2015/07/01 - 17:21~21:03 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に遠条寺菖蒲さんが現れました。<補足:ハッチング帽にポニーテ―ルの黒髪で蒼い瞳の明るめの茶色でまとめた落ち着いた色合いの服の少女。左肩に小太刀ほどの肩袋を背負っている>
遠条寺菖蒲 > 試験期間、といっても自分の知識や経験を確かめられる訳なのだから、緊張しない訳がないのだけれど。
それこそ崖っぷちでなければ少し普段と空気が違う期間なだけだと菖蒲は考える。
思えば、この学園に来てから四年目になるわけでこの空気や年々変化はあれど基本は変わらない試験の形式にも慣れるという話だ。
最初は生徒会の一員ということで一年近くの間、緊張していたが予襲復讐と日々の授業の内容を確りと把握していればそれほど周りの学生たちの言う『一夜漬け』だとかは必要を感じない。

「試験中にこうして甘いモノを食べに来るのっていいかも……」

ショートケーキと紅茶をいただきながら、試験の事を少し考える。

遠条寺菖蒲 > 異能試験や魔術実技が免除されている菖蒲にとっては試験とは筆記試験で。
生徒会の一員としては成績優秀であれば先ずはいいのだから、日常的に勉強を楽しむようにしていれば試験の結果も成績の具合も悪くはならないし変に拘ることでもない。
言うならば、勉強も趣味だ。

ケーキを摘んでは少し紅茶を飲む。
均等に。バランスよく。

(ここを教えてくれたヴィクトリアさんには今度感謝しておかないとね)

ご案内:「カフェテラス「橘」」に久藤 嵯督さんが現れました。<補足:表情を一切崩さない白髪の男。刃のような目付き。中肉中背。制服の上に黒いコート、風紀委員の腕章を付けている。>
久藤 嵯督 > 「デスジュースの10濃を三つ。注文は以上だ」

男がそう告げれば、ツインテールの店員が凍り付いた。
マニア向けとしてメニューに並べられている激辛飲料、『デスジュース』。
1濃あたりのスコヴィル値は10万以上、最大の10濃になれば100万を悠に越す。
臭いを嗅ぐだけでも倒れることが必死な一品である。

試験期間になると、どこもかしこもピリピリしている。
教室で寝て過ごそうかと思えば居残り勉強組がやかましく、訓練で時間を潰そうかと思えばぎゅうぎゅう詰め。
嵯督に残された時間を潰すための手段は、ここだけ。
仕事の時間になるまでは、ここで過ごすしかないということだ。

「……なあ、10濃以上は頼めんのか?」

店員に無茶振りをする悪質な客の図である。

遠条寺菖蒲 > 声がした方を横目に見ると私服姿も少なくはないが圧倒的多い学園の制服。それと風紀の腕章。

(風紀委員の人か……)

と一瞥だけする。
しかし、確か注文している飲み物は警告文が書かれるような飲み物ではなかったかと少し考える。
そうだとすると、よくもまあそんなものを好き好むものだな、と菖蒲としては理解できない領域のものだと考える。

――店員の子は困っているが、そこは接客業と言う仕事柄ついてまわる苦労だろう。

対応するのは他の店員か時間帯責任者の責であり、菖蒲は見守る事が他人としてはベストだ。

程よいスポンジと生クリームの配分に味を塗りつぶさないがその甘さを主張する苺。
苺の旬といえば冬から春にかけてだが、季節外れでこれとは驚かされるな、などと思いつつ思考の隅で久藤の方を、と言うよりは店員の行末を見守る。

久藤 嵯督 > 「………チッ」

根負けしたかのような舌打ち。
どうしても10濃以上は用意できない、ということで話がついたようだ。
店員は深く溜め息をついた後再び青い顔をぶり返して、更なる地獄の待つ厨房へと歩いていくのであった。

一方嵯督は番号付きの注文札を受け取った後に振り返り、席の並ぶ場所へと視線をやる。
そのあたりの席に適当に座ろうと歩き出した時、一瞬だけ視線が合った。
黒く淀んだ瞳に、蒼が映る。

(蒼い瞳……いや、大して珍しくもないのか?)

