2015/06/16 - 20:31~07:21 のログ
ご案内:「常世神社」に麻美子さんが現れました。<補足:未見不麻美子:盛大に着崩した制服に、ハンチング帽を被り、赤渕アンダーリムのめがねをかけている。馴れ馴れしい。>
麻美子 > 石段の最上階に腰掛けて、学園を見下ろす。
日はすっかり落ちて、電灯の光がキラキラと輝いている。
『……あの2人、上手く行ったッスかね。』
頬杖をつきながら、ぼんやりと眼下の学園を眺める。
傍らにはどこかで買ったらしい炭酸飲料が置かれているが、
ひとくちも飲まれていないどころか、開封すらされていない。
『麻美子が譲ったんスから、上手く行ってるッスよ。』
そうぼんやりと考えつつも、
石段に腰掛けたまま動かない。
学園の光は、キラキラと輝いていて、
自分の居る真っ暗な場所とは、異世界のように感じられた。
麻美子 > 『もう遅いッスから、帰るッスよ。』
さっきから何度もそう考えてはいるものの、
結局、立ち上がる事もせず、
ただぼんやりと眼下の学園を眺めている。
まるで、誰かを待っているように。
『少女漫画のヒロインが何かあった時にすぐに家に帰らないのは、
追いかけて来てくれるのを期待してるから……ッスか。』
今の自分がまさにその状況な気がした。
夏の夜の風が、くすんだ金色の髪を弄ぶ。
ご案内:「常世神社」に五代 基一郎さんが現れました。<補足:夏用スーツ。>
五代 基一郎 > 「何してるのよこんなところで」
麻美子が待ち望む人物ではない。
しかし全く知らないというわけでもない男が。
片手にコンビニ袋抱えて石段から不可解なものを見るように見上げていた。
足元には黒猫がいる。
麻美子 > ふと声をかけられれば、
その男を見上げて、ふぅ、と息をついた。
「いやー、何してるんスかねー。」
苦笑気味に答える。
実際、自分が何をしているのかはよく分かってない。
五代 基一郎 > 「場所は悪くないけど、こんな時間に待ち合わせするわけはないなぁ」
麻美子の隣にコンビニ袋を置いてそれを挟むように石段に座る。
袋に手を入れれば取り出されたのが氷菓子のみぞれイチゴ味。
蓋を開けて食い始める。
「ガラスの靴でも落としてきたかね」
麻美子 > 「そうッスねー、待ち合わせしてるわけじゃないッスよ。
ま、ある意味人は待ってたッスけどね」
頬を掻きつつ、へらへらとした笑みを浮かべる。
『おいしそうッスね』と氷菓子を見つつ、脚を伸ばした。
「ガラスの靴は落としてきわすれたみたいッスね。」
そう言って苦笑する、追ってきたのは王子様ではなく、
魔法使いでもなく、当然大臣でもなく、
かといって赤の他人というわけでもなく、微妙な相手だ。
五代 基一郎 > 「落としたヤツが階段上がって待ってるというのも変な話だよな」
その白い方の食っていいよと特に見ず呟き合間に買ってきた茶のペットボトルを開ける。
継母でも姉でもなく、カボチャの場所でもネズミでもない男が適当に食っている。
「変と言えばあの話さ。服も何もかも魔法が解けて消えたわけだけど。
どうしてかガラスの靴は残ったじゃない。なんでだろうね」
ガリガリとイチゴ味のみぞれを砕きながら咀嚼し
偶に茶を口にいれて流しながらそんな適当なことを呟く。
麻美子 > 「そうッスねー、シンデレラならちゃんと家で待たないとダメッス。」
へらへらと笑いながらそう返すと、『マジッスか?』と
イチゴ無しのみぞれ練乳の氷菓子を開け、
口の中で溶かすように食べ始める。
舞踏会に出たものの、結局王子様とは結ばれなかった
モブの女の子の1人が食べている
「ガラスの靴だけは魔法で作ったものじゃなくて、
