2015/06/29 - 20:50~23:21 のログ
ご案内:「開拓村」に桜井 雄二さんが現れました。<補足:不燃不凍のスーツに身を包んでいる。>
桜井 雄二 > 開拓村に異世界とこちらの世界を繋ぐゲートが出現する、という予報が緊急に発せられた。
その場に近い生活委員会と怪異対策室メンバーに出動要請があった。
要は異邦人であったなら保護、敵対的怪異であったなら討伐。
あとは現場の判断……そういうことなのだろう。

ご案内:「開拓村」に安室 冥路さんが現れました。<補足:生活委員の腕章を付けた学生服姿。>
安室 冥路 > たまたま近くにいた
それが今回の招集の理由だろうが…最近はこういった機会が多くなっている
危惧していた事ではあるが、やはりここ最近、怪異の起こるペースが早くなっているように思う
そしてまた今回も彼と一緒になった。最早顔馴染みだ

「や、桜井くん。毎度の事ながら大変だね。全く」

真っ黒い液体の入った1.5Lのペットボトルを携えて、やや場違い感すらある声をかける

桜井 雄二 > 「そうだな、だが生活委員会としてゲートの出現は見過ごしておけない」
「もし、異邦人がいて、交渉に梃子摺るようなら安室冥路がいてくれるのはありがたい」

もしもの時のための翻訳機――――昔、流行ったという折りたたみ式携帯によく似た機械をポケットに入れてある。

「……そのペットボトルはなんだ、安室冥路」

安室 冥路 > 「言葉が通じて…文化が違いすぎなければ、そうしたいところだけどね」
「この間みたいにメッセンジャーがいるならそれを見過ごさないようにしないと」
「…まぁ、そうじゃなくても今日はちょっと、気合入れてきてるからさ。せめて桜井くんの足手まといにはならないように、気をつけるよ」

緊張感のあまり感じられない笑みを浮かべて、手にしたペットボトルを勢い良く振る
口を開ければ泡立った液体が勢い良く吹き出して地面を濡らしていく…

「コーラ。俺の力ってさ、カロリー消費するから補給出来るようにしとかないとね」
「炭酸抜きのコーラってアスリートも競技前に飲むらしいよ」

ぐい、と一口煽る。まだ炭酸が抜けきっておらず軽く咽た

桜井 雄二 > 「そうだな……前にマンセットたちと対話した時の気持ちを忘れないようにしたい」
「足手まといだなんて、思わないさ……」
「頼りにしているぞ、安室冥路」
「お前からは学ぶべきところがたくさんある」

噴出したものは、甘い匂いがして。
それはどこからどう見ても炭酸飲料だ。

「なるほど、炭酸抜きコーラでカロリーを補給する必要があるわけか」
「…………」
咽る安室冥路を見て何をやっているんだ、とは思ったものの口には出さない桜井だった。

ふと、風の流れが変わる。
開拓村の入り口からさほど離れていない場所に、それは現れる。
空間に漆黒の裂け目が広がり、そこから瘴気とも形容できる生臭い空気が流れてくる。

姿を現したのは、黒蟻の亜人。
敵対的怪異、A級怪異災害――――蟻人(ギジン)だ。
かなりの規模で群れを成しており、開拓村に向けて進軍してくる。

「どうやら翻訳機の出番はなさそうだな」
「いくぞ、安室冥路。蟻人は全滅させてやる」

炎と氷を纏い、魔人化して走り出していく。

安室 冥路 > ドンドン、と胸を叩いて咽たコーラを吐き出す姿から学ぶべきところがあるとは我ながら思えないのだが
どうにも彼は自分を過大評価している節がある
…その評価を嬉しく思い、応えたいと思っているのも確かなのだが…

「…むしろ、学ばせて貰ってるのは俺の方じゃないかって思うんだけどね」
「桜井くんの真っ直ぐさは…ほんと、眩しいくらいだからさ。」

緩い笑みを浮かべてコーラを飲んでいる間に、空気が張り詰めていくのを感じる
肌がヒリヒリと泡立つような感覚…マンセット達と対峙した時にも似たようなものを味わった
飲み干したペットボトルを放り捨てて、口元から笑みを消す
現れた怪異は、戦闘を主としていない自分でも名前を、その特徴を知っていた

