2015/07/08 - 22:11~03:25 のログ
ご案内:「蓋盛の部屋」に蓋盛 椎月さんが現れました。<補足:てきとうな部屋着 風邪 (乱入歓迎)>
蓋盛 椎月 > 職員寮、蓋盛に割り当てられた部屋。妙に物が少なく殺風景さを感じる。
最後の期末考査が終わったその日の夕方。
ベッドに横たわる蓋盛の姿。あまり顔色はよくない。

小刻みな電子音が三度。
腋に挟んでいた小さな棒状の機械――体温計を引き抜いて頭上にかざす。
表示されたデジタルの数字が『めっちゃ高熱で~す』と主張していた。

「…………」
風邪であった。

蓋盛 椎月 > 基本的には保健室には放課後も長く居残るのがいいのだが、
体調が優れないため後詰を他の保健委員にまかせてさっさと帰宅したのである。
そうしたらこれだ。

常世学園は学校施設としてはかなり巨大だ。
そして保健室というのは一種の聖域となっているところがある。
つまりは少しサボっても露見しにくいのだ。
逆に言えば、力を入れて仕事をしようと思えばいくらでも体重のかけられる仕事である。
実のところ養護教諭がやることはとても多いのだ。

働くのは苦手である。
おそらくサボるのも自分が思うより得意ではないのだろう。
完全に仕事を放棄するか熱を上げすぎるかの二択になってしまう。
この手の疲労からくる体調の崩し方は一度や二度ではない。

「…………」
恥ずかしい。ひとり布団の中で身をよじる。

蓋盛 椎月 > (こういう時に甲斐甲斐しく世話を焼いてくれる……
 そう……美少女メイドがいれば……)
熱に浮かされた頭でそんなことを考える。
別に熱がないときでもそういうことは常日頃から考えてはいるが。

(美少女メイドってどれぐらい資産があれば雇えるんだろう?)
一介の養護教諭では無理な気がする。

汗をタオルで拭って、ビタミンC飲料を一口飲む。
身体は熱いしひどい吐き気だ。

「まあ……薬飲んで水分取って、
 おとなしくしてれば治るでしょ……」

いざとなれば、《イクイリブリウム》だってある。

蓋盛 椎月 > 実のところ、ちょっとした体調不良で《イクイリブリウム》を
使ったことは何度かあった。
別に少しぐらい記憶が飛んだところで大したことはないのだ。
側に置いておいた、弾倉がカラの拳銃に手を伸ばし
《イクイリブリウム》の弾丸を込める。
そして側頭部に当て…………

「…………」

別に少し記憶を失って困るほど大した生き方をしているわけではない。
しかし。

蓋盛 椎月 > 本当のところを言うと、
どこまで記憶を失っていて、
どこまで記憶を失っていないのか、
自分では判然としていない。

異能《イクイリブリウム》に痛みは存在しない。
無痛で自殺できるスイッチを持っているようなものだ――
と、蓋盛は考えている。
この異能のことが、ずっと恐ろしくてたまらない。
自分は既に死んで、今見ているのは永い長い夢なのではないか――
そんなことをしょっちゅう考える。

蓋盛 椎月 > がば、と身を起こす。
振り乱された前髪が汗ばんだ顔に張り付く。

ああ――だめだ、一人でいると。
よくないものが音もなく忍び寄ってくる。
ペットボトルの中身を一気に飲み干す。

「うっ……」

すぐにえづき、傍らに置いた洗面器で口元を覆う。
びしゃびしゃと水っぽい胃の中身を吐き出した。

蓋盛 椎月 > 痛みなく、傷を取り除き、記憶を奪う《イクイリブリウム》は――
蓋盛にとってはある意味、どんな大規模な破壊を齎す異能よりも恐ろしい異能だ。
幼少の時に覚醒めたこの異能との付き合い方をずっと考えている。
昔よりはずっとマシになったが、マシになったというだけだ。
十数年とこれを持て余している。

仕事も遊びも酒も煙草も誰かと寝ることも、
異能の恐怖を一時的には忘れさせてくれる。
しかし……

ご案内:「蓋盛の部屋」におこんさんが現れました。<補足:ふぉっくす!>
おこん > しづきー、ほれほれ見てみい。 水着姿じゃぞー!
(元気よくドアを開けて現れる教師は、夏に浮かれていた。
 この前買ったお子様水着、髪は後ろで縛って1つに。
 両手でシャチの浮き具をもち、腰には浮き輪…完全武装である。
 満面の笑みで部屋の中に入ってくるも、しづき先生の様子を見ると、
 ぽとりとシャチを床に落とした。)

