2015/07/01 - 21:05~03:45 のログ
ご案内:「スイーツキングダム」に五代 基一郎さんが現れました。<補足:夏用スーツ。本日の会計主。待ち人中。>
ご案内:「スイーツキングダム」に遠条寺菖蒲さんが現れました。<補足:ハッチング帽にポニーテ―ルの黒髪で蒼い瞳の明るめの茶色でまとめた落ち着いた色合いの服の少女。左肩に小太刀ほどの刀袋を背負っている>
五代 基一郎 > 待ち合わせの通り、試験時間と下級生への監督業が終われば
店の近所で合流してその店に入った。

入れば甘い匂いが香る空間、方々ではドーナッツやケーキが飾られるように並べられ
積み上げられてまさしく甘味の王国だった。

予約していたのか席に案内されれば進めつつ自分も着席となる。

「来ると本当に一年に一回でいいと思うよ……万国博覧会って知ってる?知らないか……
 どう?ここ。テーマパークみたいでしょ」

遠条寺菖蒲 > 待ち合わせに合わせて来ると既に彼はそこにいて五代の後に続いて入店する。

初めて来るこの場所はなんだかお伽話の夢の国のようだ。
甘いものの食べ放題ってどんなものかと想像がつかなかったが、
これは中々に予想以上だと菖蒲は思った。

「万国博覧会……名前だけは聞いたことはありますが詳しい事はちょっと。
でもテーマパークみたいと言うのは納得ですね」

とは言え、菖蒲はテーマパークというのはテレビのコマーシャルや画像、話にしか聞いたことはないのだが。
甘いもの《スイーツ》が溢れたこの店内は外とは別世界の空間のように思える。

ここが理想郷――。

そのように感じる人もいるのではないかと考えさせる。

「今日はお誘いいただき有り難うございます。うちの家政婦さんも暇なら来たかったって言ってたので少し楽しみだったんですよ」

と笑顔で軽く五代に頭を下げる。

五代 基一郎 > 「そっか……まぁ、もうずいぶん前になるしな。
 本当に学生向けか、という値段での入場料
 あとは好きに楽しんでくださいって感じでこう……いるだけでお腹一杯なんだけどさ俺」

客層はもちろん女子。ケーキ、ゼリーなど始まりにしかすぎない。
甘いものといえばというものは所せましとここにある。
もちろんドリンクも飲み放題でカレーやパスタまである。

「なら俺がいない時の予行でいいんじゃないかな。
 流石に家政婦さん交えて、というのは俺は邪魔だろう。
 それに今回は前誘ったのとかさ。
 ある種の、なんだろうね慰労も兼ねてるし、お礼はいいよ」

それが何に対してか、労うほどのことだったのか。
何かに対しての区切りであることを告げつつも思う。
ここは女子なら誰もが憧れる場所なのだろうか……
その”家政婦さん”もここに来たい、というのだからすごいもんだと。

「形式はバイキングで、皿に取っていく感じだから行こうか。
 まぁ、言うほどでもないけどほどほどにさ。」

そう言いながら挨拶もそこそに席を立ち、招くようにケーキ類のところに歩いていく。
ドリンクは帰りでいいだろう。

遠条寺菖蒲 > 「そうなんですか。なるほど……ここが学生向け」

そう呟いて何か納得するように真面目な顔で一度頷く。

「五代さんって小食なんですね、少し意外です」

決して健啖家とも思っている訳ではないが、普通くらいには食べる人だと思っていましたと言うようなニュアンスが言葉にはある。

「ヘラさん――あ、家政婦さんの名前なんですけど、ヘラさんはご飯の時は多いほうが美味しいって言う人なんできっと五代さんの事も邪険にはしませんよ」
「慰労ですか……私自体は、前に誘われた時は本当に何一つしてませんでしたけどね……」