「…冗談とか言ってられないねこれは」
「オッケー、行こう。…あんまり無茶、するなよ桜井くん…っ!」

ベルトに括りつけた鞘からナイフを抜き放ち、桜井の後を追うように走りだす

桜井 雄二 > 「安室冥路も、無理は禁物だ……左手側から切り崩す!」
お互いを気遣いながら隊列を組んで前進してくる蟻人たちを攻撃し始める。

まずは炎の弾丸を右手に作って、雨霰のように放つ。
ある程度はシールドで防がれるが、相手の進軍スピードが落ちれば十分。

蟻人は文化を持ち、金属製の武具で武装している。
その攻撃性も防御能力もさほど高くはないものの、とにかく数が厄介な敵。

そう、思っていた。

安室 冥路 > 実戦経験は少ない、最近こそそういった授業も取るようになったし、訓練も積むようになった
とはいえ自ら閑職と呼ぶ生活委員の中でも出動機会の少ない部署の所属だ
A級怪異に対しては明らかに分が悪い。一匹一匹が然程強くなくとも、自分が押し込まれれば桜井は自分を助けようとするだろう
ならば

足を止めて、桜井が生み出した炎の弾丸、その行く先を両手の指先で囲い『切り取る』
敵方の前衛、その足元付近に障壁を創りだして、足止めを狙う
インスタント・パッケージ、自身の持つ異能…強度も大きさも然程ではなくとも、着弾までの時間が稼げれば構わない
直接ぶつかっていけば数で押し込まれるのはわかりきっている
桜井の異能を軸に、少しずつでも数を減らしていく
その手助けを少しでも出来れば、御の字というものだろう

桜井 雄二 > 「…いけるッ!」
インスタント・パッケージによりぐっと攻撃がしやすくなった。
相手の進軍の足並みがズレれば、その分だけ隙間に炎を叩き込みやすい。
遠距離攻撃はこちらのほうがずっと強い。
相手の遠間からの攻撃はせいぜい、弓矢くらいなものだ。

その時。

茶褐色の体色を持つ蟻人が群れの中から飛び出してきた。
甲冑のような防具、両の手に刀、二刀流にてするりと桜井を斬りつけてくる。

「………!?」

一応、防御性能もそれなりにあるスーツが切り裂かれ、胸元から血が吹き出る。
「サムライアリ!? 蟻人の上位種か!!」
胸元を手で押さえて後退し、炎の弾丸を放つもあっさりと回避される。
素早い。強い。そして、刀を扱い慣れている。

安室 冥路 > 「桜井くんっ!?」

もしもあの位置にいたのが自分だったら。そう考える自分に嫌気がささないではないが、今考える事ではない
咄嗟に桜井の脇に透明な障壁を生み出すも、大した足止めにもならないだろう
明らかに他の蟻人とは別格の動きをしている。桜井の言うには"サムライアリ"
隊長格とでも言うべきだろうか。
如何に百戦錬磨の桜井といえども、あれの相手をしながらあの大群の相手は無理だと、素人の自分でも分かる

「………っ、仕方、無いか………っ」
「桜井くん!そいつは任せた!!向こうの雑魚は俺がなんとか足止めする!」
「一騎打ちの邪魔は、死んでもさせないから…頼んだ!!」

対峙する桜井とサムライアリの脇を走り抜けて、迫り来る大群に向かっていく

桜井 雄二 > インスタント・パッケージで作り出された透明な障壁に肩からぶつかるサムライアリ。
次の瞬間、流麗な剣捌きにより障壁はばらばらに分解された。
「達人というわけか、厄介だな」
右手に炎の剣を、左手に氷の刃を作り出して立ち向かう。
切り結んでいくが、どうも相手の技量が上らしい。
じわじわと押されていく。

「安室冥路!? 無理はするなって……ああ、くそっ」
「頼んだぞ、安室冥路! 俺はこいつを確実に仕留める!!」
「ヤバくなったら逃げろ、それだけは言っておくぞ!!」

上位種の蟻人の技量は圧倒的だ。
体躯も大きく、膂力も並外れて高い。
ならば勝つ術は剣術ではなく、異能のはずだ。
体内で熱と冷気を練り上げていく。

安室 冥路 > 「無理はしないよ、無理は!…無茶は多少するかもしれないけど!」
「なんとかなるって!桜井くん達だって、この間…無茶を通して道理引っ込めただろ!!!」