しづき、風邪かなんかかのう… しっかりするんじゃぞ。 今氷嚢持ってきてやるからのう。
道理で保健室におらんかったわけじゃな。 おぬしも我慢を顔に出さぬからのう。
(いそいそと氷嚢とお湯を準備し始める。 勝手知ったるなんとやら、知らなければ探すまで。
 タオルを何枚か用意しつつ、氷嚢を準備。)

蓋盛 椎月 > ドアを開く音に安堵したような表情を浮かべる。
その方向を見て。
「ええ~っ」
おこん先生だ。それはいい。
なんで水着で来たの? しかも浮き輪まで。海開き待ちきれなかったの?
はしゃぎ過ぎじゃない? お子様なの? お子様だった。
そんなツッコミを入れたかったが、そこまで声にする余力はなかった。
憔悴した相貌に皮肉げな笑みを浮かべるだけ。

「まあ俗に言う風邪ですね。医者の不養生というやつです。
 すみませんねわざわざ……」

おこん > な、なんじゃ? なにか変なところがあったかのう…
(しづき先生の声に不安げに自分をチェック。 水着よし。
 浮き輪よし。シャチよし。 変なところはないはずだが…
 はっと気づいて、ぶら下げてたポーチをごそごそ。)

これでよかろう!
(じゃーん。水泳眼鏡をおでこに装着。 誇らしげな表情。)

しかし、保険医があれだけおってもダウンするとは、やはり試験は激務じゃのう。
まあワシも終わるまで保健室に巣を作っておったからな。 そこで寝ていてかまわぬぞ。
(お返事しながら、氷をゴムのケースにたっぷり投入。お水を入れて、タオルで巻く。
 しづき先生のところに持って行って、おでこに乗せてあげようとしたい。)

蓋盛 椎月 > 「…………」
無言で目を細めて親指を立てる。大丈夫だよ。
そうだな……新しい装備はじまんしたくなるよな……わかるよ。
「海……いっしょにいきましょうね」

「試験期間中は体調崩す子多くなりますからねぇ。
 実技試験の怪我人も毎日出ますし。
 ちょっと真面目に業務こなしてたら気がつかないうちに疲労がたまってたみたいです。
 保健医の面倒を見てくれる人はいませんからね」
へらへらと笑う。

氷嚢を乗せられて目を瞑る。
「つめてえ~」

おこん > うむ、海に一緒に行くのじゃぞ。 くくるとかコゼコゼもつれていかねばな。
ふふふ、きっとやつらもワシの新装備を見れば驚くに違いない。
(親指を立ててくれたしづき先生の反応をOKだと理解する。 満足気な顔。)

そうじゃのう。 ワシんところは怪我とかはないように幻影にしておいたが、
やはり痛みで理解するのは大きいでな…。 まあ、海開き前の休みだと思って、
しっかり寝ておるがよかろう。 ワシが面倒みてやるからのう。

そうじゃろ、冷たいじゃろー。 ところで汗はかいておらぬかのう。
必要あらば体をタオルで拭くのもやぶさかではないのじゃが…
(お湯がわいたので、とりあえずガスは消しておく。
 しづき先生に確認しながら、冷蔵庫の中を確認。なるほどのう。って頷く。)

蓋盛 椎月 > 「くくるさんらはどんな水着なのかな~ちょっと気になるな~」
あの二人の水着を想像したけどなんか
スクール水着みたいなのしか出てこなかった。なんでだ。

「ま、一日おとなしくしてりゃ治ると思いますよ……たぶんね。
 実技に関しては教師の思想がそれぞれ出てる感じで……
 生徒同士の組手とかもありますし……」

濁った咳の音。

「汗ですか……ああ、お願いします、是非に」
あまり考えずうんうん、と頷く。
布団を剥がせばぐっしょりと濡れた寝間着姿が出てくるだろう。

おこん > あの二人は………せくしー!!!みたいなの着なさそうじゃのう。
コゼコゼとかは浮き輪が似合いそうじゃなあ。
(別にお子様だと言ってるわけじゃないけど、なんとなく似合いそう。
 そんな感じのことを漠然と考えながら、しづき先生の言葉に頷いて。)

