2015/06/12 - 21:28~22:29 のログ
ご案内:「風紀委員会特殊取調室」に五代 基一郎さんが現れました。<補足:食事中。>
五代 基一郎 > 幾重にも魔術的な封儀式を施された透明な強化素材の壁と超合金製のプレートの多重装甲に守られた部屋。
そこに金属の事務的な簡易デスクとライトを挟んで一人の男と一人の学生が対峙し
また男の周囲に顔を出さぬ黒尽くめの男達が護衛の様に並んでいた。
黒猫もまた、記録用のテーブルの上からその様子を眺めている。

本来こういった場所には排水溝や空調があるものだが、防衛上の懸念からそれらは取り払われ
何がしかの施術により息苦しさは感じさせなかった。
最もその学生からすれば、こんな場所で食事をている異様な男と、その周囲を固める威圧的な人間が呼吸すら困難にさせるほどの苦しさを与えるものだったが。

五代 基一郎 > 「いや、ことが事でさ。協力してくれないと困るんだよウチらとしてもさ」

白身魚のフライ定食を食いつつ……味噌汁のお椀を取りながら学生の前に置かれた羊皮紙にサインすることを薦める。

協力に関する公的な書類であるが、今回のような特殊な案件の場合
筆記による誓約書のサインだけではなく、魔術的な誓約書も記入を義務付けられる。

曰く、関係者に関することを口外しない。何に協力を求められたかを他者に漏らすことをしない。
また、記憶処理も受け入れること。完全なる黙秘を貫くことを誓約させられるのだ。
その誓約を守らなかった場合どうなるかは、想像するのは容易く
その条項を見た学生は顔を青くしていた。

五代 基一郎 > 話は数時間前に遡る。

ある女子学生と面識があり、個人的に連絡の取っていた五代だったが
本日予定していた用事に彼女が現れず。また連絡も着かないことから話は始まる。

女子学生が予定を守らない、また予定が守れぬ場合連絡をするような人間であったことは察せられたため
学園ではなく所属課外活動部署に問い合わせたところ、連絡もなく欠席。
部署内関係者の話から、ある人物を探す過程で落第街の名前を聞いていたという。

その人物に会っていた、としても連絡もなく欠席等は何かに巻き込まれたということを推察するに十分だった。
もちろん一般学生等ではここまで問題にはならない。自業自得とはいえ、風紀の刑事課が動くのだが。

五代 基一郎 > 問題はその女子学生の素性と身分である。
遠条寺 菖蒲 生徒会執行役員 幹部候補。

生徒会という立場の人間、しかも上役の候補である一人が何がしかの案件に巻き込まれたのだ。
コトの詳細は未だ明らかではないが、そのような身分の者を狙ったかとなると問題は一気にそのレベルを跳ね上げさせる。

学園の運営、ことその上層部となれば公安のとある部署とその性質上風紀の特殊警備一課に協力体制と命令が下される特殊案件となる。

ここにいる五代の両脇を固めるようにいる人間らも、公安の特殊な連中である。

五代 基一郎 > 対して座らせられ、サインすることを強く薦められているのは広報部の学生である。

広報部といっても千差万別。そこにいる学生は主にゴシップを好んでいる謂わば覗きが趣味の学生だ。
落第街で起きた案件を、落第街から離れた場所で小型ドローン等で観測し面白おかしく眺めて
使えそうなものだけをゴシップ記事に載せる。
あまり趣味がいいとは言えなかった。
多少そういう目鼻が効くのか、そういったことから落第街にいる人間の秘密を取っては小遣い稼ぎもしていたようだが。

そういったこともあり、その学生に”協力”を求めたのが一時間前。
またその際に自分が広報の人間であることを誇示し、この件についても記事にとお喋りしてくれたのも同時刻。

そして今ここに彼は連れてこられた。

五代 基一郎 > まだ状況を”正しく”理解できていない学生は、喚き学園権力の横暴だ等叫んだが
すぐにそれを遮るように五代の隣にいた公安の男が頭を掴み、デスクに二度三度叩きつけられ呻くだけになった。

こういった事態など少数の例であり、そもそも学園という学生社会……”こども”が大部分を占める世界。
学生こそが、となるようなある種の万能感、輝かしい未来があるような世界として誰もが見ている。

しかしその中には社会を統治する、治安を維持するための政治的である”大人”の世界があることを人々は忘れている。
政治”大人”が決めた社会という枠組みの中で生活していることを、知るのはその子供の世界を卒業してからなのである。
これは現代までどうあろうと変わってこなかったが、常世学園はその性質上表面に出ないだけで一つの社会なのだ。

つまりそれらが介入する事態が起きれば瞬く間に学生の優位性、子供の特権的なものは天井にぶち当たり
叩かれ限界を知ることになる。今行われていることが、正しくその実態のひとつだった。

五代 基一郎 > 公安のとある部署、そしてこの特殊警備一課はその政治”大人”、社会のために造られた部署である。
故にその彼らが必要とされる場合は、何よりに於いても優先される。

「こういう案件って迅速であればあるほどいいからさ。この学園社会にいる、学生として協力してくれないかな。今までのことを咎めようって話しじゃないんだ。」

もちろんその学生が所有していた部屋に関しては既に公安が抑えており彼は必要ではないかもしれない。
それでもそこにあるものだけが全てではないかもしれないし、やはり協力はあるほうが捗るし
何よりこの案件は出されるとよろしくない。

まだ喚くだろう様子を見て呟くと、公安の男は懐から筒状の物を取り出した。無針注射器である。
中に何が含まれているかは機密となっているが、強制的に行使する場合に使われるものであるとは言っておこう。

「協力、してくれるよね」

五代がいるのはその部署内の人間であり、また外に出ているため顔をそれなりに知られていること。
加えて外からみて話が通じやすそうという心理的なものを考慮してである。

その”捜査協力”を頼んでからほぼずっと白身魚のフライ定食を食って話しているだけなのだが
どう考えても話が通じないようにしかみえず、学生の心を折れさせるには十分だった。

五代 基一郎 > 学生は死守的に誓約書に自筆でサイン。
この案件に対して非常に協力的に参加し、また守秘義務を守り学園の平和を守ることに尽力してくれた。
後の報告書の一文である。

こうしてこの一件、生徒会の幹部候補が消えた案件は特殊な預かりになり
また、遠条寺菖蒲が消えた落第街のある区画で当時の情報が齎された。

五代 基一郎 > ”下手人”が存在すること、また事の関係性や重要度からそれらは公安のとある部署と風紀の特殊警備一課で処理することとなり。
協力が必要であればその部署から申し出る形になり拒否することは学園の治安維持に反する事項につながり、必要でなければ関わらず情報を遮断封鎖というものとなった。

これが特殊案件である。

ご案内:「風紀委員会特殊取調室」から五代 基一郎さんが去りました。<補足:食事中。>