2015/07/05 - 15:57~20:02 のログ
ご案内:「部室棟・吹き抜けのロビー」に神宮司ちはやさんが現れました。<補足:巫女舞の少年。私服姿>
神宮司ちはや > 小さな身体でたくさんの書類の束を両手で抱えながら
きょろきょろと部室棟内を歩くものが一人。

ちはやは今日、式典委員会の用事でここへ来た。
体験入部中とはいえ、楓先輩が居ない間他の委員たちだけでは何かと大変そうだったし、
少しでも委員会の内容を知りたいがために手伝いをかって出たのだ。

実際他の委員たちはお祭り好きな人が多いことも幸いして新入りに優しくしてくれたし、
仕事の仕方や簡単な用事などは任せてくれた。

今日だって、各部室へ今度の海開きに関するお知らせを届けるため、刷った書類を運ぶだけのものだったのだが……

神宮司ちはや > 迷っちゃった……。

(あまりに広大かつ大規模な数の部活がありすぎて、目的の部室まで辿り着くのが容易ではない。
 案内板を何度も見たけれど、数年前から情報の更新が遅れているのか、あると思われた部室がなかったりした。

 歩き通しで疲れたのか、ロビーらしき場所に出るとソファに座り横に書類をドサリと置いた。)

神宮司ちはや > (張り切って自分でも何か役に立てるのではないかと思ってかってでた仕事だが、これでは先が思いやられる。
 せめて楓先輩が抜けてしまった穴の100分の1くらいは埋めれたらと思っていたが、考えが甘すぎたようだ。
 彼女が居たことでたくさんの物事が回っていて、他の人達だってそれぞれ頑張っている。

 ビアトリクスにしたってそうだ。口ではなんだかんだいいながらも彼だって魔術や美術に努力を重ねている。
 この間図書館で借りて読んだ美術や魔術の本を読んで、改めてそう思わされた。
 自分が苦手な魔術を彼は気負うこと無く使用している。)

神宮司ちはや > (自分ができる事はあまりにも少ないことを思い知らされて
 両手で頬杖をつきながらはぁと自己嫌悪のため息を吐く。

 すぐになんでもできるとは正直思っていない。
 だけどそれでも少しずつ、何かできる事が見つかればこんな自分にも価値があるんじゃないかと、思いたかった。

 だけど現実は厳しい、周りの方がずっと一歩も二歩も、場合によっては百歩も先を行っている。
 がんばろうにも、追いつける気がしないのだ。)

ご案内:「部室棟・吹き抜けのロビー」に楓森焔さんが現れました。<補足:どなたでも乱入歓迎。身長160cm未満で胸に俺の一字を刻んだ白い道着の少女>
楓森焔 >  がらんごろん、とロビーに鉄下駄の音が響き渡る。
 友人からの頼まれごとでちょっと試合の手伝いをしてきた帰り。見知った顔を見かけた。
「お? よう、ちはやじゃんか」
 相手の疲れたような背を見ながらも、それを気にせぬように手を振って挨拶するだろう。

神宮司ちはや > (鉄下駄の派手な足音に気づくと、慌てて背筋を正して振り向いた。
 見知った顔であることを確認すると、ほっとして笑う。)

あ、こんにちは楓森さん。
楓森さんは部活かなにかだったんですか?

(挨拶には軽く頭を下げて返す)

楓森焔 >  相も変わらぬ屈託のない笑みを浮かべながらちはやの対面に移動する。
「いや、俺は友達の手伝いでさ。その用事が終わった帰り」
 腰を下ろして、ぐっと背伸びする。
ポキポキと小気味いい音を立てながら声を漏らした。
 ひとしきり伸ばすと、大きく息を吐いて。
「そっちは……書類運びの途中って感じか」
 彼の横に積まれた書類の束を見て判断した。

神宮司ちはや > へぇお友達のお手伝い……?
楓森さん頼りにされているんですね。

(あぁこの人もきっとこの人にしか出来ないこと、あるいは出来る事を持っている人なのだなと羨ましそうに思う。
 だけどそれは表情に出さず、微笑したまま)