少し慰労という言葉に悩むような悲しむような複雑な表情を僅かに見せてからなんとか笑ってそう言う。

「……とは言え、そういうことであれば遠慮もせずにいきます!」

私もそんなに食べれる方ではありませんけれど、と零して招かれた先で誘惑に負けるようにケーキを皿にのせていく。

五代 基一郎 > 「いや……俺、確かにおいしいものは好きだけど
 甘いものはあんまり……」

実際甘いものはあまり食べず、間食はしない主義だった。
それこそ戦時には求めたものだがあれはほぼ丸一日動いているような仕事だった。
だからこそ平時であるのならば、逆に余分なものがつく原因になりかねない。

「それは同感。まぁ今度御一緒できる機会があれば是非。
 俺もなんだかんだでこの島は一人で食うのが殆どでさ」
「そうねぇ……まぁ、今回”は”というのもあったろうけど。何もしてないのと変わらないという点じゃ同じかな。」

そんなことを菖蒲を見ずに答えながら自分も選ぶ。
といっても半ば飯も兼ねているので、甘いものよりもカレーが食いたい。
しかし食わなければ本分でもなく、前にでればやはりとタルトやら
あ、夏季限定のだよここらのとレモンジンジャーやらオレンジムースを皿に盛っていく。

遠条寺菖蒲 > 「……?」

気がつくと手に持った皿がいっぱいである。
無言で追加で載せようとした桜をイメージしたという少し季節外れなミルフィーユを諦める。
しかし、隣にあるミント系タルトのものやバニラキャラメルのケーキなどにも目が行く。少し離れたところにはシュトーレンなんかもあったりと菖蒲は食べ物で選ぶのに困るというのを初体験した。

「い、一度、席に戻ります……!」

先ずは取っていたものを食べて余裕があれば、とかんがえる。
今は食べることを考えようと思うのだ。
帰り道に見つけたショコラ・フランボワーズも余裕があれば……と固唾をのむ。

五代 基一郎 > 「……?」
あれ、と思う。
まさか、と思う。

まさか話を聞いていない……?
確かに俺の話の仕方がわるいかもしれないが、この遠条寺菖蒲
まさかスイーツのことで頭を埋めて……?
なんのために呼んだかとか来たのだろうかを……?

これはいけない。
ただブクブク太らせるために呼んだというのはいけない。

「そうだね、俺もそう思うよ」

とりあえず適当に取りつつ、飲み物のアイスグリーンティーも適当に注ぎ
席に戻った。

「……いや、まぁそうだな……まぁ食べながらでいいよ」

中途半端にお預けしたまま話をしても仕方がない。
とりあえず食うことを薦めつつ、さてどうするかと考える。

遠条寺菖蒲 > 席について、座って。
――さあ、カフェテラス「橘」を基準にどう違うかを確かめよう。
家政婦のヘラさんが言っていっていた。
一番最初に一番おいしいものを食べておけ、と。後で別の所で食べる時に基準になるだとかそういう違いが分かるようにだとか色々な考え方を持つためにだとか言っていたとおも――……

と、食べようとしたところで五代の視線に気が付きつつも取り敢えずショートケーキを一口。
咀嚼して思考し納得して自分の中で結論を出す。
その後、何事もなかったかのようにハンカチで口を拭いてから。
姿勢を正して、

「……それで、何かお話とかあるんですよね?」

と何か悟りでも拓けたかのように静かにそう口にした。
すっかりとフォークも置いて真面目な顔となっているが一口を食べるまでの彼女は何だったのかと言う程の変わり様に見えるかもしれないが。
触れれば何か長くなりそうな雰囲気も感じるかも知れない。そんな顔を一瞬していた。

五代 基一郎 > 「逆にさ。聞きたいことがあったんじゃないかと思ったんだけどね」

特に触れない。話となるならそれで構わない。
今どうであるかというものをと考えていたが、成程ここには魔力があるらしい。
次は自宅か別の場所を選ぼうと決めた。
それか話がないときでいいだろうここは……と。