後方から桜井とサムライアリの対峙の撃音が聞こえてくる
眼前には大量の蟻、蟻、蟻
震えてきそうになる膝を、なんとか堪えて蟻人達の前へと立ちはだかる

「止まれ…!って、言っても、聞いちゃくれないだろうし止まってもくれないよな。ははっ…」

どうも自分は、極限を前にすると笑えてくるタイプらしい
自然と浮かぶ笑みを、歯を食いしばって抑える。随分と不格好な顔をしている事だろう
手にした武器は小柄なナイフ一本、これであれをどうこう出来るとは思わない

「………怖ぇ………けど、大見得切った手前、やらない訳には…いかないんだよね」
「俺にだって、意地があるんだ」

覚悟は決めた。
あの日、自分達地球人を超える技術を持ったマンセット達すら怯える強大な敵にすら立ち向かっていった桜井達の勇気を、今、自分も

「男の子だからさぁ!!!」

両手を眼前の"群れ"に向かい突き出す。
随分と久しぶりだが…上手くやれるだろうか。
…いや、やるのだ。意地を通すとたった今高らかに宣言したばかりなのだから

桜井 雄二 > 「ああ、そうだな……そんなこともあった!」
サムライアリがくるりと回転しながら二刀を同時に振るう。
受けに使った炎の剣と氷の刃が切り裂かれ、後退り。

覚悟を決めた様子の安室冥路を横目で見る。
あんな背中を見せられて、戦わないやつは男じゃあない。
トドメを刺しにXの字に二刀を振るうサムライアリが動きを止める。

「氷の蔦だ、足元がお留守だったようだな?」

左足から伸びる氷の蔦が相手の下半身を凍りつかせていた。
「もう一発!!」
サムライアリの頭部に向けて炎を纏う右拳を叩きつける。

安室 冥路 > 迫り来る大群を前にして、目を閉じる

集中しろ
眼前の敵の事は今一時だけは忘れろ
思いだせ
あの頃の事を
呼び覚ませ
あの力の感覚を

自分の、2つ目の力の感覚を


想像しろ
想造しろ
創造しろ

それは、頑強で屈強なるもの
それは、自らの意のままに動くもの
それは、敵を薙ぎ倒すもの

突き出した両手の先から薄紫色をした何かが、形作られていく
人のようで人ではなく
機械人形のような、異界から現れる怪異のような
人の形をした何か
それが、一体生み出され
二体目が想造され

「っっっっっ………これが、今の限界か…っ…随分減ったなぁ………」

七体の異形の人型が生み出されたところで閉じていた眼を開き

「…でもまぁ、足止めするには十分でしょ…早めに、決めてくれよ桜井くん…っ!」

「"Relinquish"」
「蹂躙しろぉっ!!!」

桜井 雄二 > 安室冥路は成すべきことを成している。
あとは自分が目の前の敵を打ち倒すだけだ。

「うおおおおおおおおぉぉぉ!!」

炎の拳と氷の拳の連打。
小規模な水蒸気爆発が自分にもサムライアリにもダメージを蓄積させていく。
「だが、この距離なら自慢の二刀も使えないな!!」
と、叫んだ次の瞬間。
腹部にサムライアリの蹴りが入り、一連の動作として頭部に柄の一撃が加えられる。
「うぐっ………」
そう甘くはないか。自嘲気味に笑う。
すぐにサムライアリは距離を取り、両手の刀を賽の目状に振るい、攻撃してくる。
一瞬、防御が遅れれば桜井もサイコロステーキだ。
氷の防壁を貼りながら後退するも、体のあちこちを切り裂かれる。

「はぁ………はぁ……やっぱ…これ使うしかない、よな…」

この怒りを、解き放つ。
桜井の体を焼き尽くすほどの熱を。
桜井の体を凍てつかせるほどの氷を。
この体に宿し、敵を討つ。

真・魔人化。

「俺が朽ち果てるより先に貴様を殺すッ!!」
右腕を振るうと爆炎が相手を薙いだ。
今までとは違う圧倒的熱量に、サムライアリがたじろぐ。

安室 冥路 > その振る舞いは戦場にはそぐわない、オーケストラを率いる指揮者のように
"Relinquish"で生み出した人型達は安室の腕の動きに連動して敵陣へと切り込んでいく
突如現れた異形にも怯むことなく蟻人達は人型へと群がっていった
蟻人の武器と、人型の装甲が奏でる剣戟の音
その固い甲殻が突き破られる音
地面に叩きつけられる衝撃音