そうじゃな、まあやり方は人それぞれよ。 何事も…おお、そうかそうか。
少し待っておれよ。 汗をかくと体が冷えるでな、よくない。
(ごそごそ。勝手に人様のタンスやらなにやらを探して、寝間着を準備。
 さっき沸かしておいたお湯をいい温度に調整して、タオルを浸してから、
 湯おけと一緒にしづき先生の側に戻って。)

よっし、綺麗綺麗にするぞー。 自分で脱げるかの。
それともワシが手伝ってやるかえ?
(口ではそういうものの、ちょっぴり心配顔。
 お返事できるくらいだから、大丈夫だとは思うのだけれど。)

蓋盛 椎月 > ほう、と息を吐く。

「んん、脱が……いえ、自分で脱げます。
 だいじょうぶです」
乞うような視線を少しだけ向けて。
ボタンを外し、肌に張り付いた寝間着を剥がしていく。
汗ばんだ素肌が露になる……触れれば熱い。

おこん > そうか、それならよいじゃろう。
(口ではそういうけれど、自分で寝間着を脱ぐ彼女のお手伝い。
 自分からえーいってやったりはしないけど、彼女は病人なのだ。)

どれ、では汗を拭うとするかのう… しづきの背中はきれいじゃのう。
どこかして欲しいところがあったら言うんじゃぞー。
(熱めのお湯にひたしておいたタオルを絞って、そっと彼女の背中を拭っていく。
 痛みがない程度に優しく、汗を拭い取るような動き。 時折お湯に戻しては絞り直して、
 背中、脇腹、首周り、肩、腕…丁寧に手を動かしていく。)

蓋盛 椎月 > 「ん…………」
目をつむり、拭う動きに合わせて身体を動かす。
時折眉根を寄せたり、シーツに手をついて強く握ったりするのは、
吐き気や頭痛に抗っているためか。

「ありがとう……その調子でお願いします」
喘ぎ混じりではあるが、その声は柔らかい。
自分の身体を拭く手に、そっと自分の手を重ねたり、離したり。

おこん > うむ。 少しだけ我慢しておれ。 すぐに綺麗になるでな。
(せっせと体を拭っていく。 普段とは違う肌の熱さと、微かな声。
 なるべく早く終わらせて、また寝かせてあげないといけない。
 しつき先生の声に、手を止めて頷いた。)

もちろんじゃ。 辛くなったらすぐに言うんじゃぞ。
(彼女の手が自分の手に触れる。火照った熱さが伝わってくる。
 空いている手でしづき先生の手を撫でながら、タオルを使って汗を拭っていく。)

背中はこんなもんじゃろう。 前もやるかえ?
(一度タオルをお湯に戻してから確認。 背中部分はしっかりできたはずだ。)

蓋盛 椎月 > 「おかげさまで……、楽になって……、ますよ」
声には感謝や安らぎの色があるが、
何かを耐えようとしているように口数は少なく、声はとぎれとぎれに。

「ええ……では、前も」
手で顔を覆う。
潤んだ瞳で、おこん先生に正面を向ける。

おこん > しづき、辛かろうのう… まっておれ、直ぐに終わらせてやるでな!
(とぎれとぎれの言葉から、彼女が辛くなっているのがわかる。
 そうにちがいない。 急いで寝かせて上げないと。 ぎゅっとタオルを絞ってから、
 彼女の前へ。 熱に瞳が潤んでいるのは、なんだか可愛いけど、
 今はそう言っていられる場合じゃない。 鎖骨の辺りから首筋、
 胸、お腹の方へとタオルを動かして、汗を綺麗にしていって。)

こんなに汗をかいてしまえば喉も乾くじゃろう。 後で飲み物も買ってくるからのう。
(早く良くなってほしい。 優しく語りかけながら手を動かして。)

蓋盛 椎月 > 身体をタオルがなぞるのにあわせて、ふぅぅ、と長く息を吐く。
「うう…………」
いよいよ耐え切れなくなって、
おこん先生の手を取って、きゅっと引っ張ってしまう。
目は固くつむった。
「…………」
そのまま何も言えずに固まっている。
呪われてしまったように口も目も開けない。