「まぁないならいいかもだけど。今回それなりに何かしていたようだけどさ。
 ”満足な過程と結果”は得られたかな。”納得”でもいいけど」

遠条寺菖蒲 > 手を膝の上にして、一度ゆっくりと呼吸する。

五代に言われた言葉はよく分かる。
甘味でも食べて忘れてしまおうとかちょっと考えていた部分もあった。
だから、聞かれるなら答えよう。

「“満足な過程も結果”も“納得”出来る事もありませんが、
起きてしまった事実は変わりません」

出来ることならば。

「出来ることならその結果が出された日までを納得できるまで《繰り返し》たいと思いはしますが、
それは夢物語の妄想で、そこに逃げるのは今からの逃避ですから」

《繰り返し》て《繰り返し》て《繰り返す》。
でも、それはふざけている考えだ。『現実』を舐めていると言う言葉になるのではないかと思う。
賽は振られて、結果が出た。
それに納得出来ないと駄々を捏ねるのは『楽園』に戻りたいと言っているのに等しいと考える。
『現実』を知ってしまい、今更戻れるはずもない。
だから。

「聞きたいことは少しはありますけど、それはただの私の感傷ですし…。
私が動けずに何も出来なかったというのは変えられませんから、
納得していなくとも認めないと……手を伸ばせなかった事を、悔やみ続けても仕方ないんです。
次は、手を伸ばせるようにしなきゃいけないんです。だから」

後悔はもう何時間もしたし、
どう考えてもそれはどうしようもない事だった。
結果は出された。悔やんでも自分を憎んでも結果は裏返りはしない。

「今回“納得”できなかったなら、次はせめて納得がするための手段や方法を知る為に反省していかないといけないと思うんです」

それに、と続ける。

「それに、今になって思うことも結構あってあのいざこざに私が入っていったら最悪の結果になっていた場合も考えられない訳ではないと思うんです」

最悪の結果。
介入した自分を含めその巻き添えで大多数の人間に関わる事件への発展など。
終わって冷静になれば「たら」「れば」ば、溢れた。
五代に散々言われていたのに軽率であったと思う部分も多いとあの事件の翌日に自室で考えさせられた。

五代 基一郎 > 「これ、オススメだから。どうぞ食べて」

そう今回の件について自分なりに思うことを述べた菖蒲の前に
自分が取ってきた皿を2つ差し出した。
それまでの話とはまったく関係がないような。
プリンやらオレンジムースがのった皿に、ティラミスやシュークリームが乗った皿である。

遠条寺菖蒲 > 「……い、いただきます」

スッキリしたような気はするけど、
少しムースを切り取り口へ入れて飲み込む。

「いえ、その、えっと、美味しいですが簡単にいえば納得はも満足もしてないですけど、私の自業自得とも言える結果ですので自分の行動への不満は出せば溢れるほどあります……というところですね」

甘味を入れて少し落ち着いてそう言う。
色々と言葉にしたのが良かったのかどうかは菖蒲には分からないが。

五代 基一郎 > そういうと、次は席を立ち。
カレーやパスタ、サフランライス等を取っては戻ってきてを繰り返す。

「これもお薦め、どうぞ」

と、3つの皿を菖蒲に差しだした。

遠条寺菖蒲 > 差し出されたものにちょっと困り顔で

「流石に甘いものの後にカレーやパスタはちょっとお腹に入らないです……」

甘いものは別腹というが、
そういう訳ではないのだなと感じた菖蒲である。
待って、と言わんばかりに両手を肩くらいまで上げて慌てる。

五代 基一郎 > 「先のとは、何が違うんだろうな」

いや、甘いものがどうとかじゃなくてさ。

「それじゃまず最初の反省と行こうか。
 君が事件の中身どうこう以前の話だよ。
 事件自体はなぁ何をどうしていたかというより君が動くことはまぁ動くと思っていたから
 そこをどうこう言うつもりはないよ。
 自分の言う通りの人形が欲しかったわけでもないし。」

