2015/07/05 - 17:32~03:06 のログ
ご案内:「魔法学筆記試験」に祐樹 臨助さんが現れました。
ご案内:「魔法学筆記試験」から祐樹 臨助さんが去りました。<補足:長めの黒い髪に目つきの悪い黒い目の少年。魔法実技が苦手だが…>
ご案内:「◇試験会場1(期間限定)」に祐樹 臨助さんが現れました。<補足:長めの黒い髪に目つきの悪い黒い目の少年。魔法実技が苦手だが…>
祐樹 臨助 > シャー芯が紙の上を走る音とゴムの擦れる音だけが聞こえる。
魔法学筆記試験。ここでは技術ではなく知識が問われる。
故に、才能でなんとなくすごい魔法をこなす奴でも、その魔法の過程を理解してないと容易に減点される。
逆に言えば、実技がからっきしでも知識さえが長けていれば点は取れるのだが
「……………。」
男は一人ペンを止め悩んでいた。
祐樹 臨助 > 問題の難易度が筆を止めたのでは無い。悩んでいるのは試験問題以外の問題だ。
そもそも彼が留年したのは、実技魔法を使えるようになるためだ。全く魔法が扱えないまま、進級してしまっては、基礎を完璧にせずに先に進んでしまっては尚更使いこなせるようにはならないだろうと、幾つかの単位を投げ捨て、わざと留年したのだった。
そしてさらに一年費やして魔法学の勉強をしてきた。元々他の教科もなんら問題のない成績ばかりなのだから、このまま真面目に問題を解いて進級も出来る。
が。
ーーしかし、一年費やしたにも関わらず、彼は実技が未だ身を結ばないのだった。
(……どうすっかな…)
目的のものが手に入ってない以上、一度留年するのも二度留年するのも変わらないとは思う。むしろさらに一年、留まり、今まで以上に死に物狂いで努力するべきなのかもしれない。
しかしそれはーー何年もこの学校に留まれるのをいい事に、恣意的にモラトリアムを続けようとしてるのではないか?
つまりはーー甘えて、逃げてるのではないのか?
そんな懸念と板挟みになって、ペンを摂る右手が動かない。
祐樹 臨助 > 「…………」
このまま解いていって、出来ないことが出来ないまま進んでいいものなのか。
既に二回は授業で習った範囲から出る、慣れた内容の問題を見つめて考える。
問題内容が変わろうとも、二度授業を受け何回も復習すれば、既に既視感を覚えるレベルだ。
(…………。)
そこでふと思い至る。
既に一年生で習う知識に問題が無いのにも関わらず、実技はてんでダメなままなのであればーー
それはつまり、必要なのはその先のーーいや、別の知識が、必要ということなのかもしれない、と。
何も学校が提示したステップが誰にとっても登りやすいものとは限らない。
自分のように全く、足が階段に掛からない者だっている。
なればーー先に進むべきか
祐樹 臨助 > (…………。)
こういう結論に至るのは、モラトリアムを続けて逃げる事に耐えられないという意思が先導したからなのかもしれない。
そう思うと、まぁ仕方ないというか、大体みんなそうなのかもしれないが、
都合のいい脳味噌してるよなと思う。
ともあれ進むべきと決まったのだ。
あとは目一杯アクセルを踏むだけだろう。
残り時間は少ない。
祐樹 臨助 > ーー試験は滞りなく終わった。
問題なく次へ行けるだろうと思う。
テスト期間が終わったら予習に今まで以上に力を注ごうと思いつつ、試験会場を後にした。
ご案内:「◇試験会場1(期間限定)」から祐樹 臨助さんが去りました。<補足:長めの黒い髪に目つきの悪い黒い目の少年。魔法実技が苦手だが…>
ご案内:「とある試験会場(昼休み)」に遠峯 生有子さんが現れました。<補足:長い黒髪をハーフアップにした、どことなくぼやーっとした女の子。>
遠峯 生有子 > 試験官の指示とともに、答案用紙の束が後ろの席から手渡される。
前の席の学生の背中をつついてそれを渡すのと同時にチャイムが鳴った。
教室は試験の時独特の溜息のようなざわめきに包まれ、
やがてそれも三々五々に廊下へと吐き出されていく。
生有子も一旦はその群れに乗って室外へと出たのだが、
手を洗うと再度、先ほど占めていた席へと戻ってきた。
遠峯 生有子 > 偶然にも午後のテスト会場が同じこの部屋で行われることになっていたからで、
教室で昼を過ごすことの可否は一応確認をしてある。
テスト勉強は事前に決めた分だけ済ませてあるために
一秒でも惜しいというわけでもなかったが、