日本人にしては珍しい、異能の影響だろうか? いいや、日系人の可能性もある。
一瞬だけ考え込んだ後に視線を外すと、それほど遠くない席にどっかりと座り込む。
頼んだ品を待ちながら、長い針金をぐるぐると弄くり始めた。

遠条寺菖蒲 > ――どうやら決着がついたみたいだ。
結果として、風紀委員の男の無茶ぶりは通らずメニューにないものは出さないとかそういうところだろう。
例外は認めてしまえば、他も例外を認めなくてはならない可能性が出て来るのだろうからお店としてはとても正しい判断だったのだろうと言える。
当然ながらそんな事を頼む方は考慮しないだろうし、自宅で用意できるのならばそれを作ってしまえるのだから店と言うものに不便さを感じての今の舌打ちだろう。

一瞬だけ、視線が交差したがこちら事を大して意識した様子はない。

菖蒲も意識していたのは事の顛末とあの店員は無事に対応出来るかなという好奇心であった訳だ。

(無愛想……というか、風紀委員の人だし少し強面の人がいても当然だよね)

脳裏に知り合いで久藤と同じ風紀委員いつも正しい言葉をぶつけて来る先輩の顔を思い浮かべて僅かに苦笑する。
考えてみると風紀委員で知ってる人は割りと変な人が多いかもしれないと考える。

席についたあとの久藤の場所は意識しつつも何をしているかは特に気に留めていないようだ。

ご案内:「カフェテラス「橘」」に乙訓 真織さんが現れました。<補足:生徒会書記局副局長。身長185cmのおっとりな女子。ゆるい。>
乙訓 真織 > 「あか~ん、もう疲れたぁ~……と、菖蒲ちゃんや~ん!」
言葉と裏腹に、ぱーっと明るい笑顔でもって店内に入ってくる長身の少女が一人。
先客の一人に目をやると、右手を猫の手のようにして、にぎにぎとして見せる。
相変わらずのことだが、彼女なりの持ちネタ――もとい、挨拶らしい。

「ほんま奇遇やな~……どや、カフェ『橘』で『タチバナ』シでも……」
ふっ、と不敵な笑みを浮かべて菖蒲を見やり、親指と人差し指を顎に宛がう
真織であった。

久藤 嵯督 > 風紀委員らしからぬ風紀委員が針金を弄っていると、背広を着た男が入店してくる。
男はアイスコーヒーを頼んだ後、嵯督のいる席のすぐ隣にある、仕切りの向こう側の席に座った。

嵯督は針金弄りを止めると、深く溜め息をついて机を叩き始めた。

『・・・ -・-・ --- ・-・ ・ 』

それだけ叩けくと嵯督は指を止める。わざとらしく欠伸をした。
すると仕切りの向こうからも、机を叩く音。

『-・・・・ --・・・ 』
「……なんだと?」

今まで誰とも話していなかったにも関わらず、驚いたように言葉を零した。
そしてまた鳴り出す、机の音。

『--・- ・・- ・・ ・ - 』

遠条寺菖蒲 > 店に声を上げてやってきた真織にはすぐに目が行く。
思わず残り僅かになりつつあるショートケーキに向かっていたフォークの挙動が止まる。
身長も高い彼女はよく目立つ。そこら辺の男性よりも大きいのだから目立たないわけがないのだが。
それは逆に言えば、よい個性であり彼女以外の人物だと間違えることがないというトレードマークだ、と思う。
自分に対して言葉を投げかける真織に対し、
至極冷静に。

「蕎麦屋や屋台を食べ歩く訳じゃないのですから座ったほうがいいんじゃないですか?」

少し疑問だとも首を傾げて返す。
そもそも店のコンセプトとして座ってお茶をすることを前提としているのだけど、ととも言葉を漏らして。


「……?」
僅かに、近くの席に座っていた久藤が上げる声にも疑問を感じつつも風紀委員である事だし何かあれば彼がうごくであろう。

ご案内:「カフェテラス「橘」」に畝傍・クリスタ・ステンデルさんが現れました。<補足:短いブロンドの髪と赤い瞳、オレンジ色のボディスーツ姿。散弾銃を携帯>
畝傍・クリスタ・ステンデル > 橙色に身を包んだ少女が、店内へ立ち入ってくる。
巷では試験期間。だが畝傍にとって、試験の結果よりも気がかりなことがあった。
「……まだ、みつからない……」
先日に引き続き学生通りを捜索していたが、探し物――刀の鞘は未だに見つからない。
試験と探し物の疲れを取るため、畝傍はこのカフェテラスへ訪れたのだった。
畝傍は立ち入ってすぐ、何やら話をしているらしきポニーテールの少女と、長身の少女のほうを見やる。
だが二人とも名前も知らない上、注文も済んでいないので、こちらからはまだ声をかけない。