で、とカレーとかサフランライス、パスタを自分の手前に持ってきて。
スプーンで食いつつ、少し食えば話を続ける。

「俺が出したスイーツとカレーだけど、先のは拒絶することもなく食べて
 カレーは食べなかったよな。事前に断った。
 スイーツも断ることが出来たはずだ、何故断らなかったのかな。
 俺から出したことで今君は自分の想定以上の腹心地になってない?」

遠条寺菖蒲 > 私が何かするのは考慮の上、か。
結果としては何一つ出来なかった訳だけれども。

「スイーツ――甘いものは食べるつもりで来てましたし……
お腹の中に既に甘いものがあって……それとパスタは炭水化物ですので……
それで、あの“腹膨る”とかなら分かるんですけど……腹心地ってどういうことでしょう?」

純粋に聞き慣れない単語に少し疑問に思う。

五代 基一郎 > 「ん、あぁまぁあまり心地良くないかなと思ったけどさ。
 つもりとはいえ、自分が取ったもんじゃないし。」

者の例えだよ、気分的なね。としつつ
言葉を続けた。

「そうかな、らしい理屈っちゃぁらしいが。
 君は目の前に差しだされた甘いものに、つられたんじゃないのか?
 誰かから出された選択を取ってさ。言われるままに口にした。
 後からどう言おうと、断ることもできやはずだ。」

先の件の始まりがそうだったろうと、カレーを脇に茶を啜る。
アイスグリーンティーが涼しい。

遠条寺菖蒲 > 「……確かに断る事はできた、と思いますけど。
そのやり方ってちょっとズルいと思います。
五代さんが、オススメだからと急に渡してきて断るのもなんだか気が引けるじゃないですか。
流石に量が多くなれば断りもしますし、食べ放題のお店ですが食べるかどうかは個人の自由じゃないですか」

言ってから、何か引っ掛かりを覚えるが
それが何かはよく分からない。
だから少し怪訝そうに顔を歪める。

「その、確かに甘いものに釣られたのは事実ですけど
食べるって決めたのは、私ですし……」

五代 基一郎 > 「そうだな、俺もズルいと思うよ。何を選ぶかは個人の自由だしさ」

その、菖蒲の引っかかりを取るように
もしくは折るように言葉を続けた。

「西園寺偲の件もそうだったでしょ。
 口に出して言うようなのは責めるようで心苦しいが
 頼まれごとの内容は無茶苦茶すぎる問題だ。
 それでも君は受けた。何故だろうな。
 君自身そういうものを待ち望んでいたのがあったんじゃないの。
 与えられた世界から、閉塞された中から出るための口実をさ。
 だから西園寺偲から与えられたものをとった。無茶苦茶なものを取ると決めて
 何も出来ずに、出来なかったと嘆いて。次頑張りますという。
 その次という自分が求める外の世界のための口実を探しにまたさ。」

違うわけは、ないよな。
とカレーを再び食い始める。スイーツの店なのか、客層の考慮か
案外甘くない。サフランライスが程よく絡む。

遠条寺菖蒲 > 「ぅ……」

よくこの五代さんという先輩には正論で言葉を潰されたり図星で核心をバスバスと遠慮無く突かれているような気がする。
でも、それは間違ってないし自分でも「その通り」だと認めてしまうから言葉がなくなる。
先日の能見さんとの会話も随分と色々と言われたような気がするけど、ここまでは踏み込んでこない。
が故に、返す言葉が直ぐには出てこない。

そう思っている部分も確かにあるから。

でも。
それでも、だ。

「……いいじゃないですか。
 確かに口実でもあるんでしょうけど、
 それでも、たったそれだけじゃない。」

それでも、ここで何も言わなかったらこれまで抱いてきた気持ち全てが嘘でただの建前だけだって認めるような気がして、心の芯までは折らせないように。
倒れないように足に力を入れるような気持ちで。

