2015/06/28 - 21:29~04:10 のログ
ご案内:「カフェテラス「橘」」に綾瀬音音さんが現れました。<補足:156cm/鳶色ミディアム髪、茶瞳、色白/半袖花柄ワンピース、ストラップシューズ、ショルダーバッグ/リミット 1:00前後>
綾瀬音音 > えへへへ……(アラビアータを食べ終えて、デザートのチーズケーキと紅茶のセットを頼んだ後、改めて自分の左手を見る。そしてにやける。今日一日そんな感じだ。ちょっとじゃなく浮かれているが、今日一日くらいいいじゃない、って思っている。ちなみにテスト勉強なと身に入る訳がないので、今日はしていない)
ご案内:「カフェテラス「橘」」にライガさんが現れました。<補足:銀の鎖が巻かれ、獣の爪に似た形をしたナックルダスターを装備。ふだんは武器を収納した制服姿。>
ライガ > 若干疲れた表情で入ってくると、空いている席にどっかりと腰を下ろし、コーヒーを頼む。
頭の中は護符とか装備のことでいっぱいだ、気分転換に来てみたはいいものの、全く切り替えができていない。

「はーーあ……」

綾瀬音音 > (まあ色々あったけど、ここ最近は個人的には平和であったし、元々平和に生きているのがデフォルトな少女は、呑気に左手を見てにっこにこでいるのである。
勿論この左手薬指のリングがどういった経緯で得られた金で購入されたかも知らないし、言われなければ気づくこともない。
――気づいた所で、捨てることも無いのであろうが)

――えへへへ
(まだにやけている。そんな所で店員がケーキと紅茶を運んできた所で顔を上げると、見えた知人の姿。目立つので一発で解った)

あ、ライガさーん
(彼が座ったのは自分から2席ほど離れた辺り。
声を掛けて手を振る。
気づいてもらえれば、そちらに席を移動してもいいかと尋ねよう。
疲れた彼とは違って上機嫌で)

ライガ > 頼んだ珈琲が運ばれてきたので顔を上げ。
そこではじめて、知った顔をみつけた。

「……ん?
おー、音音じゃーん。どうしt……うわっ、すごい幸せオーラがっ!」

眩しい。眩しい。
席は空いてるようだ、荷物を片づけてスペースを開けてやる。

綾瀬音音 > (気づいてもらえれば、笑って頷いた。
席も開けてもらえたようなので、紅茶とチーズケーキを持って移動しよう。
対面に座りながら、お邪魔するね、と笑う)

あははは、ちょっとねー。いいことが。
そう言うライガさんはお疲れみたいだけど、勉强のし過ぎ?
(幸せオーラと言われればこっくりと頷いた。
ちらっと左手薬指を見たので、視線を追えばどういうことか解るかもしれないし、解らないかもしれない。
然しながら疲れた彼の様子には首を傾げて。
テストはもうすぐだし、真っ先に浮かんだのはその勉強だった)

ライガ > 音音の左手薬指に輝く指輪をを見れば、にやりとした顔でああ、なるほどと頷いた。
そうか、どうりで幸せそうなわけだ。
珈琲を一口飲む、おかしいな、ブラックで頼んだはずだけどほんのり甘いぞ……?

「勉強のし過ぎって……そこまでひどいわけじゃないさ。
テストは何とかなりそうな気がするから、それはいいんだけど。

ちょっとね、今までの戦い方で改善点が出てきたんで、対策を考えてたんだ。
今までは、魔拳と解呪とか解毒みたいな補助魔術少々で戦ってはいたんだけど」

そう言って、腰のポーチからナックルダスターを取り出す。メリケンサックともいう奴だ。
それは獣の爪のような形をしていて、銀の鎖がついていた。

綾瀬音音 > (にやりとされれば何となく照れて赤くなった。
まあ、そんなこんなで今日一日は浮かれっぱなしだったのだ。
とは言え、今は一人でもないので気持ちを引き締めながら)

あ、良かったね。
夏は遊びたいもん。

んー、格闘技と魔術を合わせたもの、って言う認識で合ってるかな?
(魔拳、聞きなれない言葉に首を傾げ問いかけつつ。
出された武具には瞬きを二つ。
これで殴られたら痛そうだなぁ、と眉を寄せて)