うん、式典委員会のお手伝いでいろんな部活にこれを届けるところだったんですけど……
ここ、部室も部活もたくさんあって迷っちゃって……

(気恥ずかしそうに俯いた)

楓森焔 > 「んー、多分な。友達が困ってるならとりあえずなんでもやっときたいじゃん?」
 大雑把な言葉。頼られている、という実感はない。
だからそんな言葉を返す。
「あー、なるほどなあ。そりゃ大変だ」
 ソファ越しにぐるりと周囲を見渡して。
大きなビルにそれぞれ部室が割り当てられているようなものだ。
ここを回るのは一苦労だろう。
 その後、俯く彼に対して尚の事笑顔を強めて、
「なーに、だったら俺も道案内ぐらいは手伝ってやるよ! こないだの礼だ! お陰でさ、試験いい点とれそうなんだよ!」
 と、先日のように馴れ馴れしく肩を叩くだろう。

ご案内:「部室棟・吹き抜けのロビー」に日恵野ビアトリクスさんが現れました。<補足:上はシャツ、下はスカートの男子生徒。油絵具のにおいがする>
日恵野ビアトリクス > 「おや」
油彩画の描かれたキャンバスを担いで、ロビーに現れる。
干す場所を探していたら見覚えのある人影が二人仲良くしていた。
奇しくも以前図書館で顔を合わせたメンツだ。

「委員会かなにかの仕事かい?」
声をかけてみる。

神宮司ちはや > うん、ぼくもそう思う。
なんでもできるかはわからないけど……。
でも楓森さん、きっと明るいし誰にでも優しいから友達多そうだなぁ。
いっぱい別々の人から頼られたりしないんですか?

(きっと楓森なら誰でも打ち解けられるし、どんな相手でも親身になってくれるだろう。
 それがまさか自分に向けられるとは思っていなかったけど。
 突然の申し出に慌てて、)

え、でも楓森さん疲れていないですか?
僕が任されたことだし、迷惑になるんじゃ……。

あ、試験良さそうなんだ。よかった、ぼくもなんとか良い点とれそうです。
皆で一緒に勉強したからかな。

(馴れ馴れしく叩かれた肩を別段嫌そうには思わずむしろ
 わずかに緊張を強めただけで恥ずかしそうに笑う。
 きっと誰にでも彼女はこんな調子なのだろう)

神宮司ちはや > あ、トリクシーくん。ここにいたんだ。
うん、式典委員会のお使い。

(キャンバスを担いだ彼に笑って挨拶をする。
 どんな絵を描いたのか興味があったから目の端でそのキャンバスをちらりと見た。)

楓森焔 > 「どうだろ? 友達。多いのかな」
 少なくとも、声を交わし合うような友人は多い。
クラスメイトに気兼ねなく声をかけていく彼女は、言ってしまえば浅く広く。
彼女の踏み込んでくる距離は深いが、常日頃から駆け回っているため、"知り合い"が"友人"に置き換わっている感覚に近い。
「言うほど、かな? まあ俺も普段は修行に駆け回ってるしな」
 ちはやに問いに答えるように首を傾げた直後、聞こえた声。
「おーっす! ビアトリクス。俺はこいつの委員会の手伝いでさ」
 なんて、肩を叩いた手のまま、ちはやに顔を寄せるように身体を近づけるだろうか。
勿論、性的なニュアンスはない。いわゆる親愛の様子でビアトリクスの方を見る。
 そう。実際特につかれていない。有無を言わせないような素振り、というよりも一も二もなくといった具合で笑いながら、
「おかげ様で試験、いい感じでさ。だからちょっと手伝ってやろうと思って」
 なんて手を振った。

日恵野ビアトリクス > 適当に風通しのいい場所にキャンバスを立てかける。
暗色の海に赤い太陽が沈んでいく、非現実的な色彩の絵。ストロークが見えるタッチ。
印象派の影響を多分に受けている。

「そうか……がんばってるな。
 なんならぼくも手伝ってやるよ。書類少し持ってやろうか?」
かすかな笑みを浮かべてちはやに応じる。

「おーっす……」
焔にあわせて挨拶。彼女がちはやに身体を近づけたのを見れば、
一瞬、ほんの一瞬だけ眉根を寄せる。頬を叩く。冷静に。
(そういうのではない!)