魔法使いが自分で持ってたんじゃないッスかね。
サイズがあわなくなって履けなくなった昔の思い出ッス」
大分太ってたッスからね、魔法使いサン、
と、へらへらと笑って同じく適当にそう返す。
五代 基一郎 > 「別にいいだろ、シンデレラじゃないんだから」
誰かに魔法をかけてもらったわけでもない。
だが魔法が掛かっているだろう少女を見もせずに食い続ければ
空になったパッケージに蓋をして茶で流し食うのを終えた。
舞踏会で踊っていた女の子の話を聞きながら、へぇと相槌を打ちながら
「なら君のガラス靴も魔法で作ったものじゃなくて、自前のなんだから
日付変わろうが置いてきた所に残ってるでしょ。
シンデレラじゃないし、まだ履きたいなら自分から取りに行けばいいんじゃないかね。」
麻美子 > 「そうかもしれないッスね。……確かに麻美子はシンデレラじゃないッス。」
そっと目を伏せ、自分も練乳みぞれのカキ氷を食べ終える。
飲み物をあけようと思うも、そういえば随分揺らしたなと
思い直して開けずに傍らに置いた。
「ま、確かにそうなんスけどね、でも、憧れの王子様は、
もうシンデレラと結ばれちゃったッスよ。
ガラスの靴も、可愛いドレスも、
見せる相手が居ないと着る意味ないッス。」
そう言って何処か寂しそうにへらっと笑う。
五代 基一郎 > 内心その王子様とやらが誰やらなのかは察しがつく。
それなりに目立つ場所で堂々とやってるもんだから、噂ぐらいは耳にしていたし
何してるんだかとも思っていたが、自分こそ全くここで何してるんだかと言いたくなる。
王子様というガラでもないだろうになと、この少女が本当に魔法にかかってるんじゃないか心配になる。
夢物語のような語りの中、そんな現実的な考えが底にあった。
「さぁどうだろうね。
案外魔法にかかってるのは王子様なのかもな。
シンデレラの話だってそうだろう。あの王子様が魔法にかかっていないという保証はない。
長靴を履いた猫もそうだったじゃないか。
いつか覚める自分が求める世界。魔法の中で踊り続ける……そんな人間なのかもしれない。」
めんどくさそうにペットボトルをどけて外を見やる。
今更何をしているんだアイツは、と。
麻美子 > 「ま、確かに魔法はどっちにもかかってると思うッスよ。
何しろ、好きな人相手には恥ずかしい台詞もポンポン言えちゃうッスからねー。
魔法使いがかける魔法なんかより、ずっと現実的で、ずっと強力な魔法ッス。」
五代が言うように、自分に、あるいは相手に酔ってた所もあるのかもしれない。
随分と揺すられて爆弾と化しているであろうペットボトルを眺めると
―――ふぅ、と息をつく。
「五代サン、ちょっと抱きついてもいいッスか?」
五代 基一郎 > 「言葉しか汲み取れない不便な生き物だよ人間は。
だから言葉には力がある。だが言葉だけが全てでもないだろうさ
言葉に変える中で本来の意味が変わってしまうこともある。
言った本人ですらそうなんだ。聞く人間もまた然り。」
ゴミを纏めながら特に開封されていないペットボトルを指差し
飲まないならもらっていい?と挟み
「センチメンタリズムに浸るのは夢みる乙女らしいが、そういうのは感心しないな」
言外に駄目。早く目を覚ませ。と伝えつつ立ち上がりコンビニ袋をゴミ袋として結ぶ。
「家族ごっこの夢も直に覚めるさ。魔法が解けて現実が待っている。
その魔法が解けた時にどうするか、でも遅くないだろ。
夢の中にいる盲目の住人より、現実の中にいる女の方が強いぞこういうのは」
目の前の少女だけではなく、あいつのフォローまでしているのだから面白くはないが