食堂なりどこへなり食事を取りにいってまた戻ることを考えれば、
ゆっくりと時間を過ごしたかったのだ。
とはいえ、手作りのお弁当など準備するほどの時間の余裕もなく、
朝コンビニに寄って買ってきたサンドイッチだのお茶だのといった品揃えだ。
ご案内:「とある試験会場(昼休み)」にリグナツァさんが現れました。<補足:・アルファニウス・ピセロット.>
遠峯 生有子 > ハンカチを広げてランチマットにして、
ペットボトルとパン類をその上に広げる。
フィルムに包まれた、三角形の卵のサンドイッチが、生有子はけっこう好きだったが、
昼ごはんがすべて同一具材だとそれはそれでかなしい気がしたので、
何種類かが四角くカットされた、パック入りのそれにした。
「いただきます。」
手を合わせてから、まずはハムとチーズのサンドイッチを口にする。
リグナツァ > 少しだけ廊下のはしゃぐ学生たちの声が音が大きく室内に響き、続いて先ほどまでと同じ音量に戻った。
ドアを開けて入ってきた者が居たのだ。
犬を連れたその異邦人風の人物は空いた席を探すと、
端の席を引いてから、椅子に横から座った。
通路にお座りの姿勢になった白い大型犬と、向い合うようにして座るためだった。
間違いなく手ぶらでやって来たその青年は、
その机の上にさも有るべきものとして有った白のビニール袋を開くと、中を探って昼食を取り出した。
サンドイッチ。
ついでにとばかりにもう一つ"取り寄せ"た魔法瓶を開けてカップに注ぐと、珈琲と紅茶の混ざった香りが立ち上った。
リグナツァ > 魔法瓶の中身は朝、リグナツァが手ずから入れた鴛鴦茶である。
少し時間を掛けて茶葉から紅茶を淹れ、その紅茶でコーヒーを沸かした、手間の掛かった品。
そしてその手間故に、昼食は売店で買い求める他は無かったのである。
とはいえ悪いことばかりでもない。砂糖とガムシロップを貰ったためにこれらは"取り寄せ"ないで済む。
「……。」
たっぷりと糖分を含んだ鴛鴦茶を口に含み、鼻に抜ける香気を楽しみながら飲み干すと、少しは午前の試験官業務から回復しそうだった。
ようやく昼食に手を付けようと、一つ目のサンドイッチを開けたところでふと気づいたことが有った。
このツナサンドにはオニオンが入っている。
混みあった売店から一刻もはやく抜けだそうと確認を怠ったのが失敗だったか。これはアルヴァーンには与えられぬ。
遠峯 生有子 > 室内に出入りする人の様子をなんとなく視界の端に収めながら、
ハムサンドを食べ終えてペットボトルに手を伸ばす。
人影は、最初それほど彼女の興味を引かなかったが、
当然のように一緒に入ってきた犬の姿に一度手が止まる。
その人の、というよりは犬の座る先を目で追いながらお茶の蓋を開けて一口。
窓からの風に乗ってその飼い主と思われるものの
取り出した飲み物の香りが生有子にも届いた。
正直、それが何であるかは彼女の知識にはなかったが、
(なんかおいしそうな飲み物。いいなあ。)
湯気が立っていることをとっても、おいしそうな気がしてくる。
パックの端から2番目に入っていたという理由でトマトときゅうりのサンドイッチに手を伸ばすと、
一口かじってむぐむぐ。
リグナツァ > リグナツァは立った。
立つために座席を引く必要がない座り方だっただけに、歩き出すまでは素早い。
生成りの貫頭衣の裾を揺らしながら、
小柄な魔術師は大股に教室内を歩き、
目線を生有子に据えたままで、一直線に座席に近づいた。
「学生よ。…取引を申し出たいのだが、構わないか」
樺色の目が、生有子をまっすぐに見ている。
ただ近くで食事をしているから、サンドイッチを交換してもらいたいという思いを込めて。
ぐいぐいと椅子を戻していたアルヴァーンは、少し遅れて主人に従った。
遠峯 生有子 > 「んんっ!?」
急にその飼い主が生有子の方へと近づいてきて、
単にその脇を通り過ぎるものと予想していたために慌てた声が出た。
慌てて両手で口を覆い、トマトときゅうりのそれを飲み込んでから、
「と、取引ですか?」
樺色のそれを、彼女も見上げる。
(て、テストのなにかかな?)ぽけっとそんなことを考えたりしながら。
ちなみに、ハムサンド・トマトの次は照り焼きチキンである。
リグナツァ > 学生と教員の間では、通常物々交換のレートは1:2が基本とされている。
しかしこと昼食に関して言えばそのレートは0:3…つまり三人までは奢って当然である。