久藤 嵯督 > 寒い。胃から雪を吐いてしまいそうなほどに寒い。
あれで笑いを取っているつもりなのだろうか。それともアレが女子特有の冗談とかいうヤツなのか。

テストの点数に受けたショックも忘れて、くだらない事に対して真剣に悩んでしまいそうになる。
だが、少女の口から出た『菖蒲』という名前には聞き覚えがあった。

退魔の異端児、遠条寺菖蒲。
財団の圧力で"転入"させられたとは聞いていたが、まさかこんな所で見かけるとは思いもしなかった。
常世財団に所属していればよく聞く話だ。
能力があるにも関わらずわざわざこんな所に通わされるということ。
その点に関してだけは、憐れまずにはいられなかった。

乙訓 真織 > 「のわっ!? ガン無視! マジレスやと! 今月始まって以来のショッキング事件やでこれっ!」
大きく、大袈裟に仰け反る真織。

「やはり強敵……不意打ち喰らわせたればいけるかと思ってたうちが阿呆やったわ……
 次こそ絶対笑わせたるからな……」
肩を落として、障気もかくやと、恨みがましいオーラと共にそんなことを呟く。
数瞬おいた後。
気を取り直したか、そや、と手をぽんと叩いて自分の背負っていた鞄の中をごそごそと
探る。

「退院おめでとさんな。で、これな、退院祝い! 次に会った時に渡そうと
 思っとったんや~」
そう言って、菖蒲にスッと差し出したのは、劇場版デカタンのDVDである。
初回生産限定盤で、映像特典も盛りだくさんのものだ。

久藤 嵯督 > 続いて立ち入ってきた少女には、見覚えがある。確か畝傍とか言ったか。
嵯督は、橙色の少女に視線をやった。
どうにも、落第街で見かけた時より気力が落ちてるように見える。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「チョコレートケーキと、カモミールティー」
注文を済ませ、番号札を受け取って適当な席につこうとした畝傍は、以前落第街の路地裏で見たことのある少年の視線に気付く。
近づいて、声をかけてみようとするも。
「……えっと、風紀の……クドーさん、だっけ。まえ、路地裏で会ったよね」
やや記憶が曖昧である。

遠条寺菖蒲 > 試験期間だというのにやはり、ここはいい店なのだろう。
人がよく来る。

「刺激的なひと月の始まりというのもいいものですよ」

真織にそう笑顔で答える。
そもそも、先ずはギャグや駄洒落、冗談などといったお笑いの文化を馴染ませるところからなのだが、
根気よくやれば恐らく菖蒲もいつか察することだろう。

そして差し出されたDVDを見ると目を輝かせる。

「わ!乙訓さんありがとう!」

受け取りそのパッケージを大事そうに抱くようにしてそう言う。
興奮のあまり、周囲の先程入店して来ただろう女性や近くの席にいる男の事を少し忘れてしまう。

久藤 嵯督 > 「ああ。"マネキン撃退"の件以来だったな、畝傍・クリスタ・ステンデル」

忘れかけではあったが、場面さえ浮かべばなし崩しに思い出せる。
記憶を探っていくうちに、目の前の少女の情報がかつてのものと一致することがハッキリする。
誰かの変装でもなければ、擬態でもない。わかったところで、そうして自分に接触する理由など思い浮かばないのだが。

同じくらいの時に、ツインテールの店員が注文された品を運んできた。
『デスジュース10濃』を三杯。ほんのりと刺激臭が漂い始める。
嵯督はそれを、ぐいっと一気に飲み干す。ああ、美味い。
やはり辛味はわかりやすくていい。
ごった煮にされたスパイス共の唸り声と、痛みに悶え苦しむ舌の絶叫、燃え盛る胃袋の悲鳴が、嵯督の心の中を満たしていく。