五代 基一郎 > 「たった、それだけね。」

カレーを食い終えて。紙ナプキンで口を拭って脇にどければ
先ほどまで見もしなかった菖蒲に目を向けて
口を開いた。

「”始まり”をたったそれだけ、と言い
 その”たったそれだけ”としているもので
 君は誰かを使い、誰かを助けると言い
 出来ないことが無力だと嘆き泣くのか

 誰かから与えられるものが嫌だといい、外に出ようとするが
 誰かから与えられたものをこれ幸いと使い、外にでて
 出来ないと嘆く。それは何も変わらないんじゃないのか
 誰かの都合で踊っているのは。自分が決めたと思い込んでいないか。
 自分で手にした始まりでも、手にした結果の選択でもないから出来ないというのに
 何も出来ないということを嘆き泣いて、踊るのが望みであるならいう事はないけどさ。」

遠条寺菖蒲 > 「……踊らされていても、私が抱いた気持ちは私だけのものです。
 誰かがそうなるよう仕向けたものだとしてもそうだと想いを抱いたのは私で
 口実や始まりなんて切っ掛けに過ぎないじゃないですか。
 確かに結局は誰かに踊らされてるのかもしれない。
 でも、それを気にし始めたら誰も彼もを信じられなくなりませんか?
 私が嘆くのは踊らされた結果で相手の思い描く通りなのかもしれない。
 どこまでも計算通りだ。なんて言われたらとても腹立たしいです」

踊らされて、それが結果通りなのかどうなのかは知らないけど。
それはなんというか…

――ああ、なんだ。腹が立つんだ。

最後に言葉にして思う。
しかし、声は荒らげずに淡々として。
けれど、考えと言葉は綺麗にまとまらない。

「私が踊らされてそれで一喜一憂してたとして
 自分で決めてるわけでもなくて常に誰かに何か与えられてる。
 人形のような私をみて滑稽に思うんですか?
 バカにするならすればいいじゃないですか。
 何も知らないで何も自分では出来ないバカだって。

――私だって好きで踊らされてる訳じゃない」

五代 基一郎 > 「始まりは大事だよ、何よりね。
 誰かに”依拠した始まり”を抱えたまま動く。
 それは結果が出れば何とでも言えるし、動いたものの始まりとしてはとても不適当だ。
 何も出来なかったのも言い訳として成り立つし、頼まれごとだからね。
 自発的にやったものじゃないのだから、結局のところ心のところで甘えが出る。
 妥協もでる。所詮他人からのであるのだから、そうなる結果も見える。
 簡単な理屈なもんだから、躍らせるのも楽だよ。
 君どうこうじゃなくそういう人間がどうなるかは簡単に想像がつく。
 他人の事柄に命なんか掛ける人間はまぁいないしね。
 君だって今回命かけて、どう影響がでるかは無視してでもやりぬこうとは思わなかったでしょ。
 他人を信じる信じないにしても、そういう程度に納まるわけ。」

始まりを誰かに委ねる人間はね、所詮誰かに命令されて動く人間と変わらないんだよと区切り。
またカレーの際に盛ってきたアイスティーを口にして続ける。
己の縛られた環境を、自分に対しての怒りを向けるか
その言葉を放つ菖蒲に対して

「あのさ、こうして君と話すようになった”始まり”
 ”きっかけ”覚えてる?住宅街ね。」

遠条寺菖蒲 > 「……」

黙って聞く。
確かにそうかも知れない。
誰だって結果は見えていたのだろう。
後からはいくらだってなんとでも言える。
問題はその時に動けたかどうか、だ。
私は動けなかった。寝ていた。
それが全てであるから、五代の言葉に何かを言える事はない。
もし、その場にいれば何をしていたかは自分でも分からないと言う解答なき解答は放棄して。