……ライガさん、こういうので戦うってことは、結構危ない事やってる感じの人?
(これは、身を守るためではなく、誰かを傷つけるための武器に見えたので、そんな質問を一つ。
咎めている雰囲気はない、その資格が無いことは解っている)

ライガ > そりゃーせっかくの夏に、赤点補習なんて御免さ、と笑う。
少し、元気が出てきたようだ。

「うん、簡単に言えばそうなるな。
こういうのとか、グローブとか、ブーツなんかに魔術を付加して、戦う感じだね。
よくある魔術師みたいに、そんなに酷い火力は出ないけど。
詠唱の短さと、あと……そんなに魔術の素質が高くなくても扱えること、くらいかな」

肉弾系の魔術師ってことも含めて、あんまりメジャーじゃないけどね、と苦笑しつつ。

「ん?危ないことってのは……どういうことだい?」

たしかにこれは、護身用とするにはあまり似つかわしくない。
もし本当に防衛の為だったら、威嚇含めて銃の一つでも持った方がはるかに効果的だからだ。

綾瀬音音 > (だよねー、と夏についてはそんな事。
夏は楽しみにがいっぱいなのだ。

そして、彼の語る魔拳には興味深そうに頷きながら聞いた)

近距離で戦うには確かに便利そう。
詠唱は長いとその間にやっつけられちゃうだろうしね。
ええと、比較的初歩的な魔術だから、とか?
(まあ、どっちかって言うと珍しいかもしれないね、と笑う。
この学園に来るまでは魔術師は後援で守られながら魔法を飛ばすイメージだった。
そうでもないことは今は知っているけれど)

……ええと、その。
落第街であれこれしたり、とか?
(危険に自ら飛び込んで行ったりとか。もしくは何か危ないことに関わっている人だったりとか。
とは言え彼がそういうふうには見えないので、非常に曖昧な言葉になってしまう。
ただ、自分にはその武具がどうしても攻撃的に見えてしまうのだ。恐らく銃とか見ても同じ反応をするのだろうが)

ライガ > 「初歩的な、というのとちょっと違うかな。
付加も、普通のエンチャントとは違うからね。まあ、この辺は機密事項だけど。
あと火力出ないってさっき言ったけど、体鍛えればそれなりには出せるようになるよ。
そういう意味じゃ、魔術ってよりは武術かもしれないけど」

ひょっとして、やってみたい?と冗談半分で、小さく笑う。

「ああ、そう、だね。
……なんていえばいいんだろう。君の彼氏──白崎君と似たようなことをやってた、と言ったほうがいいのかな?
ま、この見た目もあってさ、あんまり絡まれることはないんだけど」

商店街で絡まれたのは例外としておこう。

綾瀬音音 > 機密事項なら聞かないよ。
結局体を鍛えないとどうしようもないんだよねぇ……。
私がぼふぼふ殴るのとライガさんのストレートパンチじゃ全然威力違ってくるし。
正直言えば興味はあるよ。
格闘技はね、教えてもらう約束はしてるんだ。同級生に。
まあ、自己防衛位はできないとなーって。
(彼氏の足手まといになるわけは行かない。強く、とまでは行かなくとも自分を守れるくらいには、とは思って、自分の手を見る)

ああ、うん、何となくは了解。
確かにそれなら結構危ない目に合うよね……。
こういうのも必要か。
……絡む人は結構度胸あるよね……
(白崎と似たこと、と言われれば納得した。
ならば、こう言う武器は必要だろう、なにせ荒事が多い――もしくは多かったのだろうから。
同時に、場合に寄っては人も殺すのかなぁ、と思考の端で思ってそれを更に思考の奥へと追いやったが、複雑そうな顔はしていたかもしれない。
紅茶を一口飲んで、チーズケーキを突っついた)

ライガ > 「ああ、格闘技。
体鍛えるのもそうだけど、プロポーション維持にもいいからさ、
そりゃあやっとくべきだね、白崎君の為にも」

最後の一言は余計かもしれないが。
珈琲のお代わりを頼み。
ま、実力以上の奴とやり合うとか、無茶はするんじゃないよ、じゃないと彼氏のこと心配してる場合じゃなくなるぞ? と悪戯っぽく笑う。

