2015/06/04 - 20:32~02:08 のログ
ご案内:「高級中華料理店『山麗華』」に西園寺偲さんが現れました。<補足:身長150cm。艶やかな黒髪とカチューシャ、眼鏡。公安委員会の制服。周りに公安委員会の制服を着た屈強な男たちを侍らせている>
西園寺偲 > 「――――」

偲は人を待っていた。
今日は公安の男達に厳命し、外を見晴らせている。
この会食を知られるわけにはいかない。
それくらい、彼女は用意周到に「ある人物」を待っていた。

ご案内:「高級中華料理店『山麗華』」に五代 基一郎さんが現れました。<補足:夏用スーツ。>
西園寺偲 > 「――お待ちしていました」

椅子から立ち上がり一礼する。
普段の傍若無人な態度を見ている人々が見れば驚愕に目を開くだろう。
偲はそのまま五代に椅子を勧める。
ウェイターにコースを始めるよう言いつけると、自分も座った。
今日は酒も女も無しだ。

五代 基一郎 > 『そして待ち人は現れた。
 仮に定刻を設定していたならその通りに到着し、でなければ待たせずまた早過ぎもせず現れる。
 制服でなく一応の礼服であり、正しく付け焼刃のような文字通りの偽装。この時期に公安の人間との風紀の人間が同じ場所にいるのだ。
 大なり小なりその事実に興味を持つものなら目を光らせるかもしれない……が故の粗末なハリボテ。見るものが見れば冷笑するかもしれないその姿』

西園寺偲 > 「――ロストサインが壊滅して以来、でしょうか、五代部長」

懐かしい呼び名だ。
あの頃の偲は一介の執行部書記にすぎず――
いや、思い出話をしている時ではなかった。
今日はもっと別の話があるのだ。

五代 基一郎 > 本日は御招きいただき……
『 しかし如何なる格好であれこの男は常日頃から出歩いている。着崩した制服で、革靴の底を削りながらまさしく不良警官のように。
 異能が、力がどうということではなくどこにいても”まぁあの男だし”と思われるような男がここ……高級中華料理店、山麗花にいる
 薦めらるまま椅子を引き、座り。西園寺偲……かつての部下の顔を見た』

西園寺偲 > 「――似合いませんね、その格好」

くすりと笑う。
運ばれてきた前菜に、偲は遠慮なく手を伸ばす。
かつての上司の食道楽を、偲は十分承知していた。
こうして自分が食べれば、相手も遠慮なく食べられるだろう。

五代 基一郎 > 早いものであれから2年。思い出話をするような時間が流れたと今改めて思うよ

『言外に思い出話をするために呼びつけたわけでは、と伝えつつ
 西園寺の箸が動けば、自分も箸を取り手を動かす。
 現在公的な立場でいえば彼女の方が上だ。彼女は気にしないかもしれないが、それでも礼儀は守るのがこの男だった』

これも直に見慣れるさ。風紀の制服も馴染みつつあるしさ。
君も袖を通し初めてどのくらいになる?

西園寺偲 > 「――私は、1年半でしょうか」

あっという間の2年間だったが、それでもお互い失ったもの、得たものは数え切れない。
あの2年前にこのような形で再会するなど、想像も出来なかっただろう。
とはいえ、重ねて言うが、思い出話をする為に来たわけではない。
本来の用件を切り出すとしよう。

「――近々、風紀委員会で公安委員会、及び関連施設への強行捜査が計画されているそうですね?」

五代 基一郎 > やると思う?強行捜査

『彼女の意図をどうとでも取りうることができる問いに肯定否定ではなく
 既にあるものとして答えた。過程を飛ばすような答え方だが西園寺偲がこう言ってるのだ。
 計画自体既に掴んでいるかそもそもそれを計画を組むように仕向けるか
 あるいは元より本人が組んだ等考えられることであるのだ。何にせよ”はい いいえ”で答えるなど時間の無駄でしかない。高級中華も冷めきったものを口にしてほしくないだろう』