「…もう大分昔の事に思えますけど、ちゃんと覚えてますよ」

五代とは確かにあの日が始まりだろう。

五代 基一郎 > 「その時に、あの場所にいたのはさ。
 誰かに言われたからなのかな。
 誰かにあの場所に行くように選ばされたり、薦められたりして
 あの場所に君はいたのかな。」

そんなわけはない。
生徒会の人間が態々先の事件の際に態々動くこともないし
生徒会の人間を動かすことなどしない。
そうさせればどうなるかという危険性は菖蒲が身を以って証明している。
だがそんなわかりきった答えの質問を問いかけ
菖蒲自身の言葉を待った。

遠条寺菖蒲 > そんなことはないし。
そんなはずはない。

「あそこへは自分の意志と考えで居たんです」

誰にもそんな選択肢は渡されてなどいない。
そう、はっきりと言う。言いたい。

五代 基一郎 > 「ならそれはさ。
 君に”自分の意志”があり”考え”があって
 ”行動することができる”ということにはならないのかな。」

それを言えば、取ってきただろうスープのカップを取って
一口すする。食べ放題によくあるオニオンスープの類だ。

「態々踊らされてる、誰かから与えられたもので生きているとか考えなくてもいいよ。
 君は何でも出来るだろうに、何も出来ないと思い込んでるだけだと思うよ。
 その考え方は自分で自分を縛るだけじゃないの」

遠条寺菖蒲 > 「……はぁ」

少し大きく息を吐く。
なんだか少し肩肘張り過ぎてたかも、と。

「ちょっと五代さん、さっきは踊らされてるだとか誰かから与えられたものが散々煽っておきながら今度は考えなくてもいいよって少し酷くないですか?」

とは言え、自分で自分を縛ってるか……。
前に、誰かにそんな事を偉そうに言ったような気がしたけれど、
盛大なブーメランだったって訳かな、と思う。

「でも確かに、こんな考え方じゃ自分で縛るというより檻を作ってる感じですね……」

適度な行動はできるけど、それ以上は出来ない見えない檻。
自分で決めていた目に見えない檻。
いつからあったのかはよく分からないけど、いつの間にかあったような気はする。

五代 基一郎 > 「俺は君の予測されうる現状をそれらしく話しただけだよ。
 他者がどうとかいうのはさておき、自分で諦めている部分はあったんじゃないかなぁとさ」

パスタを啜りつつ、皿を空にすれば
また茶で流し紙ナプキンで拭って皿を重ねる。

「まぁそういうわけで君のそういうわからん事情はさておき
 それがあったとしても自分でどうこうできるもんがあるじゃない君には。
 だからいらんこと気にしすぎても同じ事の”繰り返し”が起きるだけでしょ」

片付けばまだ手を付けていなかったムースを口にして
終われば皿をまた重ね

「そういうわけで自分の意志で考えてみて。
 聞かせてくれれば動く前にどうこうは言えるしさ」

何がとも、何をとも言わずそれを伝えて。
アイスティーを啜り、菖蒲を見た。

遠条寺菖蒲 > 全く……と予測だけズバズバと肩を一度上下する。

踊らされている。似たようなことを警告として五代以外に能見さゆりにされたばかりだと言うので意識してしまう言葉でもあって、そう言われるとムキにもなったし、本当はどこまで把握していたりするのかとか考えてしまう。
でも、そこは信じるしかないだろう。
確かめるのが言葉でしかないなら、後は信頼しかない。

「ははは……その《繰り返し》は笑えないですね……」

口では笑っておきながら顔は笑っていない。

自分の考え、ね。

「そうですね……
 正直、西園寺先輩からの元ロストサインの残党を止めるのは本当に状況次第ですし、そうなってもきっとついでで。
 出来れば関わりたくはないです。
 私はやっぱり自分の平和と知り合った後輩や同年代の子たちを助けられればそれでいいかなと思います。
 助けて一緒に逃げるだけの選択を選べるような力がほしいです。
 後は、自分からした約束くらいは守れないと気分が悪いですから……」