「――飲むか?」

布教開始。
辛味の素晴らしさについては嵯督も認めるところがあるので、
それを是非色々な人間に知って貰いたいと思っている。
残っている二杯のうち一杯を、少女に勧めてきた。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 「うん。あのときは、ありがと」
久藤の言葉を肯定し、感謝を述べると、彼の近くの席に着く。
畝傍は久藤が飲んでいるものに目を向けてみるも、
眼と鼻に強い刺激を受け、思わず顔をそむけざるを得なかった。
「……ボクね、このへんでさがしてるモノがあるんだ。刀の鞘、なんだけど」
誰に語るでもなく、ただ隣にいる風紀委員の少年には聞こえるように。
周囲にいる少女たちにも、もしかすれば聞こえるかもしれない。

乙訓 真織 > 「心臓止まるかと思ったわ。そんな刺激要らんわ~……」
その言葉には、クイクイ、と手を左右に仰いで拒否の反応を示した。

「返すのはいつでもええで、うちはもう見た後やからな~。試験勉強終わった後のご褒美?
 みたいな感じで見るとええよ。めっちゃおもろいで~! 二枚目のは、特典映像やから、
 そっちもちゃんとチェックするんやで~」
一応、真織にも勉強を優先すべきだという考えはあるらしい。
こんな少女ではあるが、生徒会の一員なのである。根は至って真面目だ。


「店員さ~~ん? オレンジジュース一杯!」
そう声をあげて注文をすると、菖蒲のすぐ近くの席に座った。

「退院した時、すぐに祝いに来れたら良かったんやけど、色々溜まってしまってて、すまん
 なぁ~。あれから、体調大丈夫なん? 問題ない?」
そう尋ねる真織。こんな調子を見せているが、やはり心配していたらしい。

久藤 嵯督 > 礼を言われれば首を横に振る。

「礼ならばレイチェル・ラムレイに言え。
 あの場を抑えたのは、彼女自身の意思だ

顔をそむけられるというのもまた、予想通りの反応ではある。
無駄だとは思うが、少しだけ食い下がってみることにした。

「………一口だけでも、試してみないか?」

「刀の鞘、と一言で言われてもな。
 鞘だけが落ちていたなんて話は聞かないし、察するにその鞘、タダの鞘ではないんだろ?
 学生の問題ならま聞き入れてやらんでもないが、まずは詳しい特徴を聞かせてくれ」

遠条寺菖蒲 > 少しして思考が現世に帰ってくるといつの間にか男の席には女の子が。
なるほど、無愛想な人と派手な少女か。などと少しテレビドラマでありそうな組み合わせだと思いつつ真織の言葉に反応を示す。

「そうですね。試験が終わったら家の家政婦さんと一緒に見ようかなと思います」

特典映像はNGシーン臭やらコメンタリーなど普段ならば雑誌で文章としてしか見れない事が役者の声として聞けるという素晴らしさである。
一瞬、思考がトリップしかけるが、どうにか舵を取る。

「私の方はもうすっかり平気だよ。最近じゃ外回りの仕事で書類回収とかして様子見されたくらいだからね。
ただ、久しぶりの仕事は少し疲れがたまったりするみたいだけど……」

先日、家で食事中に寝てしまったことを思い出して少し恥ずかしがる。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 鞘だけが落ちていたという話は聞いていない、と聞き。
「……そっか。やっぱり……」
俯き、落胆しかけるも、再び顔を上げ、一応事情を説明する。
「クドーさん、風紀委員だよね。なら……指名手配されてる『サヤ』って子のことは、しってる?」
サヤは風紀委員に指名手配されている上、畝傍自身からも風紀委員に対して情報を提供している。
だが知らない可能性も考慮し、一応は尋ねる形をとりつつ。
「その刀の鞘っていうのが……『サヤ』の一部、なんだ。うまくいえないけど、それにはサヤのたましいがはいってて……ボクにはその鞘が必要なんだ。学生通りのあたりに鞘だけで落ちてるって、聞いたんだけど……」