「いい感じか……そりゃよかった。
 この間の実技も、いろいろ助かったよ。改めて礼を言っとく」
軽く頭を下げた。

神宮司ちはや > 修行……?修行って何の修行?
格闘技とか?どんなことするんですか?

(いまいちどんな格闘技なのか聞いたことがないのでそう尋ねてみる。
 なんとなく柔道かなと想像してみるが。
 肩を抱かれ、顔を近づけられて多少困った顔をするがほんのり恥ずかしがっただけで、特に押しのけるようなことはしない。

 それからビアトリクスの描いた絵を見るとほうっとため息を吐いた。)

綺麗だね、これは朝焼けの海なのかな。それとも夕焼け?
トリクシーくんは夕焼けのほうが好きそうだから、きっと夕方の海だね。

(感嘆したような様子でそんな事を言う。
 ビアトリクスの申し出にはちょっと戸惑った。)

んん、でもトリクシーくんは絵を描いている最中でしょ?
迷惑じゃないかな?元々ぼくの仕事だったし。

楓森焔 >  んお、と。先日受けたビアトリクスの印象とは違った気がした。
鈍感だが敏感。絶妙な感覚で首を傾げた。
 しかし、すぐに表情が戻ったのでひとまず気のせいということにしておきながら。
「困った時はお互い様ってな! こっちもありがと、そっちもありがと。それでオッケー」
 ひとまず座り直し――といっても、元の位置ではビアトリクスが見えづらい。ちはやの横、少し離れた位置に座りなおした。
「修行? 流派・俺流ってな。俺が作って、俺が広めてんだ」
 と、鼻の下をこすって笑い。
「大体走ったり、山ごもりしたり、技の研究したり? 道場もあるんだぜ、ちゃんと。まだ門下生一人で、募集中だけど」
 なんて説明してみた。流派・俺流。胸の"俺"の字も納得の名前ではあるが、またそれが珍妙というかアホっぽいというか。
 そこでようやく、キャンバスに気づく。
「お? それビアトリクスが描いたのか? おおー。おおー? おおー……」
 感想は特に漏れていなかった。が、視線はまっすぐそのキャンパスに移っており。あんぐりと開けた口からも大体の感情は察せるだろうか。

日恵野ビアトリクス > 「さあ、どっちかな?
 ……なんてね。仰るとおりこれは沈む陽のつもりで描いたよ」
ちはやの言葉に、少しおどけて。

「構わないさ。作業は一段落したところだし。
 ずっと閉じこもってても集中続かないし、
 少し散歩でもしようかと思っていてね。ちょうどいいよ」
軽く首を回して、それからちはやへと近づき、彼の近くへと座る。

俺流。プリントを踏んで走ったり、骸骨の頭の上を走ったり……
記憶に新しい彼女の(ややデタラメな)動き。
「……門下生いるんだ」
かなり意外そうに。
アレ学べるやつ、本当にいるの? というニュアンスを言外に込めた声。

キャンバスをまっすぐ見つめる表情には、
こいつも芸術的な感性はちゃんとあるんだなという感心と、
比較的うまくいった作品とはいえまじまじと見られているという
恥ずかしさの両方が沸き立ち、目をそらす。

神宮司ちはや > 俺流……?それじゃあ楓森さん、開祖さまなんですね!
すごいなぁ。お弟子さんもいらっしゃるなら後継者も安泰ですね!