「まあ必要とはいえ、落第街に出入りする以上はどうしてもねー。
っと、大丈夫?浮かない顔だけど」

綾瀬音音 > プロポーション維持……
……………………。
(自分の体を見下ろして、まず黙り。
体重はあまり上下しない方ではあったが、そう言われると気になってしまうのが女子という生き物だ。
お腹周りとか気にならないわけでもないし。
彼氏の名前を出されれば黙ったまま顔が赤くなった。
いや、まあ、うん……とか良く解らない単語以下の言葉を口の中で繰り返し)

あははは……それは解ってるから大丈夫・
出来るだけ避けたい事態だね、それは。
(と、苦笑しがちに言う。
基本、自分から危険に突っ込む予定はない)

あそこ危険ですからねー、解っているから滅多に行かないですけど。
――や、何でもないよ。
大丈夫。
(考えていることを読まれた気がして、少し驚いたようにライガを見てから、曖昧に笑った)

ライガ > 「おっと、これは余計だったかな」

珈琲を飲みながら微笑む。

「そか、それならいいけど。
よっぽど妙なことにかかわってなけりゃ、大丈夫さ。

さてと、僕はそろそろ行こうかな」

先、失礼するよと立ち上がった。

綾瀬音音 > 余計と言うか、なんというか……。
ううん……女の子は結構大変なんだよ。
(とか何とか言いつつ、少し唇を尖らせて)

私自身は関わるつもりはあんまり。
それより玲刃君の方が心配だしね。

……そうかな?
いい時間だしねー
じゃあ、また。
(と、立ち上がる彼に手を上げて。
自身はもうちょっとケーキが残っているのでそれをやっつけるつもりだ)

ライガ > 「ま、体型維持は男でも関係ないわけじゃあないからね。
変にダイエットとかするよりは、だいぶ健康的じゃないかな」

彼の方が心配、という言葉を聞けば。

「ははは、確かにそうか。
……でも、そうだね。無理しすぎないといいけど……

じゃ、またね」

ナックルダスターをポーチにしまい込む。
バッグを手に提げると、料金を払い。空いている手を音音に振って、出ていく。

ご案内:「カフェテラス「橘」」からライガさんが去りました。<補足:銀の鎖が巻かれ、獣の爪に似た形をしたナックルダスターを装備。ふだんは武器を収納した制服姿。>
綾瀬音音 > まーそうだけど。
……やっぱりお腹まわり……や、何でもない!!
(思わず体型の相談をしそうになって、慌てて首を振った)

本当だよ。
いっつも無茶ばっかりで、心配しか出来ないから。

……うん、それじゃあね
(攻撃的なそれがしまわれば知らぬ内に安堵の表情を浮かべて、此方も手を振って見送ろう)

綾瀬音音 > ――――――皆、それなりに力を持ってるんだなぁ……
(ケーキを突きながら、自分の手を見ながら、小さく呟いた。
異能は使える、だけど自分はそれだけだ。
安定性もあるし出力もそれなりだが、異能以外の力が圧倒的に足りないのだ)

(ちらりと左手の指輪を見る。
広がるのは相変わらず甘やかで穏やかな感情で、照れくさいものだけれど、少しだけ、考える)

(―――――一体、私に何が出来るんだろう……?)

綾瀬音音 > (チーズケーキを食べ終わり、残った紅茶を飲み干すと会計を済ませてこの場を後にした)
ご案内:「カフェテラス「橘」」から綾瀬音音さんが去りました。<補足:156cm/鳶色ミディアム髪、茶瞳、色白/半袖花柄ワンピース、ストラップシューズ、ショルダーバッグ/リミット 1:00前後>
ご案内:「カフェテラス「橘」」に久藤 嵯督さんが現れました。<補足:表情を一切崩さない白髪の男。刃のような目付き。中肉中背。制服の上に黒いコート、風紀委員の腕章を付けている。>
久藤 嵯督 > 「デスジュースの10濃を三つ、以上だ」