まぁそうしない間柄でもないのが小憎たらしい。
こっちは色々やることに追われてるのにな、と。
麻美子 > 「確かにそうかもしれないッスね。
言葉でのやり取りなんて、2人だけでも伝言ゲームッス。」
ペットボトルを指差されて問われれば
『ま、別にいいッスけど。』と、彼にペットボトルを投げ渡す。
「センチメンタリズム?なんスか、抱きついてわんわん泣くとでも思ったッスか?」
『違うッスよー』笑いながらひらひらと手を振り、否定する。
「向こうが女の子と仲良く寝てるのに、
麻美子のほうは何も無しじゃ不公平じゃないッスか。
慰めに来た男の人とちょっといい感じになるくらい役得ッスよ。」
冗談っぽく笑いながら彼を見上げる。
……ようするにからかっていたのだろう。
人に恥ずかしい台詞を言わせてくれちゃった些細な仕返しだ。
「麻美子の魔法はもう溶けたッス、あとは、
向こうの魔法が解けるまでゆっくり待つッスよ、まだ学生ッスからね。」
『時間はいくらでもあるッス』と、にっこりと笑った。
五代 基一郎 > 「こうしてるだけでも、意図を汲みとるのは難しいだろうことがよく分かるだろ。
男と女でも大層違うんだ。まったく強かな女だよ」
投げ渡されたペットボトルを掴むとそのまま開封し
破裂音が鳴ったのは言うまでもない。
さておき話を続ける。
「そうか、だが残念だ。ここは安くなくてね。今炭酸かかってるが」
手を振りその炭酸水を脇に飛ばしつつあぁくそ、とかなんだ呟きつつ神社の手水舎に向かい
手を洗う。本来こういう目的でないのでやってはいけない。
「なら今の時間もわかるよな。もう遅いから送ってくけど」
染みにならねぇといいなぁとスーツの上着に水を掛けつつハンカチで叩く。
終わればバサバサと上着をはたいて脇に挟んだ。
現実の時間が、それなりの時間を示している。
麻美子 > 「よく言われるッス、前に言われたッスけど、
もう少し頭悪くて可愛げがあったほうが男の子にはモテるんスかねー。」
冗談っぽく笑いながら、やれやれと首を振る。
手洗い場で炭酸水を洗う彼を
『罰当たりッスよー。』と呼び止めつつ、
まぁ他に洗うところがないのなら仕方が無いか、と流す。
「ま、炭酸がかかってるなら仕方ないッスね、
……麻美子、五代サンとベタベタする気はないッスから。」
『文字通りの意味で』とへらへらと笑う。
「そうッスね、送って貰うくらいはして貰うッスよ、
そっちから傷心の乙女に声かけたんス、アフターサービスくらいするッスよ。」
携帯で今の時間を確認しつつ、
のんびりと立ち上がると石段を降りはじめる。
五代 基一郎 > 「今でも十分バカっぽくて可愛げがあるように見えるから心配することないだろ」
何言ってんだお前みたいな失礼極まりない返しをしつつ向き直る。
笑って許してくれるさ、と誰にいう事もなく鳥居を出て石段を降りはじめる。
ここから見える景色も先ほどとは違い、明るさが減っている。
「ダイエット系にしろダイエット系に。あれはベタベタしないんだ。サラサラだぞサラサラ」
なんであれサラサラするんだろうな……ベタつかないんだよ
と妙な何か実体験からくるようないい方で首をかしげる。
「泥じゃないけど炭酸被ってこれとは全くひどい帰りだ、全くさ」
そんなことをボヤきつつ、未見不麻美子の後ろを歩くように
石段を下りて行った……
ご案内:「常世神社」から麻美子さんが去りました。<補足:未見不麻美子:盛大に着崩した制服に、ハンチング帽を被り、赤渕アンダーリムのめがねをかけている。馴れ馴れしい。>
ご案内:「常世神社」から五代 基一郎さんが去りました。<補足:夏用スーツ。>