(武道についてはあまり知識はないものの、道場も持って門下生もいるならば
 きっと立派な流派なのだろう。それも自分で閃いたなんてますます素晴らしい。
 きらきらと憧れに近い眼差しを楓森に向けて褒める。)

そう?じゃあ一緒にお願いしようかな。
えへへ、本当は一人で心細かったし
トリクシーくんも楓森さんも来てくれるなら嬉しいし助かっちゃう。

(言うと横においた書類をまとめ3等分してそれぞれに渡して立ち上がる。)

楓森焔 > 「そう、一人居るんだよ。強くなりてえってさ。俺に言ったんだよ。
まだ技も教えてない基礎段階だけど――強くなるぜ、あ」
あいつは、そう言おうとした所で、ちはやの声が響いた。
かつてない賞賛の言葉。
とんでもないとかかっこいいとか、そういうものとはベクトルが違う。
俺流に対する強い理解を得ようとするような、そんな言葉に。
「ぶわっ」
 滂沱の涙がコメディチックにあふれた。
「お、おおお! そうとも、開祖! 安泰なんだ! その俺がなばっちり手伝ってやるから仕事は任せろよなあ!」
 ばしばしとちはやの肩を叩いてから書類を受け取るだろう。

日恵野ビアトリクス > 「……泣くのはいいけど、書類濡らすなよ」
やれやれのポーズ。
そんな様子を見ていたら、冷やかし程度にでも
彼女の教えを受けてやってもいいかな……という気分になってきた。
口には出さないが。

(それにしてもちはやは素直でかわいいな……)
頬が緩む。
頬を叩く。
クールな顔。

「任された」
大量な書類は三等分されても大した量だ。
両手で抱え、立ち上がりちはやに続く。
「……で、まずはどこから?」

神宮司ちはや > か、楓森さんそんなに泣かないで……。
それと背中ちょっと痛いかも……。

(大仰になく楓森を慰めながら叩かれた肩はちょっとヒリヒリした。
 3人でとことこと廊下を歩く。書類の一番上を見て)

ええっとね、最初はエクストリーム書道部だって。
たぶん、冊子の題字とか頼むんだと思う。
さっき探したんだけど場所が分からなかったんだ。

(困ったようにずらっと並んだ部室の扉を眺めた。)

楓森焔 > 「はっ、俺としたことがつい」
 はっと正気に戻るとすっと涙は止まった。
「いや、つい、ついな……こうちょっと衝撃を」
 背筋がしびれるような言葉であった。
この衝撃、生涯忘れることはあるまい。
 鷹揚に一度頷いてしっかりと書類を抱え直す。
「エクストリーム書道部か。一回活動を見たことはあるな。確か二階の……端っこのほうだったはず。西だったか、東だったか。確か隣はアクロバティック将棋部だった」
 部活棟を練り歩いた時の記憶を掘り起こして、部室棟に掲示されたマップを眺める。

日恵野ビアトリクス > 「あ、それ前に行ったことがある。
 ……そのあたりのエリアの部活は
 妙なカタカナ語をつけないといけない校則でもあるのかな」
一度興味本位に見学に足を運んだことがある。
ほとんど見学もままならないまま去ってしまったが。
さてどうしてだっけ?

ビアトリクスが先導して、二階に――記憶の通りの場所にその部室はある。
中から声がする。誰かいるようだ。
「失礼しまー……」
ドアを開いて中を覗くと、

「フン、フン……グヌォォォォ!!」

大男が逆立ちして、頭を大判の紙にこすりつけている。
頭に墨を塗って、それで習字をしているのだ――

思わずパタンとドアを閉じた。

神宮司ちはや > …………。

(見えた光景に押し黙る。あまりにエクストリーム過ぎた。
 自分にはあの領域は早すぎた気がする。
 扉の横に簡易ポストを見つけるとそっとそこに書類を収めた。)

次、行こっか……。
えっとね、次はハイパーチアリーディング部だって。
これはパレードの演目とかお願いするのかなぁ。
体育会系だからこことは違う場所……?

