降ろせばそれと同じように、突如天井に現れた「門」は姿を消した。
「でもそういえば、他の連中もまた動き出したみたいだし、僕も昔みたいにしたいなあ。またグランドマスターとかにも会いたいよね」
中に浮いていた体をくるりと回して地面に降り立つ。
「ああ、僕はお金とか興味ないからさ、そのコイン好きにしておいてよ」
そういいながら少女は後ろ手に手を振り、カジノの出口へと向かう。
「僕にとっては生も死も同じなんだ。要は僕が楽しいか楽しくないか。僕は殺して楽しくない時は殺さないよ、よかったね」
振り返って可愛らしい笑顔を向けて言うと、けらけらと笑いながらカジノを去って行った。
後に残されたのは呆然とする客と店員のみだった。
ご案内:「カジノ「蓬莱」」から鳴鳴さんが去りました。<補足:【乱入歓迎】 10歳程度の見た目の褐色の童女、ゆったりとした道服、>