男がそう告げれば、ツインテールの店員が凍り付く。
マニア向けに並べられている激辛ジュース、『デスジュース』。
1濃あたりのスコヴィル値は約10万、最大の10濃で100万になる。

久藤 嵯督 > 臭いを嗅ぐだけでも倒れることが必死なこの一品。
それを三つも作れと言われれば、作り手や運び手でさえ命の危機を感じずにはいられない。

そもそもこの男は、ちゃんと飲み切れるものなのだろうか。

久藤 嵯督 > ――平然と飲み切った。

顔を離したがりながら店員が運んできた三杯のデスジュースを、まるで排水溝のように流し込んだのだ。
男はふぅ、と息をつく。

「おかわりだ」

店員はついに死を覚悟した。

久藤 嵯督 > おかわりを繰り返すこと合計七杯。
男は満足したように、余韻に浸っている。
注文が止んだことにほっと胸を撫で下ろす店員であったが……

「そこの店員」

「デスジュース10農を1ダース、テイクアウトで頼む」

ナムアミダブツ。

久藤 嵯督 > 厨房で命がけの作業が繰り広げられる中、嵯督は膝をトントンと叩いていた。

『-・ ---  ・--・ ・-・ --- -・・・ ・-・・ ・ -- 』

仕切り越しの隣の席から聞こえてきたのは、トントンと机を叩く音。

『・・・・ ・- ・・・- ・  ・-  ・・・ ・- ・・-・ ・  - ・-・ ・・ ・--・ 』

仕切りの向こうにいた人物が立ち上がり、会計を済ませた後に店を出る。

久藤 嵯督 > (過保護なんだよ)

うんざりしたように溜め息をつくと、携帯電話を弄り始める。
こういった類の機械は苦手なのだが、だからこそ早目に克服しておかなければ後が困る。
デスジュースの完成を待つ間、携帯端末を弄っていた。

やがてフタ付きのデスジュースが十二杯入った袋を受け取ると、カフェテラスを後にするのであった。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から久藤 嵯督さんが去りました。<補足:表情を一切崩さない白髪の男。刃のような目付き。中肉中背。制服の上に黒いコート、風紀委員の腕章を付けている。>
ご案内:「カフェテラス「橘」」に薄野ツヅラさんが現れました。<補足:赤いジャージにヘッドフォン。右手に金属製の前腕部支持型杖。左手に公安の腕章。/乱入歓迎>
薄野ツヅラ > ふらふらと入店したカフェテラスは、夜だというのに随分と人が集まっていた。
天下の学生街、本来なら自分が足を運ぶべきではないことくらいは
解っているが、時間は夜。
少しくらい落第街の住人が姿を紛らわせても怒られないだろう。
ガタリ、音を立てて椅子を引く。
杖を片手に機嫌の悪そうな其の姿は、厭に店内の目線を集める。

「コーヒーフラペチーノ、エスプレッソショット追加で」

何時ものただ苦いだけのコーヒーを頼む。
自分の想い人にも「ワケわかんねェ」と評された、苦いだけの其れ。
頭を回すにはぴったりだったし、
このやるせない気持ちをどうにかするにはぴったりだった。

薄野ツヅラ > ちらちらと視線が向けられれば、苛立ったように舌を打つ。
自分が音を立てて椅子に当たり散らしたのも自業自得だが、
そんなことは知ったことかとやりづらそうに目を細める。
当然公安の腕章をした人間が店内であれだけ八つ当たりをしていれば目を集める。
最近の公安のヘイトの高さからして反感を買ったかもしれない。

運ばれてきた其れを半ばぶん取るようにして受け取ると、一思いにカップを傾ける。
苦い味が喉を通る。
正直、甘いものが大好きだしキャラメルシロップを追加したいのが本音だったが、
何時からか外で甘いものを口にするのはやめた。
自分は甘くてはいけない。
そんなしょうもないことを「自分ルール」に課した。