楓森焔 > 「それは覚えてるな。こっちこっち」
 と、誘導した先。練習場も兼ねているのか、一階の大きなフロアの扉を開く。
『お姉さま! アレをやるわよ!』
『あ、そーれ♥』
 野太い声を発し、マッシブ(控えめな表現)な乙女たちが金色のオーラを放ちながらタワーを形作っていた。
「……ハイパーチアぱねえな」
 今度、見学に来てもいいかもしれない。
強くなるヒケツがあそこにはあるかも……あるかも……。
 予想していなかった流れに、さしものバカもちょっと絶句しつつ。
「うん」
 隣に設置されていたポストに、そっと書類を投函した。
「次は、なんだっけ」
 棒読みだった。

神宮司ちはや > (自分たちの知らない部活動が繰り広げられる世界は
 まさにカルチャーショックだった。
 とりあえず仕事はこなせているのだからさっさと回ってしまおう。
 次の書類を見る。)

次はえーと、
伝統工芸部と、実況解説部、真言研究会……だって。

よかったね、これはあんまり変なカタカナついていないよ。

(ほっとした顔で二人に言う。
 たぶん伝統工芸部はパレードの山車などを作ってくれるのだろう。
 他二つはしらないけど。)

日恵野ビアトリクス > 「異能とか魔術とか活かしてくれよせめて」
この学園広大だわ……という表情。

告げられた部活名に少し安堵した顔を見せる。
だが油断はならない。
手近なロケーションにあった、実況解説部というところに向かってみると――

『さて、本日のルールを確認しましょう!!』
『武器の所持と使用を許可され、魔導具・魔導書・触媒はひとつまで携帯を許されています!!』
『禁止行為はシンプル!! 金的と薬物の使用のみ!!』
『それらに抵触しなければ何をしても許される恐ろしいデスマッチ!!』
『観客も固唾を呑んで戦いを見ています!!』

(うるせー!!)
部屋の外まで響いてくる絶叫。
どうやら実況解説の訓練中だったようだ。
あれでも防音措置がしてあるらしいから恐ろしい。
耳をふさぎながらポストに書類を入れる。
扉を開くのは自殺行為だろう。

楓森焔 > 「す、すげえ声量……はー、やっぱここの学園の部活はみんな活気があるなあ」
 いずれ自分の道場も、そんな風に活気ある場所にしてみたい。
 そんな風に感嘆の息を漏らして次の場所へ。
 真言研究部。真言系の術法を追求しているのか、それとも素敵歴史探訪、みたいなノリの史学系か。
 まあそこまでぶっ飛んだ部活ではないだろう、と扉を開け――。

『オン・ヤマラジャ・ウグラビリャ・アガッシャ・ソワカ!
 ナウマク・サマンダ・ボダナン・エンマヤ・ソワカ!
 貪☆瞋☆癡!』

 部員たちによる怪しげな合唱・詠唱とともに、ぶわっと煙が扉から漏れる。
「あ、これやばいやつ」
 山で、うっかり焚き火に使って燃したことがある。
あの時は色々と銀河の地平が見えてしまってやばかった。
 合法なのか違法なのかは知らないが、いわゆるそういうアレソレだ。
 宗教のトランスのためにはよく用いられる方法だが――すぐさま閉めた。
 自分は軽く吸ってしまったが、後ろの二人はどうだろう。大丈夫だと思いたい。
「や、やめといたほうがいいぞ、ここも」
 書類を受け取って投函する。
 この流れ。伝統工芸部も怪しいのではないか、と疑念が走った。

神宮司ちはや > (慣れぬ爆音に、妙な宗教じみた煙と真言。
 ちはやはすっかり怯えきっていた。軽く吸ってしまった煙に咽ると頭がくらくらする。
 半泣きになりながらそれでも引き受けた仕事だからと一生懸命に続ける。