西園寺偲 > 「そうですね――」

箸を主菜の仔豚の丸焼きへと伸ばす。
あまり味はしない。
かつてこの上司と不平を並べながら食べたレーションの味の方が思い出せるくらいだ。

「『して欲しい』とは思いますよ。
ただひとつの条件をクリアできれば、ですが」

五代 基一郎 > 条件ね……

『流石の高級中華。子豚の丸焼き……普段の食糧事情から考えれば、なんとうまいものか。
 この料理を前にあまりよろしくない顔をしているのだから、この一年半に食いなれたのかとも思うがそんなわけはあるまい。
 今ここに自身を呼びつけた理由、条件が”彼女自身の助命”か”強行捜査の失敗”であることのように。
 後者からになるが、強行捜査が失敗すれば当然風紀委員の失敗は公安にとって…またはこの事件について糸を引くものからすれば喜ばしいものだ。
 ただでさえ証拠らしい証拠がつかめていない故に、血の気の早いものを先導して勇み足で突っ込ませる。
 そして失敗と巻きこめば杜撰な強行捜査に加え風紀委員の実質的な力自体疑われることになる。
 が、それは現状でも言われていることだ。このまま餌を与えず放置していれば、評価は下がるばかり。つまりわざわざ風紀委員を怪しい場所に呼びつける必要なんてないのだ』

西園寺偲 > 「ええ」

ひとつだけの条件と言うが、事はそんなに簡単ではない。
公安の一般構成員の力は、風紀委員に大きく劣る。
この前のレイチェル・ラムレイとの対決が良い例だ。
1VS4という圧倒的条件なのに、結局勝利する事はできなかった。
だがそれでも。
この条件をクリアできなければ、ほぼ敗北は必至と言える。

「あなたが指揮を執らなければ、なんとかなるでしょう」

五代 基一郎 > 『前者など特にだ。正確には保身というものだが。
 今回の件、彼女は目立ちすぎている。この一連の騒動を目撃した自分もであるが公安委員会副委員長という立場の人間が
 そこらの違反学生の頭のような行動を取っているのだ。それが波及し、現在では真偽はさておき神を名乗る生徒が反学園統治機構の組織まで作っている。
 時折上がる噂でさえ、公安委員会の悪名がここ最近特に響いている。
 おかしいとは思っていたが、今の西園寺の立場からすれば……と考えていたところで
 その西園寺自身から語られた条件を聞き……その目が一時。西園寺自身の目を見て、また料理に戻った』

五代 基一郎 > 執らないよ、俺は。正式な命令がない限りうちは動けないし。

『つまり正式な命令があれば管轄を越えて執るわけだが、そもそも強行捜査には消極的である。
 それよりも』

ねぇ、潮時じゃない?そろそろ尻尾の切り時だと思うんだけどさ

西園寺偲 > 「そうはいきません」

偲はうっすらと笑う。
まだ目標の達成には程遠い。

「私の行動は、全て学園秩序の為であり、公安委員会、そして委員長閣下の為ですから」

それは本当だ。
もっとも、全てを言っているわけではないが

五代 基一郎 > 学園秩序と組織、そしてその組織を率いる者のため……
如何なることでも執り行い受け入れる。美談ではあるがなぁ

『その姿、まさしく滅私奉公。だが人間である限りその精神というものは複雑なものを内包する。
 彼女が権力を笠に好き放題したいが故に、また盲目的にかの委員長を信仰しているなら単純な話だろう。
 しかしそうではなく、現在既に一線を越えた彼女自身その複雑となったもののために命を惜しんでいないように思える。
だからこそやめておけば、と誘ったわけだが一件どうの以外にも彼女自身ワケアリらしい。
これも2年ほどの時間のせいだろうか。彼女が見ているものは見えない。』

俺は博愛主義というわけじゃないが、だからといって死んでいい存在がいるとは思わないな。
曲がりなりにも今でもご縁がある人間なら尚更さ

西園寺偲 > 「――もし、人間に普遍的な価値観があるのなら、私達は2年前にあんな地獄を見なくて済んだはずです」

もう箸はつけない。
会食の時間は終わり、会談の時間だ。

「ですが、地獄は顕現した。
ロストサインなどというわけの分からない連中の為に、今の何十倍もの血が流れ闘争が繰り返された」

偲は笑う。
心から笑う。

「あの地獄を二度と蘇らせない為ならば、
この程度の死など許容すべきでしょう?」

五代 基一郎 > そうだなぁ……この世のどの連中も善良で誰かを大切にする、優しい連中だったらあぁはならなかったろうさ

『西園寺の語る、いつからか渾沌とした世界の濁流が生み出したものを肯定するように語り
 また西園寺とは逆に、しっかりデザートの杏仁豆腐とマンゴープリンにフルーツの盛り合わせまで手をつけて完食し水を一口
 ナプキンで口元を拭い……笑う西園寺の目を見た』