そう、本当に気分が悪かった。
言葉にしないがあんな不味い経験はもうしたくないと思う。
臆病者かも知れないが、これが私の選択だと言える。

五代 基一郎 > そんなどこまで知っているのか、等と考える菖蒲のことなど
露知らずか気にもしていないのか
それとも全て知っているのか。特に答えることもなく話は続く。

「そうなるね。
 残党、ハッキリ言えば個人の手には余るし。
 連中も大手を振ってそこら中で暴れる、というわけでもないからね。
 後味悪かったり夢見が悪いことは勘弁だし誰でも。
 それに君自身他にやることはあるんじゃないの。」

だからさ、と続けるように言葉を置いて

「自分で考えてみて。今じゃなくていいから、何をというのは。
 今までのこととか、自分のこととかひっくるめてさ。
 いい機会じゃないのかと思うよ。
 荒事関わることに引っ張り込んであれだけど、まぁそれはさておきってことでさ。」

自由になる兵隊欲しかったわけでもなし。
とも伝えて今答えなくてもいいとも伝えた。
今は改めて考える、省みる時間が必要なのではないかと。

遠条寺菖蒲 > 言葉を聞いて、
取り敢えず、自分で持ってきていた甘味に手を付ける。

「そう言われると、私の『人生の命題』とかそんな感じがしてくるので、
 早い解答は期待しないで欲しいです。
 疲れた頭では考えたくないですし、自分のいた環境が実は特殊だったなんて気づいたのも最近ですから。
 色々と考える時間を貰えるのは、ありがたいです」

変に勘ぐったり変に頭を使って体が糖分を欲している。

「《繰り返す》なら荒事の心配がなくなって平和になった日常がいいですから」

小さくそうつぶやく。
それは過去ではなく未来に求めるもの。
空いてる左手を僅かに見て、軽く動かす。

五代 基一郎 > 「実際には繰り返していることはないさ。
 日々、常に時間は過ぎるし同じように見えても違っている。
 自分が同じようにしているだけで、世界は刻々と変わっている。
 自分も変わっているのにさ。」

諸行無常、諸行無常と呟き
皿が無くなったから取りに行かねばな、と思いつつ。
区切るように欠伸をして

「歩いていた分振り返ってみれば、ってことかなぁ
 まぁなんというか。その先はさておき、解答を出すとかもさ。
 考え続けておくことが大事だから。ゆっくり考えなよ。
 そこから見えてくるものもあるしさ。手伝えることがあれば手伝うしね。」


取ってくるかぁ、と席を立ちまた皿を増やしに行った。
とりあえずの区切りのように。またここからやることができたからという
その節目のように伝え
そして小さくさらに盛っては帰ってきて、後は飲み物だけとする。
菖蒲から特に何かなければ、時間一杯ここにいるだろう。

遠条寺菖蒲 > 「それじゃ、常に答えは変わって考えなんていつまでたっても変わってでないじゃないですか」

とぼやきつつなんか話はあるんじゃないだろうかと思ったが、
なんとも色々と思わされた話だと菖蒲は思う。
変に頭を使われたのだ糖分補給をしようとケーキをとりに行きつつ小さくぼやく、

「ああ、でも」

一つ少し理解したことはある。
正しすぎる言葉は少し、
言葉悪いけれど――腹が立つ、時がある。
ソレは個人的に面白い収穫であるような気がした。
今取り敢えず、考えるために糖分補給だ。

少し食べ過ぎてこの後、晩御飯が食えず家政婦さんに怒られるのはまた別の話である。

ご案内:「スイーツキングダム」から遠条寺菖蒲さんが去りました。<補足:ハッチング帽にポニーテ―ルの黒髪で蒼い瞳の明るめの茶色でまとめた落ち着いた色合いの服の少女。左肩に小太刀ほどの刀袋を背負っている>
ご案内:「スイーツキングダム」から五代 基一郎さんが去りました。<補足:夏用スーツ。本日の会計主。待ち人中。>