帝国にあっては代金を負担する人数の大小よりは、
付属的に計算される部分すなわちデザートの有無が大きく関わるものだったが、
果たしてこの学園に有っては今までのやり方が通じるかどうか。
ゴクリと息を呑んでから魔術師は言葉を継いだ。
「ああ、取引だ。……君の食事を、譲り受けたい」
ちらりと彼女の手元に目をやれば、サンドイッチは既にその数を減じている。
種類も確認できなかったが、それを殊更に確認するのも相手に弱みを見せることになる。
「出来れば、今すぐにだ。」
まずはこの学生が申し出を承諾するかどうか。
次に対価を策定するためにも、まずはこの段階で躓く訳にはいかない――
主人の足元に辿り着いたアルヴァーンは、先程と同じくお座りの姿勢で両者を見つめている。
主人の緊張をよそに、大変穏やかな顔つきである。
遠峯 生有子 > ことここに至り、相手の只ならぬ様子を生有子も感じ取る。
ちらりと見れば彼のもとにはなにやら入っているらしい白いビニール袋に、
封を切ったサンドイッチ(らしいもの)
なにも食べるものがないというわけでもないようなのにこの緊張感は…
「お、おなかすいてるの?」
それも尋常でなく。
取引で食事を譲り受けたいとすれば、その対価は何なのだろう。
交換の意図までは汲み取れずに、
彼女はただ気おされているのだった。
リグナツァ > 「ああいや、対価は出す。……そう、空腹なのだ(アルヴァーンが)」
手応えがあったと見て、リグナツァは頷くと更に取引を推し進める。
確かこちらの言葉では――騎虎の勢い、というのだっただろうか。
しかしここでは例えオルガナ金貨であろうとも持ちだしてはならない、
とリグナツァは習い覚えていた。
昼休みに有るべきものは何か。一に空腹。ニに時間。三の次四の次に来るのが金である。
価値が低いものをわざわざ対価に使うことはない。悪手である。
「一つ。今朝淹れたものだが、鴛鴦茶がある。」
あるいは彼女が知らない様子であれば言い直すだろう。
「紅茶で入れた珈琲だ、どちらの香味も味わえる最良の選択肢と言っていい」
「二つ。……シナモンパイが有る。もしも好みに合うなら、これも付けよう」
一つ目の提案よりは少し、間を開けて、あるいは迷ってから、
ビニール袋の奥の小さなご褒美を提案に加えた。
「三つ。…………いや、ついでのようなものだが、この袋の中のサンドイッチも必要と有ればお渡ししよう。」
2つ目の提案からさらに苦心すること少しばかり。
リグナツァは三本目の指を上げて、対価を提示した。
遠峯 生有子 > リグナツァの勢いに飲まれた形で、
その三つの提案を聞く。
えんおうちゃ…聞かない名前だ。
首をかしげるとその心の声を推し量ったかのように詳しい説明が続く。
けっこう親切かもしれないこの人。
シナモンパイには心を動かされたが、
三つ目の提案に瞬きを三回。
あれ、サンドイッチにサンドイッチが返ってきた。
この人は尋常でなくお腹がすいているのではなかったか。
むしろ彼の(犬の分だとは考えなかったので)食べる分が減らないか?
そして、ふと、
「あの、もしかして買うのを間違えたの?」
やっとそこに到達した。
それならそれで気の毒だ。
アレルギーでもあるのかもしれない(この人に)
正解に、近くて遠い場所にそんなこんなで着地して、
「私の食べかけだけど、いいの?」
女の子としてこれは聞いておかねばならない点だった。
リグナツァ > 「ん、うむ、まぁ……そうだな。種類を確かめずに買ってしまったが故に困っている。」
(交渉のために)隠しておきたかったことを言い当てられては、白状する他はない。
他の対価についても隠し事があると思われては、全く逆効果である。
「ついてはだな…ネギの入っていないものを持っていないか?」
座るぞ、と生有子に言ってから前の席に座ると、
生有子の机の、食事に干渉しないスペースへ白いビニール袋を開けて手札を並べた。
サンドイッチは三種類。ツナサンド、フルーツサンド、トマトサンド。
後者二つはネギ入りではないが、リグナツァは食事は全て一品ずつ少しだけアルヴァーンにも与えることにしている為、困っていたのだ。
それにシナモンパイ。サンドイッチ2つ分のお値段の、
パンコーナーではなくお菓子コーナーに並ぶちょっといいやつである。
それと、魔法瓶がとん、と置かれてこれで全ての手札が場に並んだ。
「食べかけ、いや、食べかけは良くない!