なぁ、肩書はさておきその流れた血が……死を許容できなかったからこそ
俺達はあの場所にいいて、今の場所にいるんじゃないのか

西園寺偲 > 「――そうですか?」

偲は疑問を呈す。
会談の目的は既に達成しているが、ここまで来たら最後まで付き合うべきだろう。

「私はともかく、もしあなたがあの死を許容できなかったのなら。
あなたは何でそんな所に居るんですか?
望めば生徒会長の地位だって手に入れられたでしょう。
そして、もしそうなれば――

何人の死が、回避できましたか?」

五代 基一郎 > こんなところだからいるのさ
生徒会長でもなく、公安でもなく……今この場所にいるからこそ

”ここ”にいるのさ

『それは役職と、今この場所高級中華料理店【山麗華】……公安委員会副委員長であり
かつての部下である西園寺偲と会食していることを合わせてまず一の疑問に答えながら
 これがその疑問への答えだと二の疑問へ繋げた』

ごちそうさま。
思い出話と中華料理、どちらも楽しめたよ。
うちはあまり食糧事情がよろしくないもんでさ。

『膨れた腹からひと息つきつつ、椅子を引いて席から立った
 その目は西園寺偲を見ておらず。体と共に出口を向いて
 入ってきたときとかわらずゆっくり歩いて出て行った……』

西園寺偲 > 「――昔から、そうやって韜晦してばっかり」

偲は少し膨れた。
どうしても彼の前に居ると、昔の自分に戻ってしまう。

――学園の為に地獄を駆けずり回った少女など、もう居ないというのに。

男が出て行った後も、偲は席を立たなかった。

ご案内:「高級中華料理店『山麗華』」から五代 基一郎さんが去りました。<補足:夏用スーツ。>
西園寺偲 > 「――――」

偲は立ち上がる。
その顔は、何時もの彼女のものへと戻っていた。

「写真は撮れましたね?」

奥から出てきた部下がこくりと頷く。
五代と偲の食事風景。
この写真があれば、万が一にも五代は対公安捜査の指揮は執らないだろう。
「あの西園寺偲と密会していた男」という鎖が、彼を縛る事になる。

西園寺偲 > 「あの人が指揮を執らなければ、そうそう負ける事も無いでしょう」

風紀委員会の弱点は、どこまで行っても『指揮官の不在』だ。
個の力は強いのに、独立不羈の気風が強すぎてその力が無駄に発散される。
現在、主だった風紀委員でその力を上手くコントロールし公安に立ち向かえるだけの『軍』に仕立て上げられるのは、五代基一郎くらいのものだろう。

西園寺偲 > 故に潰す。
一片の容赦もなく。
まず戦略に影響する大駒を潰し、戦術面で取れる行動を大幅に制限する。
それこそが<ガウス・ブレイン>の導き出した結論。

「撤収します」

最大の難関は越えた。
あとは、盤面が覆されないように調整するだけだ

――最早なんの感傷も無く、偲は『山麗華』を後にした

ご案内:「高級中華料理店『山麗華』」から西園寺偲さんが去りました。<補足:身長150cm。艶やかな黒髪とカチューシャ、眼鏡。公安委員会の制服。周りに公安委員会の制服を着た屈強な男たちを侍らせている>
ご案内:「高級中華料理店『山麗華』」に麻美子さんが現れました。<補足:未見不麻美子 No40>
麻美子 > (透明化してこっそりと入ると、
 同様に透明化してあった盗聴器を回収する。
 ……回収後、即座にその場を後にした。)

ご案内:「高級中華料理店『山麗華』」から麻美子さんが去りました。<補足:未見不麻美子 No40>