「…っ…きっつ……長くは持たないなこれ……体力、落ちすぎ……」

久しぶりの力の行使だというのに、無理をしすぎたかもしれない
意地とは言ってもいきなり限界を絞り出すのは無謀過ぎたかもしれない
気を抜けば今すぐにでも気を失いそうな程に体力を消費している
頭の中のあちこちがチリチリと焼けたように熱く、同時に痛みを感じている
意識を失えば人型達は消え去って、倒れた自分を踏み越えて蟻人達は桜井へと迫るだろう

「…それは、駄目だよな。まだまだ………!」

背中に感じる熱風は、桜井も限界を越えて戦い続けているその証
それに、背中を押されるようにして戦場音楽を奏でるタクトを振るい続ける

桜井 雄二 > 炎にたじろいだサムライアリに、今度は左腕を振るう。
圧倒的な低温の暴風と雹が相手に襲い掛かり、敵を半分以上凍りつかせる。
「なぁ、蟻人よ……俺はお前たちに恨みがある」
右足で動きを止めたサムライアリの腹部を軽く蹴る。
それは敵に右足を乗せた、くらいの軽いものだ。
「だが、今は恨みではなく……仲間を守るために戦う」
次の瞬間、爆発的に炎が右足から吹き上がり、獄炎は円錐状になって相手の防具を削る。
後方に跳躍し、背後に炎で推進力を作り出す。
熱せられた空気がブースターのように燃えて相手に向けて桜井が飛翔する。

円錐状の炎に飛び込むように左足で蹴りつける。
極低温の核を足で叩き込みながら、反動で後方に跳ぶ。
「―――――じゃあな、サムライアリ」
蹴りで吹き飛んだサムライアリが獄炎と極低温の急激な反応により、消滅エネルギーを部分的に発生させて爆裂する。
バラバラになった蟻人上位種の死体が散らばった。

「安室冥路! 大丈夫か!」
真・魔人化を維持したまま彼に近づく。
「お前……こんな能力を持っていたとはな」

安室 冥路 > 人型を指揮する腕は少しずつ精彩を欠いてゆく
一体が砕け散り
一体が限界を越え消滅し…
残った人型が三体となった時、背後から聞こえた爆音と、その爆風を受けて膝をつく
その瞬間、残った人型も消え失せる
同時に隊長格を失った蟻人達の進行も止まった

「…っし、これで俺等の勝ち…っと…」

途切れかけた意識を桜井の声が繋ぎ止めた
困憊しきった様子ながらも、薄らと笑って桜井に向かって親指を立てて

「奥の手ってやつ…もうちょいしたら、ぶっ倒れるだろうから…死んじゃいないから」
「…迷惑かけるけど、あと、よろしく…っ」

ゆらりと体が揺れたかと思えば、ゆっくりと地面へと倒れ伏した

桜井 雄二 > 侵攻を停めた蟻人たちに向けて舌打ちをする。
これ以上の戦闘は双方にとって無意味。かつ、ゲートはまだ開いたままだ。
「……失せろ!!」
蟻人たちの足元を炎で炙りながらゲートの向こうに追い散らしていく。

「ああ、俺たちの勝利だ。安室冥路……やはりお前は凄いやつだ」
心配そうな表情が自分の顔に張り付いている。
いつから俺はこんなに表情豊かになったのだろう?
親指を立てて真・魔人化を解除した。
「お、おい!? 安室冥路! ……気絶した、のか…」
そのまま彼の体を背負い上げる。
「開拓村で休ませてもらおう、それくらいは……」
表情を複雑に歪ませる。この友人を誇りたい気持ちでいっぱいで。
「それくらいは許されるだろ、安室冥路…」
そのまま彼を背負って守りきった村へ歩き出していく。

蟻人上位種の出現。
こちらを上回る技量を持った武人である、サムライアリ。
それがあの一人だけで終わりとは、到底思えない。

島に危機が、迫っていた。

ご案内:「開拓村」から桜井 雄二さんが去りました。<補足:不燃不凍のスーツに身を包んでいる。>
ご案内:「開拓村」から安室 冥路さんが去りました。<補足:生活委員の腕章を付けた学生服姿。>