 たどり着いた伝統工芸部の部屋の外観は普通のものだった。
 これなら平気そうかなと扉を開くと中には手拭いを頭に巻き、作務衣姿でろくろを回す男性の姿。
 他にも箱根細工を作ったり、果ては木彫りの熊やら絵付けろうそく、べっ甲細工に桐箪笥まで作ってたりするのだった。
 だが有田焼の皿を手にしていた男性がおもむろにそれを床にたたきつけた。
 ぱりーん!皿は粉々に砕け散る。

 『違うっ!こんなものでは駄目だ!だめだだめだだめだだめだだめだだめだもっと芸術を爆発させなければっ!!!!!!』
 血走った目で次の作品へ取り掛かる。

 熱の入った様子に邪魔しては悪そうだからとまたポストにそっと投函した。)

(そうこうしているうちに他の多彩な部活も色々回る。
 ウォーターボーイズ部
 サバイバル吹奏楽部
 刀剣乱部
 たこ焼き研究会
 イタコ部
 オイルレスリング部
 カードファイト部
 などなどなど……

 気づけば書類は殆どなくなっていて、歩きまわったせいで結構な疲労になっただろう。)

日恵野ビアトリクス > 「あっバカ!」
咳き込む。思いっきり吸い込んでしまった。目眩。
(あれ違反部活じゃないのか……!?)


気がつけば手元の資料はほとんど消えている。
まじめに部室棟という迷宮を探索したことはなかったが、
多くの部が活気のあるものだった。活動内容はともかくとして。

「それに比べて我が美術部は……」
まだくらくらする頭を押さえて、はあ、と溜息。
変なカタカナ語をくっつけたりエクストリームな活動をするべきなのだろうか。
――と考えかけて正気にかえる。さっきの煙と活動の熱にあてられたか。
寂れて静かなほうが自分にとっては都合がいいのだ。

「……ともかく、お疲れ。
 一旦ロビーにでも戻って休憩にしない?」
足取りがややおぼつかない様子で。

楓森焔 >  懐から、一本の水筒を取り出した。
それは彼女の調合した栄養ドリンクでもあり、
ある程度の気付けとしても機能するどろりと濃厚でキテレツな味である。
 即効性のある疲労回復の他、こういった類のアレソレを吸ってしまった時や、
毒で頭が回らなくなった時に愛飲していた。
 それに直接口をつけて飲み込んで、大きく息を吐く。ひと心地つくと、ビアトリクスにひとまずそれを差し出した。
「かなり吸ったろ。飲んどけ。疲労回復と、あの煙に効果があるからさ」
 ちはやも煙を吸ったなら飲んだほうがいい、と伝えつつ。
 長い戦いを終えて、一番体力のある焔ですら珍しく疲労していた。
「ああ、そうだな。ちょっと休もうか」

日恵野ビアトリクス > 「焔、おまえいろいろやってるな……」
初見のただの脳筋女という印象は今やすっかり払拭されていた。
いや、バカであることには間違いないだろうが。
(活動的なバカ?)
褒め言葉になってない。

疲労であまり余計なことを考える余裕はなかった。
焔に軽く頭を下げてドリンクを受け取り、口をつける。
(なんとも言えない味だ……)
しかし飲み下すと、多少気分が楽になった気がする。

「……ちはやも飲むか」
そう言って、彼に向けて差し出す。

神宮司ちはや > (ビアトリクスの提案に同じく頷き、最初のロビーへ戻ってきた。
 ソファに座るとハンカチで汗を拭いつつ、ぐったりとしたようすで姿勢を崩した。
 楓森に差し出された水筒をビアトリクスが受け取って飲んだのなら自分も喜んで受け取るだろう。)

あ、ありがとうございます……

(そこでふと気づいて、あれでもこれって間接キスっていうのじゃないかな、と思うととたんに恥ずかしくなる。

 ビアトリクスとは一度キスしてしまった仲とはいえ、楓森は女の子だし……。
 急に意識しだすとドギマギしてすぐには口を付けられない。

 とりあえず意識を逸らすように二人へ話しかける。)