乙訓 真織 > 「家政婦ぅ~? 噂には聞いとったけど、ほんま金持ちなんやな~」
はぁ~、と声をあげて驚いている様子だ。
真織は、別に金持ちの家に生まれた訳ではない。ごくごく普通の、どこにでもある
日本の家庭で生まれ育った。家政婦など、ドラマくらいでしか見たことがない。

店員が運んできたオレンジジュースを飲みながら、真織は菖蒲の話をうんうん、と頷き
ながら聞いた。そして最後まで話を聞き、恥ずかしがっている菖蒲を見てにこっと笑う。

「ま、慣れやな。慣れ。しっかり元の感覚を取り戻すまでは、無理しないことやで。
 無理して疲れ果てて、また事故に遭って入院なんかしたら大変やからな」
ぴっぴっと立てた人差し指を振り、菖蒲に向けて真剣な表情を見せる。
そして、オレンジジュースをくぴくぴと飲んだ。
グラスは至って普通のサイズのものなのだが、彼女を前にすれば何処か小さく見えなくもない。

遠条寺菖蒲 > お金持ちと言われてもイマイチ、ピンとは来ない。
前にも少し誰かに言われたような気はするが。

「そうかな?誰かの家とかと比べたことがないからちょっと分からないかな……」

実家にいた時は監視という名目上で常に複数人が傍にいたし、ここのように家だけに一人と言う事はなかった。
だから、随分と自由に感じているしこれが普通なのかも、だなんて感じていたくらいだった。
また『事故』と言われるとああ言う体験はもう二度としたくはないものだと考える。
露骨に笑顔が引きつるのを感じるが色々と自分でも思い出すと軽く凹むし精神的にブルーになるしおかげで蟲は少し怖くなってしまったしで困る。

「あはは……そうだね。気をつけるよ……」

しかし、気をつけたとしても事件の方から近寄ってくれば恐らく菖蒲は逃げ切れないのだろう。
わずかに入ってくる会話を聞いてると少し物騒な気がしてしまうが、聞いているのは風紀委員の男性だ。大丈夫だろう。

久藤 嵯督 > ふとDVDに眼をやれば、パッケージに写る『刑事x探偵』が見えた。
書類を自分に押し付けてまで、財団の上司が毎回チェックしていた番組だ。正直いい思い出が無い。

『鞘』と『サヤ』でややこしくなりそうな会話は、イントネーションから意図を読み取ることで理解する。

「……なるほど、彼女の刀に鞘が見当たらなかった理由がそれか」

風紀委員へ通報された情報は、把握している。
『サヤ』=『石蒜』であることはもちろん、『鳴羅門火手怖』神の祠を居城にしていること。
彼女への対応はそれなりの数の風紀委員が行っていたので、自分は他の件に回されていたのだが。

あえて見つけずに石蒜と交戦できれば、死合うことも容易い出来るだろう。
彼女自身もそれを望み、そうせざるを得ない状況を作ってくれるに違いない。

「……鞘があれば『石蒜』の脅威は取り除かれる、そういう認識で相違ないな?」

乙訓 真織 > 「いや~、十分大したもんやで~、普通の家には家政婦なんておらんからな~」
そう言って、うんうんと一人頷く真織。

笑いは、真織にとってとても重要なものである。
故に、菖蒲の笑いが引きつったことを、真織は見逃さなかった
事故のことを思い起こさせてしまったのだろうか。
真織は直感した。
こうなった時、彼女にできる行動と言えば――

「ま、大丈夫や。タイミングが合った時はうちと一緒に帰ろな? 
 先輩が『きっちん』と見守ったるで! そらもう『キッチン』の小さな汚れも
 見逃さない優秀な家政婦みたいにや」
そう言って、どん、と自分の胸を叩いた後、改めて顎に人差し指と親指をやる真織であった。
冗談を言っているが、先輩として見守りたい、その気持ちは心の奥底から思っていることなのだろう。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 自身が伝えたかった事を的確に言い当てた久藤のその言葉に、畝傍は感心する。
鞘があれば、石蒜を刀へ封じ、サヤを救うことができる――逆に言えば、それ以外に道がなかった。ゆえに、畝傍は必死に刀を探し回っていたのだ。
「……そう。そうなんだ。鞘をみつけて、それで刀を封じればいいんだって。クドーさん、ボクのいいたいことわかってくれて、たすかるよ」
感謝の言葉を伝え、畝傍は微笑んだあと。
「ボクはシーシュアンも、サヤも、ころしたくないから。それしか方法がないんだ」
念のため、そう付け加えておく。
ふと、会話を交わす少女たちのほうにちらりと目を向けてみる。
何やらいい雰囲気のようなので、まだこちらから声はかけない。
そうこうしているうちに、頼んでいたチョコレートケーキとカモミールティーが届いた。
畝傍はケーキを一口食べ、カモミールティーを飲む。