「───苦い」

薄野ツヅラ > 甘いものは嫌いだ、と普段から嘘を吐くも本心ではそんなことはない。
寧ろコーヒーにはガムシロップも砂糖も沢山入れたい。
其れでも彼女は、嘘の毛皮を纏うようにブラックコーヒーを飲む。
強い自分を取り繕うために。
だのに────

(東郷を殺せなかったのは、ボクの甘さだ)

つい先日交戦したばかりのロストサインの"殺刃鬼"。
あのまま行けば、本来は自分が射殺でもなんでもして終わらせていたのかもしれない。
マスタークラスを一人"厳重注意"して、第二の評価も少しは戻ったのかもしれない。
其れでも。

(───逃がしたのはボクの所為だ。あそこで甘えなければ)
(───同類だ、なんて云わなければ)

薄野ツヅラ > 彼女は、人知れず思考の海に呑まれる。
堂々廻りの思考の海に、呑まれる。
甘くちゃいけない、と決めて、大好きな甘いものも口にしないようにして。
神出鬼没で大胆不敵なトリックスターを演じきる筈だったのに。

(───アァ、どうにもままならない)

頬杖をついて、ぼんやり俯く。
ただ其処にいるのは得体のしれない『第二特別教室』の『堂廻目眩』でもなく。
はたまた島の情報を面白おかしく書き連ねる怪しげなサイトの管理人の『Q作』でもなく。

(───本物の弱者はボクだってのに。莫迦莫迦しいにも程がある)

一人で悩みを抱え込んで、どうにもできない自分が大嫌いな。
未だ16年しか生きていない、どこにでもいるような女の子だった。

薄野ツヅラ > 本当だったら今頃恋をして、ずっと好きだった彼に想いを告げて。
よく切れるハサミじゃあなくて一人の女の子として見てもらえていたかもしれない。
他の誰かみたいに、みんなでテスト勉強をして。
テストが終わってしまえば夏休みだ。お祭りに、海だって開く。
そんな至って普通の学生生活を送れていたのかもしれないのに。

(───何処で間違ったやら)

自嘲するように嗤う。
周りに視線をゆらり、向ける。
恐らくカップルであろう男女に、課題が終わらないと笑顔で嘆くグループ。
仲睦まじげに笑顔を向け合う、屹度親友であろう女の子が二人。

───そして、自分。

薄野ツヅラ > 日常の中に、非日常が一つ。
彼らが憧れる非日常は、また彼らのような日常に憧れる。
そうして今日も街は廻る。
「そうなるようにできている」から。「そういうもの」だから。
其れでも───非日常は、日常に憧れる。日常を求めてしまう。

「………ホント良く出来たモノねェ」

コーヒーを呷りながら独り言つ。
変わらない街の仕組みは、自分一人がどう足掻いたところでいつも通り。
クロノスが暴れた後も、数時間後にはいつも通りの街に戻っていた。
───そう云うシステムなのだ。
誰が石を投げようが──誰が意志を投げようが。結局変わることはない。
非日常が日常に成り替わることも、日常が非日常に成ることもない。

薄野ツヅラ > ごちそうさま、と小さく呟いて伝票を手に立ち上がる。
非日常に呑まれて不自由になった右脚をロフストアンドクラッチで支えながら、幽鬼のように。
ザワザワと賑やかな店内に、杖の音は掻き消される。
寧ろ、掻き消してくれて良かったと思った。
誰も自分のことを見ないでくれれば、屹度逡巡することもなく非日常に沈み込めるから。

口の悪い短気で狡猾な彼に、純白の今はもう居ない彼女。
ツヅラの人生において、一番目と二番目に大事な二人はどちらも非日常の住人だった。
だからこそ、この間彼がこのカフェテラスに一緒に来てくれた時は死ぬほど嬉しかった。
もしお互い日常に生きていたら、こんな風にデートしていたのかな、なんて。

「お釣りは要らないわぁ、ドーモご馳走様」

乱雑に店員に千円札を押し付けて、足早に店を出る。
───いち早く落第街に戻るために。彼女なりの日常に戻るために。

ご案内:「カフェテラス「橘」」から薄野ツヅラさんが去りました。<補足:赤いジャージにヘッドフォン。右手に金属製の前腕部支持型杖。左手に公安の腕章。/乱入歓迎>