あの、ありがとうございました。
二人のおかげでとっても助かりました!
ぼくひとりじゃ何にもできなかったから本当に嬉しかったです。
お礼、何かしなくちゃと思うんですけど……

楓森焔 > 「山ごもりしてると色々知恵がつくもんでさ」
 つまり活動的なバカである。概ねビアトリクスの言葉は正しいと言っていいだろう。
 どかっとソファに座り込むと、少しだらけた姿勢で汗を拭って。
「いいっていいって。前のお礼。俺も補習に時間取られずに済みそうだからさ。
んー、それでもお礼をしたいってんなら……何がいいかな……あ、俺流入ってみる?」
 体力つくぜ、とか。気軽な提案であった。
門下生募集中だし。
 相手のドギマギする姿を、特に意識してはおらず。
 彼女の場合、特につかれていなくても気にしなかったことだろう。

日恵野ビアトリクス > ソファに二人同様腰を下ろす。
「正直、もっと楽な仕事だと思ってたよ」
多分いちいち部の扉を開いて覗いてなかったらもっと楽だっただろう。
「まあ、こんな難行だと知ってたら
 ますますちはや一人にやらせるわけには行かなかったからな。
 たまたま焔とぼくがいてよかった」
率直な気持ちをのべる。

ドギマギしたちはやの様子に気づき、唇を結び、固い表情に。
「…………」
無言でちはやから水筒をひったくり、ハンカチを取り出して
口をつける部分を拭い、ぶっきらぼうな調子で再び渡す。
「……ほら」


「お礼か」
そう言われれば目を伏せる。
少し考えた様子で。

「そうだな。
 こんなふうにちはやが困ることがあったら
 頼れる時は遠慮無く頼って欲しい……
 それだけでいい」
静かにそう口にした。

神宮司ちはや > ううーんぼく、武術はちょっと……
楓森さんと戦ったら絶対に気絶しちゃいそう……。

(情けないようだが本当のことだしと苦笑し少し考える。)

うん、ぼくも二人が居てくれて本当に良かった。
一人だったら迷ったまま配りきれなかったし……。

(そうこうしているうちにさっと採られた水筒の飲みくちを拭われてしまうと、あ、と残念そうな声が出た。

 ビアトリクスは怒ってないかどうかちらちら伺いながら少しずつ中身を飲んで、楓森にお礼とともに返した。)

 ええ?嬉しいけど、でもそんなことお礼にならない気がする……。
 ううーん……僕でも出来るお礼……
 じゃあ二人共この後時間ある?
 もし良かったらおごるから、一緒に御飯食べに行かない?

(悩んだ末に出した答えがそんなものだった)

楓森焔 > 「確かに、こりゃ一人だったら難物だったな」
 けたけた笑いながらビアトリクスの言葉に同意する。
身体も細いし、この広い部室棟を駆けまわるのは本当に大変だということがわかった。
 まあ、だからこそ、とも言えるけれど、
「何も殴るだけが俺流じゃなくてさ。
歩き方とか、走り方とか。そういうののやり方も色々あるんだよ」
 ビアトリクスは分かるであろうが、とかく焔の動きは漫画じみて荒唐無稽だ。
 だが、彼女に言わせればそれらは全て技術だというのだ。
「そのうち島内一周とかできるようになるぜ」
 なんて笑う。遅刻した時も慌てなくてよくなるし、とか。
「もちろん無理強いはしねーよ」
 にっと歯を見せるように笑ったが、直後の二人のやりとりで。
「あちゃ、そうか、わりいな。汚かったか?」
 頭を掻いた。汗をかいたばかりだったし、直接はまずかったか、と。
反省しきりで一度己の腿を叩いて。
 水筒を受け取ると、ビアトリクスがいいことを言っていることに気づいた。
「おー、なるほどな。確かにそれは一理ある! かっこいいこというなあ、ビアトリクス!」
 とか、いつもどおりに馴れ馴れしく軽く肩を叩くだろう。
「ま、お礼なんていらねえゼ……とか、かっこつけても相手が気にすることはあるしな。
ここはそっちの提案通り、なんか食いにいくか!
 あ、俺だいぶ食うからな。気をつけろよ!」
 まあ、流石に一人前以上食うときは自分で金を支払うつもりだったが。いわゆるところの焔なりの冗句であって。
 笑い飛ばしながらブイサイン。