久藤 嵯督 > だが、久藤嵯督はそうしない。
 ワカ
「承った。」

嵯督は今、ひとつの社会の上に立っている。
財団には適度に生かされつつも、生死を分ける戦いにはきちんと参加させて貰っている。
風紀委員では退屈しているものの、情報と言う名のチャンスを掴める場にいる。
学園は……まぁ寝床ぐらいにはなっているとしよう。
与えて、与えられて。たったそれだけの関係が、どれほど尊いものであるのか。
外で地獄を見てきた嵯督は、それをよく理解していた。

ならばこそ、裏切りなど以ての外。
自分の勝手に何の罪も無い連中を巻き込むことは、己の信条に反する事なのだ。

「他の風紀委員にも掛け合ってみよう。
 『学生通り近辺』に、――尺――寸ほどの刀が入る鞘が落ちている。
 他に留意すべき事柄は?」

デスジュースを一気に流し込む。
先日の打ち合いで、間合いと得物のサイズは全て把握していた。
一寸の狂いも無く、刀のサイズを言い当てる。

遠条寺菖蒲 > 近くのカップルは通じあってるような気がする会話をしているような気がするので大丈夫なのではないかと思う。
どう言う関係性かは分からないが、どこか信頼関係みたいのはあるような気がするのできっとそうなのではないかと菖蒲は考える。
真織の声や自分の声で久藤と畝傍の会話の半分くらいは聞き取れていないが、風紀委員が対処しているなら信頼できるだろう。きっと。

「そっかー…そうなんだ…」

てっきりどこの家にもいるものだとばかり思っていた菖蒲にとってはちょっとした新事実であった。

「あ、それって知ってるよコマーシャルとかで洗剤のマスコットキャラが『チョチョイのチョイやよ』って言うやつでしょう?」

ギャグには気付く事もなく、テレビドラマ視聴中によく見るCMを思い出して真織に返す。
乙訓さんもあのCMはよくみるよね、だなんて見当違いな言葉を出して。

「一人よりは二人のほうが安心だけど、私の家って委員会街からすぐだから大丈夫だよ」

と笑顔で感謝しつつそう言う。
ショートケーキも紅茶もいつの間にか菖蒲のお腹の中に消えてしまっていた。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 久藤がそうしないように、畝傍もできればこれ以上無関係な人間をこの事に巻き込みたくはなかった。
今は仲間もいる。このことは、出来る限り自分たちの力と風紀委員の協力だけでケリを付けようと考えていた。
ケーキを飲み込んだ後、畝傍は。
「えっと……必要なものだから、みつけてもこわしたりしないで、ボクのところにもってきてほしい、ってつたえて。ボクの部屋は女子寮にあるから。あとこれ、ボクの連絡先。何かあったらおしえて」
畝傍は携帯端末を取り出し、久藤に自身の番号を示す。
もし久藤が端末を持っていれば連絡先を交換することもできるし、持っていなければ別の手段をとることもできるだろう。

乙訓 真織 > 他二人の会話は、聞こえていても完全に意識の外なのだろう。
真織からは何の反応も示さない。


「そう、油汚れにチョチョイのチョイ! ショイ君やで!」
そう言って、CMの声真似などしておどけて見せる真織。
笑わせる目的とは別な方向へ行ってしまったことにほんの少しだけ落胆しつつ。