おこん > よーし、こんなもんかのう…あとは……ど、どうしたのじゃ?
(しづき先生に手を引っ張られて目を丸くする。
 ぎゅっと、何かを耐えるかのような態度を執る彼女に、
 そっと近づいて。)

しづきぃ…どうしたんじゃ…言ってくれぬと、ワシもわからぬ。
(ぎゅっと抱きついて、なだめるように、あやすように背中を撫でる。
 もしかしたら熱のせいで人恋しいのかもしれないし、なにかあったのかもしれないし。
 彼女の頭を、髪を、背中を撫でてやりながら、優しく問いかけて。)

蓋盛 椎月 > 過度に身体を近づけられて、
うつしやしないだろうかと心配に、申し訳なくなって、びくりと震える。
首を横にふるふると振る。

「わからない……けど、こわい。
 やさしくされると……こわい。
 とても……いけないことを、
 している……気がする……」

そう言いながらも、身体を離そうとはしない。
閉じた唇の向こう側から、獣のような唸り声が響く。

おこん > なに、怯えることはあるまいて。 …よいか、しづきよ。
それは気のせいじゃ。 おぬしにはな、やさしくされる権利がある。
少なくとも、ワシから優しくされる権利がのう。 何も怖いことなどない。
 心配せずとも、ワシはおぬしにそっぽを向いたりせぬぞ…
(ぎこちなくしゃべる彼女の背中と頭を撫でながら、こちらもそっと言葉を返す。
 何があったのかわからないけれど、彼女は一線を越えようとしない。
 それも、ポリシーというよりは何かに迫られて、といった印象だ。
 とはいえ、今はそれを暴く時ではない。 彼女の体を治す時なのだ。)

そのように唸っても、ワシは離れてやらぬぞ。 よいから休め。
ワシも添い寝をしてやる。 9本の尻尾で包んでやるでな。
暖かくて柔らかくて最高じゃぞ? のう、しづき…熱が少し出ておるでな。
(彼女をなだめながら、声をかける。 どこか…そう、臆病なのだ。
 深いところから湧き出るような彼女の唸りに答えながら、そっとベッドに触れて。)

蓋盛 椎月 > 発熱か、怯えからか、呼吸は小刻みで早い。
ああ、とか、うう、とか意味のない喘ぎ声、
あるいは喃語のようなものが開いた口から漏れる。

(どうして?) 行き先のない問いが心中で繰り返される。
奪ったことはあった。
奪われたこともあった。
そのいずれも怖くはなかった……
恐ろしいのは一人で眠る夜だけのはずで、
けれど今は優しく抱かれているのがたまらなく恐ろしい……

いろいろなものを捨ててきた。
遊びだけで生きていくにはジャマだったから。
そのなかには優しくされる権利も含まれていたような気がして……

「やだ……ねたくない」

子供のように駄々をこねる。
身体の動きが自制から解き放たれて、おこん先生の身体にしがみつく。
眠ることで一人になるのが怖い、とでも言いたそうに。
とはいえその力は弱々しく、何かができるものでもなかった。

おこん > しづき…そんなに怖いのかのう。 それなら…んふん、ワシが与えてやろう。
ワシに優しくされる義務じゃぞ。 それっ!(駄々をこねるしづき先生をぐいっと押し倒す。
二人でベッドに寝っ転がりながら、9本の尻尾でしづき先生を絡めとって。)
ほれ、眠らずともよいから目を閉じておれ。 ワシはずっとここにおるからのう。
(9本の尻尾でしづき先生を優しく包んで暖めながら、手で背中をぽんぽんと叩く。
 そうしているうちに、自分もうつらうつらしてきて…やがて、寝息を立て始めた。)

ご案内:「蓋盛の部屋」からおこんさんが去りました。<補足:ふぉっくす!>
蓋盛 椎月 > 押し倒されるままに、呆然とおこん先生を眺める。
わなわなと震えて。
逃げ道が塞がれていくのがわかる。
これ以上は遊びでは済まされなくなってしまう。
このひとから与えられるものだけで生きていけたらいいと思ってしまったから。

(どうして?)

「うつしてもしりませんよ……」

ずっと、っていつまで?
なんて困らせるようなことは言わない。
その優しさをただ享受して。
すきなひとの立てる寝息を聴きながら、蓋盛も目を閉じる。

ご案内:「蓋盛の部屋」から蓋盛 椎月さんが去りました。<補足:てきとうな部屋着 風邪 (乱入歓迎)>