日恵野ビアトリクス > 「歩き方、か……」
ふむ、と口元に手をやり。
この間の考古学試験でもうかつに石を蹴り飛ばしてしまい足を引っ張った。
殴る蹴るはともかくとして、そう言った細かいことも学べるなら少し興味がわく。

「いやその、汚かったというわけでもないんだけどね……」
この無頓着俺女に説明するのは難しそうだ。首を振る。
肩を叩かれれば例によって咳き込む。

「そうだなあ。礼をしたいって言われて、
 それを受け取らないのはかえって非礼だ。
 ありがたく奢ってもらうとするよ」
薄く笑って、ちはやの提案を了承する。特に腹を立てている気配もなく。


部室棟を後にしてどこかへ向かうなら、ビアトリクスも共に行くだろう。
すっ、とちはやの隣に立って。
「女の子のほうがいい?」
彼に聴こえるか聴こえないかぐらいの、抽象的な問いのささやき。

神宮司ちはや > ええっと、ごめん汚いとかじゃなくて……。

(うまく説明できず口ごもったままとりあえず俯いた。
 そういう習慣がなかっただけだったりする。)

良かった、断られたらどうしようかと思った……!
ううんお金は気にしないで。
ぼくあまり買うものって無いからお小遣いちょっと余ってるんだ。
それに誰かと食事するほうがずっと楽しいもの。

(家からの仕送りの額が結構なものらしいがそこはあまり意識がない。
 不自由がないようにというお手伝いさんの心遣いだがそのせいで財布にはいつも余裕があった。

 それじゃあと、席を立ちともに部室棟を後にする。
 途中で囁かれた言葉にはっとして…………
 判るかわからないかの仕草でほんのり赤くなった顔で、首を横に振った。
 そうじゃないよ、という視線をビアトリクスに送る。
 ただ単に自意識過剰だっただけだ。
 それだけ言外に込めると、突然ぱっと走りだし)

ぼく、お仕事終わったこと委員会の人達に報告してくる。
二人共、準備出来たら南門の所で待ち合わせね。
それから学生街のところでお店探そう!

(そう呼びかけるとそのまま委員会棟へ駆け去った。)

ご案内:「部室棟・吹き抜けのロビー」から神宮司ちはやさんが去りました。<補足:巫女舞の少年。私服姿>
楓森焔 > 「? まあいいか」
 相手の二人の態度はとりあえず流した。
 折角だから楽しくいくのが一番だ。
しこりが残っていないなら何も問題はない。
 ちはやの言葉には機嫌よく笑いながら、それじゃあどこまでおごってもらおうか、なんて考えて
 おそらく一足先に立ち上がって背を向けていた彼女は、二人のやりとりに気づくことはなかった。
 背を向けたまま手を振って、「んじゃ、南門でな!」と、軽い足取りで歩き去っていった。

ご案内:「部室棟・吹き抜けのロビー」から楓森焔さんが去りました。<補足:どなたでも乱入歓迎。身長160cm未満で胸に俺の一字を刻んだ白い道着の少女>
日恵野ビアトリクス > 「ああ、じゃあまた……」
歩き去るふたりを、手を振って見送り――

「…………」
ビアトリクスひとりが残される。

うつむいて、無表情に額を手で叩く。
「バカだな、ぼくは」
ため息を付いて、再び顔を上げると、ゆっくりとその場を後にする。

ご案内:「部室棟・吹き抜けのロビー」から日恵野ビアトリクスさんが去りました。<補足:上はシャツ、下はスカートの男子生徒。油絵具のにおいがする>