「へ~、そうなん? じゃあ今度遊びに行こかな~」
そんな風に返しつつ、腕時計を見るとあ、と気付いたような顔をして。

「もうこんな時間か~、帰ってテスト勉強せんとあかんな~」
そう言って、席を立つ。鞄から財布を取り出すと、菖蒲の方を見やって、小さく手を振る。

久藤 嵯督 > 「……携帯かぁ……」

携帯電話は苦手だ。
タッチパネルはロクに反応しないし、タイプ方法も相当複雑になっている。
連絡するだけなら、メッセージ機能付きの無線機でも事足りる。
こんなものを好んで使用する、学生の感覚がよくわからない。
おぼつかない指付きで、電話帳機能に連絡先を入力する。
自分の番号は、紙に書いて見せた。

「他の風紀委員がどうするかまでは保障できんが、進言はする。
 だがまぁ、余程の事が無い限りは壊されんだろうよ」

遠条寺菖蒲 > くすりと真似する真織を見て「それそれ」と笑う。

「うーん、特に何か遊べるものがあったりなんかはしないけど、部屋と広さは少しあるかな?
帰りが遅くなりそうな時とかはうちに来ても大丈夫だと思うよ」

家政婦のヘラさんが少し慌てるかもしれないなぁと考えつつ。
時間の話をされて腕時計を菖蒲も見る。

「あ、そうだね。私も予定があるから行かないと」
と入り口まで真織の後に続いて席を立つ。

畝傍・クリスタ・ステンデル > 久藤が紙に書いた番号を受け取ると、畝傍もまたそれを自身の端末へ入力し。
「ありがと。たすかるよ」
礼を述べると、再びチョコレートケーキを頬張り、咀嚼する。
さらに、カモミールティーを一口。それを飲み込むと。
「ボクもこれたべたら、またさがしにいくから」
久藤にそう告げた後、店を出ようとする少女たちのほうを向き、じっと見つめる。

久藤 嵯督 > 「俺はもう少しだけ残る。"デザート"の注文がまだだからな」

仕事よりもデザートを優先するのもどうかという話だが、
久藤嵯督は譲らなさそうだ。
三杯目のデスジュースを流し込み、店員を呼ぶ。

「いつものを」

ツインテールの店員は、青ざめた。

遠条寺菖蒲 > 視線を僅かに感じつつも店を後にすることにする。
何やらあの店員の子がまた慌て始めているようだが、きっと大丈夫だろうと。
それも接客業の運命なのだろうと考えながら。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から遠条寺菖蒲さんが去りました。<補足:ハッチング帽にポニーテ―ルの黒髪で蒼い瞳の明るめの茶色でまとめた落ち着いた色合いの服の少女。左肩に小太刀ほどの肩袋を背負っている>
乙訓 真織 > 「はぁ~、ヘラさんな~。じゃ、うちが遊びに行くかもって伝えといて~」
最後にそう言って、真織は店を出て行った――。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から乙訓 真織さんが去りました。<補足:生徒会書記局副局長。身長185cmのおっとりな女子。ゆるい。>
畝傍・クリスタ・ステンデル > しばらく食事に意識を集中し、気付けばケーキは完食。カモミールティーも飲み干していた。
「それじゃ、またね、クドーさん」
久藤に別れを告げて席を立ち、畝傍は鞘の捜索を続けるため店を後にした――

ご案内:「カフェテラス「橘」」から畝傍・クリスタ・ステンデルさんが去りました。<補足:短いブロンドの髪と赤い瞳、オレンジ色のボディスーツ姿。散弾銃を携帯>
久藤 嵯督 > デザートが届くまでの間、机を指で叩き続けていた。

『・- ・・・  -・-- --- ・・-  -・-・ ・- -・  ・・・・ ・ ・- ・-・ 』
『-・・ --- -・  -  ・・・・ ・・ -・ -・・ ・-・ ・- -・ -・-・ ・ 』

嵯督が机を叩き終えると、背広の男は会計を済ませ、店から出て行った。

久藤 嵯督 > デザートと言っても、お持ち帰りデザートである。
1ダースのデスジュースを運んでくる店員に礼を言うと、
デスジュース入りの袋を持って、嵯督もまた店を後にするのであった。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から久藤 嵯督さんが去りました。<補足:表情を一切崩さない白髪の男。刃のような目付き。中肉中背。制服の上に黒いコート、風紀委員の腕章を付けている。>