…いや良くないというのは嫌悪感が有るとかそういう意味ではない、気分を悪くさせたのならすまぬ。」
それ以上は答えずに、(そちらの聞いてきた意味はわかっている)、という風に頷いてから
「まだ手を付けて居ないものを譲ってもらいたいのだ。……その、つまり…」
ことわざの通り。虎から降りてしまえば散々である。
今更自分の発言を振り返ってみればなんとも形無しだ。
「……初めから言っておけばよかったな。紛らわしい言い方をしていたようだ」
遠峯 生有子 > 「ああ、食べかけってそういう意味じゃないよう。」
赤面して、慌てて手を振る。
彼女にとっては開封して一部に手をつけてあれば、
残りの手付かずの部分も食べかけである。
それはともかく、
パックの中身は、サンドイッチ二切れ分の空白と、照り焼きチキン、卵
またハムチーズ、トマト(と胡瓜)、照り焼きチキン、卵の品揃えだった。
そのうち、照り焼きチキンにはスライスしたたまねぎが入っているのが見えたため、
それを取り除けて、残りのパックをそそっと前方へと押し出す。
神妙に。
「どうぞ。」
「それでそういうことだったら、ツナサンドをいただきます。」
見た限り、トマトサンドにはネギの気配がないし、フルーツサンドにはまさか入ってはいまい。
予想して、そう申し出てから、
「ネギ、苦手なんですか?」と付け加えてみた。
リグナツァ > 「いや、いやいや、こちらこそ早とちりをして、その、申し訳ない」
(わかっているという頷き)のわかってなさが大変にいと恥ずかしく、思わず冷や汗をかいた。
目をやればアルヴァーンがじっ…と見ているものだから、慌てて背筋を正す。
こちらは学生ではなく教員なのである。
「うむ、ありがたく頂こう。そちらはそちらの取り分を受け取るが良い」
少しは調子を取り戻して、大きく頷くとカップを"取り寄せ"て魔法瓶の鴛鴦茶を注いだ。
砂糖は先程ので打ち止めなので、自分の調味料入れも"取り寄せ"る。
カップと同じ陶工であるため、青い幾何学模様が揃っている。
「ネギは…最悪死に至るであろうな。
こちらの世界では、種族的にそういったことはないのか?このリグナツァには同じ体の作りに見えるのだがな」
「…ああ、そうだ、開ける前に気づければよかったのだが…すまぬな。」
言いつつ、ツナサンドの包みを摘んで、生有子の陣地に送りこむ。
こちらはこちらで、懐から出したペティナイフ―鞘付きなので小刀とも言えるそれ―でパックの中身、サンドイッチに小さな切れ端を作っていく。
アルヴァーンに与えるための小片である。
遠峯 生有子 > 生有子としては交換条件はツナサンドだけでよかったので、
シナモンパイは丁重にお断りしようとする。
しかし、鴛鴦茶は気がついたときには入れてもらっていたので、
ありがたくいただくことにした。
普段珈琲をあまり口にすることがないので、
きっと午後のテストは眠気ゼロで受けられるだろう。
「死に至るんですか。」
送り込まれたツナサンドを手に取りながら、驚いたように繰り返し、
それは大変と、リグナツァを見返す。
いまさらだが、この人は「こちら」ではない世界の人なのだ。
少しの親近感を覚えながら、
再度いただきますと、ツナサンドを口に運び…
…それが犬――のように見えるこの白い生き物――のことだと、気づくのはしばらく後のことである。
リグナツァ > 「いや、一度渡そうと決心したものが帰ってきては…次の決心が出来ぬようになる」
だから受け取ってくれ、とそこだけはリグナツァは譲らなかった。
「さて、アルヴァーン。ようやく食事というわけだ。」
一人と一匹の食事がようやく開始され…
その後の試験中、
アルヴァーンも無事、試験官としてのリグナツァを眠らせずに済んだ。
少々脚に噛み跡は増えたようであったが。
遠峯 生有子 > そしてそのシナモンパイは、断りきれずに彼女のテスト後のおやつとなったようである。
ご案内:「とある試験会場(昼休み)」からリグナツァさんが去りました。<補足:・アルファニウス・ピセロット。尊大な魔術師。と犬。>
ご案内:「とある試験会場(昼休み)」から遠峯 生有子さんが去りました。<補足:長い黒髪をハーフアップにした、どことなくぼやーっとした女の子。>